∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 10 ■
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都市外れの広大な草原に作られた野営地、もとい訓練場。

ライ&レイハは執務で忙しいため、実際に兵の教育を行うのは

シエル,アレス,掛持ちのリオ,ルナ(?)を筆頭に自警団出向組。

シエルの場合、何もしなくてもだたつ立っているだけで

1っ、2っ、1っ、2っ、1っ、2っ、・・・・・・

「・・・・・・(眠」

まるで気に入られようとせんばかりに女の子達は頑張ってくれる。

寡黙でカッコ良いシエルちゃん ヤクザにも女の子にもモテモテ♪

「・・・クァァァ」

一切興味なし。 興味無い事には徹底的に鈍感なシエルだった。

アレスの場合、元々口下手なので仕方なく自身が動く。

「俺に続け」

走る・・・走る・・・走る・・・最後の一人が伸びるまで走る。

「・・・よし、次」

えーっ!!?

抗議の声を無視し、筋力運動。 仕方なく皆もする。

続いてリオの場合、アレスの補佐という形なので

「遅れてすみませーん。 皆さん基礎訓練は済んでますね?

では組手、始めてくださーい。」

リオの方が説明が細かいため皆も動きやすく、どちらが補佐か分かったものじゃない。

ルナの場合、戦闘力はあっても子供なので自警団出向組の補佐しかせざるなく

「わんわんわんわん」

「うわぁ」「うおおぉ」「ひいいぃ」

とにかく、後ろから吠え追立てられる。

組手もルナは遊んでいるつもりなのだが怪力なので相手は必死。

誰に見てもらってもいても、それなりに実力はつきそうである。

そんな処へライも視察,技術指導に来ること暫々。

新兵の訓練を立って見守っていたシエルは、その気配に ん?と気付き駆けて行った。

・・・?

暫くして、シエルが付いて戻ってきたのは

「おー、ご苦労さん。訓練頑張っているかー?」

かぁっ、またコイツかぁっ!!!

やって来るライの姿に、牙を向き拳出し悪態つくシエル親衛隊(自称)。

「ん?」

ニコニコニコニコ

奇妙な気配(殺気)にシエルが顔を向けると瞬時に笑顔に化ける。

・・・毎度毎度、何故シエルの好きな女子にはこうも嫌われるのだろう。

それはライがシエルの実質飼主だから。百合な子達にはこれほど目障りなものはなく。

「・・・なぁシエル、新兵の娘に襲われたことないか?」

「ん? 水浴びしているとよく後ろから抱き付かれそうになるが?」

「そっ、それで(汗?」

「交わし、組み伏す。」

「・・・・・・それだけ?」

「別に・・・遊んでいるだけじゃないのか?」

「あ〜〜、うん、知らないならそれでいい。」

「ん。」

シエルにとっては相手が脅威でない限り襲われてもジャレつかれた程度でしかなく

百合な娘にとって本懐適わずとも組み伏せられるだけで結構幸せだったり・・・。

「はぁ・・・結構平和だねぇ」

戦争の準備をしているというのに・・・

日常の凡な幸せを知っているから、守りたいと思うからこそ

人はどんな強敵とも戦えるのだが。

 

魔導院。

基本的な読み書き計算を教える学校とは別に個人的な研究所とは異なり、魔導術を含め

色々な技術を研究を行って一般に広める場をつくる考えは都市計画の時点であった。

しかし、人材不足などの諸問題で最近ようやく施設が完成した処でこの騒ぎ。

医薬術,魔導術,機導術 等々に分野は分かれているものの、哀しくも目的は

戦争に備えて となってしまった。

講師はルーを筆頭にアルシア,掛持ちのリオ,ディ,その他引き抜きの人々。

当然、ライもここへ視察,技術指導に来ること暫々。

「よう、ウチの幼姫さんいるかい?」

行き成りラフな格好の男に話しかけられ受付嬢は一瞬 学生の父兄かと思ったが

それは今や有名人のライであった。

「ライ様!!? あっ、えっと幼姫というとルー先生ですか? ・・・今授業で」

「そうか。じゃ、ちょっくら授業でも見物させてもらおうかな。

あっと君、別に俺を様付けしなくてもいいぞ。」

「しかしそれでは・・・」

「まぁまぁ、堅っ苦しいのは抜きで、公で無い処は気楽でいいさ。じゃ」

ライは軽く手を振り行ってしまった。

受付嬢はそれを憧れの眼差しで見送り・・・本性を知らないから(何?。

ライがコッソリ教室を見て回れば様々な生徒達が授業を受け

その初々しさに思わず笑みが零れる。・・・ディはいた。年上を相手に講師として。

でもルーはいなかった。 そうして歩き回り最後の教室。

「そこのオマエ、この問題に答えてミロ」

「うあっ!!?」

魔導でチョークを撃ち込まれ仰け反る生徒。

その講師はビシッとスーツ姿に三角メガネでいかにも

女教師なコスプレのルー。

ルーは見た目幼女である。それがスーツの格好をしたところでコスプレでしかなく

それでも学生が大人しくルーの授業を受けているのは

「何、解らないだと? オマエはっ!!!」

「痛いたいたいたい(泣」

撃ち込まれるチョークの雨にその生徒が沈んだ。 それを見て

・・・るータン(はぁはぁはぁはぁ

男女含めちょっとヤバそうな奴、数名。 という事らしい。

気持ちは解らなくもないが・・・

ドアの窓からライが覗いている事に気付いたルーは黒板に

カリカリカリカリカリカリカリカリカリ

「オマエら、今から自習。 私のおらん間、コレといておけ」

と数問書き込んで生徒そっちのけで教室を飛び出し

「ライー、会いたかったゾぉー」

ライにタックル。 ルーの幼身体を受け止め顔を上げて見れば

・・・・・・騒動に、生徒達がドアから覗き見ていた。

「ここじゃ何だから、向こう行こうな」

タイトスカートが捲り上がりアダルトにきめた下着を見られる事を気にせず

コアラの如く抱き付き頬擦りスリスリするルーをそのままに、ライ遁走。

レイハ,アルシアはともかくシエル,ルーは人目を気にせず甘えてくるから困る。

シエルの場合は身体を寄り添ってくるだけなのだが、それも人が見れば・・・

兎に角、人の来ない処とライが辿り着いた先はルーの講師室。

部屋の中は本棚に魔導本。中央のテーブルを境に講師と生徒数人が向合って座れる。

いわゆるココで個人指導をするという・・・・・・誤ったかもしれない。

当然、講師の座るべき所にルーを座らせライ自身は生徒が座る所に。

「うぅ〜〜ん、別に人に見られても構わんのに・・・」

「多少は俺の立場つーもんも考えてくれ」

「今更?」

だたでさえ都市には領主と4人の配下娘がイイ仲と噂が流れていたのに

その姿を一度でも見た者達は皆その噂が真実と確信している。 ホント今更。

「・・・・・・・・・。 んで、調子は如何よ?」

「今は未だ素人当然だが、感じ取る事が出来れば成長はあっという間ダ。

いざとなれば廃人になる危険があっても強引に・・・」

「お願い。それはやめて」

「冗談ダ。ナニ、そんなことせずとも十二分に間に合う」

ルーの場合、何処まで冗談かわかったものじゃない。 ライ達に対してはさて置き

それ以外のものに対して、未だに魔女の称号そのものの存在なのだ。

必要なら身内以外の人を用いて本気で実験材料にやりかねない。

その必要はなく、ライが怒るので行わないだけ。


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■ EPISODE 10 ■

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