ベットの上、肌着のみで弱弱しく魘されるフェイがいた。
そのフェイの白陶磁のように白い御腹に手を当てると・・・
確かにその筋肉の奥、細かく蠢くモノの存在を感じる。
「マジかよ・・・」
拳が白くなるほど握り締められ、歯を食い縛る。
自分にフェイを殺す事が出来ないのは端から承知。
一層フェイを連れて迷宮奥深くで二人一緒にとまで思ったのだが、
フェイの容態はそれすら・・・
「・・・どうしたの、ライ?」
「!!? ・・・なんでもない」
「ライ、寒い」
ライはベットに座り、腿の上に力ないフェイを座らせ抱締めた。
そして何故か、手の届く枕元に置いてある短剣「愚者慈」
「さ、寒い、苦しいよぅ。私、このまま、死んじゃうのかなぁ」
嘘は着けない本当の事も言えない。
苦痛に震えるフェイをただただ優しく抱擁することだけ。
余りにも酷い。何の罪のないフェイが何故苦しまなければならない
ガタガタブルブル ガタガタブルブル
「わ、わた、私、死にたくない。まだ死にたくない。死」
これ以上苦しむフェイを見ていられない。思わず「愚者慈」を逆手持ち
フェイの背に突き着けられた短剣はそのままフェイの心臓を貫き
「んっ・・・・・・ごふっ」
「あ!!?」
何か喋ろうとしたフェイの口から零れる鮮血。
今してやれる唯一の事、ライは瞳の光りを失う前にフェイの唇にキスし
フェイもゆっくりと瞼を閉じ・・・・・・・・・・・・・・・
意識を取り戻したアルシアが駈け付けた時
命が抜けた少女の身体は
さっきまでいた男の体温でまだ暖かく
少女の寝顔には幸せの微笑みが