∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE01 ■
----------------------------------------------------------------------------------------------------


入隊程無くしてメキメキと頭角を現し始めたライ。

その事はライが力量ある人であることを証明するのと同時に、

皮肉にも王都が見掛けほど平和でなく荒廃し始めている証明でしかなかった。

当然暫くすれば、実戦紛いの訓練を通してメンバーの特性を理解する。

キリトは純剣士だが、その刃は魔法,結界すらを切り裂き、

気合の一撃は並の板金鎧すら真っ二つの『真斬闘刃』

ゴリアテもまた魔法を使えない純戦士。

並の刃では貫けない筋肉から繰り出される戦斧の一撃は鎧を紙の様に切り裂き、

素手の一撃ですら鎧を大きく凹ませる『金剛豪力』

フェイは足りない剛力を魔法で補う魔法剣士。

連射や爆裂の「魔法弾」と 「数倍速」で一気に加速し居合を詰め「魔法剣」で物質を斬ることは勿論、

障害となる物質を通過し生体にダメージを与える事すら可能な『戦闘妖精』

エンジェは争いを嫌い、慈しみ癒す魔導士。

それゆえに支援中心の行動を好んで行う『慰撫天使』

だからこそ、それを攻撃に転じる『威武』となる時、その攻撃力は計り知れない。

そして、体術中心の剣技を能力増加系魔法で上乗せするライも仲間の技を見習、

己の腕を向上させ成長していく。

 

ある夜の事、悪党のアジトに響き渡る剣戟と怒声。

悪党数人がその通路から逃げ出したことに気づいたのは、出動した騎士,兵達の中でライだけであった。

仲間を呼ぶ暇もなく一人追う。

「待てぇゴラァー!!!」

・・・悪事に半切れ状態の騎士に追っ掛けられ、待てと言われて待つ悪党はいない。

ライの遥か前方で急ブレーキを掛ける悪党達。ある程度追い付きライもその理由を理解した。

後光の中に立つ、ハルバードを持った騎士。

「・・・キザな奴」

前門の虎、後門の狼状態にうろたえる悪党達。

「最近売り出し中のライ君、もっと他に言う事があるんじゃないのかい?

例えば、貴様達悪党を成敗する、とか」

「うわぁ、ハズっ!!! それにな、売り出し出来ないほうが世の中、平和でいいんだけどね・・・」

「・・・冷静に突っ込まないで欲しいな。」

「・・・で、如何する悪党ドモ? 大人しくお縄に付くか、俺達にノされて監獄で意識を取り戻すか、

それとも俺達を倒して逃げる・・・とか(笑)?」

二人の即興掛合い漫才から二人が対して強くないと判断したのか、

三番目の提案を選択し二手に分れる悪党達。

「そうこなくっちゃっ! いくぞぉぁぁぁっっ!!!」

得物を抜き襲い来る悪党に飛び込むライ。そして瞬殺。 

ハルバードの騎士を見ると既に悪党は地に伏していた。

「ほぅ、凄いね・・・生かしてあるか?」

「今、君は殺せとは言わなかったからね。御希望通り、死なない程度に・・・」

ハルバードの石突でこつかれた悪党の一人が悲鳴を漏らす。

「上出来、上出来。・・・で、どちらさん?」

「人の名前を尋ねる時は、自分の名前を名乗ってからするものだと思わないかい?」

「もう知ってるやん。」

「・・・騎士カイン=クラウス。所属は白虎さ。」

「?? 元々この件はそちら(白虎)が持込んだものじゃなかったか? 

・・・カイン君とやら、突入の時にいなかったよねぇ〜〜。」

「ふっ、こう言う事もあろうかとココで待機していたのさ。」

「早い話がサボっていた訳ね。

そ〜言や、白虎には美味しい所だけをカッ攫う優男がいるって噂が在ったが・・・君か。」

「要領がいいということさ。」

「まあイイや。結果オーライと言うことで・・・」

「・・・それって、僕の台詞なんじゃないのかなぁ(汗)?」

こうして運命的な(?)出会いをした二人だった。

 

気持ち良い晴天の朝、本日ライは非番だ。 

因みに、この男、休日は一日中グ〜タラすることを渇望している。しかし・・・

バンッ

「らいー、今日非番でしょぉー。一緒に遊びにいこーヨー」

朝っぱらからフェイ奇襲。 しかし、フェイ以外其処に音を出すものはない。

フェイはコンモリ膨らんだベットに近づき、毛布を奪う。そこには丸まった部屋の主が。

「ねえ、遊ぼぉーー。」

「・・・やだ。今日はグ〜タラするから遊ばない。 サヨナラ。」

問答無用で無愛想にフェイを一瞥し、背を向ける。

「サヨナラじゃなくてぇー、休日にグ〜タラしてるとダメ親父になっちゃうよぉー」

「ダメ親父になって結構。むしろそうなりたい。だから邪魔するな。」

「私、そんなのヤーダー。だから、そうならないように遊ぼぉーヨぉー」

ユサユサユサユサユサユサ、ペシッ!!

肩を掴み揺する少女を無慈悲に叩く男の手・・・

「・・・らいのブァカァーーーーーーーッ!!!!」

フェイの怒声に建物が震え・・・そして小さな台風は去って行った。

・・・・・・・・・

どれくらいたったか静寂が戻った部屋の中、ライが起き上がる。

留めで意識が完全に覚醒してしまったためもう眠れない。

「・・・あいつは、身体を休めるのも戦士の仕事って聞いた事ナイのかい。」

愚痴って見た処で元凶は既にもう居ない。

・・・・・・・・・・・・・

フェイが部屋を飛び出し数分後、真っ先に飛び込んだのは愛妹エンジェのところ

ズンズンズンズン、バンッ

「ねえねえ、聞いてよ、えんじぇ。らいったらねェ・・・・・・(愚痴グチぐち愚痴グチぐち)」

突然のフェイの襲来(というか、怒足音から来る事は分っていたが)にも驚かず、

お茶を入れ、啜り・・・適当に相槌を打ち、

フェイの怒声は廊下まで響いているんだろうな〜 と思いつつエンジェは現実逃避。

・・・悠久のような刹那の時間が流れ。

コンコンコン

「フェイいるかい?」

ノックとその声にフェイは扉に跳び付き、来訪者に対して噛み付くように

「今日はグ〜タラするんじゃなかったのっ(怒)!!!」

「お前のせいで、目ぇ〜覚めたんだよっ(怒)!!!」

「じゃっ、遊ぼーーっ(嬉)!!」

「ヤ・ダッ!!!」

「ぶぅーーー」

「・・・戦闘訓練程度なら付き合ってやってもいいぞ」

「じゃっ、スグ行こぉーーー(喜)!!!」

「二人とも行ってらしゃ〜〜〜い(呆)」

出て行く二人を目を線にして見送るエンジェ。

二人の遣り取りを見ていると世の中平和だと感じるのは気のせいだろうか、と一人お茶を啜る。

・・・・・・・・・・・・・

純粋に近接格闘戦に関してはライの方がはるかにに腕が上。

自慢の超高速魔法剣斬撃も実体の有る短剣部分で受け防ぐか回避されカウンターをいただくため、

フェイは最近、対ライ戦では距離と取り魔法弾中心の戦法を取る。 しかし

「当れっ!、っ!、っ!、っ!、っ!、っ!、っ!」

気合一発フェイの左手掌から放たれる魔法弾の連射をライは弾道を見切り、

当りそうで当らない少ないモーションで避ける。

「うにゅ〜〜、それならっ!!!」

かざした左手掌の中で急速に育ち、密度を上げていく魔法弾の爆裂タイプ。

確かにコレなら足元に当てられ爆発されてしまうと避けようがない。しかし、コレには致命的な弱点があった。

ライは足元の小さい礫を拾い、それをまだ撃ち出されていないフェイの左手掌の魔法弾向けて一投。

「っ!!」

・・トスッ! ボンッ!!!!

「うきゃっ!!!??」

魔法弾と飛礫が接触するのと同時に起こる爆発。

そう、この爆裂タイプは接触すると爆発する様に組まれている。

煤塗れ放心状態で尻餅を付いたフェイに近づきデコピン。

「はい、俺の勝ち。 時限式の爆裂も組み合わせてみな?相手がヤリにくくなるから。

本当は溜なしで連射と爆裂をいっしょに出来ればベストなんだけどな・・・」

「うにぃ〜〜、分った。がんばってみる。」

こうしてライは、敢えて相手が勝てそうで勝てない戦法を取り、

戦闘後相手に考えて感じた事を話す稀有な存在であるためよくミンナから訓練を申し込まれる。

・・・特にフェイ。 ・・・フェイはライと一緒にいられればなんでもいいので結果的に。

パンパンパン

「うむ、見事な闘いっぷりだったぞライ。 若い頃の私を彷彿とさせる。

・・・何だ、その嫌そうな表情は?」

一区切りついたところで拍手しながら乱入するオーディス。

・・・つか、このオヤジ、格好付けでアツイ、キショイ、キモイ。

「い〜え、何でもないっすよ〜。 で、ワザワザこんなところまで何のようですか〜?」

「むぅ、随分とやる気が無いようだな(汗)。

ライ、非番の処悪いが今から要人警護の任に着いてもらいたい。対象者はある議員貴族だ。

殺すと脅迫状が届いたので、我々に警護して欲しいとの依頼がきた。」

王国の政治は象徴の王の元、

十数人の大臣(議員貴族から選出された)と一定数の貴族が運営する議会によって政られている。

議会を構成する議員貴族は世襲制であるため、ろくな人材が居らず、

みみちい派閥争いを繰り返しているのが現状。

そして最近ある派閥の議員貴族が相次いで、人の技とは思えない方法で暗殺される事件が起きていた。

「ど〜せ、いつもの派閥争いじゃないんですか? ほっといてアホ同士潰し合わせりゃいいんですよ。」

「・・・そうゆう事は思っていても口に出すものではない。それが本当のことであってもな。

詳細を説明しよう。身形を整え執務室へ来たまえ。」

「へいへい・・・。 つ〜事だからまた今度な。」

「うん、ま〜たね〜♪」

・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ〜、・・・部屋に入るな,女といる時は近づくなで、どうやって護衛しろっていうんよっ。」

「だから玄武の連中はもうココにいないのさ。」

その屋敷の執務室前廊下、ライの愚痴に律儀に突っ込んでくれるカイン。

護衛対象の屋敷についたライを待っていたのは、その貴族が個人的に雇った傭兵数人と

引き上げようとしていた前任の騎士達。

前任の騎士達はライに諸注意もろもろを済ませサッサと帰ってしまった。

で、特に異常が無い以上突っ立っている以外する事は無いわけで、相棒が知り合いとなれば

自ずと地が出て暇の余り雑談の花が咲くのは一日もあれば十分だった。

「・・・だぁ〜〜〜やってやんねぇ!!! ・・・で、白虎のカイン君、なぜ貴方はここにいるんですか〜〜?」

「まあね、コレはサボるのに丁度良いし・・・可愛いメイドも結構いるしね。」

「まさかもう手ぇー出したんじゃないだろうなぁ。」

「勿論。後、近所の娘達も数人・・・」

「・・・お前なぁ、冗談抜きで後ろから刺されるぞ?」

「大丈夫さ、もう何度かされたことあるから。」

ヲイ

「・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。 俺、こんな受身の任務モウやだ。」

ライは壁に凭れ大剣を抱締め座り込んで俯き、カインは立ったまま壁に凭れ相槌を打つ。

こんな状態では二人とも一介の傭兵と大差ない。・・・まあ、やる気が抜けてしまうので仕方が無いが。

そんな時、二人に何者かが近づいてきた。

ソレにカインはビシッっとリアル化し、ライはその感じる二つの気配は身内なので相変わらずいじけたまま。

「お疲れ〜、食事持ってきたよ〜♪」

「お疲れ様です。」

ライが顔を上げると、そこにいたのは少女趣味なメイド服姿のフェリア姉妹、

ロングスカートのエンジェと超ミニフレアスカートのフェイ。

・・・エンジェのスカート短過ぎ。太腿の付根ギリギリまで白ハイソックスに包まれた脚の根元が見えそう。

つか、今のしゃがんだ位置からの視点だと十二分、可愛いパンティ全部見えてます。

「・・・・・・・・・・・・・・・(目が点、硬直)」

ガバァっ!!!

「僕は君達に出会うため生れてきたのかも知れない。」

「きゃぁっ!!!??」 「うにゅにゅにゅっ!!!??」

一瞬の間の後、行き成り問答無用で二人を抱擁するカイン。 ソレに我に返るライ。

「出会い頭に何やってるんだ手前はっ!!!」

ゲシッッ!! ダキッ、ギュッ!!! スリスリスリスリスリ

「ふにぃ〜〜〜〜〜〜(照照)」

カインをド衝き倒して二人を解放し、すかさずフェイを抱擁。

自分がフェイのホッペに頬ズリしている事すら気づいてない動揺・激情ぷり。

そのまま心地好い感触に目を細め、恍惚状態に突入。そのまま押し倒し、喰ベてしまいそうな勢いで頬ズリ

あ〜、ホッペタ柔らケェ〜 肌スゲェすべすべダぁ〜 フェイの身体、細くて柔らけぇよぉ〜

ああぁ、香りが、香りがっ、香りがああああぁぁぁ

スリスリスリスリスリスリスリスリスリスリ

「ぁぅ〜〜〜〜〜〜〜(照照照)」

「あ、あの、ライさん(汗)?」

「君は・・・見掛けに寄らず大胆な事をするね(汗)。」

「うにゅぅ〜〜〜駄目だよぅ〜〜ミンナが見てるよぅ〜〜(照照照照)」

「ヌヲォ!!!?? お、俺は一体? あああああ、フェイ、ごめん、ごめん(オロオロ)。」

「うに・・・・・(コクコク)」

照れて俯きモジッて(ライからは)泣いている様に見えるフェイにライはひたすら平謝り。その一方で

ぐわしっ!!!

「二人はナカナカ好い雰囲気だから、僕達も向うで愛を語り合おうか。」

「えっ? えっ?? ええっ???」

うろたえるエンジェの手をしっかりと握り締め引張り、物陰に連れて行こうとするカイン。

それに気づいたフェイの目が鋭く光り。

「ていっ!!!(ガンッ♪) 私、貴方、嫌いっ!!!(ゲシゲシゲシ)」

「な、何故、僕だけ・・・」

一瞬で追い付くとお盆(縦)でカインの頭を殴り、さらに倒れたところで踏み付け。

その光景に我に返ったライはカインに対し合掌。エンジェは事態に付いて行けずうろたえたまま。

そして、フェイに踏み付けられ頭からダクダクと血を流すカインの表情には仄かに幸せが漂っていた・・・。

・・・・・・・

「(モグモグモグ、ゴックン)ゴツォーサン。で、二人は単に弁当を届けに来たわけじゃないんだろ?」

ライは警護を交代がてら休憩室で二人の持って来た弁当を一人速攻で平らげ、質問。

因みにカインは手出したメイド(多分)の処でフェイにやられた傷の治療中・・・のはず。

「んぅん〜〜ん、んんっ、ん〜〜ん」

「フェイ、何言っているか分らないから口の中にモノを入れたまましゃべらない。」

「むぅ〜〜」

「残念な事に、別の議員貴族の方が暗殺されました。」

エンジェの話しを要約すると、ライがココの警護に来た直後、この派閥の別の中堅議員貴族が暗殺される。

厳重な警護にも関らず、またもや人の技とは思えない方法で。

警護の者達はすべて悪夢を見させられ、

守護騎士達を含め誰一人暗殺の瞬間,暗殺者を確認すら出来なかった。

そして、ココ以外脅迫状(犯行予告)は一切届いてない。

「・・・と言う事は、ウチ(王都守護騎士団)はコレを別件と考えて念の為に俺達がいるってことか。」

「はい、そして私達はライさんの応援に。キリトさん達は他所へ応援に行かれました。」

「本腰を入れたわけね。・・・そういや君等、得物は?」

「うに、ここ。」

バッ!!!

余裕があるせいで分らなかったが、スリットがあるためアッサリとフェイに捲られるエンジェのスカート。

その白タイツに包まれた美脚に左右それぞれ二人の得物が括り付けられてあった。

「・・・・・・・・・(目が点、硬直)」

「へっ!!? ふぇ、ふぇ、ふぇ(パクパクパク)」

「ふぇ?」

「フェイちゃん、貴方はーーーーっ!!!」

「ぅにーーーーーーっ(驚)!!???」

ドーーーーーん!!!

妹の激情に驚き逃げるフェイと素で攻撃用氷竜を召喚して、

おバカな姉を追っ駆け回すエンジェを見守りながら好いモノ拝ませてもらったし、

やっぱり目の前に華があるって事はいいことだよね。こりゃ退屈しなくていいや。

と バレたら氷竜を嗾けられ炸裂連魔法弾を打ち込まれそうそうな事を考えるライでした。

・・・・・・・

暗い密室ベットの上で戯れる、頭に傷を負った優男と黒い下着だけの美女。

部屋一杯にイヤ〜んな香りが漂う。

「うふふふふ、貴方って悪い人ね。何処の女の子のチョッカイを掛けてコンナ怪我をしたの?」

「ふっまあね、僕はモてるから。いろいろ嫉妬する子も多いのさ。」

「それなら私も嫉妬して貴方にいけないことしちゃおうかしら。」

美女の艶指が優男の肌蹴たシャツから覗く胸を撫で回し下を脱がそうとする。が、

バンッ!!

「お取り込み中、チョッとすみません。緊急の用なんで少しこの男借りますねぇ(微笑)。」

ズルズルズルズル、バンッ!!

ベットの上に呆気に取られ硬直した美女一人残し、

突然乱入してきた男は優男の後ろ襟首を掴み引き摺ってサッサと出て行ってしまった。

「・・・今の子、カイン君の同僚だったかしら。あの子もおいしそうね・・・・・(ジュルッ)」

マダムに狙いを付けられてしまったライ。ライの運命はいかにっ!!!(注:本編とあんまり関係ないです)

・・・・・・・

「さあ吐けっ、お前の知っていることをすべてっ!!」

「い、行き成り何を言っているのかな? 僕の知っていることは君と大差ないと思うけど・・・」

「黙らっしゃいっ、単にサボりと女目的だけで貴様がココにいるはずがないっ!!!

さぁ、確認,未確認含めてすべて話せ。」

「・・・さすがだね。君にはすべてお見通しか。 ココの主は「カトーの乱」の主役,カトー、

連続暗殺が始まる前「夢使い」と呼ばれる暗殺者が王都に入った未確認情報がある・・・

これで必要なカードは全て揃ったと思うけど?」

数ヶ月前、某大臣を辞任させようとその配下一派の議員貴族が決起した。

しかし、そのリーダー,カトーの突然の裏切りにより頓挫、有耶無耶に終わる。

暗殺者「夢使い」。 話によると、警護が悪夢に堕ちている間に事を済ませる謎の暗殺者。

その対象者も人の技とは思えない方法で殺されている。

ミンチにされたりとか、裏表逆にされたりとか、肉の塊にされたりとか・・・

「・・・なるほど、裏切り者には死をっていうわけか。」

「そういうこと。そして、うまくカトーを守り切れば・・・」

「一網打尽か・・・・で、犯行予告は?」

「僕は、単に脅してから始末しようと考えているだけだと思うんだけどね。」

それでも、納得がいかない。確かにカードは全て揃い、何が起きているか把握は出来た気はするが、

余分なカードがあるような気がする。

あまり深く考えず、臨機応変に行動すべきか?

思案するライとそれを見て自分と同じ事を考えていることが解るのか、

もう行ってもいいかとばかりに笑みをもらすカイン。

「うに? 二人ともこんなところでなにやってるの?

・・・ま、まさか男同士でっ!! おおぅっ、不潔っ、不潔だぁ〜〜(喜)」

フェイが薄暗くかび臭い物置部屋に乱入、話し合っているところを見らればつの悪そうな二人。

「・・・そうさ、僕たちは心が通じ合った仲(邪笑)。 だからこんなことも。」

不意にライを抱擁するカイン・・・ 部屋の空気が凍りつく

「(ピシッ)・・・うにぃ〜〜っ!!! あう〜あう〜〜(アタフタアタフタ)」

まさか冗談で言ったことが目の前で現実になろうとは・・・

男同士で抱擁しあう(フェイにはそう見える)情景にただただフェイは動転、うろたえるのみ。

「お前が言うと洒落に聞こえないからやめろ(ドスッ)。 

フェイもこんな性質の悪い冗談を真に受けるなっ!!」

「ふにゅ、冗談って本当?」

涙目の上目使いでライの顔を覗き込むフェイ

「(うおおお)お、俺に男色の趣味はねーよっ。

フェイこそ用もないのにこんな所でチョロチョロするな・・・」

目の前でチョロチョロされっと・・・どがばっ、て抱きしめたくなるだろうがっ!! 

あ゛あ゛あ゛、メイド姿のフェイ、かぁえぇ〜〜〜。ギュッて抱きしめてぇ〜(血涙)

ダンッダンッダンッダンッ

「うに??? 私、用事でココにきたんだけど・・・」

行き成り壁を叩く狂行に及ぶライと、それを不思議そうに見るフェイ。

「・・・(まだまだ子供だね、ライも。もっと自分の欲望に素直になれば苦しまずに済むのに)」

さらにそれを哀れそうにみるカイン。

しかし、この状態でも十分幸せだということを重々承知しているので手助けはしてやらない。

・・・で夕食時、使用人控え室。

ライ達守護騎士(あとココにいるのは、カイン,フェイ,エンジェだけ)を含め

護衛の者たちも皆ここで食事を取る。

ちなみに、フェイ,エンジェは表向きバイトのメイド

だから給仕をしているのは

「おい、ポニテの姉チャン、こっちにシチューのお代りをくれ。」

「はい、シチューですね。・・・・・・」

雇われの護衛の者に呼ばれ、

途中 他の性質が悪い傭兵達の悪戯をスッスッと必要最小限の動きで避けるエンジェと

「パンのお代り、いっかがですかぁ〜〜♪」

傭兵達の猛烈な悪戯を、フリッフリッと踊るように回避しながらパンの入った籠を下げて移動するフェイ

「ねぇ、らい、お代りいらない?」

「・・・いらない。」

だ〜か〜ら〜、何でお前はパンティの見えそうな(つーか、ちょっとしゃがめば見える)フレアのミニスカで

俺の前をチョロチョロするんだよおおおぉぉぉっ!!

畜生、超可愛いぜっ!ポケットに入れて持ち歩きてぇーっ!!

ほら!ほら!!ほら!!!お前が余りにも可愛すぎるから野郎どもがギラギラと欲望滾る目でみてるじゃねーかっ

貴様らフェイを見るんじゃねーーーっ!! コレは俺のモノだあああああああぁっ!!!!!

「うわぁ ら、らいってソンナ風に私を見てるんだぁ・・・」

暴露されるライの心の声・・・

ではなく、ぼ〜っとしたライの影、黒子の如く後ろに隠れたカインのナレーションに全員引く。

「(つんつんつん)あ、あの、ライさん? 大丈夫ですか?」

エンジェに恐る恐る突かれ、初めてミンナの異様な視線に気づいた。

「らい、今言った事って・・・(引)」

「・・・はぁ?」

「私がチョー可愛い・・・とか、私をポケットに入れて持ち歩きたい・・・とか

・・・・・・わ、私が・・・らいのモノ・・・とか?」

「ふっ、僕がライの心の声を代弁したんだよ。そういうことに関しては君は単純だからね、

すべてお見通しさ。」

8割がた図星です。

「だ、だ、だ、誰がそんなこと考えるかっ!!!いらん事するなっ!!! 

フェイもこいつの悪戯にイチイチ反応してるんじゃないっ!!!」

「うにぃ、何も怒鳴らなくても・・・(泣)」

「うっ・・・・・・こんな所で泣くなっ!!子供じゃないんだぞっ!! サッサと仕事に戻れっ!!!

お前らもジロジロ見てるんじゃないっ!! これは見世物じゃないんだっ!!!」

はっきり言って見世物以外何モノでもないデス。 しかし触らぬ者に祟りなし。誰も口答えしない。

当然この後、傭兵達はメイド達ににチョッカイを出さなくなった。

・・・ライが怖いから・・・色々な意味で。

・・・その晩。

フェイとエンジェは泊り込みのバイトなので二人で一室を与えられている

(もっとも二人一緒の方が都合はいい)。

エンジェが待つその部屋に、夜番へ夜食を届けたフェイが戻ってきた 半泣き状態で。

「・・・どうしたの、フェイちゃん。」

「うん・・・らいがね・・・俺の目の前で小っこいのがチョロチョロするな。目障りだって言うの。

・・・私、何かライに嫌われるような事したかなぁ。 ・・・どうしたら許してくれるんだろ。」

女のエンジェでも男のライの気持ちは解らなくもないない。

普段からフェイは萌え萌えなのに、今はさらに少女趣味的フリフリなメイド服を着ているのだ。

並大抵の男なら怒鳴るより先に襲い掛かっているだろう。 

その後アッサリと伸されてしまうだろうけど。

だきっ

「うににっ!!!??」

「悲しまないでフェイちゃん。私ね、ライさんはフェイちゃんのことすごく好きだと思うの。

だって、私がフェイちゃんを抱きしめたくなるのに、彼はそれをずっと我慢しているのよ?

それって、すごくつらいことだと思う。だから、あんなにイラつくのじゃないのかしら・・・・・・」

エンジェの優しい抱擁に慰められ、腕の中フェイは大人しくうなずき続けるだけ・・・

・・・・・・・・・・・・


----------------------------------------------------------------------------------------------------


■ EPISODE01 ■

Copyright 人丸2022
HITOMARU All right reserved



----------------------------------------------------------------------------------------------------