「をらっ!!」
どすっ!!
突然現れた男にもはや取り巻きの野盗は全滅。
「い、いけっ下僕どもっ!!」
デブ男の命令に襲い掛かる俗霊魔達。しかし、
「雑魚がぁっ!!!」
闘気魔気纏う棍,拳,蹴りにあっと言う間に俗霊魔達は全滅霧散。
「なあっ!!?」
既に結界は解除されていた。魔法を使わせる隙も与えずデブ男に詰寄り
「をい貴様、ルーは何処へ行った?」
「ル、ルゥ?」
「貴様らが連れ去った女の子だっ!!」
「そ、それは・・・」
デブ男は大人しくルーの処へ連れて行き
「・・・をい」
「ひゃいっ!!?」
空中で串刺しのルーを見た男からとてつもない怒気が
「・・・そこから絶対動くな」
コクコクコクコクコクコク
必死に頭を縦に振るデブ男。
男はルーに近づき、対処に困りうろたえ
「ルー?」
「さ、さっさと助けろっ」
力なく俯いていた顔を上げ強気な発言に安堵。しかし助けろと言われても・・・
「い、いや、助けろと言われても・・・結界は解除」
「魔法が、使えん、のだ、バカ」
「・・・・・・どうすればいい?」
「腕を解いて、頭を貸せ」
言われた通り後ろでを解放してから前に回り、そのライの頭に抱き付くルー
「!!?」
娘のいい香りが鼻腔に充満し、顔にシットリと汗で湿った肌が押し付けられる。
「よ・・し、そのまま、太腿をもって、引き抜け」
言われたまま内側からルーの太腿を抱え持ち、
この態勢はまるで駅弁でルーを貫くような錯覚を覚えさせられるが、
ゆっくりと上へ引き上げ
ずっ、ずっ、ずっ、ずっ、
「んっ・・んっ・・んんっ」
ルーの中から引き出されていく淫槍は愛液で濡れ
耳元に吹き付けられる息と押し殺した悩ましい嬌声。
これは遅れた罰か役得か。
ツルっ ゴリッ
「んあっ!!? ば、馬鹿者っしっかり持たんかっ」
片手を滑らせてしまった。そのせいで・・・
今度はちゃんと、少し肌に指が食い込む程度に掴み、
「何か、行けない事をしている気にさせられるな・・・」
そうしているうちにルーから淫槍は完全に抜け、地に立つ。
一方デブ男はルーの痴態に見惚け、未だ其処にいた。
「さっきはよくもやってくれたな(怒)」
裸,秘裂開きっぱなしの状態で仁王立ち、凄まれても全然怖くないと思う。
「漆黒の魔王を騙り、挙句私を、私のモノを弄くってくれおって」
「えっ!!? あっ・・・(ガタガタブルブル)」
ルーの身体を取り巻く魔力の燐光にルーが何者か悟ったらしい。
「その罪、死してなお余りある。 取り敢えず、死ねっ!!!」
空に生まれる雷撃槍。それが腰を抜かしたデブ男を貫こうとした瞬間
「っ!!!」
「な、何をする馬鹿者っ!!」
目前、ライの右手がソレを止めた。
「気持は解るが、ルーにコレを殺させる訳にはいかない。」
「訳解らん事いっとらんでその手をはなせ(怒」
雷撃槍にライの手が焼け、身体へ漏電する。
身体を張ってまで悪党の命を助けようとするライの心理が解らない。
「死なせるなんて生温いと言えば解るか。こいつは生きて罪を償ってもらう」
「・・・甘いな。ふんっ」
ルーの合図に散る雷撃槍。
「コイツの魔法を永遠に封じることは出来るか?」
「・・・簡単だ」
「ん、その後は村人に任せよう」
処理を済ませ、ルーの身形を程々に整え、
「今日はこれで魔法は打ち留めだ。だから屋敷まで背負え。」
「ふぅ、ヘイヘイ」
背を向けしゃがみ、差し出した背と両手はボロボロ。
「・・・オ前、如何やって城に入った?」
「? 時間が勿体無かったからな、ロッククライミングした。」
「それで何で背中までボロボロになる?」
「ギリギリで見付ったからな、おかげで攻撃総喰いだ。・・・如何した、はやく乗れよ。」
「・・・御主、そのままじっとしてろ」
ルーは魔杖を向け、魔法発動。 魔光にライの傷と体力が癒えていく。
「???」
「これで・・・本当に打ち止めだ」
カランと魔杖が床に転がる音と共に、背中に凭れ掛かる幼女の身体。
見ればルーは気を失い・・・本当に打ち止めとはこういう意味。
ライは眠るルーを背負い、一路仲間の元へ。
夜、屋敷のルーの寝室で
コンコンコン
「ん、開いとるぞ。」
訪問者はライ。迎えるはベットで養生するルー。
今や屋敷内のゴーレムはライの指示にも従うようルーは設定した。
だからこそココまであっさり辿り付けた。
「ん、実は明日出発しようと思う」
「早いナ。昨日の今日だぞ?」
「俺のせいで髪切らせて・・・・・・。 疫病神だからな、俺は」
「・・・ん、解った。 ワザワザこんな時間にそんな事を言いにに来た訳ではあるまい?」
「ああ。だから詫びがてら髪、整えさせてくれないか?」
「髪? 御主が?」
「これでもガキ達の髪切ってやっていたからな、
プロとまでいかなくてもそれなりに可愛くは出来る・・・と思う」
単に数日前にあった人間なら無抵抗に己を刃に曝す真似など出来ない。
しかし、ライは己の身を傷つけてまでして己を見せている。
この男の言葉に偽りはない。もしあったとしても見れば解る。だから
「・・・ん、じゃあ頼もうかナ」
ライはルーを座らせ首に巻付け散髪を開始。
二人の間に無言の時が流れる。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
ルーが横目で見ると、そこには真剣で楽しいそう 優しさに溢れた男の顔。
どんな態度をとっていようとこの本当の優しさが常に垣間見えたから信用したかもしれない。
人に触ってもらう事がこんなに心地好く感じたのは何年ぶりだろうか。
子が親に髪を切ってもらうような安らぎにルーは眠りに誘われ・・・
トントン
「出来たぞ。」
「んぁ? あ、ああ。」
「ほい、鏡。 どうだ?」
其処に映った顔は、本当に見た目相応の可愛らしい幼女の顔。
「・・・・・・(驚) ふっ、ははははははは」
「何か失敗したか?」
「ふふふ、いや、気にするナ。うん、イイ。イイぞ」
己の美貌(?)は自覚していたが、まさかあそこまで可愛らしい顔が出来たとは。
それを引き出したのは出会ったばかりのコノ男。コレを笑わずしてなんとする?
「気に入ってもらって良かったよ。 んじゃ、お休み」
一通り片付けを済ませたライは行ってしまった。
・・・・・・・・・・
「さて、如何ーしたものかナ」
「我ガ言エル事ハ、アノ男ガ「力」故 生物ノミナラズ
神トスラ戦ワナケレバナラナイトイウコト」
「神程度、我は「漆黒の魔王」にして「沈黙の魔女」。
そしてアノ男は「戦龍神」を宿す者。他にも色々揃っておるようだしナ
名前負けはしとらん!!」
「斯クモ「力」ハ集ウ・・・カ。」
翌日ライ一行はルーに見送られ出発した。
しかし、村を通り過ぎようとした時、待っていたのは
「あ、アンタ、高額賞金首ライ=ディステイヤーなんだってな」
武装した全村人。
「ミンナ、先行っててくれ。」
素直に従う一同。ライが一般人如きやられるとは思っていないから。
「あ、あんたイイ人だろ。村のため大人しく捕まってくれ」
「・・・馬鹿いうな。何故俺がそんな事をする義理がある?
そもそも、なんで俺一人残ったか解るか?」
「!!?」
「俺が悪党だからさ」
前に出した手。それをベキベキと鳴らしつつ拳を作る。
そして一方的な殺戮が始った・・・
・・・男女子供大人関係なく築かれる死々累々の山。それでも死者一人出していない。
誰一人殺さず痛めつける事を殺戮というかは別として。
「お前等が手におえなかった偽者の漆黒の魔王を倒した俺を如何にか出来ると思ったか」
応えるのは呻き声のみ。いや
「思ったんだろ?」
「!!?」
答えたのは空から降ってきた魔導師格好のルー。 そのままストンと着地し、村人に向い
「オ前達、この「沈黙の魔女」すら一目置くライ=ディステイヤーを狙うとは
身のほどを知れっ!!」
村人に走る動揺。村人にとって少なくと「沈黙の魔女」は味方だから。
でも、目の前にいる幼女が「沈黙の魔女」という確証は何処にもない。
だが、ルーが魔杖を地面を突いた瞬間広がる立体魔方陣。そして
「『流星砕』」
ルーの求めに応じて空に生まれる巨大な火球。
それが吸い込まれるように「漆黒の魔王」の城に落ちていき、
爆発轟音と共に消滅する「漆黒の魔王」の城一帯。
村人が我に返った時、其処に「沈黙の魔女」とライ=ディステイヤーの姿はなかった・・・