ライ達が来て久しく出る死者 寄りにもよってその仲間の死に、村が喪に服した。
何故かゴリアテの筋肉友達が主催の葬式、村人の殆どが訪れ弔い帰っていった。
それでもずっと残っているのはライ達と筋肉友達,酒飲友達、そして・・・
会場の隅、壁に座り込み獣皇砕,鬼哭を磨いて戦いに備えるライへ
「今、ちょっといいかい?」
「ああ、いいよ」
やって来たカインに対し、見た目恐れ村人が寄り付かないライの口調は実に静か。
「ゴリさんからの預かり物。」
差し出されたのは1通の手紙。
封を破り、中の紙を出して数回読み・・・再びしまう。
「中身は何が書いてあったんだい?」
フェイ,キリト,エンジェより自分が一番最初に死ぬべきだったとか、その他諸々
「・・・・・・秘密」
瞬間ライの手の中、手紙は魔法で燃え灰となり風と消えた。
「随分と念入りに・・・そんなに凄い事が書いてあったのかい?」
「んや。・・・まあ、愚痴と遺言かな。」
それ以上言うつもりは無いし、必要もない。
それだけで心情を察せられるだけの繋がりがライ達にはあった。
ライが作戦の準備のため会場を出た処にいたのは例のアーチャー娘。
最初っからずっといたのは知っている。だが原因だけに入れないでいたのだろう。
因みに村人には事の真相は言っていない。言えば既に村八分は確実だか意味無い。
「あの・・・」
無視。存在しないかのようにアーチャー娘の目の前を通り過ぎ数歩通り過ぎた所で
あんまり女の子を苛めるもんじゃないぞぉ・・・
いたら言われる声に、全くその気が無くても本当に仕方なく立ち止まり振り返り
「何の用だ?」
責められるものだと思っていたか穏やか過ぎるライの口調に困惑する娘。
「私のせいで・・・怒ってないのですか?」
「俺が、君を怒り恨んだ事で今更怒ってしまった事は全てチャラにはならない。
俺はゴリのためにも俺の成すべき事をしなきゃならないから忙しいんだ。
じゃあな。 ・・・逃げるなよ。」
つまり娘にはこの村から離れる事も自殺も犬死も許さない と。
その意味を理解し、娘は茫然と座り崩れた。
「・・・御主、残酷な事をするナァ。」
「・・・・・・ふぅ、本当。」
一連の遣り取りを見ていたのだろう。ルーとアルシアは半ば呆れ。
「二人は怒っていないのか?」
「ライ見てたらあの娘がかえって可哀想になってきちゃったわぁ」
「あの娘・・・そうもたんゾ? 私の身体を賭けてもいい。」
「ふぅん・・・放っときゃいいさ。」
「ライ、貴方ってぇ本当・・・」「・・・恐ろしいヤツだナ」
何も激情だけが怒りでは無いという事が其処にあった。
ゴリアテの弔い合戦の様相を見せるこの作戦は、
村人は昼間の間に要所要所に例のフェロモンが入った瓶を設置するのみ。
後は、ライとカインがその要所を通り瓶を回収、群の中心まで入り込み
ボス格に瓶を叩き付けて離脱を繰り返すだけ。
それでボス格VS雑魚の構図が出来上がる。
黄昏、村人が送りだすことなく
「御前達、気をつけてナ」
「これ、匂いを消してくれるフェロモン。使ってねぇ」
「んじゃ、行ってくる。」
「デートの時間までに帰ってこないとね」
「「「をいをい(汗」」」
アッサリしているのは元々まったく死ぬ気がないから。
このために用意した板金強化レザーアーマーに
ライは獣皇砕,鬼哭、カインは愛用のハルバードを携え逆の方向へと疾駆した。
まずは瓶を守りつつ群を抜けボス格を探し出し辿り付かなければならない。
辿り付いたら付いたで魔獣達の攻撃を回避しつつボス格へ瓶を投擲。
そして効果を確認した上でボス格と雑魚の乱戦から離脱する。
それを幾度と繰り返し
暁
「お〜〜〜、御帰り〜〜〜」
「御帰りなさい、二人とも」
ずっと其処で待っていたのだろう。アルシアと寝不足でフラフラのルーが、
刃毀れ皹が入った得物を手に修羅二人を出迎えた。
身軽に返血塗れでも目立った外傷無く
アーマーを着ていないのは途中でもう用を成さなく捨てたから。
「疲れたっ!! あ〜〜〜」
「眠いね。本当、お疲れだよ。」
二人共々半ば眼を閉じ全身脱力、疲れて果て眠いらしい。
まあ徹夜で死闘を繰り広げ其の程度で済めば対したモノなのだが。
そして、物陰から出迎えるもう一人。その処へライは行き、
「一応、俺のやる事はやった。暫く留守にする、以上」
投げ捨てる様に言い放ち、旅に備え休息ため家に。
薄情だと自覚しているが後は彼女が如何しようとしったこっちゃない。
例えその一言で彼女が救われようと意に関する事ではなく
血塗れ汚れたまま寝床に倒れ、深い眠りへ・・・
直後調査の結果、魔獣全体総数の大幅減少を確認。ボス格は生残っていたが。
それでも十二分に時間を稼げた事には変わりない。
そしてライの武器探しの旅の出発の日、見送りに着たのは仲間三人と村長と・・・
「もう行かれるのですか?ゴリ殿が死なれてまだ間もないというのに・・・」
「ゴリの死で歯車を回してしまいましたからね、これを無駄にしたら
それこそゴリに怒られる。 もう、時間との戦いですよ。」
着替えと路銀の僅かな荷物を携え棍をもったライは苦笑しながら応える。
「・・・お強いですな、ライ殿は。」
「どうかな。 意外とこのまま逃げるかもしれませんよ?」
「その時は私の見る眼がなかったと言う事ですな(笑」
「・・・(ポリポリポリ)。 ま〜〜大丈夫なんじゃないんですか?
んじゃ、4ヶ月程ちょっくら行って来ます。」
後は木の上、枝の茂みに隠れ見ているアーチャー娘を一瞥しライは出発した。