∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 10 ■
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先の戦闘より数日後、ニーベル以下兵の帰還にオブシディアの砦は騒然となった。

流石に武装解除はされていたが・・・

元々数万勢同士の戦いではなく非戦闘員合わせ一万勢同士の戦い。

数が上がればそれだけ洗練度が上がり一回辺りの死者減る・・・というわけではなく

一部を除きオブシディア兵が油断し、シウォングが優勢のうちに引いたため

軽・重傷者多くとも死者が偶然いなかっただけにすぎない。

弱肉強食に貪り搾取する争いと行ってきたオブシディアにとって、今回の戦いは

捕虜も確保できず死傷者の被害となっていた。

死んだ思われていた者の生還、手放しに大喜び ・・・というわけには行かない。

「戦士のくせに生き恥を曝しおってからに・・・厳罰に処せ。」

「我が部下に勝手な事をされては困る。 処分に関しては追々」

「・・・ふんっ」

しかし、それが最大の吉報だったのはこの人だったのは間違いない。

ハガル=ネビロス君

聞くや否や、全てそっちのけで砦を飛び出し帰還する兵の先頭を歩くニーベルの前へ。

「・・・よかった。生きてくれていて本当に・・・よかった」

それが亡霊でなく確固として存在することに感極まり、思わず泣いちまってる。

「変な奴だな。私が生きていた位で泣くだなんて。 戦士らしくないぞ」

ニーベルの穏やか微笑にハガル、呆気に取られ

「ニーベル、何か優しくなったな」

と、思わず口走ってしまい、来るであろう侮辱された女騎士の激怒に

青年、即それに構えて うぉっ!! と身体を強張らせ硬く目を瞑る。が、来ない。

いつもなら強張らせる間も無く、女々しいっ!! と鉄拳が飛んでくるのだが

・・・まさかフェイントか?

片目を開けニーベルを確認。 砦へ向かう兵達を背景に、何してる と呆れた顔。

「ニーベル、殴らないのか?」

「・・・、何故?」

「あ〜〜〜、いや。 ・・・間に何かあったのか?」

迂闊に以前を思い出されて殴られてはたまらない。差障りの内容に聞いてみる。

が、ニーベルは既に以前の自分を思い出していた。 強さに拘っていた自分を。

「・・・確かに変ったな。 それは強さが何か漠然と見えたかもしれない」

「??? 俺は、ニーベルが優しくなってくれたならそれで」

「調子に乗るなっ(笑」

とハガルの頭に落ちる拳。 と言っても全く痛くなく、小突かれた程度。

そして、その笑みは実に優しく己を心配してくれる仲間がいた喜びに溢れ

「・・・。 ああ、きっと何か悪いことがおきるに違いない(ガタガタブルブル」

「調子に乗りすぎた」

メキッ

今度は本気でぶん殴られた。 勝気なだけあって、からかわれるのは好かないよう。

しかし、喜びの情を示してくれたのは彼と以下の兵数人ぐらい。 残りは・・・

 

 

 

初めて、その夜にニーベルはジークフリードの部屋へ個人的に呼ばれた。

待ち受ける運命は愛のない性欲の捌け口なのだろうか・・・それも仕方ない。

着飾る事を知らないので身体を清めただけ普段通り唇に紅を差しただけで向かった。

部屋の一度深呼吸し

「ニーベル=クリエイム、参上しました」

「・・・入れ。 戸は開いている。」

入室一番の命令は

「鍵をかけろ」

とジークフリード自身は用心に窓の外に人気がないことを確認して窓を閉め、閂まで架け。

・・・何故か今までと、違い目の前にいる自分の大将が凄く恐ろしいモノに感じる。

きっと、普通の娘が獣と同じ檻にいる時の心境はこういうものなのだろう。

「こっちへ来い」

恐怖ですくんで動けないはずなのに、身体は操られているが如く一歩一歩近づき居合内。

「!!?」

瞬間、男の懐の中で腰を抱かれ口は大きな手が塞がれてしまった。

元々悲鳴すら上げられなかったが。

その上、股の間に脚を割りいられるよう押し導かれ・・・比べ、ニーベルの身体が小さい為

一歩毎に股間を蹴られる感。 そのまま

「っ、っ、っ、っ、っ!!? 〜〜〜〜っ」

膝裏にベットが当たりバランスが崩れ、押し倒されながらベットの上へ。

大きな手で口のみならず、身体全体に圧し乗られ股間には男の膝で固定されているので

逃れることすら適わない。形はいいがそれほど大きくない乳すら押し潰して胸を圧迫し

息が・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

「行き成り済まぬ。隣に人気があったものでな。 ・・・大丈夫か。」

「は、はいっ!!」

ニーベルの素っ頓狂な返事にジークフリードはいぶかしむ。 と言うか

解放されてから今返ってくるまで抜けて惚けた顔をしていた自覚があった。

恥ずかしながら・・・。

「・・・・・・もしや、操られてはおらんな?」

「そんなことっ(クワッ!! ・・・失礼(照」

「うむ、それだけの元気があれば大丈夫だな。 ・・・数日見ぬ間に

随分と貴様の雰囲気が代わった。きっと彼奴等に感化されたのだろう」

「申し訳ありません・・・」

「別に叱っているわけではない。 ただ・・・」

「・・・如何しても、如何しても彼等と戦わねばなりませんか?

この戦い、もしかして我々には全く」

「それ以上は言うな。 そうであっても我々は戦わなければならぬ。

正義の有無は関係ない。 ・・・それが政治というものだ」

「・・・申し訳ありません・・・私はもう・・・彼らとは・・・戦えません」

「戦に戦えぬ将は必要ない。 後は・・・分るな?」

「・・・はい。」

「それと、明日の審問会には適当な理由を付けて知らぬ存ぜぬを貫き通せ」

「???」

「貴様を慰安婦として差し出すにはいかんのだ。」

「・・・、はいっ(嬉!!!」

「夜分遅くご苦労だった。」

「・・・・・・・・・」

「・・・如何かしたのか?」

「えっ? コレだけですか?」

「??? 他に何かあるというのか?」

「あっ、いえっ、失礼しました」

赤くなったニーベルはビシッっと敬礼し、逃げるように去っていった。

暫くしてジークフリードは休もうと、ふと、己の掌のそれに気付いた。

「何だこれは・・・紅? ・・・何処で? ???」

付ける様な心当たりは全くなく、ニーベルの口を押さえつけた時にそれが着いた

と、露とも思わないジークフリードは何処ぞの女の亡霊が出たと思いつつ拭取り

眠りについた。 朴念仁に期待する事自体 間違いなのである。

 

 

 

・・・審問会で、ニーベル以下の兵が厳罰に処されることは無かった。

しかし、その全てが砦の防衛へと回され戦う事がないので事実上 降格・・・

深夜砦の中、ニーベルは一人いつかの如く夜回りをしていた。

違うのは時折物陰から見る兵の目が彼女を将ではなく女として見ている事。

それでも襲わないのは腕で適わぬと知っているから。だが、それすら・・・

「おやおやニーベル、こんな夜遅くご苦労様です」

「・・・何用だ、謀将アンスール=ウィスヤ」

謀将 アンスール=ウィスヤ。 戦闘国家オブシディアにおいて数少ない魔導士。

この国では魔導士が尊敬の念で見られる事のはないのだが、この男は場合それを

払拭し将と称えられる戦士の実力を兼ね備えるのだが以上に、敵を効率良く倒す

と同時に構わず味方まで傷つける。故に側でいる者でイイ感情をもっている者は

数え切れる程度に少ない。神将ですら使いあぐねている。

「随分と毛嫌いされたものですね。貴方の失態を私が挽回して上げるつもりなのに」

「余計な御世話だ。失せろ」

「そう言わずに折角なので私と遊んで頂きたいですね」

「ふんっ、御守がいなければ満足に戦えぬくせに私と遊びたいだと?」

「別に私は御守りがいなくとも十分戦えますが、無駄な事はしたくないのですよ。

でも、必要ならば屈服させるために無駄を承知で戦いますがね。 傷つけずに・・・

貴女を玩具にするため」

「・・・貴様如きが私に勝てるつもりか。 舐めるなっ!!!」

瞬間、ニーベルは最速の斬撃を叩き込む。それこそ峰打で、アンスールを殺さない程度に。

しかし、その斬撃は寸止め。

「・・・やはり、貴女は女です。挑発にすぐかかる。」

「ぐっ・・・」

と、寸止めの体勢のまま動けないニーベルの乳房を服の上から鷲掴み。

グニグニと捏ね繰り回す。

「あまり大きくないが、いい弾力ですね。揉むのには丁度いい」

「き・・・きさ・・・ま・・・」

「ほほぅ、未だ喋れるとは流石 烈将。 しかし、抵抗するには及ばまい?」

とバカ笑い。 ささやかとは言え獲物が己の計略に堕ちたのが楽しいらしい。

本当、耳障りなまでに・・・

「・・・さて、いつまでも笑っていてもしょうがないので

さっさ御遊びを済ませましょか。時間ももったいないですしね」

とニーベルの刀剣を奪い捨て服を脱がそうと

「貴様、その汚い手を除けろ」

「これはこれは・・・」

気配無くアンスールの首筋に突付けられるのは騎士剣。 ハガル剣参。

が、直ぐその無表情に疑問符が

「くっくっくっ、貴方も迂闊ですね。何の策も打たず私に接触するとは

彼女が遊ばれる様でも見て、貴方は精々そこで臍でも噛んでてください。

おっと、身動きが取れないので臍すら噛めませんか?」

「・・・・・・そうでもない」

ペキペキメキメキと何かが壊れる音にハガルの服と肌が裂ける。

「ば、バカなっ!!?」

「バカは・・・貴様だっ!!!」

恐れ戦き飛退くアンスールの頬が切り裂かれた。以上に傷ついているハガルによって。

「お、おのれぇっ!!!」

「失せろ・・・・・・ぶった斬るぞ」

「う・・・うぐっ」

気圧されアンスールは退散。周囲から人気は消え去った。

身体が動くようになったニーベルは傷ついたハガルに駆け寄り傷の具合を見ようと

「傷が・・・」

燐光が傷口に集中し、目に見えて傷が癒えていた。

「これ? 魔導だから」

「魔導って、貴様・・・」

「人間、隠し技の一つや二つは持ってないと。それよりニーベル、身体は大丈夫か?」

「・・・お蔭で」

「ニーベル?」

「敵には慰められ、味方には・・・・・・一体何が正しいんだ」

「ニーベル・・・」

青年は恐る恐る麗人の肩を抱締めて見た目より細い事を実感し、泣き崩れてきた

その身体を力強くも優しく抱擁。 語らず、ただ俺が護ると想いを込めて・・・

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■ EPISODE 10 ■

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