あっちを見ては感嘆の声を上げ、こっちを見ては感激し。
そんな子供達を見つつレイハはライの隣で壁に凭れ
・・・何であれ、結果的に誤魔化す事が出来た。
アイテム探訪が始まって判刻もしただろうか。
戦エ・・・・・・
「・・・ぅん〜〜、意外に、立って寝れるものだなぁ(伸
はいはい、今日は御開き。また今度な。」
「えー―っ・・・仕方ないですね。 また来てもいいですか?」
「ん〜〜、まぁ独りでなければ、ルナ以外の誰かといっしょならいいぞ。
後、無断で持ち出さなければ・・・ココにはヤバイものも有るからな」
「その程度なら了解です。・・・ここには面白いモノがたくさんありますね」
「ふっ、いいだろ。 まだ何もやらないぞ。 レイハは如何?何か欲しい物はある?」
ココには武器のみならず防具、アクセサリーの類もある。
呪いの掛ったものから年代モノの真っ当なものまで。
「私ですか? 私は・・・結構です(笑」
「まぁ、いずれ指輪でも作って、あげるから。」
「えっ?」
聞き逃したレイハをあえて無視するライを見て、ディは思った。
そんな事だからラブコメ騎士団だなんて言われるんだ と。
賑やかな皆を他所に、寝ている以外いつもは元気なルナは何故か静か。
じっと見るその視線の先には、厳重に封印を施された一本の大太刀。
全長は少女の身長とあまり変らない。使うのは至難のわざだろう。
どちらにしても、この狂戦鬼の魔剣が容易に解放されるはずがない。
戦エ・・・ 戦エ・・・
「おいルナ、行くぞ」
「わう?」
と振り返った銀狼娘の瞳は紫・・・ではなく普段通りの緋色。光の加減でそう見えたか。
「・・・この剣、魔剣ですよね? 人を狂戦士にする」
「・・・ディ、抜いてみるか?」
「いいんですか?」
「いいぞ。大丈夫なら、いずれやる。」
「うわぁ、随分とあっさりと・・・」
と既にディは封印をとき始めていたりする。
封印を解き、握り、刃を解き放つ。その少年の瞳には・・・確固たる理性の光。
「これは・・・まだダメですねぇ。 サイズが・・・」
「まぁ、身体がそれなりに出来てからの話だったな。」
結局、狂戦鬼の魔剣は再封印され、皆揃ってその場を後にした。
戦エ・・・ 我ヲ手ニ取リ・・・
・・・・・・
新月。月の魔力は衰え、妖しが最も力を発揮する。 深夜、台所には一つ怪しい影が蠢き
「・・・な、何者だっ!!!」
水を飲みに来たディがそれに気付いて警戒の声を上げた。
星の僅かな明かりの中、影は妖しの如く高速で動き惑わし
「こ、このっ!! 『灯』っ!!」
ぱしゅっ
正体を見極めようと灯りの魔法を使うが、一瞬で発動体が粉砕。
とてもじゃないが手におえない。少年がそう判断し助けの叫びを上げようとしたが
「!!?」
影は空かさずディの後に周り込み口を封じ、もう抵抗すらさせない。
・・・殺られる
「・・・深夜なんだから、騒ぐな」
えっ!!?
「俺なぁ、気配殺してなかっただろ? 気付けよ。」
「ライさんはこんな遅くに何をやっていたんですか。」
影の主は言わずもかなライだった。 そもそも、こんな所に盗人や妖しは来ない。
「まぁ、夢に叩き起され・・・水飲みに。 ディこそ何やっているんだ?」
「え、僕ですか? 天使に起きなさい、と・・・それで喉乾いたので」
「・・・熱はないな」
「なっ!!? 失礼なっ!!!」
「だってなぁ、天使はないだろ天使は」
「僕は光を纏い翼を持つ優しそうな女性を他になんと表現するか知りません」
「・・・重傷だな 可哀想に」
「ぐっ・・・僕の見る夢で文句を言われる筋合いはありません(怒」
「夢と自覚しているなら一層・・・(哀」
「うぐ・・・」
ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う。 殺したろか
「・・・マジな話し、余り人には話すなよ。守護者の事は」
「えっ!!?」
「感じからして付き合いは長いんだろ、『天使』とは?」
つまり挑発に情報を流してしまったと。
「え、ええ、それは・・・ココに来てからですから。」
「ココに来てから?・・・解せないな。 ま、いいや。それについては明日・・・」
不意にライが気配を殺させる。
それは廊下の向うにルナを・・・手に封印された大太刀を持っているのが見えたから。
「・・・(ルナ・・・ですね。こんな遅くに何しているんでしょう)」
「・・・(魔剣に魅入られたか? 前で迂闊に封印を解くんじゃなかったな。
・・・ルナが屋敷を出たら、得物をもって直後を追うぞ。)」
「・・・(了解です)」
星空で意外に明るい中、屋敷を出たルナは大太刀を携えたまま都市への道を歩き・・・
途中の広場で封印を解き始めた。
屋敷で解かなかったのは気配に皆が駆け付けるのを恐れたからだろう。
「・・・ルナ、俺は夜遊びするように育てた覚えはないぞ。おとーさんはかなしーっ!!」
「ライさん・・・それは今、余りにも場違いです。」
ライが呆けている間に、ルナはさっさと封印を解き刃を解き放ってしまった。
振り向いた銀狼娘のその瞳は完全な紫。これは光の加減ではなく完全に・・・
瞬間、少女は大太刀を振り被り、身を屈めて二人に襲いかかった。
いつも通りの格好であっても素材が素材なだけに防御力のあるルナに対し
ライは普通のシャツ,ズボンに腕甲と大剣、ディも同様に槍と間合わせ。
「ちっ早いっ!! ディ、援護ッ!!」
「っ!!?」
速攻に対応出来ないディを蹴飛ばし、容赦ない一撃を振り下ろしで相殺・・・し切れない。
「図体・・・小さいくせにっ!!」
既に魔導で強化を施しているにも関らず大の男が、少女の矢継ぎ早の斬撃に圧倒される。
「ライさんっ!!!」
「さっさと・・・援護しろっ!!!」
構えたディの周囲に浮かぶ幾つもの魔法玉。そしてライがわざと吹っ飛ばされ距離を取り
「行けッ」
気合一発、魔法玉がまるで生物の様にルナを包囲し襲いかかるが
それも、当る以前に破魔咆哮で霧散。
「如何します? ・・・疲労させて二人で抑え込むというのは?」
「却下、ルナの身体が崩壊する。・・・取り敢えず、逃げるか?」
「そんなっ!!」
と二人は何かを企んでいるかのように森へ逃げ出した。
それをルナが追う。狼が獲物を狙うように。
「マジで如何したものか・・・」
「そんな無責任な・・・戦うしかないでしょう?」
「戦えばルナの身体が崩壊してしまう。戦わなければ助けられない」
「八方塞がり・・・(汗」
「・・・だな」
二人の前には先回りした狂戦士の少女。 しかも既に闘気の充填が終わり陽炎を纏い
「やばっ!!!」
呀の音と共に少女が吼えた閃光の咆哮は
ディを突き飛ばしたライの半身と神狼牙,ディの槍を巻き込んだ。
「・・・!!? 大丈夫ですかっ!!?」
「大丈夫・・・じゃない。ディ、戦えるか?」
ライは見た目ダメージは無いが、咆哮が当った処に妙な痺れを感じ・・・魔法が使えない。
それに破魔咆哮でも大丈夫なはずの強化系魔法も解除されていた。
神狼牙を拾い・・・こっちは幸い何の影響もないよう。
「駄目です。槍が・・・」
目の前で槍に備え付けられた魔玉が粉砕した。 それに槍自体も見る見るうちに朽ちる。
・・・生半可な物では完全な閃光破魔咆哮に耐えられない。
破魔咆哮だけでは無く、魔剣の斬撃にも。
「・・・ディ、オマエは一旦逃げろ。 時間は稼ぐ。」
「何故っ!!?」
「今のオマエは足手まといだ。・・・部屋に行って得物を取って来い。
俺の考えが正しければ・・・『天使』が導いてくれる。」
「こんな時に何をふざけて・・・」
ライの目は英雄に相応しく嘗て無いほど極めて真面目だった。
二人を背に少年は一目散に駆けた。二人を救う鍵が己にあると理解して。
「さてと・・・こんな事で『覚醒』せにゃならんとはな・・・」
集中にライの瞳が人から金色の龍眼へと変る。 これで対等。力も負担も・・・
・・・ディは屋敷に戻り、部屋までは来た。
だが「部屋に行って得物を取って来い」と言われたものの、それらしき得物があちこちに。
これなら人を呼んだ方が早いかもしれない。 と思い、部屋を出ようとして
・・・大事な人を助けたければ、力を求めなさい。
若い女性の優しい、天使の声が引き止めた。
振り返れば、大太刀があった隣の包みが青白い優光を洩らしている。
・・・この力を継ぐのは貴方です。
言った通り『天使』が導いてくれた。しかし実際に実行するのはディ自身。
包みは天使から少年の手へ。
オオオオッ!!!
ガアアアッ!!!
二体の獣、『龍』と『銀狼』が吼え、剣を交える。 全力で命を燃やし戦う『銀狼』に対し
『龍』は『銀狼』の消耗を押さえ戦わなければならない。幾ら格が上とはいえ消耗は必死。
そもそも、この魔剣自身が気の『壁』を容易に斬り抜けてくる。 忌々しい事この上ない。
「ルナっ!! シフォルナ!! 応えろっ!! 何故戦う!!」
「・・・・・・」
「戦い、その果てに何がある!! 考えろっ!!」
聞いているのか聞いていないのかルナは紫の瞳で、至って無表情で剣を揮い続ける。
こうなったら腕一本ぐらいは仕方が無い。
「うおおおっ!!!」
斬!!
と剛斬と共に少女の小さな身体が空高く吹っ飛ばされ、
其処へ更にブーメランが如く回転する神狼牙が迫る。
しかし、閃光と共に少女はその身体を銀狼と変化させ回避。その口には大太刀。
・・・重心を変える事で回転を変えた。 その戦闘センス、稽古の御陰だけではないはず。
着地した銀狼は口に大太刀を咥えたまま一気にライとの居合を詰め首と身体を捻り斬撃。
バックステップで避けたライに更に斬撃を繰りだし、それを真剣白刃止め。
「うりゃっ!!!」
と丸ごとぶん投げた。 が、遠くで着地し、全くダメージにはなっていない。
そもそも、当人が苦痛を感じていないため迂闊にダメージを与える事すら出来ない。
猛烈な勢いで駆け込んで来た銀狼は身体をいっぱいに捻り
ギュイイイイイインッ!!!
「っ!!? 来いっ『神狼牙』!!!」
回転により円盤状の刃と化した攻撃を空かさずライは神狼牙を手元に召還
ギン!!
と、それを盾に凌いだ。振り返れば銀狼は既に着地し、次の攻撃を
「・・・???」
四肢と大太刀を凍り付けにされて動けない。
当然、破魔咆哮を吼えるが・・・状態に変化なし。
「無駄ですよ、それは空気中の水分を魔導により高密度に凍らせたものですから。
それでも時間稼ぎにしかならないんですけどね・・・」
仕掛けたのは細長い包みを携えたディだった。
「上等。 それはディ、オマエが使え。」
「えっ!!? いいんですか?」
「使い方は解るはずだ。 『天使』から聞いただろ?」
「・・・はいっ」
返事に包みが内からの衝撃で吹き飛び、その中から姿を現したものは法杖「光晶槍」
それは既に前の主に匹敵する刃を生み出していた。
見れば、銀狼は少女へと戻り一歩一歩距離を積めて来ている。
「・・・『天使』から他に聞いてない?」
「・・・聞いてませんよ。こんな時に余裕ですね。」
「こんな時だから少しでも情報が欲しいってこと。
・・・しゃーないな。俺が囮になる。 巧くやれ」
言い残し跳出し撃って出るライ。迎え撃つ狂戦士の少女。
両者鍔競り合い一歩も引かない。その影から
「っ!!!」
ディが「光晶槍」の光刃で強襲。しかし、それも咄嗟のバックステップで逃げられ。
「まだまだっ!!!」
否、逃さない。 光刃を更に大きく、半ば大破壊剣と化したもので斬り付け
それを大太刀で防ごうと
斬っ!!
大太刀ごと少女を斬り抜いた。
「やったかっ!!?」
一瞬、少女の瞳は緋に戻り・・・再び、紫へ。 しかし動かない。
・・・戦エ
・・・何故?
・・・戦イタイカラダ。
・・・相手、ライ,ディ。 ライ、長,ディ、子分。 戦う、駄目。
・・・戦イタイ。強イ者ト。
・・・ディ、子分、私より弱い。
・・・ディ、ハ強イ。自分ニ匹敵スル。
・・・ディ、弱いっ!!
「・・・・・・ディ、弱い」
「「!!?」」
「・・・・・・ディ、弱い。私、護る、務め」
「・・・だってさ。」
「確かに、勝った事はないですけどね」
だが、勝たない=勝てない というわけではない。
「・・・ルナ、僕と戦ってください。」
「・・・・・・わう?」
「僕はルナに護られるだけの存在なほど弱くはありませんよ(ニヤリ」
「・・・頑張れ、死んだら遺体ぐらいちゃんと埋葬してやる。」
「気が抜けるような言い方しないで下さい(笑。
では、共倒れしますので後は宜しくお願いします」
決し撃って出るディに対しルナは、教育してやるぅと紫の瞳のまま感情豊かに・・・
ルナは狂戦鬼の魔剣『獣皇鬼・砕刃』を逆支配した。
それは、なりに戦う意味を知っていたから。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「・・・何だ。その不満そうな顔は?」
「不満なんだよ、実際。 夢の内容なんか一々覚えてられるか」
「それは貴様自身の問題。教えてやって文句を言われる筋合いはない」
「ちっ、やるかこのっ!!」
「上等だ。 いつかの決着、ここで着けてくれる」
「まあまあ二人とも。無事に事が済んだのでいいじゃないですか(汗」
「・・・実際の話、あの二人でいいのか? めっちゃ未熟だぞ」
「あの二人だからこそ希望がある。 我々の・・・出来なかった事を成して欲しい」
「そうですね・・・私達の役目ももう終わり。子供達に全てを託しましたから・・・」
「・・・いい話も結局、夢オチ。 起きたら覚えていないんだろなぁ」
ライに若武士の容赦ないツッコミと天使の申し訳なさそうなツッコミが炸裂した。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝起き、レイハが居間に下りてきて驚いたのは
大喧嘩をした兄妹のように泥まみれ傷まみれで3人が転がっていた事。
しかも各々が各々で得物を枕にするなり抱締めるなりして鼾までかき。
「ライ、起きて下さい。 一体何があったんですか?」
「・・・な、何? ・・・何があったって? まぁ・・・子供達が眠っていたモノを
継承したというか・・・ちょっとドラマがあったというか・・・大丈夫だから・・・
眠らせて。・・・筋肉痛の・・・用意・・・宜しく・・・z・・・z・・・」
もう、ウンともスンとも言わず穏やかに寝息を洩らし始めた。
例え魔剣が解放されていようと、大丈夫と言った以上大丈夫なのかもしれないが・・・
結局、予定丸々休暇日程に変更せざるえなくなく。 やがて4人娘もそろい、3人も起き
「くぅー―ん、身体、痛い、痛い(泣」
「そりゃ、限界無視で動き続けていたからな。 シエル、先に風呂入れてやって」
「ん。」
身動き出来ないルナは抱き抱えられ居間から風呂へ連行されていった。
「僕も、凄く、痛いんですが?」
「そりゃ、アレだけ動けば痛くもなるだろな。因みに俺も痛いぞ。」
「それ・・・何の慰めにもなっていないです。」
「・・・・・・うりゃ」
「ぐはぁっ!!! な、なんという事をするんですかっ」
「のぉっ!!! こ、子供のくせにぃっ!!!」
不毛な戦い勃発。お互の身体を叩いては悶え
ビシッバシッ
「怪我人が見苦しいマネ、やめてねぇ。 じゃないと鞭打っちゃうからぁ」
「・・・もう打ってます(悶」
「・・・御願い、怪我人に、折檻はやめて(悶」
勝者アルシア。 一方、レイハは静かに獣皇鬼と神狼牙を預かり、ルーは光晶槍を物色し
「・・・なぁ、ライ。 これは小僧には勿体無くないだろ?」
「んぁ? 否定はしないけどな、『光晶槍』がディを選んだからな・・・
まぁ、使っていればその内それ相応に相応しくなるんじゃない? いつか・・・」
「本当、「いつか」だナァ・・・」
「ええ、どうせ僕は未熟ものですよ。 返してください。」
「・・・返して欲しかったら、実力で取り返してミロ」
とルーは得物を持って遁走して
「気持は解りますが・・・余り虐めては可哀想ですよ?」
レイハに首後掴まれ返ってきた。
「なんだ? 私は子供か? 猫か? うにゃぁ」
「羨ましいからといって人のモノを取る行為は子供ではないのですか?
はい、返して下さい。 ディさんもルーに取られないように」
「ど、どもです・・・(驚」
野放しにしているとルーは何仕出かすか解らないので、レイハは座った膝の上に
ルーを座らせシッカリ抱締めれは、ルーは借りてきた猫の様に大人しく・・・
ただ単に構ってほしかっただけだと?
暫くして、シエルに抱き運ばれ風呂から出てきたルナはすっかり出来上がり、
「わぅ〜〜〜(惚」
筋肉痛も何処へやら、心地好い疲労感に浸り気持良さそうに へろ〜んと惚けていた。
これを「たれルナ」と言う。
「・・・次、俺達行くぞ。」
「えっ、一緒に行くんですか?」
「なんだ? 俺といっしょだと風呂に入れないのかぁっ?
・・・という冗談はさて置き、時間が勿体無いからな」
「・・・何処から冗談で何処から本気か解らない人ですね」
二人は軋む身体を引き摺りつつ「アイタタタタ・・・」と風呂へ。 中略
「うっ・・・、凄い匂いですね・・・」
「アルシアの薬用湯だからな。それだけ効果もある。
・・・ぐうぅぅぅっ、湯が身体に染みるぜええええぇっ」
「〜〜〜〜っ、・・・ふぅ。」
刺激に悶え、浸り、つかの間の沈黙を破ったのはディ。
「・・・ありがとうございました。」
「・・・何が?」
「我侭を許して頂いてもらった事とか・・・他にも色々。
本当らしくない人ですね、ライさんは。実に庶民的で貴族らしくない。」
「俺は一向に庶民のつもりなんだけどね。自分の平穏を護りたいだけで」
「でも、義務を果たす事に関しては実に貴族らしい。 女性関係にだらしないところも」
「手前ぇ、誉めてるのか貶しているのか、どっちだ? 尊敬の念を感じないぞ」
「誉めてますよ、勿論。 あまり尊敬はしていませんが。」
「こんガキ・・・(苦笑」
「でも、嫌いじゃないですよ・・・ライさんの事」
「へいへい・・・(呆」
二人は他愛も無い話で時間を潰し・・・中略。風呂から上がるとアルシア以外皆寝ていた。
ルナは自分の得物『獣皇鬼』を大事に抱き抱え眠り、そのルナを抱締めシエルもうたた寝。
ルーは逃げられず諦め眠り、それにレイハも眠り・・・
「・・・ルナ、如何だ?」
アルシアはライの身体を撫で回し・・・診て
「身体ボロボロだから暫く安静ねぇ。でもまだ子供だから心配の必要はないわぁ。
貴方も身体ボロボロだから安静にしてねぇ。でも、デスクワークは全く支障はないわよ?」
「・・・(泣」
仕事をサボれない事が泣くほど哀しいのか、ライよ。
次にアルシアはディを押し倒し、半ば裸まで引ん剥き。
「な、何を・・・(焦」
「うふふふ、知ってるぅ? 若い御肉って叩くとスゥンごく美味しいの」
「う、うわあああ・・・(怯」
アルシアの目、マジです。洒落になってないです。ディ君、貞操の危機ですか?
指は少年の身体の様々な処を蠢き撫で回し・・・少年は快感にビクッビクッと喘ぎ悶え
しかもライ、それを止めずに絶景とばかりにニヤニヤと笑い。
「はうっ!! や、やめて、下さいぃ あっ、はぁぁん」
「女の子にみたいで本当、可・愛・い。 ゾクゾクしちゃうわん」
「あっ、そんなっ、あっ、ああっ、あ・・・あー――――っ!!!」
びくっと硬直の間の後、少年の身体から完全に力が抜け
まるで犯された娘の様に泣き顔は虚ろ。
「・・・えげつな。 で、ディの身体は如何?」
「ふっ、本当子供ねぇ・・・」
「・・・こらこら、具合だ、ぐ・あ・い(怒」
「ルナちゃんより全然柔だけど・・・筋肉痛さえ収まれば大丈夫よぉ」
「そーならそーと言ってくれ。 はぁ(疲」
「・・・お疲れねぇ。私が気持良くしてあげましょうか? ここで」
「あのねぇ・・・俺もスゲエ筋肉痛なんですけど。」
「嘘おっしゃい。もう、一戦できるぐらい回復してるでしょう?」
「そりゃ・・・否定はしないけどな」
見れば、ディは果てたか気持良さそうに熟睡している。
皆もまたさっきの騒動で覚醒した様子はなく、気持良さそうに寝ている。
「ま、まさか、オマエ・・・」
「うふっ、ルナちゃんとディ君には使ってないわよぉ。
それに皆に使ったのも普通のだし」
何を使って,使っていないかは言わずもかな・・・
しかし、それでも回復しきっていない二人は多少の音で起きることはない。
スリットが過激な上に胸元も臍まで縦割で露出という兇悪なチャイナドレス風の上に白衣と
妖艶なアルシアはうも言わさずライを押し倒し既に腰の上。
因みに配置は、絨毯フロアをコ字にソファと暖炉が囲み中央に低テーブルがあり、
ソファにはレイハとルー,シエルとルナが寝ており、テーブルと挟んで男二人が上下逆で
並んで転がっているという状況。つまり、誰がここで目を覚ましてもヤバイという。
「本気でヤるつもりか? こんな処で?」
「本気も本気、すぅんごい刺激的じゃなぁい。 そ・れ・に、
ルーとシエルを可愛がって私は可愛がってくれないだなんて不公平と思わなぁい?」
・・・それを言われると辛い、というかその理論でいくと
レイハも可愛がらなければならない ということになる。
「ねぇ、いい事しましょうよぉ(甘」
「し・・・ても・・いいけど、俺、動かないぞ?」
「いいわよぉ、それでも。 そ・れ・か・ら、今日、安全日♪」
何か、ますます包囲網が縮まっていく心境。 背筋に冷汗がダ〜ラダ〜ラ
「・・・やっぱり、するのか?」
「相手、貴方しかいないんだから・・・・・・。時間勿体無いからこのままでするわね」
ここまで来ると腹を括るしかない。というか、アルシアの可愛い処を見てしまうと・・・
たっちゃうでしょう? 男として
「・・・・・・・アルシア、直挿入させろ」
「えっ!!?・・・わ、わかったわ」