「わんっ、わんっ」
「ルナちゃん、御上手〜〜♪」
海ではバシャバシャと犬掻きの娘なルナを人魚なエリアルを導く。
それを浜で見守るディ少年とメザ青年。不意に
「・・・いいのか、君は遊ばなくて」
「頭脳派である僕の柄じゃありませんからね。事無きよう風景鑑賞にでも精を出します。
貴方と同じ様に・・・ね」
「・・・・・・」
だから共に、海パンにシャツの格好で砂上に腰をおろしながら
手には得物を砂に埋もれさせもっていた。
と、独り波間を快泳するルナをおいて二人の方へ来た人魚姫。
「あの・・・皆々様は?」
「ああ、きっと何処かでイチャついているでしょうから放っておいたらいいんです。」
「い、イチャついて???」
「つまり、情事もしくは淫ごっ!!?」
メザ慌て当身に、少年の口を強制封印。 全く油断も好きもあったものじゃない。
「メザ、イチャついているという意味を説明しなさい」
・・・何故、この人はこういう時に逆らいがたい高貴な雰囲気を出してくれるのだろう(泣
「アルシア様,ルー様,レイハ様,シエル様がライ殿の姫君であり
アレス殿とリオ殿が恋仲であるということは御理解していただけますね?」
「ええ、もちろんです」
「・・・・・・。 つまりは、そういう事なのです」
「???」
「・・・・・・御自分の目で確かめて行らして下さい。出来る限り気付かれぬよう」
「では、少し見に行ってきますね」
と、ルナを連れてエリアルは行ってしまった。暫して帰ってくると
「アレス様とリオ様は一緒に甲羅干しを、ライ様は皆様と魚獲りをされていましたよ?」
「皆、仲良し。ルナ、嬉しい、わん♪」
「・・・・・・まぁ、そのように御理解してください(泣」
彼等と知り合ってからメザの心労が増えたのは決して気のせいではないはず。
「わう? メザ、お疲れ?」
「ふっ・・・(寂」
どうせなら、それを我が姫君に気付いて欲しかった今日この頃・・・
夕食、バーベキューには豪勢に並ぶ海の幸々。
「うっわぁ〜〜、これ、如何したんですかっ!!?」
と、避暑令嬢の如きリオは驚き、ライ&四姫以外の面々も異口同音。
「三人今日一日掛りで可也の量が取れたからな、日干しにならない分だけでも・・・」
「・・・三人?」
「そっ、三人。俺とシエルとレイハ」
見れば、当の二人
「もう、タコ、キライ(泣」
「オーホッホッホッ(汗」
泣いて笑って誤魔化し。 もう、何も言うまい・・・
無事、夕食は終わり時は流れ朝遅く。
砂浜の上に引いた茣蓙の上、ライは早々に思い思いの水着姿の四姫をはべらせていた。
旅行費をケチるためとは魚を獲り干物をこさえていたライを休ませようと子供達が
道具を奪ってしまったため。
「ど〜〜すっかな〜〜(困」
「如何もしようも・・・偶には何も考えずに寛がればいいのではありませんか?」
「そ〜〜よぉ。折角なんだから楽しまないとねぇ」
「ん。」
「んダ。 バカになれ、バカに」
「約二名はいつもバカやってるけど。 与えられるとな・・・」
と、不意にライは海パン一丁にシャツを脱ぎ捨て。それを見てレイハ
「どちらへ?」
「ん、折角だから遠泳でも・・・取り合えず、見えるアノ島までが妥当か」
「・・・私もお供します」
とレイハに続き立ち上がるのは、向かないイロモノ水着のアルシアと
相変わらず質実剛健スポーティなセパレイト水着のシエル。
幼女ルーはグータラにゴロゴロ。
「私しゃそんなに泳げんからな〜。ココに居させてもらうヨ」
「ふぅん。 んで、アルシアはその格好で行くのか?」
「そうよぉ。 悪い?」
「んや、御随意に」
と海目指し駆け出した男に続く、3人の女達。
「グダグダ言いながら・・・元気な連中だナ(呆」
水に対する適正は早々に現れた。古泳法っぽいレイハと平泳ぎのシエルは並に遅く
以上に、驚愕なのはアルシア。さっさと皆を引き離していった・・・
遠目でみれば何かありそうだった小島もついてみれば岩ばかりで目立ったモノの無く
「なんだ、社ぐらいありそうだったのに・・・」
「残念ねぇ。何も見付らなかったわよぉ。周りの海の中もねぇ」
小高い岩から水滴らせ見下ろすのはアルシア。
「以外に達者だな。余り疲れていないみたいだし・・・」
「私、水とは相性いいのよねぇ。 皆は?」
「まだか、引き返したか・・・正直俺でも厳しかったからな」
陸に上がれば・・・特にその胸が・・・重いのか、下のライに
布地食い込む股間を見られる事も構わず手足を使い慎重にユックリと。
「・・・、絶景絶景。」
「えっ・・・きゃっ」
ライの視線の先に気付き、アルシアが似合わぬ悲鳴に思わず隠すのは己の股。
それなりに腕が立つとはいえ、手足を使わなければ降りられないような岩から手を離せば
当然後ろに倒れ空を舞うわけで、唖然とするアルシアは転落。
そのままポスッと背後からライの懐の中へ。濡れた肌がモッチリと密着に
アルシアは逃げられないよう抱擁されてしまった。
ただでさえアルシアのキワモノ水着はVの形に露出が激しく、事をするには事欠かない。
受け止めた拍子に砂浜の上へ座ってしまった男の上、アルシアは己の股の間から
膝を立てられ固定され、男の手は胸元から麗乳を弄り始めていた。
「あんっ、オイタはダメよぉ。 皆が着たら見られちゃうじゃなぁい」
「その時は、その時で・・・シエルとレイハも混じってするのも(ニヤソ」
「まっ・・・」
そして絡み合い熱い接吻を交わす男女・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・(くああああ」
早々に、岩場の上で田舎兄貴なスタイルで釣竿を握るのはアレスと
その隣には同様に釣糸を下げるディ。
「中々に・・・こういうのもマッタリしていいですねぇ・・・」
「全く。」
背景では、娘なルナが潮招きにハサミを振る蟹に何を言いたいんだ? と屈み獣耳を近づけ
瞬間バチンと挟まれてしまい、キャンキャンと耳に蟹を付けたまま走り回っていたり。
と、其処に毎度夏の避暑令嬢姿で籠を携えやってきたのはリオ。
「皆さ〜〜ん、オヤツですよ〜〜」
と澄んだ声に、アレス,ディは では、これで休みとばかり に魚を釣上げ
浅瀬ではザバァと銛を片手に立ち上がるメザ。褌一丁に腰に携えた大籐は大漁。
それに続く人魚姫エリアルは姫君なので追込み専門に得物は持っていない。
砂浜に辿り着くメザにエリアルも腰から下 半魚のまま着いて行き
「・・・(うんしょ、うんしょ」
歩きようがないので腕で身体を引き摺ったまま如何もまどろっこしい。
だから、人魚姫の騎士は獲った魚と銛を置いてUターンに主の元に。
「暫し失礼」
とエリアルを姫抱きに一度海に戻り砂を落としてからリオが敷いた茣蓙にやってきた。
「お二人ともお似合いですよ。」
「ありがとうございます」
なんと、娘達はホノボノとしたやり取りをしているが相方にしてみれば戦々恐々。
エリアル×メザという事は現実、夢物語のように巧くはいかない。
言ったところで、その夢物語を引き合いに出すので話にすらないという・・・
さておき
「きゃんきゃん。くぅ〜〜ん(泣」 痛い。取って(泣。
ルナ、獣耳に蟹を付けて未だやっていた。
どんな種でも不屈の闘志を持つものはいるわけで、手を出そうものなら空いたハサミを
振りかざしシャキンシャキンと威嚇する為に迂闊に手を出すことすら阻まれる。
「ルナちゃん、こっちに」
エリアルに誘われるままその前にルナは座る。翳す手に蟹は攻撃しようと・・・
・・・・・・
暫し沈黙後、チッと舌打ちしたかのようにルナの耳を開放し
蟹は走り去ると波泡に消えていった。 流石は海洋大国家の姫君。
ライ達が遠泳より戻ってみれば、ルーに+レイハ,シエルも無防備に肢体を曝し
ぐったりノびて寝ていた。
「なんだ、途中で引き返したのか?」
「・・・流石に、陸育ちの私達にあの距離は厳しいです」
「・・・ん。(クアアア」
「確かに・・・俺でも辛いしな」
「私しゃ行かんで正解だったナ。アルシアもオツー」
「おほほほ、流石に私も疲れたわぁ(照」
「「「・・・・・・」」」
「・・・。と、兎に角、夕方までグータラするか・・・」
寝る主ライを囲む、肌もあらわな4人の美女・・・(一部美幼女)。
食料の補給も十分に旅の合間の休息も終わり、彼等は旅を再開した。
何事も無く辿り着いた先は、辺りで最も大きい港町オンネアス。
大きな町になればなるほど貧富の差は激しく治安が悪くなってしまう。
この町も例を問わず、表向きは繁盛しているが一歩路地に入れば・・・
さて置き以上に問題なのはエリアル,メザの顔を知るものがいるか如何かだが。
メザ曰く、エリアルの顔を知るものは領主ぐらいだろうとの事だった。
しかし
「・・・いやはや困ったもんだ」
馬車を降り町を散策していた一行を取り囲むのは衛兵らしき者達。
剣先を向け、如何見ても無難に済ます気配はなく
「この方を誰と」
前に出て説明しようとしたメザ、結局突く剣に下がる得ない。
それに各々得物を構え蹴散らそうと
「待てッ。 皆、手をだすな。
俺はシウォング王 真龍騎公ライ=デステェイヤー
俺たちの身の保障をしてもらいたい。ならば抵抗はしない」
本来ならば全くの眉唾。しかし、ライが放つ威厳は噂そのもの。
隊長の指示に衛兵達は剣を収め、ライ達もまた剣を収めた・・・
・・・・・・
末端が有能だから とはいえ、必ずしも上も有能とは限らない。
武装解除で城まで連れてこられた一同は、ウも言わさず武装した兵に包囲され
エリアル以外、専属近衛騎士のメザもまとめて牢屋へ。
「・・・それで、如何なさるんですか? 何なら脱獄もできますが?」
と到って平然なレイハ。一見水着っぽい衣装に僅か布を纏うだけで身体検査で
一切の小道具を奪われているはずだが、軽く手を振るだけで手品の如く針金やクナイが
ルーやディも各種装備を異相空間においてある。 抵抗は十分に可能。
「ここで問題を起こしても仕方がないからな。向うの出方を待つ」
「しかし姫様が・・・」
「それについては多分、大丈夫。 無法者から姫君を護ったぐらい、
あわよくば取り入ろうって考えているていどだろう。王直属が出てくれば問題ない」
確かに。それならばメザの身分を保証してくれる。
その後、どのような処分を下されるかが疑問ではあるが・・・
一行は牢に放り込まれ、どれ位の時間がたったか カツーンカツーンと派手に
足音を立てやってきたのは如何にもそれらしい拷問夫。舐めるように見回し
・・・令嬢系,子供×2,猫の女戦士,冷麗な娘,妖艶娘・・・
「お前、来いっ!!」
アルシアの手首を掴もうとした拷問夫の手を弾いたのはライ。
「・・・貴様、何のつもりだ?」
「見ての通り。ウチの娘達には手を出させない」
「・・・いいだろう。その減らず口、二度と叩けなくしてやる」
拷問夫の指示にライは兵に引っ立てられ
「んじゃ、ちょっくら行ってくる」
「いってらっしゃいませ」
「わん〜〜♪」いってらっしゃ〜い♪
・・・メザの心配を他所に、一同は心配すらしていなかった。
十に近い数時間の時が流れ、ライは背も血塗れに兵に引き摺られ牢へ戻って来た。
そのまま石畳に打ち捨てられピクリとも動かず、兵が見えなくなってようやく
ムクリと
「ふぅ、十点。」
「ら、ライ殿、大丈夫なのですか?」
「見た目は兎も角な。皮一枚だけ斬らせただけだし。メザも拷問されればわかるさ。
ウチの連中にされてみろ。一生洗いざらい処か、生きていてゴメンナサイって気に(泣」
それにニヤリ笑うアルシア,ルー,レイハ。シエルも素知らぬ顔で耳をヒクヒク。
一定の力量の戦士となれば気でもって身体を護る事など容易な事。
それを撃破る為には相応の気で相殺しなければならないのだが・・・
件の拷問夫は一般人に、それすらなっていないと。鞭の感触は鋼を打つソレに違いない。
「もしリオが拷問されそうな時は、アレス」
「端より承知」
「ルナの時はディ」
「えー―っ ・・・仕方ないですね」
なんだとぉー と早々にルナがディを折檻したりしてるが・・・
数日間なって無い拷問を乗り越え、ついにアルトラス王の使者達はやってきた。
一気に慌しくなる城内。 そして、牢にエリアル姫共々やって来た使者の内
一歩前に進む無表情なサナカ顔男。
「貴殿、シウォング王というのは偽りないか?」
「・・・民より真の龍と称えられし騎士王。 某の目で判断するといい」
皆より一歩進むライ。 金龍眼となったその身体から立上る気配に
姫を除き使者達が圧され一歩下がってしまう。
「・・・姫君が世話に・・・・失礼仕った。」
「いや、それほどの事じゃ・・・彼は如何なるんだ?」
と指差す先には首垂れるメザ
「・・・このような事態になった以上、不敬罪で・・・恐らく、死刑」
「「!!?」」
「彼がいたからこそ、このような事態ですんだんだけどな・・・
アルトラス王姫エリアル殿、自分をポセイダル王に御目通り願いたいのだが?」
「はい、喜んで」
他者が口を出す暇無く即答。 こうなった以上ライ一行を招かざるえなかった・・・