■ とある騎士団の日常 ■
〜The Chivalry,s daily〜
EPISODE 06
Lio Go Home
錬金術の主な作業は、物質の分解,融合、出来た生成物の観察,解析である。
この「分解」「融合」を手っ取り早く行う事が出来る魔法は、無生物は勿論、生物に対しても使用可能であり、
異様な強さを誇るキマイラ(合成魔獣)は、コレによって造られたのではないと言われている。
無論、こんな手段より本来の時間が掛る手段を用いたほうが無理無く良質のモノが出来る。
もし、波長の合う勇者達が己の意志でもって精神統一(シンクロ)してコレを行えばどうなるか?
伝説に登場する龍戦士,戦天使などが単体で神クラスのモノと渡り合うことが出来た事がその回答。
つまり、異なる二つの力を呼び水に「力」の加足,倍掛どころか相乗のパワーアップも可能・・・
伝説では龍戦士,戦天使達は闘いの後、悲惨な最後を迎えるか姿を暗ます事で幕を閉じている。
要するに「融合」の魔法のプロセスは、
術者達自身の分解,融合の「合体」、
その融合体の精神,肉体の「制御」、
融合体から術者達の身体を術前の状態に分ける「解除」、
一定値まで魔力,精神力が落ちた時、術者が元に戻れなくなる事を防ぐ「自動強制解除」
・・・等々々が必要になってくる。
「何か質問はっ?」
「「・・・・・・・・・・・」」
都市シウォング外れ、極星騎士団屋敷の書庫
魔導師ローブ姿のロリ美幼女(見た目だけ) ルーがアレス&リオの前で教棒を手に暴れていた。
事の始めは、特色、切り札の無い二人に何か奥義を編出そうとなったのだが・・・
当然、二人は質問できるほど理解している訳ではなく、米神に汗を浮かべつつ顔を見合わせる。
「・・・ん。では、作業開始っ!!」
二人は魔導書と書類に埋れつつ魔法の構成に取掛かった・・・
・・・そして、二人は長時間懸けてその魔法を創り出すが
「・・・・・・魔導式がつながってない。 却下、リテイク。」
ビリビリビリビリ
「「あ゛ぁ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」
疲労を顔に浮べたアレス&リオの目の前、長時間の努力の結晶は無残にも紙屑と化した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コレを繰り返す事、数回
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お疲れ〜〜、夜食持ってきたぞ〜〜」
悲壮な二人に、お盆の手にライがやって来た。小鍋から立ち上るシチューの湯気が美味しそう。
ちなみに、鬼教官ルーは机の本を枕にそれを涎で汚している。
起きればサゾカシ愉快な顔になっているに違いない。
「ライ団長ぅ、ルーさん厳し過ぎますょぅ(泣)」
「俺じゃなくて、彼氏に泣きつけよ(グリグリ)。」
「アレス君、慰めてくれないです。アレス君に何か言ってやってください。」
慰めて欲しいのはお互い様。
「・・・・んな事言ってぜ、彼氏。偶には彼女も可愛がってやれよ。」
「・・・済みません。今、それドコロではないッス。」
アレスは完全に嵌り状態。冷やかしにすら反応しない。
「・・・二人で協力してかんばろうな(グリグリ)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まあ、ルーが厳し過ぎるのは仕方がないな。こればっかりは、冗談抜きで命に関ってくるから。」
二人はコレを完成させるため本業魔導師並の魔法の勉強を強いられている。
「例えば、俺の奥義魔法。あれを完成させるまでに何度も自分で実験して、
何度失敗の繰り返しで死にかけた事か。実際、未完のモノを実戦で使って死んだし。」
「「はい?」」
「あ〜〜、いや、ルーがOK出してくれるという事はお前達の命が保証されたという事だしな。
それまで、チマチマとやってくれい。」
「・・・・・・・・・・(ガクッ)」
「え〜〜〜〜〜〜ん(泣)」
あまりにも騒がしいのでルーが身じろきし、やっぱり愉快になった顔を上げる
「やぁ ルー、おそよう。」
「・・・・・んぁ、御主、来てたのかぁ?」
「まあな。はい、じっとして。顔拭くから。」
フキフキフキフキ
「ん〜〜〜〜、すまんナ。」
こうしているとライとルーは実に羨ましい男女関係に見える。
何も知らない人には仲の良い親子ぐらいにしか見えないが。
「さぁーー、スッキリした処でサクサクやるぞ、サクサク!!」
するのは元気で御機嫌なルーではなく、夜食と小休止で多少回復したとはいえ疲労したアレス&リオ。
二人の恨めしい眼から逃げる様にライは撤収。
そして、二人は総合して数十時間,数日懸けてルーから及第点をもぎ取った。