ライが己の武器探しの旅に出て数日後、村は周囲に魔獣の気配もなく平和その物。
本当、もう二度と魔獣の心配などしなくてもいいかのように。
だがそれは一時的なものでしかない事を皆が知っている。
それはさて置き、今度はカインがライと同じ悩みに直面していた。つまり
「『ヒールウェポン』(鍛治し)を出来ん事もないが気休めしかならんぞ?」
「気休め・・・それだと意味がないね。」
ルーの返答に珍しくカインは意気消沈してしまった。
先の戦いで破損した愛用のハルバードを魔法なりで如何にか出来ないかと
相談しにきたのだが、思った通りの結果だった。
例え修復出来た処で対魔獣決戦に耐えられるかも疑わしい。
だからライ同様に武器探しの旅へ・・・と行かずとも武器に心辺りはある。
話変り、何故この国では「クラウス」の氏名が多いのか。
それは古の救国の勇者の名前が「クラウス」。
そしてカインはその直系の子孫だったりする。そんな証拠は何処にあるのか?
先祖代々から実家屋敷に伝わる、四聖獣の名を冠する武具。それが何よりの証拠。
白虎牙(タイガファング) 白虎の刀
玄武甲(ブラックシェル) 玄武の鎧
龍爪(ドラグシール) 青龍の爪長盾
凰翼(バーミリアス) 鳳凰の斧槍
その四つの武具がカインの実家で使手もなく飾られていた。
だが、それが複製だという事と本物の所在, 既に白虎牙が現存しない事を
現当主の父親・・・ではなくカインのみが知っている。
「・・・・・・ルー、僕が半月程留守にしても大丈夫かな?」
「まあ、今の内なら全く問題ないが・・・如何した行き成り考え込んで」
「うん、ちょっとある事を思い出してね。」
「御前の事だドウセ女の事だろ。遠地にいる女にでも会いたくなったか(笑」
「まあね。 うん、精霊の娘をナンパしたいんだけどイイ方法はないかな?」
「・・・・・・熱は無さそうだな? 邪まな御前が精霊のナンパなんぞ
成功するはずが無かろう? そもそも精霊とは純粋な存在なのだ」
故に本心を隠し偽る者に靡く事はない。
「そんな事ぐらい僕も承知だよ。でもね、僕も力が欲しいんだ。
足手まといに成らない為にも。」
「精霊憑きの武器か。 ・・・昔は大義のためあえて悪となる輩がおってナ、
そんな道化師でも精霊憑きの武器を有してた。出発までにその準備してやろう」
ライが旅立ち間も無くカインも他に誰も知られるとも無く旅だった。
ルーから或る魔法を封じた魔玉を預かり、寄道なし王都往復の旅。
己の武具を手にするため。
話はカインの少年時代まで遡る・・・
その少年は母性本能を擽る美優ルックにイタズラ小僧の本性。
そのため色々イタズラをしては父親に叱られ宝物庫に
バタンッ!!
少年の目の前、重い扉が父親の手によって閉じられた。
もうこれで小一刻メイドが開けてくれるまで出られないだろう。
それがわかっていても少年の顔に反省の色は無かった。
「・・・・・・まあ、いいかな。」
その程度で反省するようなら初めっからイタズラなんぞしない。
それにココには歴代当主のガラクタ、もとい宝物がしまい込んである。
子供にとってはこれほど面白い場所はない。
だからいつものように探索をしようと・・・して一番奥に鎮座してある箱と
その上に腰掛けている女性・・・少年同様金髪碧眼で妙齢の長い貫頭衣に飾板鎧姿
そして向う側が透けて見えている・・・に気付いた。
「お姉さん、こんな処でなにしているの?」
行き成り話しかけられ驚く女性。いや、己の存在に気付いた事に驚いている模様。
(・・・君は私の姿が見えるの?)
「少し透けているけど・・・見えるよ。」
(・・・そう。それなのに恐くないの? 亡霊かもしれないのに)
「う〜ん、何か寂しそうだったから其所じゃなかったんだ。
ねえ、少しお話しようよ。 僕、今暇なんだ。」
恐怖を感じるより先に、暇云々より、
ただ彼女にそんな寂しそうな表情をしていて欲しくなかった。
(・・・ええ。)
「僕の名前は・・・・・・・・・・ お姉さんの名前は?」
(・・・ヒルデ、ヒルデ=ヴァルア)
その彼女の微笑みを少年はずっと見ていたいと思い・・・
いつの頃だろうか彼女に会う事が出来なくなったのは。
そう、彼女を寂しさから解き放とうと片っ端から古文書を調べ、その存在を知り、
決意を伝えた。 所有者となり、いずれ彼女を呪縛から解き放つと。
直後、今まで彼女の存在だけが記憶からサッパリ消えてしまっていた。
そして今、再び彼女と会い見えるため帰って来た。
人知れずコッソリと王都へ入り、自分の実家の屋敷に忍び込み
今カインが居るのは屋敷の宝物庫。 目の前にはアノ箱がある。
手の魔玉をその上に置き、
『精霊よ、求めに応じ姿を現せ。』
カインの言霊(キーワード)に魔玉は砕け散り、床を走る魔方陣。
その魔方陣の中央、箱の上に座る女性が 精霊戦乙女ヒルデ=ヴァルアが具現化。
「・・・久しぶりだね、ヒルデ。約束を果たしに来たよ」
(何者も我に触る事適わず。 この場より失せなさい。)
精霊にはその存在理由と現在しかない。故に拙い記憶は残る事は無い。
やはりヒルデには少年カインとの記憶はなかった。 それでも
「ナンパ師として、・・・男として君を諦めるわけにはいかないんだよ。」
ヒルデの頬に触ろうとして、瞬間
ザシュッ!!!
「うぐっ・・・」
服,皮膚を無数のカマイタチで斬られて己の血の霧に包まれ思わず後ずさり。
精霊が具現化している今、ヒルデは武具そのもの。
武具を有するためには試練を乗り越えねばならなかった。
もし、試練を乗り越える事無く触れば切り刻まれ・・・
初代以降、試練の内容が解らない以上誰も武具を有する事が出来ず、
結果複製が造られ表向きそれが受け継がれてきたのだ。
(今諦めれば死ぬ事もないでしょう)
「僕は、一度狙った獲物は逃さない主義なんだよ」
(・・・愚かな。)
「愚か・・・おおいに本望だね。美女の胸の中で死ぬ事が出来れば」
ザシュッ!!!
再び切り刻まれるが、そのまま進み
「・・・捕まえたよ。やっと・・・やっとね。」
(・・・放しなさい)
その手首を捕まえた。 だがその間もカマイタチが
(・・・放しなさい。このままだと本当に死にますよ)
「いったじゃないか、君の胸で死ぬ事が出来れば本望だってね。
まあ、多少心残りはあるけれど・・・」
致命傷は無くとも大量の切傷から出血で薄れゆくカインの意識。
そのカインをあたかもカマイタチから護るかのようにヒルデは抱締め
止むカマイタチ。
不意を突くようにヒルデへ
(ん・・・)
逃げられない、いや逃さない。
若干抵抗する彼女を優しくしっかりと抱き、仰け反らせる様に畳み込み。
ナンパ百戦練磨のカインに、生娘のような精霊ヒルデが勝てるはずがない。
ヒルデの脚の間に腰を割り込ませ、箱の上に寝かし
顔を離すと其処には、頬を染め期待とも怯えとも取れる表情を浮かべる戦乙女が
「ヒルデの全て、僕が頂くよ」
(い・・・や・・・)
フルフルと顔を振っても説得力がない。
本当に否なら抵抗し、カマイタチで微塵切りにでもすればいい。だから
落ちた♪
飾板鎧の下、貫頭衣の上から両手で両乳房を弄り・・・慣れない肉体の快感に
(あっ・・・んっ・・ふあぁ)
すぐに艶やかな唇からは切ない吐息が漏れ悶え、瞳を潤ませる。
そして次第に股を閉じようと貫頭衣の両スリットから出る脚をモジモジと・・・
「・・・切ないのかい、ここが?」
(っ!!?)
戦乙女が気付た時にはもう遅く、前を捲られサイド紐の下着を剥き出し
上からその部分をカリカリと
(ひっ、ひあああ、あっ、あっ、あっ、)
「可愛いよ、ヒルデ♪」
守ろうとしても男の手首を持つ事しか出来きない。
女体が悶え跳ねる合間に飾板鎧を剥ぎ取り、乳房 貫頭衣の下から乳首が押し上げ
(も、う、だめっ!!)
ビクんッ
瞬間、戦乙女の身体が前のめりに硬直してカインの手首をギュッと握り
下着にジワァとシミが広がっていくのとともに身体から力が抜けてイった。
「ふふふ、もうイってしまったのかい? お楽しみはコレからだよ・・・」
脱力し惚けている戦乙女からもう用を成さない下着を糸を引かせながら奪い捨て
モノを出し狙い定め、
ズンっ!!!
(ひあっ!!!)
脱力しきった処を戦乙女の狭さを感じる事なく一気に貫く。
それに仰け反り・・・恐る恐る自分の下半身を確かめ
「・・・行き成り過ぎたかな、大丈夫?」
(・・・・・・)
コクコク
過剰な快感にビックリしたらしい。
ナンパ師だけあって、如何すれば彼女が一番気持良くなれるか分かった。
彼女の腰をしっかり掴んで、ゆっくりと柔壁を強く掻き
ず、ず、ず、ず、ず
(ん゛ん゛ん゛ん゛・・・はーっ)
眉を顰め快感に身体を強張らせ、動きが止まると深い溜息。それを繰返し・・・
・・・・・・・・・
(も、もう・・・)
「・・・イきたいんだね?」
コクコク
「解ったよ。一気に」
ずっず、ずっず、ずっず、ずっず、
(ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ・・・・んっん゛ー―――っ!!!)
瞬間、美脚が男の腰に絡み付き秘道が中の占領者を締め上げ
ヒルデは思わず抱き付き、間の後その身体から力が抜けていく
「おっとっ!!」
女の子に苦痛を与えないというのがカインのモットー。
ぶつかる前に抱き直し・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
光る魔方陣の中、カインはヒルデ抱締め
もう直夜明けと共に魔方陣は崩壊し、ヒルデと会えなくなってしまうだろう。
「一晩限りの情事か・・・」
(・・・本来、私のような精霊がこれほど意思を明確にして
・・・・・身体を・・・交える事はありません)
「慰めてくれるのかい? うれしいね・・・」
(んっ・・・例え、貴方と触れ合う事は出来なくなっても
・・・私は貴方と共にいます)
崩壊して逝く魔方陣、霞んでいくヒルデの姿。
「いずれまた会おうよ。・・・その時に・・・さ。」
(はい・・・)
二人は接吻を交し・・・・・・唇の感触だけが残った。
「・・・・・・さて、・・・と」
いつまでも感傷に浸っているわけにはいかない。
箱を開け・・・確かに其処には本物があった。 飾られている物と寸分違わない、
しかし 今燐光を放ち力を示している武具が其処に。
その内の一つ、斧槍 凰翼を手に取り握り具合を確かめる。
・・・まるでカインの為に誂えたかのような感触。
「・・・その時まで共に戦おうよ。」
カインの言葉に応えるように凰翼を取り巻く燐光が瞬き、全て消えた。
もう彼女は戦いの中でしか応えてくれない。
再び片付け携え、一路帰路に。
・・・カインが帰ってきて、ルーとアルシアは開口一番。
「やっぱり口説き堕して来たナ。賭けにすらならん」
「精霊の娘まで堕としちゃうだなんて流石カインねぇ」
「・・・もしかして、二人とも賭けをしてたのかい?」
「賭けにすらならんといっただろ? 二人とも堕す方に賭けてしまったからナ」
「仕方がないから、もしフラれた時は二人で慰めて上げるて事にしてみたのぉ」
つまり、二人とも端っから失敗するとは思っていなかったと。
「ははは、参ったね。君達には・・・」
彼女も共に苦笑いした気がするのは彼の気のせいだろうか。