∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE01 ■
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・・・・・・
姉妹が抱きしめあってどれくらい立ったか。

「・・・・・・ねえ、フェイちゃん」

「なぁーに、エンジぇ」

「私、もう、我慢できない。フェイちゃんを ぐちゃぐちゃにしたい。喰べてしまいたい。」

「え、エンジェっ!!?」

フェイがその異様さに見上げたエンジェの表情が、まるで肉を目の前にした野獣のように。

そして、逃げられないよう凄まじい力で抱きしめてきた。

さっきは確かに本物だった。 ということは、何かに憑り付かれたか、操られているか。

しかし何故、自分より精神防御の高いエンジェが先に?

「あん、フェイちゃんのお尻ヤワラかぁ〜い。凄く甘いそぉ〜〜」

ぐいっ、もみ、もみもみ、グニグニグニグニ・・・

エンジェの手がフェイのスカートのパンティの中に潜り込み、

パンティを食い込ませながら淫湿に捏ね繰り回す。

「正気に戻って、えんじぇ。貴女はそんな事をする子じゃないでしょ? あっっ、そこは・・い、いやっ!!!」

どんっ!!!

指を自分の中にすべりこまされ、フェイは思わずおもいっきりエンジェを突飛ばしてしまった。

エンジェが姉,フェイが妹のように体格差はあるが、

それでもフェイは身体が資本だけあってそれなりに力がある。その身体に似合わず。

そして、エンジェが起き上がるまでの隙を取って、距離を取り徒手空拳で構える。

残念ながら得物はエンジェのスカートの中、脚に括り付けられてある。不意にフェイの中に沸く疑問。

・・・そういえば、さっき抱締められていた時、その硬質感はなかったような気が。

「フェイちゃん、私のお願い聞いてくれナイノ? タッタフタリダケノニクシンナノニ」

エンジェの声質が機械的なモノへと変化していくのと同時にその姿も変化していく。

段々姿が荒くなり、ポリゴン,結晶化し ついには直方体,立方体,菱面体で構成されたクリスタルの化物に。

その悪夢のような光景にフェイの心は痛む。

「エンジェ・・・・・・貴女の敵は私が討ってあげるっ!!」

ライ直伝、打撃局部魔法強化で格闘戦を速攻で仕掛ける。しかし、

ドスドスッベキッドスッベキッドカッベキッドカドスッベキッドカッベキッドカドカッドスッ


ドスッベキッドカッベキッドカドカッドスッドスドスッベキッドスッベキッドカッベキッドカ

フェイの瞬撃が一瞬の間をおき反射、それがそのままフェイに避ける間も無くヒット。

吹っ飛ばされ、受身も取れず壁に叩き付けられた少女はそのまま床に崩れ落ちた。

「・・・あぅぅ・・・・・そ、そんな・・・」

自分の攻撃の威力を身を持って体験してしまい身動きが取れないフェイへ、音も無く近づくクリスタル化物。

指の無い手(?)でフェイの両手首を持ち空にぶら下げ、さらに止めとばかりに

ズドドドドドドッ!!!!

その胸(多分)から打ち出される魔法弾に壁ごと打ちぬかれ吹っ飛ばされる少女。

「・・・あっ・・・あぅ・・・うああ・・・」

そのダメージのせいかフェイは、痛みは感じなくとも思う様に身体が動かない。

何のつもりか、その仰向けに倒れ煤けたフェイに圧し掛かるクリスタル化物

「何を・・・する・・つもり・・?」

無論、クリスタル化物は答えない。答えられないかもしれない。

その回答かのように平面な顔面部に映し出される下着に包まれた若々しい女性の局部。

「???」

当然、フェイには何のことだかさっぱり分からない。周りを見回し・・・、

頭を起こし自分の股を見て、その映像が何を意味するか始めて理解した。

クリスタル化物の股間から伸びる長く角張った男根モドキ。つまりそこからの映像。

犯される自分の見せてやるという厭らしい悪夢のような計らい。

「い・・やぁ・・・」

ビリッ

フェイの力無き抵抗も意味無く、棒が引掛り破られるのパンティ。

さらされる、殆どまったく使われたことの無いフェイの秘裂。若々しく毛が薄い様相がフェイの恥辱を煽る。

フェイの両足首を掴みまんぐり返し、ほんの僅かに開き水々しい桃色の内側が見える花弁が震えた。そして

ずんっ!!!

「ひあっ!! あ・・あ・・・」」

一気に少女の身体を貫く冷たい無機質のモノ。映し出されるフェイの内側、ピンク色の柔肉,ヒダヒダ。

フェイはその生々しい光景から目を離すことができない。死ぬほど嫌でも。まるで悪夢のように。

しかし、嘘の様に痛みはないが確かにソコにモノの感触はあり嫌ほど圧迫感がある。

突き進む男根マガイ。映し出される柔肉の中の肉輪と中央の小穴。

・・モノの先が子宮口に辿り着いてしまった。

だか、クリスタル化物はフェイの太股を持ち、腰をフェイの股間に押し付けるのをやめようとしない。

「ま、まさか!!? ・・・許して・・・もう、やめてよぅ。」

泣き始めたフェイの懇願にも関わらず男根マガイ先端はさらに押し付けられる。

メリメリミチミチと赤く充血して引き伸ばされていく子宮口。

「いや・・・いやぁ・・・いやああぁぁっ、ヒギャッ!!???」

メリメリゴリッズンっ!!!

ついに子宮口貫通。あっという間に奥底まで到達し、映像は濡れたまっ平らピンク色の子宮壁を移すだけ。

腰を持ち上げられたフェイは肌蹴たメイド服から覗くお腹が少し凸っているのに快感も痛みすら感じない。

ただソコにモノがあるという存在感だけが主張される。

ここまで来てもまだ陵辱は終わらない。

不意に、フェイの内臓を映し出すクリスタル化物の顔面部映像がボコボコと歪み始める

クリスタル化物の腰とフェイの股間がぴったりとくっ付き、ピタリとも動いていないのに。

そして、

ズ、カココココココココココココッ

「ひっ、ひああああああああああ!!!!!」

ボコ、ボコボコボコボコボコボコボコボコボコ

フェイのお腹から硬質のモノがぶつかる音が響くのと共にボコボコと蠢き膨らみ始める。

クリスタル化物の射精。

モノの先からフェイの胎内に打ち出されているのは精液ではなく胡桃サイズのクリスタル種。

「い、い、いやあああぁぁぁっ、 ・・・はぅ〜、はぅぅ〜〜、はぅぅぅ〜〜〜〜」

その圧迫感から逃げようとするフェイ。しかし、脚をしっかりと固定され逃げることもかなわず、

そのうち、弾けないのが不思議なくらい膨らみきったお腹から伝わる感覚のため身動きが取れなくなった。

「だれか・・・助けてよぅ・・・」

その状態でクリスタル化物が腰を引き、突き出す。

ごり、ガリガリガリガリガリガリィ、がり、ゴリゴリゴリゴリゴリゴリィ

フェイの胎内から全身,四肢まで響く、モノと種が擦り合わされ砕けていきそうな振動が発生。

それが腰骨を震わせ背骨を伝い脳を揺さぶる。

ソレにフェイは今にも死にそうな悲鳴を漏らしながら震えるだけ。

悪夢は終わらない・・・

 

・・・最も起きてほしくない事、悪夢に人々は普通、脅え縮こまる。

しかし、中には憤怒し ぶちキれる者もいる。例えば・・・

異様に静まり返った屋敷の中、その執務室前廊下に倒れたれているライ。

「や・・めろ・・・もう・・やめ・・ろぉぉぉ・・・」

魘され、四肢が呪縛を振り払おうとするかのように震える。

力いっぱい握り締められた拳が狙いを定め

「・・・い・・・いい加減に・・しろおおおおおおおおおおおっ!!!!」

ゴウッッッ!!!

気合一発、ライの怒叫。

それと共に渾身必殺の拳が何も無い空を殴り・・・・・・そしてライは悪夢から覚めた。

「うぅ、気持ち悪りぃ・・・何が?」

俺は寝てたのか? いつの間に。 ・・・やられたぁ!!!

「・・・そ、そんな・・・結婚式?・・・・孕み・・でっ!!???・・・・・・うわぁぁぁぁ」

気づけば、隣で寝ているカインから漏れる壮絶な呻声。

ドズッ

「起きろコラァ、寝ている場合じゃないぞっ!!!」

「うぐっ!!?・・・・・・・そうか、あれは夢なんだ

・・そうだ、僕がそんな計算ミスするはずがない。・・・あははははは」

よっぽど酷い夢を見ていたのか悲壮にやつれた顔で虚ろに笑う。

突然結婚式に引っ張り出され、新婦が孕み腹だったらしい。 確かにカインにとっては至上最悪の悪夢。

「身の無事に浸っている暇はないぞ。やられた。 俺は二人を探す。

カインはターゲットの確保、よろしく。」

本当はその逆でもいいのだが、軟派師カインに女の子達を任せるのはちょっと・・・

別れ際にカインにはライへどうしても一つ聞きたいことがある。

「ライ、君はどんな悪夢をみたんだい?」

「・・・覚えてない。」

なら何故そんなに殺気を発し・・・否、怒りに身を震わせる?

二人を探し走り始めたライは行き成りヒット。その部屋でフェイ&エンジェを見つけた。

「・・・はぅ〜〜、・・・はぅぅ〜〜、・・・た・・すけ・・てぇ・・・(泣)」

「・・・あっ・・・ああっ・・・ひぃぃぃぃ・・・はぐぅぅぅぅ・・・・(悶)」

ベットの上で抱締め絡み合い痙攣し悶えるフェイ&エンジェ。

場所が場所ならじっくりと見物したい所だが・・・今はそんな気分ではないし、そんな場合でもない。

取りあえず複雑に絡み合った二人を、フェイの襟首を掴んで強引に引き摺り離し

「フェイ、起きろぉーーーーーっ!!!」

「はぅ〜〜〜っ、・・・も、もう・・・・うにぃぃ〜〜〜(苦)」

ちょっとやそっと大声で叫んだ程度でフェイは悪夢から覚めそうにない。・・・こうなったら実力行使。

・・・・・・数分後

「よしっ、目ぇー覚めたなっ!!」

「うにぃぃ〜〜、ホッペがジンジンするよぅ。なんでぇ?」

涙目で赤く脹れた頬に両手を沿え訴えるフェイから思わず目をそらし明後日の方向を見る。

「あ〜、今は時間がないし・・・さっさとエンジェを起こしてくれ。」

フェイはライに言われて魘され身悶える妹の異常に、今度こそ意識が覚醒した。

「うにっ!!? えんじぇ?えんじぇぇ!!」

「・・・ひっ・・あっ・・・あっ・・・ひぃぃぃっ・・」

フェイの呼掛けにもかかわらずエンジェは悪夢に魘され身悶えるまま。

それならばとフェイはエンジェを優しく抱擁し目を閉じて直接心に訴える。

「えんじぇ、起きて・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

エンジェがライに邪険にされ落ち込むフェイを抱擁してどれくらいたったか

不意にフェイの抱締める腕の力が強くなり、異様に痙攣し始める肢体。

「え、え、え、えんじぇぇぇぇっ、わた、わたしっ、おナカ、苦しいぃッ!!!」

「フェイちゃん、腕を解いてっ!! でないと様子を診れ、苦っ!!!」

エンジェを逃がさないよう、よりいっそう力が篭るフェイの細腕。 密着するお互いの下腹部。

そして、お互いのメイド服を通して、フェイのお腹にいる何かが暴れエンジェのお腹を叩く。

「あひっ!!? あっひゃっひゃっ、ひぃーーーーっ!!!」

ぷしゃーーーっ!!

「!!!!!!」

エンジェの警戒を他所に、壊れ悶えるフェイの太股の間で、

パンティを引きちぎ粘液を撒き散らしながらフェイの中から出てくる数十本の触手。

「なっ!! あっ痛ぅ!!」

スカートを除け、白いパンストを破り、下着を貫き避けて 

エンジェの 胎内に潜り込んで胎腔を貪り激しくのたくり回り、

細腰・豊尻に絡み付き、腰骨が砕け股関節が抜けそうなほど締め上げる。 一体、何分もつか・・・。

「うっっ、くううぅぅぅ (ギリッ)」

身体が軋み侵食されていく拡張の感触にエンジェは歯を食い縛り耐えた。

事が始まり大して時が経ってもいないのに、

今やエンジェのお腹もフェイのお腹と同じように内の触手によりお互いのお腹を叩き合っている。

・・・余りも不甲斐無い。唯一の肉親、大事な姉を守る事も出来ず

むざむざと敵に嬲られる事しか出来ないなんて。

その瞳から流れる涙は快感,苦痛のためではなく己の無力に対する悔恨のため。

「うわああああぁぁああんっ あんん あっあっああ」

骨抜きにな脚に力を入れようと戦叫を上げたところで、

それは嬌声であり自分が堕ちていく事を自覚させるのみ。

挙句の果てにフェイを押し倒し壊れたフェイの上で共に喘ぐ始末・・・。

「あっあぁ ???」

不意にエンジェの心に沸く違和感

「・・・・・・・・・・・・・」

また何かが聞こえたような気がした。それと共に感じる優しい抱擁感 フェイの。

フェイの心を身近に感じ、目の前の陵辱,フェイが掠れていく。

そしてエンジェは悟った。今さっきまで自分の身に起きていた事が現実でないこと,悪夢であることを。

・・・・・・・・・・・・

エンジェの視界一杯に広がるメイド服胸元の布地、フェイの・・・胸?

「むぅ〜〜、ん〜〜(ジタバタ)」

「あっ、えんじぇ、大丈夫?」

「ふはっ!! うん、大丈夫みたい」

「・・・和んでいる処悪いけど事態は緊急を争う。エンジェ、ちと調べてくれないかい?」

元からいたチン入者に慌てる姉妹。

「は、はい、ちょっと待っていてください。」

エンジェは自分の太股に括り付けてあった法杖と短剣を抜き、短剣をフェイに渡しつつ法杖を構え

『氷・竜・招・来』

法杖の先のクリスタルから生れ出た小氷竜は飛んで壁をすり抜けて行き・・・・・・すぐに戻って来た。

「・・・この辺り一帯,屋敷をすっぽり覆うように強力な結界が張られています。応援を呼ぶ事は出来ません。

それから、この結界の中で起きている・・・起きていられるのは私達守護騎士4人

・・・えっ、なぜカトーさんも? あっ、カトーさんはカインさんが保護されています。」

守護騎士4人ライ,フェイ,エンジェ,カインは元々一騎当千の戦士であるため、それなりに精神抵抗力は高い。

なぜかパンピーのカトーも起きていられる・・・

「・・・ん〜〜? 取敢えず先に合流すっか?」

多々気にかかる事があるが、打つ手が無い今 合流するのが先。そして三人は二人のいる部屋へ。

・・・・・・・・・・・・

「ああっ、会いたかったよマイスイートエンジェルズ」

再開初端、行き成り姉妹二人に抱き付こうとする優男。しかし

「ていっ!!!(ガンッ♪) だからっ、私っ、貴方っ、嫌いてっ、言ってるっ!!!(ゲシゲシゲシ)」

ハンマー状の魔法剣で撃墜。さらに脚蹴りで追い討ち。

「フェイ〜、そいつも貴重な戦力だからほどほどにな〜」

「フェイちゃん・・・か弱くてもいい。もっと御しとやかに育ってほしい(泣)。」

臨戦状態にも関らず、相変わらずな一同。

まあ、異常な状況ではあるが実際周囲に敵の気配が無い以上気負っていても仕方が無いのでコレで正解。

しかし、まともな戦闘をまったく経験したことが無く攻めた事しかない人間にとっては

理解できるものではない。

「き、き、き、貴様らっ、狙われているのが人の命だと思いおってっっ!! ふざけるなっ!!!」

四肢を縄で拘束され高血圧な顔で憤怒するカトー。 

「で、なんでコノおっさんは縛ってあるんだよ、カイン。」

「お、おっさん・・・」

「そうして置かないとウロウロと逃げ回って厄介だからね、コノおっさんは。」

「き、貴様ら若造のくせにワシを誰だと思っているんだっ!!」

「んなこと知るか!!尊敬されたきゃそれだけの事しろってんだよ。

守ってやるから大人しく転がってやがれっ!!」

「うぐっ・・・・・・」

「で、どうする? いっそうの事、強引に結界を破ってみるか?」

「それはちょっと無理みたいです。あの結界は強力過ぎます。

・・・それにもう待つ必要は無いのではないのでしょうか」

近づきつつある幾つもの殺気,気配

「・・・なるほど、団体さんが御着きで。 

俺とフェイが前衛,突っ込む。エンジェ、サポートよろしく。カインはそのオッサンを。」

「「「了解っ!!!」」」

廊下をワラワラと押し寄せてくる 本来表に出てくるはずのない妖魔にライとフェイが突っ込み、

戦闘の火蓋は切って下ろされた。

・・・・・・

決着はあっという間についた。 まあ当然の結果だといえる。

得物を振り回すには不利な室内とはいえ守護騎士×3、

さらにエンジェのサポートは妖魔の動きを封じ、仲間にダメージを負わせない。

カトーは恐怖の余りすでに失神中。

その有利な状況でライ&カインの心に広がる違和感。

「・・・ライ、何か変じゃないかい?」

「お前もそう思うか? 何だろな・・・ 君らは何か感じないか?」

「うにぃ? 私分かんな〜〜い。」

「結界の事を言われているのですか?」

エンジェ&フェイはさっぱりらしい・・・

「「あっ!!!」」

辺り一帯妖魔が飛び散っているのに血の匂いが全くしない。妖魔特有の妖臭もなかった。

その事が一体何をするのか。

「匂いが全くしない事があるのかい?」

「匂い? クンクン、本当に全くしないねぇ。」

「匂い・・・もしかしたら、私達はまだ夢の中に居るかもしれません。 この中の誰かの夢の中に」

「ソレガ分カッタトコロデ、オ前達二打ツ手ハアルマイ?」

不意に床から黒い影が現れエンジェに答え、4人が一瞬で身構える。

「そうでもないさ。御大登場だからな。」

「それに、ココは僕達4人の夢ではないことは確実。 僕達の夢に入っても意味がないからね。

ということは、「夢使い」、君かカトーの夢という事になるね?

目的ではない警護の者にまで悪夢を見せ甚振る趣味の悪い君が、他人を自分の心に入れるはずがない。

結果、・・・ どうだい、僕の推理は?」

「・・・・・・ダカラ如何シタ。オ前達二打ツ手ガナイコトニハ変ワリナイ。」

「そうだねぇ〜。 エンジェ、定時連絡の時間はぁ〜?」

「???」

「え??え??? えっと・・・随分と前に過ぎているはずです。」

一瞬慌てるも、ライの目配せから意図を読み取り答える。

「 増援ガ来タトコロデ結界ガアル。」

「フェイ〜、キリトは結界破りが出来たよなぁ〜?」

「うにっ? 大抵のモノは斬っちゃうんじゃないのかなぁ?」

「・・・・・・マアイイ。今回ハ勝チヲ譲ッテヤル。 ソノ男ガ裏切ッタ理由、ヒントハ横領。」

「そいつぁ随分と親切なこって。」

「ソノ男二離反ノ訳ヲ喋ル勇気ガアルナラ初メカラ裏切リハシナイ。

ヘタレハ私ノ手ヲ汚スマデモナク、監獄デ一生脅エルノガオニアイダ。」

一流の殺し屋だからこそ事情通、完全に仕事を全うするよりも自分の身の安全を優先したらしい。

黒い影が消えるのと同時に一瞬4人を襲う立眩み・・・ そして、次第に屋敷を満たしていく喧騒。

「・・・戻ってきたみたいだな。 ヤツの気が変わる前にサッサとこのオッサンのゲロさせますか。」

「そうだね。僕ももう少しで君達の嘘に騙されるところだったよ。」

「「えへっ。」」

そう、始めっから定時連絡などやっていない。 

しかし、ソウしなければこの中から確実に犠牲者は出ていた。

「あはははは さて・・・、起きろっカトーっ!!!!!」

床に転がったカトーを起こし、軽く頬を撫でてやる。

「うぐっ!!? なっ!! た、助かったのか、ワシは・・・」

「まあ、何とか今回はな。 でも次はない。このままだと確実にあんたは殺される。」

「わ、ワシはまだ死にたくない。頼む、助けてくれぇ(泣)」

「無理っ。」

「そんなにあっさりと・・・」

「要は、あんたに殺す価値がなくなればいい訳だ。 

例えば、あんたの罪をすべてゲロって監獄に入るとかな」

「話すっ、全て話すっ!!」

・・・本当にカトーはへタレだった。 

次から次へと自分のやった罪を喋り・・・よくても一生監獄、もう日の元はあるけないだろう。

しかし、そことを教えてやる義理もない。

・・・・・・・・

フェイ&エンジェは既に事後報告のために戻った。

後はカトーを守護騎士団の白虎まで連行すればこの件は終わるはずだった。

しかし、縄を打ったカトーを連れて裏門を出ようとした所、物陰から少年が飛び出し

「父の仇っ!!!!」

どんっ!!

「???」

「「!!?」」

少年のカトーへの体当たりに一瞬時が止まり・・・崩れ落ちたカトーの鳩尾から生えるナイフの柄

ソコは致命傷。この場に傷の治癒を出来る人間はいない。

「ふふふ、ざまぁミロ。当然の報いだ、この悪党めっ!!」

少年が虫の息のカトーを見下ろし下げ荒む。

ずっと物陰に隠れて機会を伺っていたのかその姿はみすぼらしい。

その少年にライは静かに近づき

ぱんッ!!

「!!?」

ライの平手打ちに少年は牙を向き、その悲しみに満ちた表情にあっけにとられる。

「・・・バカだよお前は。君が手を下すまでもなくこの男は終わりだった。

この男を殺さなくとも・・・君が幸せになれば、十分復讐になんったんだよ。

それを・・・自分の人生を棒に振って・・・」

如何しようもやる瀬無い思い、それを理解した少年の膝が落ちる。まるで魂が抜けたように呆然と。

「ライっ、カトーが何か言っているっ!!」

カインの声に引き締まるライの表情、 顔を近づけその声を聞き取ろうとする。

「・・・わ・・しは・死ぬ・・のか?」

否定はしない。 脅え窶れ疲れ果てていた顔は今や出血で青白いながらも穏やか。

「死ぬ前に答えろ。貴様があの大臣に離反した理由は?あいつは何をしようとしていた?」

「・・・人の・・人の手による・・神の創造・・・数多の命を喰合せ・・純化・・

ど、どんな・・大義名分があろうと・・・民を・・民を・・殺してはならん・・・・・・」

・・・・・・・・

彼らはこの戦いで勝利することが出来なかった。しかし、まだこの事件は終わっていない。

いずれ彼らは巻き込まれることとなる その運命を大きく歪めてしまう出来事に・・・

 

窓が閉ざされた暗い部屋、豪華な机の前に座る一人の男がいた。

そこへ音もなくドアが開き入る、旧知の訪問者 王都守護騎士団団長オーディス。

「ひさしぶりぶりだな、ロキニード。 大臣が一人・・・我が友よ。」

昔、彼らは仲間だった。 しかし今は・・・

「・・・・・・いまさら何の用だ?」

「うちの若い者達が貴様の調査に取り掛かった。・・・何故、仲間を殺したのだ?」

「仲間? 仲間とは対等であって初めてそういうものだ。 

嘗ての私と貴様のように、貴様と貴様の部下達のようにな・・・

使えない道具は邪魔にしかならない。臆病者達は死すべし。それが何か?」

「変わったな・・・昔はそのように人を見ることはなかったが。 人の手で神を創造して何とする。

過ぎた力は禍を呼び、新たな争いの種にしかからんぞ。 民を犠牲にするつもりか?」

「今の世、民が平等であるために絶対的な力,神が必要なのだ。 数多の命を犠牲にしようと。」

二人の目指すところは差して変わらない。

ただ、時間が掛かろうと犠牲を少なく確実に進むか、犠牲を省みず事を急ぐか・・・

「本末転倒だな。 貴様の野望は必ず私が・・・いや、私の勇者達が食い止める」

「ふっ、野望ではない。計画だ。 嘗ての友としていい事を教えよう。

この計画はもう既に私の手を離れた。降臨まで誰にも止められない。貴様達にも、老人達にも・・・」

「・・・さらばだ、ロキニード。二度と貴様と出会うことはないだろう。」

踵を返しオーディスは出て行った。

「貴様に貴様の正義があるように私には私の信念がある。・・・私は待てないのだ、若者が育つのを。

だから己の正義を証明したいのなら全身全霊、命を掛けて私が創った神を倒すがいい。」

しかし、ロキニードは聞き手もいないことにも気づかず喋り続ける。

まるで尽きかける蝋燭の炎がよく燃えるかのように・・・

・・・・

王都のある屋敷の一室、円卓に揃う老人達。彼らはこの国のかつて権力者達。

そして表向きはともかく実際の処、今でもそれはかわらない。

「ついにアノ男が死んだ。」

「ほう!! 以外に粘ったな・・・流石、流石」

「しかし哀れなものだ。我々に踊らされてるとも知らずに・・・その事を知らず死ねた事は幸せだな。」

「して、例の計画は?」

「ふむ、着々に進行中だ。 餌とする人は腐るほどいる。足りなくなれはまた狩らせればいい。」

「そして、神の力,不老不死を我等が手に」

血迷った老人達は生を求め他人を貪る・・・醜悪までに・・・・・・


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■ EPISODE01 ■

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