∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 09 ■
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ライ達が耕し直した畑は既に新たに芽吹始めていた。

三人を養い余りある畑は御陰で近くまで水管を引き世話に苦労しない。

出会いは突然、別れも突然。 

知恵を駆使し細工を施し楽をする。その過程すら楽しんで・・・

「結局、あの人達は何なんだったんだろ・・・・・・」

フューリア、格好をつけて畑傍らの石に腰掛け

どこかの御馬鹿さんが如く無意味に格好をつけ物思いに耽ってみたり。

・・・少なくとも出会うまでは毎日生きるので精一杯でこんな余裕はなかった。

「・・・あほらし」

彼らの正体が一体何であったのであろうと、彼らは彼らでしかない。

野暮用も済んだので帰ろうかな と思ったその時、不意に周囲の気配が消え

先ず、彼女を襲ったのは・・・悪寒。 丸で小動物が肉食獣に狙われているような。

そして、ずんっと振動を立て背後に立つ気配。

「・・・・・・」

動いたらヤラレル。 動かなくてもヤラレル。

嘗てない恐怖にロクに動く事も適わず、突き飛ばされようやく

「あわわわっ」

恥も外聞もなく土が着こうと四這いで逃げるが・・・逃がしてもらえるわけもなく

脚を掴まれグイっと引っ張られ元の位置に戻されては解放。また四這いで逃げ・・・

・・・焦る見た目と違い、内は意外に落ち着き始めていた。

それは元の性分がなせる業か、騒々しくも新鮮だった数日間の御陰か。

しかしそれでも少女の知る限り、奇跡が起きない限り己がこの禍から逃れる術は無く

遊び飽きたか、それは少女の上にのしかかり

「!!?」

重みを感じる間もなくそれは吹っ飛ばされた。

用意されていた奇跡によって。

「やはり外見が醜悪であると、その行いも醜悪になるものなのでしょうか」

「がう?」 さぁ?

声のする方をみれば

蒼に白銀縁の法衣に光刃の大剣を手に天使の如く背中の燐光翼で空に浮くディ少年と

赤に黒縁の衣装に大太刀を振り被る色白の銀髪に緋瞳の少女。夜中目撃した・・・

「天使? あ、貴方達は一体・・・」

「貴方の想像する天使では無い事は確かですね。 危ないですよ。頭伏せていてください」

燐光翼の羽ばたきに舞う燐光の羽毛。そしてディの揮う手に羽毛は矢と化し撃ち放たれ

縫い止められた甲獣の怪物を低く走り込んだ緋に銀の少女が上げ斬り降す刃で袈裟斬り

歴戦の戦士が三下を討つが如く粉砕。

フューリアは現実と思えないその光景をただ呆然と眺めるしかなく

「おっと、拝まないで下さいね。 僕が助けたのは職務ですから」

「わう(大丈夫)? フューリア、怪我、無い。」

唯一分っているのは、この奇跡を用意したのはこの場にいない二人の長だということ。

・・・あと、ルナが狼から人状態に化けたのを見たのは見間違いではないということ。

 

村は既に人の気配がなく、反し神殿にはおぞましいばかりの気配。

「くそっ、もう何か復活しちまったか?」

「今観る。しばし待て」

戦闘服のライの甲腕に抱えられ魔導師のルーは観測のため魔法発動。

「・・・。 安心しろ、もう人は御大らしき奴しか残っておらん。

大方、化物になった連中の餌になったな。 ・・・む!!?」

「如何した?」

「これは・・・馬鹿な、まさか・・・」

何を見たか、ルーは珍しく自失呆然に固まってしまった。

「ルゥッ!!!」

「す、済まん、奴がいる。 いたら・・・雑魚相手でも私は攻撃できん」

奴。ルーが魔女たる悪魔。ルーの契約相手。

「奴? 奴か。だからこんなところでルーが・・・」

悪戯された。

「雑魚は任せる。だが奴が出てきたら・・・御主は引け」

「・・・まっ、善処しましょ」

「今回ばかりはふざけるな。奴は紛うことなく神級の悪魔。御主では勝ち目は

ない。 神の奇跡を受け付けん身であっても・・・・・・」

「ふー―。 感情が許したら、な」

何であれ野放しには出来ない。例えこれが悪魔の戯れだったとしても。

いずれ大火事になりうる小火を。

破壊剣を構え疾駆するライの後をルーはふわふわと『浮遊』で付いて飛んでいき・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

神殿の奥の司祭らしき男はライとルーと対峙していた。

と言っても、背後には死屍累々で汚れた破壊剣を持つ似成す術がない相手に。

「大層な形の割には随分と弱かったな。 騎士見習いには丁度いい相手だったが・・・

・・・さて、懺悔の時間だ。 アンタは何をどんな芸当を見せてくれる?」

「お、おのれ、神の戦士達を・・・天罰が下るぞっ!!!」

「与えてみろ、天罰。 貴様がな・・・・・・」

立つ闘気にやっと目の前に立つ戦士が己とは格が違う事に気付いたか

それでも現実を認めず祈り

「か、神よ、我を助けたまへ」

「だ〜か〜ら〜、縋る前に自分で如何にかしてみろっ!!!」

「ひいいっ!!?」

恫喝に御大のはずの司祭は腰を抜かし、無様に逃げ

「・・・やめとけ、御主にも分っているはずだ。コレは剣を汚すに値しないとナ」

「確かに、値はしないな。 でも確実に火種になるものをほっとけないだろ」

らしくなく無抵抗の相手に対し剣を振り上げ、そして・・・

「らいサン、貴方に其の者を殺させるわけにはいかないんですよ。

これから事を起して楽しませてくれる私のオモチャをね」

男の声にライとルーが振り向けば、シルクハットに燕尾服でちょび髭のフザけた紳士

いかにもわざとらしい格好でこの場に似合わぬ事この上ない。

だが発せられる存在感が桁外れ、それでもそれが氷山の一角でしかなく

畏怖とそれ以上の悪寒ライとルーを蝕ばもうと侵す。

「ら、ライ、逃げろ。今回のコイツは次元が違う。 本気で・・・」

「・・・ふぅー。 俺は裏でコソコソと良からぬ小細工する奴は嫌いだ」

フザけた紳士から護ろうとするルーを押しのけ前にライが出る。

そして、一瞬で居合いを詰めると剣を振り被り唐竹割の勢いで

斬っ!!!

「行き成りとは随分ご挨拶で・・・そんなに

るーサンが私のものであることが気に食いませんか?」

だが、剣は幾重もある不可視の結界に阻まれ男、悪魔を両断する事を構わず寸前で止まり

「だまれぇー―っ!!!」

「私を殺す気ですか? 私が死ねば、るーサンも死にますよ?」

「当分小細工出来ないよう、腕一本もらっていくっ!!!」

怒気ならぬ闘気にライの目が龍眼へと変化。立ち上る黄金の気が剣を伝い、瞬間

ー――っ!!!

貫き振りぬかれ、床に大穴を穿つ神狼牙。

そして流れる、斬られた悪魔の頬から一筋の血。

「危ない危ない、本当に腕一本もって行かれるところでした」

「ちっ」

横薙ぎで悪魔の胴を狙うが、既にその場から悪魔の姿は霞の如く消え

・・・貴方の存在は厄介ですね。 少し力を削らせていただきましょう。

心響く声に咄嗟に振り返ったライの視線の先には、事態に硬直したままのルー。

「・・・っ!!? やらせるかあああああっ!!!」

以上の速さでライはルーの元に跳び込み、それからルーを庇う。

そして、二人の姿は世界から消えた・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ルーが最初に認識したソコは何もない世界、異空間だということ。

どれくらい時がたったか、不意にその存在が出現した。

例えるなら、光る闇、矛盾。混沌。 この空間においての姿をとる悪魔。

『その姿は? ・・・らいサンが手応えがナい上に貴女の場所を

認識出来ないと思えバ、そうイうことデすか』

「ライに何をした。ア奴は関係ない。元の世界に返せ」

『もう、手遅れでスよ。 彼はこの通リ』

と投げ渡したものは拳大、黄金の宝玉。 透かせば、中に見えるのは封印された・・・

「貴様・・・いくら貴様といえど許さんぞ」

『ソレを私に渡してクれれば彼を元の世界へ戻しテもいいですよ』

「・・・ソレ?」

『貴女を護り、その姿に至らシめているモノです』

「???」

『知らなカったのですカ?』

呆れ混じりため息一つ悪魔が出した等身大鏡に映ったルーの姿は 全盛期、妙齢の娘。 

衣装も無意識のうちに膨大な魔力で作り変えたか、サイズがあったもの。

内には葛藤,暖かい感情と共に様々な想いに包まれ『力』が在る事を認識した。

「・・・なおの事、渡すわけにはいかない。

ライの願いに反し私の命と引き換えになったとしてもナ」

戦う意志にその手に召喚される魔杖「魔魂」。

幼女姿では大きすぎるそれも、今の身体には振り回し扱うには丁度良い。

そして召喚されるのはもう一つ、今は主無き「神狼牙」。

剣を右手に杖を左手に

「もう何も恐れはせんっ!! 貴様との関係、今日で終わりにしてくれるっ!!!」

『では、契約は破棄といウことで・・・なーんテ事を私が言うとでも思いましタかっ!!』

「!!?」

一瞬で、ルーは空間から現れた無数の触手に四肢を絡め取られ両手の得物は弾き

飛ばされてしまった。 そして、ローブを切り裂きアンダースーツのみの姿に。

『二度と私から離れル気にならナいよう快感を仕込んであげまショウ』

「へ、変態めええええっ!!!」

絶叫のルーの女陰に細い触手が前戯無く次から次へと挿入されていく。

女陰だけではなく肛穴も周囲の皴をなぞりつつ潜り込んでいく。

よがらせる間も無く無く開いた唇の口の中にも触手は入り込み、奥へ。

瞬く間もなく触手は腹腔を犯し粘膜に先端を突き立て嬲り、瞬殺即姦。

アンダースーツのレオタードの中も、潜り込んだ触手が柔肌を掻き

妙齢でも儚乳を絞り上げ、臍を嘗め回す。

ルーはただ涙を流す目を見開きビクビクと痙攣し、孔からは液を流し・・・

『クックックッ、気持ちイイでしょう? 臓物が裏返る程。

決して届かぬ内臓まで犯されてイますからネ。 タップリ楽しンで下さい。

精神が崩壊するまで・・・』

「・・・いつまでたっても貴様は相変わらず趣味が悪いナ。

全く反吐が出る。 私自身を見ているようで・・・」

声の先は犯されているルーではなく、全く違う場所。

共に陵辱されているルーの姿が透け始め・・・触手が隙間を隈なく犯しているのが見え

触手をその形のまま残して完全に消えた。

『悪魔の私を偽るとは・・・』

「貴様は3つの間違いを犯した。

一つ目は貴様自身の力を過信した事。

二つ目は私を甘く見たこと。

三つ目はライが私に『力』を託した意味を考えなかったことっ!!!」

ルーの杖揮う動作に悪魔を包囲し立体魔方陣が展開。

そこから生えた焔の重鎖が四方八方から悪魔を呪縛。

『!!?』

「御得意の空間転移で逃れる事は出来んだろ。これはライの『力』を

私の魔導で指向性を定めたものだからな、神をも封印する。 そして、

これで縁切だっ!!!」

そしてルーは杖を捨て飛び込み、上段構えの神狼牙を振り降ろし

己の魔方陣ごと悪魔を縦真っ二つ斬り裂いた。

『やハり人が人を想う心、愛の力は偉大でス。

今貴女は初めテ会った時より素晴らしくイイ顔をしテますヨ。

免じて今回は大人しく滅びまシょう。 いずれ、また・・・』

霧散する光る闇。それと共に空間も微震動を始め

ルーと宝玉に封印されたライは異空間から元の世界へ・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ライが最初に感じたのは後頭部に柔かい感。 感触からして女性の膝枕か?

目を開けてみれば、ライと同世代の感の女性が心配そうに覗き込んでいた。

今まで会ったことは無い。しかし面影はしっかりある。

「・・・・・・ルーか?」

「流石、御主だナ。一目で分るとは・・・」

「成長しても胸、無いな」

ゴンッ

ライ、後頭部を石畳に強打。 暫くのたうち回っているので休題。

・・・・・・・・・・

沈黙の中、二人の男女は座り向かい合う。

「・・・結局、解約してしまったのか」

「気にするナ。前々から考えていた事だ。

永遠に御主の子を見守っていくか、一か八かに賭けるか

マァ、負債が姉さん女房ですんだんだから良しとシロ」

「んー、でもギャップがなぁ。ロリ幼女から行き成りコレだからなぁ」

「やっぱり御主はロリコンだったのか? むぅ〜〜〜(悩」

「安心しろ。俺は別にルーがロリだからす・・・(ゴニョゴニョゴニョ」

ライは言葉につまりソッポを向き、照れ入ってます。

「ん〜〜何を言ってるのかナァ? オ姉サンに聞こえるように言ってミロ」

「いえるかっ!! くそっ、余計性質が悪いな」

「はははははっ。 さて、さっさと片付け帰って楽しも、!!?」

と機嫌良く立ち上がろうとした大人なルーはバランスを崩してライの懐に倒れこんだ。

「はぁ、子供から行き成り大人の身体だからな(呆」

「・・・・・・あ、足を見てくれんか? 感覚が・・・ないんだ」

「足? 痺れ・・・」

視線の先ルーの足は既に霞みの如く消え、手もまた。 消滅の侵食は進行中。

支えてやらなければ身体を支える事も出来ない。 だからルーの身体を抱き支え。

ルー自身も己の状況を察した。

「・・・ははははは、確かにこの程度でン百年の負債を支払いきれるわけないナー」

「ルーっ、俺の『力』を奪え。今なら間に合うっ」

「どーだろーナー、奪ったところで御主が使いモノにならなくなるからナー」

「俺はそれでも構わないっ。 ルーを失うよりはっ」

「・・・やっぱりダメだ。御主はもう皆のモノだ。私一人で独占は出来んよー」

そうしてる四肢は完全に消滅し、胸辺りも透け始め

「如何すりゃ・・・」

「オタオタするナ。 私は御主に、ライに出会えて幸せだったんだから。

・・・・・・だから、ナ? そんな情けない顔じゃなく笑って見送ってくれ」

「そ・・・そんな器用な真似が俺に出来るか」

「だナー。

あー御主の子、産んでみたかったナ」

そして腕の中は軽く、ルーの姿は完全に霧散してしまった。

目は涙で滲み、最後をしっかり見届ける事すらできなかった。

「・・・・・・畜生。 ・・・これだけは慣れないな、・・・絶対。」

ライは無防備な体を曝し、声なき慟哭に崩れ伏したまま動けない。

願わくば、我に刃を向けよ。

願わくば、我の首を刎ねよ。

願わくば、我の命を奪え。

けれど、きっと殺意ある者が近づけば心に関係なく身体は動き相手をねじ伏せる。

では、殺意無い相手は?

不意に、行き成り背後に空から現れたかのよう立つ気配。

・・・悪魔がトカゲの尻尾きりで生きている事ぐらいは知っている。

大方、余りにも哀れで慰めに来たか? 奴には妙に人間臭い処があるから。

でも許さない。 八つ当たりでも奴は滅ぼす。 決定。

「貴様っ!!!」

瞬間立ち上り振り返ったライはそれを見逃し本来首がある辺りの虚空を掴み、スカ。

「・・・御主、何をやっておるんだ?」


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■ EPISODE 09 ■

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