∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 09 ■
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何故か下から少女の声がしたり。

「・・・、・・・・・・質問いーでしょーか、るーサン?」

興奮のあまりライの口調は変になってしまっているが、まぁ気にしない。

「何でも聞け。ん百年生きてきた私なら大抵の事なら答えらないものはない」

「さっき目の前で死ぬような事、言っとらんかったか?」

「うむ、喜べ。間違いだ。どうやら天寿を全うするなら死ぬのは御主より後のようだナ」

「そうか、そりゃよかった。 ついでに先ほどの現象も

説明して頂けると非常にありがたいのですが?」

「うむ、簡単に言うと御主に『力』を渡され、悪魔との多重契約状態に私の身体が

耐えられるよう全盛期の姿になったようだ。 多重契約ってのが解約条件であってナ

悪魔の契約を失った上に御主に『力』を返してしまったから、一度身体を分解して

この姿に再構成されてしまったってわけだ。 エネルギー不足で」

見下ろせば、ろりーなルーが全裸で腰に手をあて踏ん反り返り見上げていた。

「ん゛〜〜〜〜」

とりあえず、空を彷徨う手持ち無沙汰な手で己のデコを押さえ数歩下がってみる。

無事なルーを確認出来るよう。

・・・長い黒髪に可愛いロリー顔、やはり無乳もとい儚乳で

艶っぽく腰はくびれ犯罪のように無毛の恥丘。

これが成長すればさっきのネーちゃんに化けると。 ・・・成長しても貧乳だが。

・・・まぁ、元気そうで何よりで。

「・・・御主、何か失礼な事を考えていないか?」

「些細な事だから気にするな。・・・処で、負債は?」

「ない。 強いて言ういうなら、この身体から成長しなければならんという事だナ」

「・・・・・・それだけ?」

「それだけ。 まぁ、私は亜人(エルフ種)だから身体が成熟するまで

御主等の倍の時間かかるが魔力は元々強いし・・・ヤるには支障無い。

これでも十分、妊娠は出来る(ニヤリ」

「おいおいおいおいおい(汗」

「イイもんだナ、まともな生体反応のある身体は。それを考えるだけで

・・・はぁん、子宮が疼くゾ(ハァハァ」

「こらこらこらこらこら(汗」

ルーは男の腰に抱きつき、上気した幼顔,潤んだ瞳で見上げてくる。

「疼くんだ。切なくキュって。御主に突いて掻いて欲しくてタマラナイんだ。

・・・・・・あー―、くそっ、これは慣れるまでに時間がかかるナ」

己が性欲に振り回されているのを自覚してるのかルーの表情はコロコロと変り

切なく潤んだり頬を朱に染めたままくやしがったり。

それがまたルーがルーたる幼ながらも永年生きた者の葛藤、魅力を滲み出し・・・

・・・大人なルーの妙齢でも子供っぽい感の魅力に負けず劣らす

「るー、俺は・・・」

呼掛けにルーの視線の先はライの顔に固定。そして硬直。

ライの顔に影がかかり表情の見えない中、

目だけが爛々と輝き男の影がルーの上に圧し掛かり・・・

ドンッ!!!

地響きに大きく揺れる神殿。空かさずライは天井から降ってくる小石からルーを護る。

「・・・・・・ちっ、やられた。」

「どうした?」

「ここには本当に神の欠片・・・もう神級のモノがいる。

奴のニオイが強すぎて今まで分らなかったっ」

ぱらぱらと降る小石を意もせず怒りに身を震わせ

「今は何より、逃げるぞ。 ココは崩れる」

「承知っ!!」

布を巻きつけたルーを抱え二人の得物を持ち、ライは崩れ逝く神殿の中を疾駆する。

瓦礫にぶつかるような事は有得ない。崩壊に脱出が間に合わない事など決して無い。

悠々と脱出した二人の後ろで神殿は完全に倒壊し、

代わって現れたのは人を握り潰せそうな巨大な光るヒトガタ。

それから発せられるのは人の抵抗を一切許さない存在感。

巨人光臨。

「・・・・・・マジか?」

「・・・マジだな、これは。 巨人型か・・・まずいナ」

邪竜型なら辛うじて二人でも如何にか出来ないことはない。

肉体の構成にその力のほとんどを費やしているため障壁も薄く攻撃が透過するため。

そして、その精神構造も獣であるため攻撃的であり神の奇跡が発揮されにくいから。

ルーの魔導で足止めし、ライが援護を受け完全な奥義をブチかまし

弱った処を貫き喰らえば済む。

だが、巨人はいわば始祖神達の模写。

肉体の強度依然に障壁が幾重もあり自身を護り、攻撃自体が受付けられない。

肉弾戦の有効な直接攻撃可能な巨人もしくは竜でない限り。 

そして神の奇跡の存在。 眷属を創るか現象を生み出すか、何が起るか分からない。

「如何する・・・如何する・・・如何する・・・考えろ」

幸い巨人は己の姿に感激しているのか動かず・・・倒すなら光臨して間もない今。

力を付け本格的に動く前に。

だが、こちらも圧倒的に戦力が足りず・・・せめて『セラス』なり子供以外の

他の面子がいれば、隙を作ってもらっている間に一気にケリをつけるのだが。

因みに子供では対し未だ力不足。

「あ゛ー――っ、戦力が、手駒が足りねーっ!!!」

「・・・あるゾ、戦力。」

「何?」

ルーが指差す先は、 ライ。

一応確認のため振り返って後ろを見てみても勿論誰もいない。

「却下。 俺はアレ以上に性質が悪い。 完全な破壊神だからな。」

「知っておるか? ある国の神話には、天で数多の神を殺し至高神をも脅かした

破壊神が追われ地に降り、人の姫を助けるため荒魂の精霊神を制すものがある」

「読んだ事はあると思うけどな・・・それが?」

「私が御主が御主でいられるよう制してやる。神話に準え御主の内に取り込まれて、ナ」

「なお、却下。危険だ。 そのまま喰ってしまうかもしれない。」

「ンナ事、百も承知だ。でも御主は愛する者をムザムザ殺すような男じゃないダロ?

さっきは私が御主の命を預かった。今度は私の番だ。 ほら、奴が動き出したゾ。

覚悟を決めろっ!!」

「何でいつも・・・。 よしっ、やるぞルゥ」

「応っ!!!」

地に突き立てた破壊剣「神狼牙」の柄頭に両手を乗せ脱力し精神統一するライの正面、

布切れをドレスが如く纏ったルーは向かい合い自分より大きい魔杖「魔魂」を揮う。

相方・・・主の一部となり力となって支えんがため。

通常状態から覚醒状態に、ライの瞳は龍眼へ変化。共に身体から溢れ出す黄金の気。

ここまでは未だ人。 人あらざるモノへとなるため、解き放つ。

霧を纏い始めたライに、ルーもまた地に展開した魔方陣を発動させ光柱の中

魔女の時には決して出来なかった己の身体を情報の燐光へと解き解し・・・

二人を覆った霧は更に濃く大きく膨れ上がり、その中に現れる人影。そして霧を散らし

戦龍神、再臨。

その、夜空を思わせる色の鱗甲である刃状の鎧の如き攻撃的な姿は変らない。

だが嘗て降臨した時とは異なり纏う衣は焔の如く。

瞳に宿るのは万物を破壊せんとする激怒の情ではなく冷静な理性の光。 

明らかに違う。

 

自覚は・・・あった。 己の身体に重なり、一回り大きな身体が同調して動く感。

そして内には・・・いた。 大事な玉の如く護るべきもの。

己のサイズは人の倍、巨人に対し余りにも小さすぎるが・・・いける。十二分に。

戦龍神は緩やかに浮遊し、巨人の目前へ。

『・・・愚か者め。 我を讃えよ。我が前に膝間着け。 我は神なりっ!!!』

「さっきまで怯えていたくせにサイズが大きくなっただけで

随分態度がデカクなったなぁ、おい」

『我は神なり。 神なりっ。 神なりぃっ!!!』

巨人が振るう拳に戦龍神は見事なまでに的中。

勢いそのままに吹っ飛ばされ地中深へ埋め込まれ・・・出てくる気配は、無い。

『我に敵無し。 神は無敵なり』

「神かみカミ紙うるせぇ」

『!!?』

巨人の後ろには、殴られた事を意もせずライの仕草そのままに肩を解す戦龍神。

『き、き、貴様わぁっ!!?』

「俺が分るのか・・・飲み込まれずに意思を残したまま神になるとは大したもんだ。

俺は破壊神になっちまったのに。 他力本願で消極的な奴ほど力を制しやすいのか?」

『何言っている。我は神なり。 化けた位で頭に乗るな、矮小な人間がっ!!!』

巨人から放たれた雷や焔,閃光が戦龍神を撃つ

が、その手に生む炎を盾としてダメージを与えるのに至らない。

「矮小な人間なのはお互い様だ。

・・・カタいが攻撃の手がないな。・・・攻撃・・・ふむ」

思案し、翳した手の中で召喚されるのは戦龍神の大きさにリサイズされた「神狼牙」

端より人の身でも対神戦において耐えられるよう生まれた「神狼牙」。

神剣の能力を有するその剣は戦龍神にとってもまたその得物だった。

巨人も戦龍神の真似をし、その手に剣を生み出す。刃のみで戦龍神の倍ある代物を。

戦龍神を両断しようと巨人はそれを揮い

『滅せよ』

「出来たら、な」

『!!?』

護る刃に巨人の剣は熱刃の前のバターの如く両断。

「・・・こっちは時間が限られているんでな、これで終わりにしようぜ」

神狼牙の刃から生まれた炎が刀身となり伸びていく。巨人を唐竹割にして余りあるまで。

それを振り上げ振り降ろし、巨人が白刃取する手よりも早く

斬!!!

『お・・・おお・・・おおおおっ!!?』

それだけであっけなく切断面から内へ吸い込まれるよう崩壊し始める巨人。

せめて、戦龍神を道ずれにしようと掴み潰すため手を伸ばし

「・・・うざい」

胴薙ぎ斬りに崩壊は十字へ。

『わ・・れは・・・か・・・・・・ 』

吸い込まれるように崩壊し、破壊の跡のみを残し巨人は完全に消滅した。

世界から、全ての次元を含め。

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・・・二人デモッテ、ヨウヤク次ノ段階デスカ。 マァ、使エナクモナイデスネ。

彼ラ次第デハ・・・。 ソノ辺リハ頑張ッテモライマショ。


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■ EPISODE 09 ■

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