激戦の後、+αとなって町に戻った一同。 その面子で宿屋へ直行、
意識のないレイハは当然、エルとライを除き無し崩し的に1階の酒場で宴会は始った。
「もっと酒持って来いコノヤロー」
見た目幼女のくせ、酒をがぶ飲みし暴れるルーと
「ベリュリュゥー、貴方はにゃぜ剣にゃの?」
(・・・呑み過ぎだフォウ(汗))
何も知らない人から見れば可哀想な娘にしか見えないフォウ。
「・・・・・・・・・・・(クピクピクピ)」
クールに格好良く牛乳(ヲイ!!?)を呑むシエル。
「・・・・・・(悩)」
寂しいのか騒がしいのか苦しみつつ酒を呷るレッド。
一方、レイハが眠る部屋では
「俺がレイハを見てるから、下行ってきたら?」
「お気使いありがとう御座います。でもコレも私の仕事ですから。
・・・ライはどうぞ(微笑」
「・・・なら、彼女が起きてからそうさせて貰おうかな。」
戦っているときと同一人物と思えないほど穏やかに優しい。不意に
「う・・・ん・・・」
ゆっくりとレイハの瞼が開き、その目は惚けて状況を把握していない。
「おはようさん。」
「・・・おはようございます。・・・あの、私は?」
二人の様子を見ているとエルは前言撤回。
「後はお願いします。」
「おう」
当然の如く帰ってきたライの返事にエルは部屋を出た。が、
「うっ、うあああああああぁっ!!!」
「レイハッ!!?」
壮絶な悲鳴、そしてもう存在するはずがない気の異変に戻ると其処には
気味が悪いオーラを纏い空に浮くレイハ。その胸は魔剣ジェライラスに貫かれ・・・
否、胸の谷間から血朱の刀身を生やしていた。
「・・・迂闊だった。ヤツ、レイハを鞘にしていやがった。」
「バ、馬鹿メ。我ガ滅ビルト思ッタカ」
レイハの口から零れる邪神ジェライラスの声。
しかしレイハ自身は悶え苦しみ、表情が「もう私を気遣わずに・・・」と訴えている。
そして下で飲んでいたレッド達も邪気に流石に酔いから醒め、部屋に急行。
「ライッ!!」
レッドが投げた神狼牙を取り抜刀。
「ケケケケ、剣ヲ得タ処デ貴様ニ我ハ攻撃出来マイ?」
正解。確かに一同には邪神は攻撃する術はない。
「・・・いや、出来る。」
「「「「「!!!??」」」」」
「昔、俺の仲間に何でも斬れる奴がいた。あいつは鎧を斬らず、
中の人だけを両断する芸当すらやったよ・・・・・・」
「ソレガ何ダ・・・」
ライの目が黄金の龍眼へと変り、身体から溢れたオーラが剣を伝っていく。
「俺はあいつに斬られた事がある。肉体を斬らずにな。」
邪神含め全員、ライが何を言っているか分らない。分るはずがない。
だがその行動は明かに今まで言ってきた事と背反する事。
「まさかオマエ・・・」
「レイハを・・・斬るっ!!」
斬っ!!!
瞬間、誰も止める間も無くライはレイハを袈裟懸けに薙ぎ
レイハの身体に斬った線上に走る黄金の光。
「本気で・・・やりやがった。」
あれほど助けると言っていたライが斬った。信じられない事態に全員茫然。
「オ、オオ、オオオオオオっ!!!」
ピシッ、ぺキペキぺキ・・・・・・
伝い、血朱の刀身に走っていく黄金の皹。
「バ・・・カ・・・ナ・・・」
「正真正銘これで終りだ。消えろ、邪神ジェライラス」
パキーンという粉砕音と共に刀身は砕け散り、
倒れるレイハを神狼牙を投出してライは受止めた。その眼は黄金から既に元の色に。
「・・・御主という奴は毎度毎度毎度ぉっ!!!」
レイハの状態を確認しベットへ寝かしたライへルーの跳び蹴り
「ふぅ、いつもの事だ。」
と飲みに戻る態勢に入るシエル。今回はレイハに譲るつもり(何を?)。
一方、事態についていけないのはレッド一派。
「し、師匠、今レイハさんを斬ったように見えたんですが。」
(・・・我もそう認識した。)
「ああ、斬ったよ。 やりたくない芸当だったが・・・巧くいってよかった。」
「巧くいってって・・・ライさん、貴方は一体・・・人間ですか?」
「俺は俺。人間さ、まだな。」
「・・・・・・一発殴らせろ、ライ」
「きついなー―。 ほらほら、みんな下行って呑み直してこい。
レイハ、俺がみてるから。」
と、全員追い出し。静になった部屋、ライはレイハの側に寄る。
「さて・・・今、俺のを分けるからな・・・」
その時斬られたライは健全体にも関らず暫く動けなかった。
今のレイハにソレは耐えられるはずはない。だから・・・
レイハの手を優しく包み精神統一。そして己の何かが流れ込む様子をイメージ。
それと共にライから緩やかに燐光が溢れ伝い、レイハの身体を包んでいく。
後はレイハが目覚めれば大丈夫。ライは疲労困憊で傍らで昏倒・・・
深夜まだ酒宴は続き、僅かに聞こえる喧騒にレイハは目を醒ました。
傍らには手を握り眠るライ。当然、自分の中に邪神が隠れていたのは知っている。
そして、ボロボロに傷ついた魂を補完する存在。
「私の中に貴方を感じる・・・」
何時も何時も彼女を助け、今回は己の命を賭けてまで。それが分っていたから
レイハ自身の犠牲で終らせようとしたのに、態々追い駆け
「結局、貴方は何時も何時も・・・・・・ありがとう、ライ。」
ノびている当人の返事は無く、寝息が返って来るだけ。
レイハはその手をそっと握り返し・・・・・・起さないようベットを抜けると
下の酒場へ。そこには和気藹々と呑む一同。
悪酔いしている面子も無く、もう一人で降りてきたレイハに驚くレッド一派
「おぅレイハ、もうイイのか?」
「はい、ライの御陰で・・・」
酒気帯びで景気良く聞くルーは胸に手当て応えるレイハから全てを察したか。
「アノ馬鹿また隠してたナ。」
「・・・・・・(クアアッ)」
呆れ混じり欠伸するシエル。
牛乳しか飲んでいないのにほんのり頬が染まっているのは空気中の酒気のため。
それだけで酔えるのは御徳なのか不幸なのか、これはこれで楽しそうではある。
「本当に、御体の方はよろしいのですか?」
まあ、神官のエルとしてはアレほど消耗し切っていた人がライ,レッド並に
回復しているのは疑問。見た目からしてそんな力がレイハにあるはずがない。
「本当にもう大丈夫です。 ライに元気を分けて貰いましたから」
文字通り。
「本当、羨ましい奴だナー。そこまでしてもらえて」
うんうんと同意するシエル。
レイハとしてはいつも甘えられるルー&シエルが羨ましい。
「あのレイハさん、師匠は如何しているんですか?」
「師匠?」
「・・・・・・ライを師匠と呼ぶこの小娘は炎の剣士フォウ、
で御前に雰囲気が似ているその娘は神官巫女エル、
で其処で無愛想に酒を呷っているのがこいつ等のリーダー竜殺しのレッド
でその壁に立掛けてあるのはフォウの相方、焔の魔剣フランヴェルジュ。」
面倒臭いのでルーがチャチャーと紹介。
「私はレイハ=サーバイン。 戦団長補佐をしています。」
「御前が忍者ということはバレとるからナー」
「あー――、当然ですね。」
あれほどの戦いを繰り広げ単なる秘書で済まされるはずがない。
(・・・して、ライは?)
「・・・・・・・・・・・???」
(ルー、この娘にもシエルにしたやったヤツを頼む。)
・・・・・・・・
(レイハとやら聞こえるか? ライは如何した?)
「剣を紹介したのはこういうコトだったんですね(驚
・・・ライは休ませて上げてください。せめて今日だけは」
「あの男はあの後も戦っていたのか・・・」
何も剣を振るう事だけが戦いではない。そのために全力を尽くす事もまた戦い。
主役を他所に酒宴は明け方近くまで続いた。
流石に病上がりのレイハはさっさと上がったけれども。
「まいったなー。気合が抜けちまったよ」
一夜一転、もうガントレットは装備しておらず戦闘服を着崩し腑抜け状態のライ。
レッドが殺気をぶつけてみても何処吹く風。
「しかたあるまい? アレは一日何度もなるモノじゃないからナ。」
「ライ、私のためにごめんなさい・・・」
「いいよいいよ。レイハがいなくなったら困るのは俺だしな」
「ライ・・・(呆」
まるで駄目亭主のようです、ライさん。
「俺達ぬきでも大丈夫だろう。コレだけの面子が揃っていれば」
レッドさん、何故自分までダメ人間の計算に入れているのでしょうか?
「大丈夫です。私がいますから(フンッ)」
「はしたないですよ、フォウさん?」
フォウに関しては疲労しきってもエルがいれば回復は早い。
「・・・ところで、ず〜っと疑問だったんですけれども何故3人は普通の格好?」
ルーは旅むきなパーカーにキャロットっぽい感じ活動的に可愛らしい。
シエルはゴッツい黒チョーカーはそのままに白シャツに黒レザーパンツ&ジャケット
とクールにカッコイイ。
レイハも何時も屋敷でいる格好(秘書風)の上に旅のローブ
「当然持ってきたからだ」
と手にマジックキューブを転がせるルー。
「俺の分は?」
「御主の服は預かってないのだ。ある訳が無かろうに。」
「・・・・・・いいよ〜、俺なんてさ〜」
ポンポン
「気を強く持て」
因みに、
フォウは赤を基調に白黒で調整。ボディースーツの上にタイトっぽいスカートと
丈の短いジャケット状の鎧下、白ニーソックスと活動的な娘っぽいイイ格好。
エルは清浄な白が基調。上には前重ね合わせ、腰辺りで帯で固定する感じの上着に
ロングスカートとらしい落ち付いた清楚にイイ感じ。
つまり、女の子達には華があリ、野郎どもは草臥れ傭兵ぽいっと。
・・・両雄二人の間に奇妙な友情が芽生えつつあった(笑。
結局、服があっても二人が着る物は今と大差なかったりする。
ライ達が都市への帰路、途中までレッド達も付き合っている訳なのだが、
+ヴェルジュでやっと男女率3:5。当然野営地は快適性重視で川の近く。
何と言うかこう、女性が増えると相乗的に賑やかになる訳で男は形見が狭いと。
で、女性陣は今水浴び中。
「覗きは犯罪だ。しかし男にはやってはならないと分っていても
やらねばならない時がある。そう思わないか、レッド。」
「・・・語ってくれるな、ライ。だが激しく同意する。」
(待て御前達っ、このまま行かせる訳にはいかん!! 我は主を護ると決めたのだ!!)
「選べヴェルジュ、俺達と共に同じ道を行くか孤独に生きるか」
(・・・思考を読める我を利用するがいい。 我は力になるぞ?)
一路、馬鹿×3は決戦へ。
娘陣もまさか水浴び草々来られるとは考えていなかった。
「・・・シエルさんて、本当胸大きいですよねぇ。
如何したらそんなに大きくなるんですか?」
「胸が大きいと邪魔にしかならないぞ?」
「それを余裕というのだ、コノー!!」
「こ、こら、ルー、揉むな!!」
「・・・レイハさん,エルさん、プロプポーションいいですねぇ。
それに比べて私、腰太いし胸あんまり大きくないし御尻無駄に大きいし・・・」
「そうですか? 確かに胸は余り大きいとは言えませんが・・・イイ形ですし、
男性の方は結構・・・男の方の反応は如何でも良いですね、はい(慌。
腰はその程度だと思いますよ? 人のモノは良く見えるとも言いますから。それに
私の場合は動きでそう見える可能性も・・・ (慌慌
お尻はフォウは戦士ですからそういうものです。ほら、シエルも・・・
私、忍者ですから余り筋肉が付いたら駄目なので・・・
イイじゃないですか?大きい御尻。安産型とか?(自爆 」
「はぁ・・・レイハさん、それ慰めになってないです。
・・・・・・エルさん、そのプロポーションの秘訣は?」
「私はコレと言って、レッドさんが」
「「「「はい?」」」」
「何でもありません。無いです、はい。」
「・・・動揺する事が妖しいナ。白状しろ、コノオオオォォっ!!!」
「きゃあ!!? あっ、あん・・・だめぇ・・・(悶」
この位置からは微妙に一番いい所が見えない。
「・・・(でも、話だけでも楽しいかもしれない。)」
「・・・(激しく同意。我人生に悔い無し。)」
(・・・以下同文。)
妄想に悶絶する馬鹿×3・・・・・・
・・・・・・・
で娘陣が野営地に戻ってみると
「あれ? 誰もいない」(フォウ)
「・・・近くにはいないようだ。」(シエル)
「ライさんも御一緒なら大丈夫なのではないでしょうか。」(エル)
「しかし、ヴェルジュまで一緒に何処へいったんだろナ?」(ルー)
「二人の得物はココにあります。・・・まさか素手で格闘訓練とか?」(レイハ)
「「「「「まさかぁ、其処まで熱心じゃ・・・・・・(汗」」」」」
失敗覚悟、半ば追っ掛けまわされ折檻を受ける事を納得して行っているので、
成功したらしたで自己嫌悪に陥り3人(?)共々滝に打たれていたりする。
チャンチャン♪
元々行路がハッキリし、昼間ちゃんと進んでいるので帰りのあっという間だった。
もう国境、都市(まち)まで一日もかからない。
「この一件、本当長いようであっという間だったな。」
「・・・ああ本当に、楽しめたよ。 俺の直感は間違っていなかった」
「俺にとっちゃぁ災難だったけどな。」
「「ふ、はははははは」」
「またな、レッド」
「簡単に死ぬな、ライ」
「それは「御互い様か」」
非常にアッサリとした分れ。それはまた出会う気がするから。
でも、同時にその事はそれだけの事が起きている事を意味する。
頭だけ下げてレッドを追うエル。そして、
「師匠・・・・・・」
「あのな、・・・もう俺の事は師匠と呼ばなくてもいいぞ」
「師匠はいつまでたっても私の師匠ですから」
「ふぅ・・・今度、俺の屋敷に遊びに来い、歓迎するから。
場所は都市の人に聞けば直分る。」
「はい、では私行きます。」
(ライ、いずれまた会おう)
「二人とも達者でな。」
フォウはヴェルジュを携え、二人を追っ掛け駆けて行った・・・
・・・・・・・・・
「さーて、帰るぞ屋敷に。」
「そうですね。仕事も溜まっているでしょうから」
「・・・イヤな事思い出させるなぁ。俺、あいつ等の後追っかけようかなぁ」
「私も手伝いますから、二人で頑張りましょう♪」
「レイハ、嬉しそうだな。」
「気のせいですよ♪」
既にルーを肩車したシエルは屋敷に向っている。 二人も後を追い駆出した。
When dragons encounter the story strats, and it doesn't end yet.
「Dragons Encounter」 ended. It does not mean the end of the story.
<02.10.4〜02.10.21>