リオ達がパーティーに出発した後、屋敷の中は留守番のディと一人の若いメイド以外誰もいなくなった。
使用人達はパティーの応援に既に小城へ行ってしまっている。
「・・・・・・・・・・・・どうやって過そうかな(邪笑)」
やりたい事はいっぱいある。しかし
屋敷に迫ってくる嫌な空気、小城に満ちるモノと同じモノが近づいてくるのをディは感じた。
ここは危険だ。
ディは急いで残ったメイドの処に行くが
「ココは危険です。今すぐここから離れないとっ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
虚ろな表情を浮かべ、ディが叩いてもまるで反応しない。
念のため、そのメイドを蹴っ倒しベットの下に隠すと自分は屋敷を飛び出し、助けを求めて村へ走る。
ソレの目標はソレに惑わされない自分
その姿を見付けた妖魔達。
シギャ、シギャァァッ
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・はっ・・・」
走るディの背中に妖魔の爪が襲いかかろうとした瞬間
スコココンッ!!!
シギャァァァァァァっ!!!
妖魔の顔に刺さるクナイ。それに妖魔の目標は誤り、
ディを霞めるだけに済んだが前のめりに、モロにバランスを崩す。
「ふぅ、馬、駆って来た甲斐があったな。 もう大丈夫だぞ、少年。」
転びそうになったディを優しく受止めたのは、
アレスがこの村に来た時着ていたような衣装で、両腕にガントレット,大剣を携えた口に覆面男。
「少年、少しの間ソコの茂みに隠れてろ。
奴羅は首を落せっ!! その方が手っ取り早い。」
「・・・はい。」
男が叫び、応えたのは闇・・・ではなく闇に溶け込んでいた 口に覆面,ポニーテール美女。両手には短刀。
後は、そこにいた妖魔が全滅するまであっという間だった。
「危ない処、ありがとうございました。 貴方達はいったい・・・」
「通りすがりの正義の味方。 俺は狼龍(ロゥロ),彼女は玲葉(リィハ)とでも呼んでくれたまえ。」
「勝手に変な名前をつけないで下さい。全く。」
男の台詞に、女が呆れながら突っ込み。どうやら本名はしられたくないらしい。
・・・つい、玲葉の格好に目がいき、恥ずかしくて目をそらしてしまう。
全身黒タイツの上に黒革ボンテージ状の革鎧という女性の肢体のラインがはっきりと分かる衣装は
少年にとって過激過ぎた。
「玲葉、少年がお前の格好に照れてるぞ。 やっぱりソレ、色っぽいな。」
「し、仕方ないでしょう。 これが一番シックリするのですから(照)」
しかし、その雰囲気は憎めるものではなく何処かなつしい。
「僕はディオール=クラウスです。」
「クラウス?」
「リオの弟さんですね。」
「えっ、貴方達は僕達を御存知なんですか?」
「あ〜〜、まあな〜〜。 そう言や、リオとアレスは如何した?」
「ね、姉様とアレスさんですか? 今日パーティーで城に」
そう言って指差した先、山の小城を見て狼龍の表情が変る。
「アレスのドアホめ。 アレほど気を付けろって言ったのになぁぁぁっ!!!
レ・・じゃなくて玲葉、ディオールの護衛を頼む。俺は城の様子を見てくる。」
そして、狼龍は城の方へ駈けて行ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数時間後、狼龍は肩に何かを担ぎ、片手で自分の大剣+2本抱えて戻って来た。
「城には結界が貼られて入れなかった。 ・・・取り敢えず、コレ川で見付けたから戻って来たぞ。
全く、こんな時期に寒中水泳なんかさせやがって」
肩から下したのは傷ついたアレス。一応、応急処置はしてある。2本は「風羽」「聖霊の刃」
「ディオール、この辺りでそこそこの広さがあって隠れるのにちょうどいい場所はあるか。」
「え、あ、はい。案内します。・・・後、僕はディと呼んで下さい。」
ディは決して、自分が信用できる人以外、愛称で呼ばせないのだが、この二人は信用できた。
・・・というより、多分自分は狼龍をよく知っていると思う。可也イイ印象で。
ちなみに、狼龍とディにこれまで面識は全くない。