∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 02 後編 ■
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「持金の減りが早い」

ギクッ

「そもそも何でもう半分しか残っていない? 俺は全然使ってないぞ。」

ギクッギクッ

半分と言ってもつつましく生活すれは可也長い間働か無くても生活できる金額。

事の始りは、大きい街に着いたのを機に宿でライが残金整理を始めたのだが・・・

「まだ沢山残っとるし全然心配ないと思うがのぅ」

「・・・俺達の旅はいつまで続く?」

「うっ・・・」

「それ以前に一体何に使った?」

「さ、酒代かのぅ・・」

「ゴリ、当分禁酒(ビシッ)」

「グハっ!!?」

「カイン、貴様は?」

「「ナンパした娘とのデート代」」

はもるライとカインの声。

「・・・デートしたけりゃ自前でしろ。

アルシアは?」

「御茶代よぉ。」

「・・・・・・はい?」

「御・茶・代」

「・・・御茶ってそんなに掛かるモノか?」

「私、イイモノしか飲まないのぉ。」

「んな高いモノ飲むな。安物を工夫して飲め。それなりに美味い」

「え〜〜〜(拗」

「んで、フェイは」

「えっとね、・・・お菓子代」

「そっかぁ、お菓子代かぁ。フェイならしょうがないよなぁ・・・

とでも言ってもらえるとでも思ったかぁっ!!!」

「うひゃぁ!!?」

「ああっ経理とかチマチマしたの苦手なのに、頭痛ぇ〜〜

キリト,エンジェ、何でこんなの残して行ってしまったんだよぉ(泣」

思わず天を仰ぎ、二人に祈ってしまう。

ライが復活するまでの間、全く持金が減っていなかった事を思えば

二人は優秀なリーダーと副官だったと実感できる。

「ふぅ、当分はココで資金かせぎだな・・・文句は言わせないからなっ」

宿代が高くついたといういい訳はさせない。

ここは安価良質の宿だから滞在期間が長くなっても苦にはならない。

で、決ったそれぞれのバイトは

ライ,ゴリアテはトレジャーハンター,カインはトレジャーハンター兼ホスト(?)

フェイはトレジャーハンター兼ウェイトレス,アルシアは薬師

この街の近くには遺跡や『森』があり、そのための設備が充実

だからこそ、この街は大きいとも言える。

「でライよぅ、得物は如何するんじゃ? やっぱり、キリトのを・・・」

「やっぱり当分は主を棍で、コイツ(鬼哭)はサブでいこうと思う。」

鬼哭から多少奇妙な力は感じるが、携えていて怒りやすくなる程度。弊害はない。

むしろ武器の性質、鬼哭は「斬る」武器であり、

ライは体術とそれを応用した「截る」事を主とした戦い方をする事が問題。

「コレは認めてくれているんだけどね」

言いつつ薪を投げ、瞬間

スッ

縦横4等分で落ちる薪。切り口は鮮やか。

「結局は心の問題、俺の我侭だな。」

今日はアルシアの為に『森』へ薬草獲り。

・・・結局、強力モンスターに対して太刀「鬼哭」を使わざるえなかったのは御約束。

 

向う所敵なし、次から次へと遺跡の迷宮制覇。

元々攻撃力があり資金があったライのパーティーは今や荒稼ぎ状態。

そしてココ、感じのイイ酒場では・・・

「いらっしゃいませ〜〜♪ あっライ〜〜♪」

一瞬、フェイの声に一部の客がギョッとなり、ライの顔を見てまたかと表情。

今やライは賞金首ライ=デェステイヤーのそっくりサン。

まあ、他に騙りの場合も多数あるのだが。それはともかく

「おう、今日もガッポリ稼いできたぞ」

そう言って手に持ったズタ袋を掲げて見せる。

「8番テーブルに一名様で〜〜す。

ゆっくりしてってね。たぁ〜っぷりサービスするから♪」

今やすっかり看板娘。フェイが一騎当千の戦士など誰も思わないだろう。

「おう、ゆっくりさせてもらうよ。

後でもよかったんだけど、こんなモノ見つけてきた。」

そう言ってライがズタ袋から出したのは柄に美しい装飾が施された一振りの長剣。

「これって魔法剣?」

見ただけで判別できるとは流石。

「おう「聖霊の刃」。まあ長剣の形をした魔杖といったところかな。

綺麗だから見せに来た。欲しかったら上げるけど?」

「ん〜〜欲しいけど私、「愚者慈」と「光晶槍」があるし・・・」

二本とも刃形成に魔力を使用するが、

二本同時使用し続けられる程フェイは魔力許容量が高い。

それで魔導師でないのは身体を動かす事が好き事と魔導方程式を覚えきれない事が原因。

バカじゃないと思う。 だって常連客のメニュー全て覚えてしまっているし。

結局は本人の性分に合わないのだろう。

 

目の前で、

ダブルポニテでフレアミニスカで太腿付根までのニーソックスのウェイトレス妖精が

フリフリと右へ左へ働き回る様はそれを見ているだけでもヒジョ〜〜〜〜〜に楽しく

幸せがこういう事なのだと実感してしまう。

ココにはそう思っている野郎ども,腑抜け顔の男どもが多数。

ライがその筆頭であるのは言うまでもない。

今、酒場の隅の方のテーブルで花束を持った男が注文を取りに来た男と何か話している。

内容は解らないがフェイの台詞に険しくなる男の表情。

振り向きニッコリ微笑んだフェイにライも手を振り返し・・・男の肩がガックしと落ちた。

周囲の男達がソレにライへ殺気を向けているが細かい事は気にしない。

ガジャン

「オラァ、なんだココの料理は!! 客に虫食わすのカァ?」

テーブルを蹴っ飛ばし暴れるガラの悪い男。よくある・・・

「フェイ、俺が片付けようか?」

「うに? 大丈夫だよ、あんなの。 でも、ありがと♪」

テクテクテク

「オウ、嬢ちゃんが俺の相手をしてくれるのか」

近づいたフェイに男に浮ぶ好色の笑み。

「お客様、騒がれますと他のお客様の迷惑になります。」

「なら裏で如何償ってくれるか話そうや。」

そのまま裏手へ行く二人。ライも一応後を追う。

裏手へ着くや否やフェイは男を投げ飛ばし、

「私が持って行った時にはあんなの無かったのに最初っからはいってるわけないしょ?

ちゃんと御代払ってくださいね。」

「こ、小娘がっ!!」

男が襲いかかるが、並の戦士如きで戦闘妖精を捕まえられるはずがない。

そうこうしている内に

「オウどうした、小娘相手に?」

男に増援。武装した数人の男達。風貌からしてソコソコの使い手

「丁度いい。この小娘、すばしっこくて捕まえらんねえ。」

「情けない奴。 俺達にもヤさせろよ?」

もうこうなると手助けしないわけにはいかない。

パンパンパン

「はいはい、其処まで。いい加減大人しく飯代支払えよ」

「なんだ手前は。スケの前でバラすぞ。」

「・・・・・・(怒)」

「私1人で大丈夫だよ。さっきの長剣だけかして」

確かに。気持的にはライ1人でボコボコにしてやりたいが・・・

しょうがなく「聖霊の刃」を投げ渡す。

ウェイトレス姿で刃を解き放ち構えるフェイに、男達に警戒が走る。

瞬間

「うっ・・・」

「素直に御代支払わないとこのままサクっといっちゃうよ?」

最初の男の首筋に着き付けられる「聖霊の刃」。

一切手加減なし。こうゆう輩は物覚えが悪いため多少遊んでやったほうがいいのだが

フェイとしてはさっさと仕事に戻りたいのだろう。

「おっと、お前等も変な気を起すなよ。」

ライも太刀「鬼哭」を解き放ち、狂光を連中の顔に反射させる。

チャリン

「お、覚えてろよっ!!」

「ありがとうございました〜。またの再店お待ちしておりま〜す。」

営業スマイルで遁走する連中に追い討ち。

「・・・多分、二度と来ないと思う(汗 それより、あまり無茶するなよ。」

「今日はライがいたから。いつもはちゃんと「愚者慈」と「光晶槍」持って相手するよ(笑」

「ん、ならいい(笑」

二人が店内に戻ると

「あらぁ、いつもいつもありがとねぇ、フェイちゃん。お駄賃割増しとくから」

オカマ店主(兼コック)の突然の登場に

思わず覚醒攻撃をかましてしまいそうな気分を強引に押し殺し。

「はい、ありがとうございま〜す。 じゃ、私お店の掃除してくるね♪」

「ヨロシクね。」

「・・・・・・もしかして、あんた」

「はい?」

「フェイに用心棒させてるのか?」

「おかげで色々助かるわァ。ムサイ男入れなくていいから客減らずにすむし」

道理でフェイの給料が割増高いはずだ。


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■ EPISODE 02 後編 ■

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