∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ とある騎士団の日常 ■
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パーティー当日の朝、街へ向う馬車の中、ライはボーっと窓の外を眺め、

レイハは、高いプレゼントを貰った後に旅行するなんてまるで新婚旅行 とフト思いつつ

ライの横顔を、その考えを読み取ろうと観察する。

二人は夕方のパーティーの後、そこの迎賓館に一泊して朝出発する予定。

迎賓館は街を挟んで屋敷の向い側、馬で往復半日掛るので時間は十分あった。 不意に

「・・・・・・なあ、レイハ」

「は、はい(驚)。」

「俺達は何を求めて生きているんだろうな。 ・・・俺がここにいる意味ってなんだ?」

「・・・・・・・・・(困)」

「気にするな。単なる・愚・痴(笑)。 只、・・・・外はいいなぁ。」

「・・・・・・退屈なんですね。」

「・・・・・・まあね〜〜。」

二人は馬車に揺られながら外の風景を眺める・・・

・・・・・・

・・・

首釣,腰まで背中剥き出し、長いスカートには両スリット、黒シルクイブニングドレスに白い肢体を包み

銀の髪留めで纏めた長い黒髪で 剥き出しの背中を隠し、

上品な色気を漂わせるレイハと

そのレイハをエスコートするタキシード姿の凛々しいライ。

例えるなら、知識のない人すら魅了する名刀×2。迂闊に手を出せば斬られるが。

夕焼けの庭園の中、お似合いの二人の登場にパーティー客達からため息が零れる。

そして、ライに市長を始め街の古参有力者(つまり街の基礎を造った人々)が次々と

「ライ殿、我々招待に答えて頂き感謝しますぞ。」

「いえ、こちらこそ自分みたいな若輩者を招待していただき恐縮です。」

「いやいや、貴方はこの街の功労者の一人。元々この場にいて当然。

ところで、お連れの美人の御方はライ殿の奥方ですかな?」

「ははは、まだ独身をやってます。彼女はレイハ=サーバイン、うちの騎士団員,団長補佐です」

「これは失礼、お嬢さん。 しかし、こんな美人が補佐とは羨ましいですなぁ。」

「どうでしょう。綺麗な華には棘があるというやつで、しっかりケツに敷かれていますよ。」

「「わははははははは(涙)」」

といった調子で挨拶をして行った。

ライを直接知らない有力者達は遠くから様子見。 そして、慌ててライに挨拶をし始める。

「どうもはじめまして、貴方があの有名な極星騎士団の団長ライ=デステェイヤー殿ですか。

いやはや、お若いのに御立派だ。」

「いえいえ、有名無実と言う奴で、たいした事はしていませんよ。

どちらかと言えば、今は、うちの自警団の方が活躍しています。」

「またまた、御謙遜を。 そうそう、今度ワシの息子を面倒見て頂けませんかね。」

「・・・・・・御子息の命の保証は出来ませんよ。」

「なっ、し、失礼な!!」

といった具合に、何も知らない連中は適度に撃退。

・・・・・・

満天の星空の下、あちらこちらの松明に照らされた野外パーティ会場外れテーブル、

「やれやれ、女の子はともかく、親父族までにもモテて困っちゃう。で、そちらはどんな調子だい?」

妙にげっそりとしたライと

「・・・多分、ライの御想像通りです。悪い気分ではありませんが(苦笑)。」

まだ程々に元気そうで苦笑いのレイハ。

つまり、色々な男に言い寄られ、誘われ・・・、それを適当にかわし・・・

「昔はもっと気楽だったんだけどね。やっぱり、街が大きくなり過ぎたんだろうな。

変な奴が市議会に増えたみたいだ。」

本来、騎士団長であるライにも市議会に口を出す権利があるのだが、

ライ自身、自分の役目ではないと考えていたのでいままで関らずに来たのだ。

一瞬、満月の下、二人の頭上を影が横切った。

それは、大蝙蝠×2。 向う先、標的は市長。

「レイハッ!!」

「はいっ!!」

大蝙蝠×2の登場に凍り付いた会場の中、二人が駈け抜け、

「しゃがめ、市長っ!!」

ライの叫びに市長は我に返り慌ててしゃがみ、その上 テーブルを踏み台にライが空を跳ぶ!!

上着の下、脇に隠し持っていたタガーを抜き、一閃

ザシュッッ!!

空中で一刀両断。一方、もう一匹の様子を見て空を舞う大蝙蝠には

トスッ、トストストスッ!!

ナイフやフォークが突き刺さる。

投擲したのは、市長を庇うようにナイフやフォークを持って構えドレスから脚を覗かせたレイハ。

墜落し暴れる大蝙蝠を着地したライが止めを。

一瞬、レイハは死んだ大蝙蝠達から黒い靄のような物が湧き出し、

ライの身体に纏わり付いたような気がした。

「市長、もう大丈夫です。でも念の為に会場を室内に移すといいでしょう。」

ライと市長の素早い対応に、客は然したる動揺も無く室内に移り、パーティーは続けられた。

一方、ライは客が室内に収まり切るのを確認すると、

強引にレイハの手を引き自分に与えられた部屋へ向う。

「ラ、ライ、痛いっ!!」

ジットリと汗ばむライの手。レイハの抗議を無視するライには鬼気迫るものが。

部屋にレイハを押し込むと素早く鍵を懸けると、フラァ〜と覆い被さるようにレイハに倒れ

「・・・何を、するつもり(怯)。」

「・・・・・・目的は俺・・・魂を蝕む呪。・・・後は・・頼む。」

全身脂汗を流しながら意識を失った。

レイハは急いでライをベットに寝かせ、上半身を剥いで診察。

ライが気絶する前に言った通り、それは呪だった。しかも即死性・・・のはず。

レイハには打つ手が無かった。 ・・・否、無いことも無い。

レイハが使える魔法には、相手の精神に侵入して秘密を覗き、操るというものがある。

これを応用すれば精神深くまで侵入し、魂まで辿り付いて呪を取り除くことも不可能ではない。

しかし、もしレイハがライの精神に侵入中に死ぬことがあれば、レイハも共に・・・。

呪が即死性であるはずなのにライの命がまだあるということは、これはさほど強くない。 


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