レイハが居間に戻るとそこではアルシアが爪を噛みつつ茶を呷り
「・・・迂闊だったわぁ」
「一体何がどうなっているのですか?(汗」
「皆何故か焦っちゃうのよねぇ・・・最近レイハばっかり気にかけてるからぁ
それが恋にかわっちゃうんじゃないかってぇ・・・」
「ライが私を気にかける?」
「そっ、だって貴方思い出したように苦しそうな顔をするんですもの
ライってそういうのに敏感なのよねぇ。御節介だからぁ・・・」
経験者は語る。それでアルシアも救われた。
「私が苦しんでいる・・・」
それは正解かもしれない。本来彼女が持ってはいけない心がある自覚があるから。
「ライに助けを求めてごらんなさい。 それでレイハが如何にかしようって
頑張ってるならきっと背中を押してくれるから
って、何を私、ライバルに塩を送ってるのかしらぁ・・・(悩」
御陰で悪女ぶっている癖に人が良くなってしまったと
「・・・クスッ(笑」
「・・・イイ顔で笑うわねぇ。本当嫉妬しちゃう」
「あっ(驚」
「いいわよ。気兼ね無く感情を出しなさい。誰も責めないからぁ」
ライですら多分出会って直レイハの正体に気付いた。
本来こんな辺境に地にいるはずがない筋の人物であるアルシアが
レイハの正体を既に察しても不思議ではない。
もしかしたらルーもシエルも・・・
「もう暫くしたら私達が行くわよぉ」
「・・・何をですか?」
「勿論、ライの添寝よぉ(邪笑」
「・・・(汗」
「今日明日辺りは熱で意識が朦朧としてるはずだから超OK!!」
「はぁ、そうですか(汗」
一体何が超OKなんだろうか。特に何もする事がないので茶を濁して時間を潰し
定刻、アルシアとレイハは水差しを持ってライの部屋へ
「二人とも交代の時関よぉ」
アルシアに布団がモソモソと動き
「ぷは、もっと寒い時期には温かくていいんだろうけどナ。」
「熱・・・(汗」
ライから熱を奪い程好く火照った二人が抜け出した。
幼女と猫娘がムチムチと肌を露に見せる絶景を見る事が出来ないライは
実に哀れである。
「看病、御苦労さまです。」
「看病というほどの事はしとらんゾ。ただ一緒に寝ていただけだ」
「それでも、意外に体力を消耗するな・・・」
二人が自分の汗を拭く間に
アルシアとレイハはライの肌を拭き頭を起して水を飲ませ
「それじゃあ一刻半(3時間)後に交代ねぇ」
今度はアルシアとレイハは揃って服を脱ぎ
お洒落な下着だけで包むスレンダーな肢体を露に
「・・・はぁ、ライは幸せ者だナ。美女達に添い寝してもらって」
無論ルーのこの一言は自分も含む。
「・・・だがレイハも添い寝をするとは。
出会った当時からは想像も付かん程柔らかくなったナ」
「・・・・・・」
人並みの感情を手にしなければそれに苦しみを感じずに済んだ。
しかし御陰で仲間がいる幸せも人を護る幸せも感じる事が出来る。
「如何した?難しい顔して」
「・・・いえ。」
「ルー、行こう。二人の邪魔をしたら悪い」
「シエルぅ、御前も言うようになったナ」
促され和気藹々と出て行く二人。
こっちはこっちでライの脇に潜り込み。
抱き付きそれぞれ左右の脚に自分の脚を絡み付かせ、
柔らかい麗乳,美乳を絹肌をぐっと筋肉に圧し付け
「っ、確かに熱い(驚」
「こんなことしてると何かいけない気分になっちゃうわねぇ
ライって夜伽しろとか言わないんですもの。サービスしちゃうのにぃ」
「・・・念の為に言っておきますが、今は駄目です」
「冗談よぉ・・・」
何処まで冗談で本気か分ったものじゃない。
確かにライは奇異なくらいレイハ,シエルにもそういった事を言わないのだが。
まさか不能・・・な筈はない。 あの時タオルの下で勃ちそうだったのだから。
それを精神力で抑え込み・・・操を立てているわけもあるまいに。
「・・・ライはバカですね」
「それが今に始った事じゃぁないのよねぇ」
「「・・・・・・はぁ」」
共に思わず漏れる、なんとも言えない切ない溜息。
そんな調子で時間は流れ二日が過ぎ、ライも微熱に。
「・・・はぁ、ハラ減ったなぁ」
もう誰も添い寝は居ず、してもらった事も知らずに口を零す。
「当然でしょう。二日間、水しか飲んでいなかったのですから」
返ってきて声に布団をずらし、そこには椅子に腰掛けたレイハが
「居たのか。・・・取り敢えず何か食べたい。」
「御粥、取ってきましょう」
「・・・なあ、レイハ。 俺が伸びていた間に何かあった?」
「いえ、これといって特に。・・・何故ですか?」
「憑物が取れたっぽいというか・・・一寸表情がな」
「・・・きっと気のせいです」
微笑みレイハは出て行った。きっと何かを吹っ切ったのだろう。
それから皆の看護を受け(食事を部屋に持って来てもらっただけ)
6日も経てば十分運動が出来る つまり全快した。
無難に戦闘訓練をこなし朝食を済ませ執務室、そこではレイハが待ち
「・・・1週間分のデスクワーク、思うだけで正直ゲンナリするな。」
「これが1週間分の書類です。」
その書類の束は如何見ても一日根を詰めてやれば裕に終わる。
「・・・意外に少ないな。まじ?ダマしてない?」
「ダマしてません。私が処理しておきましたから。
これは如何してもライの承認が必要なモノだけです。」
適当に一枚取って見て見ると、それはライの意志を見事に汲み取り
後は署名するだけ。
「おお、これでやっと安心してサボれるな」
「そんなこと・・・そんな事を言わないで下さい。
私がいなくなればどうするのですか」
レイハは初めて激情を露にし、最後はほとんど悲鳴。
「怒るなよ。感情を見せてくれるようになったのはいいんだけど
あんまり怒るのもなぁ・・・いなくなるって如何いう事だ?」
「・・・・・・それなら怒らせないで下さい。」
「元々誤魔化すの下手なんだから無理するな。」
「・・・貴方が倒れた直後に暗殺せよと命令が来ました。」
「いーのか? 標的に対しそんな事もらして」
「構いません。直に貴方を暗殺する事はいずれ国の損失になると
訴告しましたので。」
「随分と大層な・・・それでなんで?」
「任務が終了すれば帰還せねばなりません。私はその掟を破っています
いずれ里から刺客がやって来るでしょう。戻るか、始末されるか・・・」
「分った。皆で君を護る。」
「何もしないで下さい。」
「!!?」
「何もしなければ私だけで済みます。」
「・・・邪魔するモノは始末すると?
レイハが消えるまで全て黙ってろってか?」
沈黙は肯定。うな垂れたままレイハは答えない。
「わかったわかった。レイハの好きにすればいいさ」
「・・・はい。」
やっと出た返事は実にか細かった。