空白の地の中心。 そこは森林に囲まれ、地に穴が口を開けていた。
突入するのは勿論ライ達4人。村の戦士はそれまでと、外でサポートのみ。
「魔獣の産道っていうわけねぇ」
「ナイスな例えだナ、アルシア」
「・・・でも魔獣の御大というより『神』と似たような予感がする」
「それは・・・参ったね(汗」
「??? 『神』というのは御主の基になった奴か?」
あくまで基、なだけであって今や別物。その上ライによって休眠させられている。
「ん〜〜〜まあ、ココでグダグダ言っていても仕方がない。・・・行くぞっ!!」
何かの魔法を使っているルーを肩車しているライを先頭に、真中にアルシア
、最後尾をカインの順で進んで行く。
それは実に奇妙な洞窟だった。
偶に出てくる魔獣自体は一刀両断で問題はない。
最初は天然の感だった壁肌も進むに連れ、明かに人の手がかかったものと
成っていき、何時の間にか高度な技術で造られた石造りの壁に。
そして深くなればなるほど時間の感覚も
「どうだ、ルー?」
「やばいナ。コレ、ん千年前 創世紀直後のシロモノだぞ。」
「・・・ということはココにいるのはヤッパリ『神』級の?」
「そんなモノがそうポンポンいるとも思えんが・・・覚悟はした方がいいかもナ
・・・わっぷっ!!?」
「ルー?」
見れば手で顔をうにうにと拭き
「くもの巣が顔にぃ〜〜、うぅ〜〜」
「・・・取ってやるから一度降りるか?」
「ん〜、もう肩車はいい。自分で歩いてくぞ(泣」
「・・・その方がいいみたいねぇ。 ほら」
とアルシアが指差す行き先には灯りに照らされ奥に入れば入る程
蜘蛛の巣が張っている感。寧ろ、ココ自体が巨大な蜘蛛の巣のような。
そして、辿り着いた先には地下巨大空間。
石庭園の奥には神殿まで。それが蜘蛛の巣に覆われ・・・
ライ達の接近を感付いたが、物陰から従来の種に蜘蛛の要素混合の魔獣群
「さしずめ、エンプレスガードか」
「ライ,カイン、私が一気に片付ける。時間稼ぎしろッ!!」
「「了解っ!!」」
瞬間 群中央へライが飛出し、その後を追うようにカインが進撃。
二人が派手に立ち回るため、敵は空間出口辺りにいるルーとアルシアの方を無視。
ライ&カインが攻防をこなしている間にルーは魔杖を構え、詠唱開始。
ルー前面に魔方陣が形成され
(攻撃魔法来ます)
「ルーの攻撃が来るっ!!」
「!!?」
二人のを巻き込み無数の爆炎弾が襲い掛かり
轟轟轟轟轟轟っ!!!
ライの悲鳴ですら爆音にかき消されてしまった(汗
残ったのは土煙と四散した消炭・・・
・・・・・・
よくもまあアノ攻撃の中、煤塗れでも無傷で
「ルーっ、お前なんちゅう攻撃をするんだっ!!」
「ん? 御主ならアノ程度避けきれるかと思ったからナ。
まあ、当っても死にはしないさ」
魔獣、可也のレベルにも関らず全て一撃死です。
「畜生、マジで当りかけたんだぞ(泣」
「それを僕を盾に避けたんだけどね・・・」
ライの攻撃の相殺で威力が激減した爆炎弾をカインが受け止め。
何であれ、決戦前にほぼノーダメージでいられた事には違いない。
兵法についてルーと小一刻程話し合いたい気持を抑え込み、彼等は進み
蜘蛛の糸以外何もないの神殿奥にいたのは、ピクリとも動かない
「・・・正真正銘、あれは『蜘蛛女神』だナ」
巨大な蜘蛛に頭部がそのまま腰骨辺りから上の美女。
その身体にヌメッとした泥状のモノが絡み付き
「それなら「アラクニ」が魔獣の聖母という事になるぞ」
「確か「アラクニ」って親人の女神じゃなかったかしらぁ?」
「・・・ライ,アルシア、君達 禁書を読んだね」
無論、ライ,アルシアが禁書の中身を知っている事が解るカインも禁書を読んだ。
この国では創世紀、正神と邪神の戦争があり正神の勝利で戦争は終結、
創世紀は終わり正神の教えで人の世が来たとなっている。
しかし実際の話、略すと正神と負神の戦争があり、その2派とは別に
戦争を望まない温厚な神々が地上の生物達を擁護。
戦争は両陣営多くの犠牲を払い決着がつかないまま終わった。
その時、温厚な神々は人に生きる知恵,技術を授けた。
神々の屍から力を得た人間は邪神となり人々を支配し災いを齎したという。
しかし正神の教えを主とする国では、
真相と思われる内容が記されている書物は禁書として破棄処分。
一部保存のための物も閲覧を禁じられている。
『蜘蛛女神』アラクニは幻想的に美しくも恐ろしい見た目とは違い温厚柔和。
一部書物では人に技術を教え、人の世となった後 地奥深くで眠りについた。。