禁忌の書庫

"マンボロ"(人喰らい)
ラパ・サンドゥ(Rapacious Sundew)


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■浸食する森■



ニーヴルより遙か南方、亜熱帯気候に位置する深林”ギサン”



〜千年の昔〜


人の作りし魔法は、彼等が住む巨大な都市を大空に浮かべていたと言われている。


地上を真昼の如く照らし出す、光り輝く”第二の太陽”

夜を持たぬ魔法王国

空に生きる、羽を持つ者達


彼等は生命の神秘を知り、神の理を識り、地を這う子達を導く者として大空に君臨していた。


しかし、

千年前の或る夜、

天空の魔法都市は突如、地に墜ちた。

・・・・

死んだ都市は樹海に飲み込まれ

流れ出した知識の残滓は、有り得ない”狂った”進化をその森に与えた。


人の侵入を拒むかのように息吹く危険な生態系

都市を沈めた”呪い”は、千年を経た今も、この森”ギサン”に受け継がれている。





半年前、このギサンの森で、

翼を持つ少女が奇妙な植物に嬲られている所を発見されました。

辺境開拓民の方々の協力により彼女は救われましたが、

植物の放つ臭気に当てられたのか、少女は、「意識ははっきりしているものの、身体が言うことを聞かない」状態だったそうです。











体内に挿入されていた管状の触手を引き抜くと、ポロポロと粘膜に包まれた種がこぼれ落ち

周囲の男達を赤面させました。



少女の胎内に種子が着床したかどうかは不明。

ギサンの極相林には斯くも様々な生態系が息づいている模様です。








■生物概要■



深林ギサン、最深部。白の森と呼ばれる場所で目撃された捕食系植物。

深林内にまばらに点在する、陽光の射す湿地帯に群生し、羽を休めに訪れた生物達を捕食する。

粘着性の体液で捕獲した獲物を、体表に引き寄せた後、生きたまま消化吸収。

外観はモウセンゴケに似て居り、性質も其れに類似している。


異なる点は、大型の肉食獣ですら捕食対象にする凶悪な食欲、

そして、花と実を持たず、他生物に直接「種子」を植え付け”繁殖”する性質である。

成熟したラパサンドゥはザクロのように弾け、強烈に甘い匂いを放ち、種を託す他生物を招き寄せる。
(人の精神、及び感覚器官に障害を与える程の臭気らしい)

子宮を持つ相手を確保すると、自らの果肉の中に引きずり込み、

子嚢から数本の触手状の管を伸ばしゆっくりと胎内に侵入、

一本につき数個の、胡桃状の種を子宮内に植え付ける。


種を撒き終えたラパサンドゥは数刻で枯れ始め、

被害者を拘束している強力な粘着性の体液も、同時に効果を失い始める。


解放された被害者は数日の間、何事もなく生活出来るが、突如腹痛を訴え苦しみだし、水を欲しがる症状を見せる。

この症状が出たときには既に胎内において種が発芽、根を伸ばし始めている状態であり、

被害者は生きたままラパサンドゥの”苗床”となる。


この種の除去には、非常に高度な外科手術が必要とされ、

その為、残念ながらこの辺境の地では、現在”着床”した被害者を救う事が大変困難であり、

発芽後の致死率は極めて高い。




人丸 2001/12/04
「SHRINE」





















■期間限定リメイク前作品(恥)■