∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 04 ■
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力が入らない男の身体はとてつもなく重い。シエルはライを半ば引き摺り

「動け、動くんだ」

「・・・お、俺は・・・いい・・・行け」

「そんな事出来るか。見捨てるくらいなら一緒に死ぬっ!!」

「ば・・・か・・・(かくっ)」

「ライっ!! もう少し、もう少しなんだ。前に進んでくれっ!!」

二人に迫る生屍。

だが真空波が、神聖魔法の炎が、魔力が篭った無数の矢が、ソレ等を薙ぎ払った。

カイン,アルシアと自警団で弓が使える者達。

自警団はアルシアの魔法支援を受けてそのまま生屍を牽制しつづけ

カインが二人に近づき

「さあ二人とも、さっさと逃げるよ」

「助かる。しかし何故っ?」

「ココに亡者が集まれば町で息を潜めている必要はないんじゃないかい?」

御尤も。だから作戦と違い揃って応援に来たと。

3人が領域から出、

「さあ亡者ドモ、私等が生きていく為に滅びろっ!!」

ルーの叫びに魔法発動、魔方陣が空を走り、

それと共に巨大な結界がクレーターを囲んだ。そして

轟っ!!!

中で炎が全てを飲み込んでいく。 これでもう生屍が暴れる事はない。

「ふぅ・・・ただ生きたいだけなのに・・・か・・・」

轟炎に照らされ

座って後からシエルに抱締められ支えられながら漏らすライの眼に一筋の光が流る。

やがて燃えるものが無くなり炎は鎮静していった。

焼跡、生屍の殲滅を確認して撤退しようとした。その時

「うわぁ、まだこっちに一人いる!!」

「ね、ネーシャさん!!?」

響く叫声にライは疲労し切った身体に鞭打って立たねばならない。

自警団員達が一体の生屍を距離をとって円陣で取り囲み。

「ここは俺が」

「しかし・・・」

「俺じゃなきゃ駄目なんだよ」

円陣の中へ得物も持たずにライも入り

「・・・・・・俺は未だ死ぬ事を許した覚えはないぞ、ネーシャ」

死して間もないためかまだ腐敗が始まっておらず全身傷塗れの骸を曝す娘は

虚ろな瞳でライに迫る。

「・・・来い。俺が引導を渡してやる」

腕を広げた処へ襲い掛って来たネーシャを

肩を噛まれる事も意にせず優しく抱締め

「もう、楽になっていいぞ」

囁きにライの腕の中、娘の肢体は燃え上がり空へと熔けて逝った。

生屍には無い安らかな表情で・・・・・・

「何故ライは無茶ばっかりする?」

「それが俺の仕事」

「もう御主だけの仕事じゃない。私達、のだ」

「ふぅ、疲れているんだ。説経は勘弁してくれ」

「あははは、二人にはその権利があると思うよ。まあ、頑張って」

「そうねぇ。今回は御三人で楽しんで頂戴」

カインとアルシアは退散。

で、座り込んだライの前には並んで仁王立ちのルーと胡座をかくシエル。

二人揃って目尻を上げ

「大体、御主という奴はだナ・・・(ガミガミガミガミ)」

「そうだそうだ。ルーの言う通りだ・・・(ガミガミガミガミ)」

「う〜〜わぁぁ〜〜〜〜」

どんなに辛くても心配してくれる人がいるから頑張れる。

「「真面目に聞けっ!!!」」

「う〜ぉ〜〜」

多分。


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■ EPISODE 04 ■

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