■ とある騎士団の日常 ■
〜The Chivalry,s daily〜
EPISODE 04
「 そして…」
何故、ライは一年持つ計算を4ヶ月まで縮めたか。
その解答はライが旅立ち3ヶ月過ぎて頃に見え始めた。
魔獣総数の大幅減少により一個体辺りの食糧の増加。
それはその個体達の格上げ(ボス格の増加)に繋がり、さらにそれより
そのボス格の子の大量増加,全体の格上げにへと繋がる。
恐るべき、環境順応性と繁殖力,成長力。
「正直ライの野性的直感には腹が立つナ。今いたら首を締めてやりたいゾ(呆」
「でも、ルーがその事に気付いたから犠牲者を出さずに済んでいるんだけどね」
「ライって偶に人を試す真似をするよのよねぇ・・・本当何故かしらぁ(怒笑」
それはアルシアの考え過ぎ。単にライが詳しく言い忘れただけ。
村人の報告結果よりルーが推測した事と同じ事を。
「何にしても準備を始めなければならないだろうナ」
準備とは勿論、以前より激しくなると予測される魔獣襲来に対する。
それでルー,カイン,アルシアだけのの話し合いは幕を閉じた。
まだ村人達にこの事を知らせてはいない。混乱を招くだけでしかないから・・・
国に入って早々
「いたか?」
「いや、こっちには来なかった」
「マズイ、非常にマズイぞ(焦」
その茂みの前、兵二人は話し合い駆けて行った。で、その茂みの中には
「・・・・・・・・(ドキどきドキどき)」
息殺し周囲の様子を覗うライ。 出国は後を考えなくていい分、簡単だった。
しかし入国以降はソレがバレたせいで厳しい警戒。
兵といえどウッカリ倒そうものなら居場所がバレ、
あっという間に包囲されてしまう。
現についさっきまで包囲されていた訳なのだが・・・
「ちっ・・・(イライライライラ)」
急ぐ時に邪魔される事ほど腹立たしい事この上ない。
いっそう皆殺しにしたろかと考えてしまう程。 でも、ソレをすれば村まで危険に。
・・・・・・ここで一つ問題です。
明後日の方向へ派手に動いて行けば包囲網はどうなるでしょうか?
「・・・(ニヤリ」
哀れ一般兵,その他騎士の皆々様。
・・・・・・・・・・・・
「オラオラオラー―っ、ライ=デステェイヤー様のお通りだー―っ!!!」
「うわああああっ!!?」
「ひっ、ひいいいっ!!」
「た、助け、オゴッ!!?」
立ち塞がる一般兵,騎士達を甲拳で殴り倒し、逃げる兵を後から蹴り倒し・・・
当分戦闘出来ないよう、刃向う気が無くなる徹底的に。
繰り広げられる阿鼻叫喚の地獄模様。
其処へ立ち塞がる十数人の騎士達。
「無駄な抵抗は止めろ、ライ=デステェイヤーっ!!!」
「ほほぅ、正義の味方 虹凰騎士団の諸君か。・・・女騎士様の団長はどうした?
ケケケケケ、俺にやられたケツが未だ疼いて会いたくないってか?」
「き、貴様ぁー――っ、クリスティン様を侮辱するかっ!!」
抜き放たれる怒刃。対しライも『龍腕』に『神狼牙』を手に取り
「試しには丁度イイ。まあ多少手加減はしてやるが
・・・・・・死んだら諦めろよっ!!」
試さなくても具合は分るが本番に備えて訓練はしておきたい。
そう、自分を狙う連中ですらライにとっては練習相手でしかなかった・・・
そして虹凰騎士団本隊がたった一人の男におちょくられ逃げられ、一晩が経ち
朝、ライが向っていた方向とは全く違う明後日の方角へ疾駆する騎馬がいた。
人気の無い街道、その騎馬に立ち塞がる一人の女騎士クリスティン=リ=ラプレス。
その前で騎馬は立ち止まり、
「今日は御供なしか? しかし、よくもまあ俺の考えが分ったもんだ。」
ライは馬から下りる。今度は真面目に女騎士の相手をしてやるため。
「・・・一連に貴公が何らかの目的がある上で動いていると考えれば、
次の行動は自ずと見えてくる。 答えろ。いや、答えて頂きたい。
私が調べた事は・・・本当に真実なのか?」
「俺にその質問を答える義務はない。君が自分で調べた事を信じるか、
人から聞いた事を鵜呑みにするかは君の勝手(ピッ)」
「何故否定しない!!?」
「ふっ、俺が否定したらそれを信じるか?」
先ず、誰も信じない。総司令部軍公式発表と元守護騎士、信じるのは・・・
「うっ・・・そ、それでも」
「無駄だな。黙殺されてそれで終り。みんなの願いは無駄になる。
それに俺自身、人にイイ様に利用され玩ばれるのは御免こうむる。
・・・退け。 それとも全てを知った上で、まだ俺と戦うか?」
「・・・た、闘う。それで貴公の正義を私に示して頂きたいっ!!」
「ふぅ、正義というほど大層な物じゃないさ、クリスティン=リ=ラプレス。
一応死なないよう加減はするが・・・手は抜かないぞ」
『神狼牙』を鞘ごと地に突き立て、『龍腕』だけで構える。
「・・・貴公、その剣を使わないのか?」
「必要になったら使うさ。使われる前に倒すつもりでこい(クイックイッ)」
「わかった。・・・うおおおおおおっ!!!」
戦叫を上げて斬りかかって来た女騎士の剣、連斬を交し避け
「パターンが単純っ!!」
打打打っ!!!
「うっ、くっ、痛ぅぅ!!」
一言発し、空かさず甲拳や鞭蹴りを精密度で板鎧が無い所へ叩き込む。
それでもクリスティンは倒れない。
「ほら、来い。 始ったばかりで終らせたくはないだろう?」
「うっ、うおおおおおっ!!!」
再び戦叫を上げ向って来た女騎士へ、ライは容赦なく打撃を叩き込み
・・・何度打撃を喰らっても立上がって来る女騎士へさらに打撃を叩き込み
今やライの前に立つ女騎士は立つ事だけで精一杯。
「お嬢のくせにそれだけ喰らってまだ立つか。・・・今、イイ目をしてるよ」
「私は、まだ・・・」
「解かった。俺も時間がもったいないからな・・・もう、この一撃で終わりだ。」
『神狼牙』を鞘から抜き放ち。
「構えろっ!! 踏ん張れクリスティンっ!!」
叱咤に、女騎士は疲労困憊の身体で構え 残る気を振り絞り雄叫び
「う、おおおおおあああああっ!!!」
瞬間
斬っ!!!
「!!!??」
その一斬撃に剣は折れ鎧は砕散り、女騎士は一撃を与えられた事も解らず吹飛んだ。