とある後日談
◇午後の秘め事◇
「あっ…ふあぁっ、んうっ」
ドーナツ屋の屋台の中で、店員の犬頭人の青年が白いワンピースを着た猫族の女の子を膝の上に乗せ、
女の子は蕩然とした表情で度々微かな呻き声を上げながら、信頼し切った様子で青年に身体を預けていた。
青年は腕の中に軽い体の重みと高めの体温を感じながら、女の子のスカートに手を入れ、
無毛のスリットに指を沈めて小刻みに動かしている。
午後の仕事前のわずかな時間、この少女、シャンテイと身体を重ねる事が、
青年のここ暫くの日課になっていた。
事の発端はほんの数日前。
ある事件に関わった縁で彼女を引き取る事になった時の事だ。
◇
「はい、これで必要な書類は全部ですね、お疲れ様でした。
後はこのプリントをよく読んでおいて下さいね。
とても重要な事が書いてありますので」
青年は開いてるのか閉じてるのかわからない細目の、役所の孤児担当の狐族の女性職員から渡された
プリントを一瞥し、深いため息をついた後プリントを丁寧に折り畳むと…
開いていた窓目掛け放り投げた。しかも紙ヒコーキにして。
「ちょ!おま!あなた何しくさってんですかぁーっ!そんな公序良俗に背くモンを不特定多数の目に」
紙ヒコーキが外に飛んで行くのを、すんでの所で女性職員が見事なダイビングキャッチで阻止する。
「やかましい!『そんな公序良俗に背くモン』で子供をどーしろっつーんじゃ!」
そこに書かれていたのは、ピクトグラムの様に簡略化されてこそいたが、明らかに女性の身体をまさぐり
性的な愛撫を行っている図であった。
しかも心なしか女性側がやたら体格差があると言うか小さい。
「だ・か・ら、性欲処理なんですよ。
本来ならそういう物は成長と共に勝手に興味を持って覚えるんですが、
今回被害にあったコ達のケースだと、事件で異常
活性させられた性衝動が強すぎて、
重篤な場合は放置しちゃうと精神に異常をきたしかねないですし、
ちゃんと大人が付いて管理してあげないと。」
ちなみに事件というのは、この町に半動物半植物の危険生物が侵入し、女子児童数名が繁殖目的で拉致され、
種子を産まされた事件だ
被害にあった女児達の身体には事件が解決した今も影響が残り、歳不相応な強い性衝動もその一つだった。
「ですから、たまにこうやって発散させてあげて欲しいんです」
「はあ、なるほど…」
「ちなみに本番とか、まして中に出しちゃったりしちゃダメですョ。
単なる発情じゃなくてもう、生殖系全部が活性化しちゃってますんで。
そりゃもう『妊娠しやすい』なんて話じゃなく、種付けしたら人間が相手でも一発必中ですからね。
…まあやらないとは思いますが、もし孕ませちゃったりなんかしたら…」
しばらくイヤな沈黙を挟んだ後、狐族のお姉さんが口を開きニッコリ一言
「去勢しちゃいます、個人的に」
…今年一番の怖さだったという。
◇
「あっ、あっ、くふぅ、お兄さっ、お兄さぁんっ」
絶頂の予感に声を殺し、シャンテイは青年の二の腕に爪を立ててしがみつく。
青年の上半身はシャツ一枚だった、制服のままだと爪で傷んで説明に困る為だ。
その代わり彼はいつも生傷が絶えなかったが、そこは「お転婆娘を引き取った苦労」とごまかせた。
がっちり上半身に掴まりながら、青年の手指を呑み込んだ臀部だけが激しく上下に律動し、
いよいよ絶頂を迎えようとしたその時。
「おー、やってるやってる!兄ちゃーん!ドーナツ一袋ー!」
聞き慣れた声に、睦事の真っ最中だった二人は慌て離れる。
声の主は、ここの数少ない常連客である長耳族の少女だった。
「や、やあミミちゃん、今日は早いねえ。」
「あはは…ごめんごめん、まだ休憩中だった?なんか制服脱いじゃってるし、
そういやシャンちーも居ないけど…トイレ?」
常連客ならではの疑問点が矢継ぎ早に飛び出し、青年の額から喉元にかけてイヤな汗が伝う、
なんだか名探偵に尋問
されている犯罪者の気分になった。
「あ、あはは…うん、まあそんな所かな」
どうやらこの常連客の少女〜ミミ・アトランタは、
勝手にこちらの都合のいい形に解釈してくれているようだ、
となれば残る問題は咄嗟に隠れたシャンテイである。
何しろまだ青年のエプロンの陰に居るのだから。
「それじゃちょっと待っててね、今油を火に掛けるから…」
そう言うと青年はさりげなくシンクで手を洗い、コンロに火を入れて油のはいった鍋を置こうとした。が…
「!?」
突如、股間部に違和感を感じ、青年の動きが止まる。
「?どったの兄ちゃん、ゴキブリでもいた?」
「い、いや、何でもない、よ…」
ひとまずお茶を濁したが、問題は去っていない。
ってゆーか、この状況で誰がやったかなんて考えるまでもない。
青年はミミから中が見えない様に気をつけながらエプロンをめくり中を確認する。
「あむっ、んっ…ふっ、ちゅつ…」
(…なにやってんの君ぃぃぃぃい!!)
エプロンノ裏では、シャンテイがズボンのファスナーから青年の大事な所をひっばり出し、
事もあろうに口に含んで舐め回している。
猫族のざらざらした舌で転がされる感覚はかなり強烈で、青年の分身は早くも硬くなり始めていた。
(だって、もう少しでイけそうだったのに…あたしほったらかして、ミミちゃんとばっか…
いーもん、だったらこっちはこっちです勝手にしちゃうもんねーっ)
シャンテイは不満げにジトっとした視線を投げ掛けると、ワンピースの裾をたくし上げ、
半立ちの肉棒を別の生き物の様に蠢いている自らの秘所にあてがう。
(あっ、いや、ちょっまっ、それはやばいって…)
「ねー、もう油ブクブクいってるよー」
ミミの言葉に反応し、青年がカウンターに向き直ったその時だった。
ズプゥッ
「うっ?!」
青年のモノが、熱く湿った狭くきつい場所に飲み込まれたのは。
(はひゅぅぅぅうっ!)
すっかり出来上がっていた秘所にとどめを刺され、シャンテイが押し殺した声を漏らす、
彼女はそのまま腰を振り始めた。
(まっ、まずい!!このままじゃ去せ…いや、それ以前のっ!!)
「兄ちゃんすごい汗だけど…大丈夫?体の調子でも悪いの?」
度々感付かれそうになって焦るものの、今は怪しまれないためにも動くわけにはいかない、
青年は徐々に強まってくる射精の感覚を必死にねじ伏せながら、平静を装ってドーナツを揚げていた。
その間にも、シャンテイの腰使いはより激しさを増して行く。
(他の子と話してたっていい、でも今だけは、あたしと繋がっててっ!!)
シャンテイは片脚を上げると、それを青年の腰に引っ掛け、器用に体勢を反転せて青年の身体に巻き付き、
猛然とラストスパートを懸けてきた。
(んぐぐうぅぅーっ!)
青年の射精感は、最早限界に達している。
「はい、お待たせ、すこしサービスして置いたからね。」
何とか一袋分+αのドーナツを揚げきった青年、後はこの娘に帰ってもらえれば…
が、
「わーい、じゃあシャンちー来るまでここで待ってるね。」
ピシッ
何かにヒビが入る音がした。
鉄の意思で生理的な衝動に抗っていた男の、その精神が砕ける音が。
ドプッ、クピッ、ピッピッピッ
(はあっ、イク、イクうっ、お兄さんの、いっぱい…あっ、あぁぁあーーーっ!!)
エプロンの裏側で、シャンテイの腰が数回わななき、青年の精子が余す所なく、
幼い身体の奥に注ぎ込まれた。
「今日は学校半日で、部活も休みだしさ、一緒に食べよーかなーって…」
最後の方の言葉は、正直よく聞こえなかった。
◇
その後、なに食わぬ顔で出てきたシャンテイは、ミミとしばらく他愛も無い話をしていたが、
やがて彼女が帰ると、また二人きりの時間が始まった。
(一発必中、一発必中…)
割とヘビーな自己嫌悪に陥りながら、青年は案山子の様に突っ立っている。
それでも身体が勝手に動いて仕込みや接客を行う辺り、さすがプロと言うか骨の髄までくそ真面目と言うか。
「ねー、お兄さん、もっとしゃんとしてないと、お客さん逃げちゃうよー?」
客脚が一旦途切れた所を見計らって、シャンテイが青年に話しかける。
「あー、どーなつー、あげたてのどーなつはいらんかねー」
へんじがない、いけるしかばねのようだ。
声かけを何度か繰り返したものの反応は変わらず、シャンテイはすこし怒ったような顔をした後、
舌が触れそうな程顔を近づけ、何か耳打ちした。
次の瞬間、青年の目が皿の様に広がり、寝起きの様なきょとんとした表情で、
すぐ離れて呼び込みを始めたシャンテイの後ろ姿を眺めていた。
「あたし、嫌じゃ無いからねっ」
青年の頭の中で、しばらくその言葉は木霊のように反響していた。
頑張れ、青年。
まだ去勢の件が未解決だかな。
◇
その頃役所では。
「マリーシャさん、あの話って本当ですか?」
「あの話って言いますと…あぁ、透蔦獣のですか、確かにそう言う効果はありますが、
せいぜい3日が限度ですよ。
まあ、男性がアレの被害者引き取る時には必ずあの話して脅しとくんですけどねー」
セーーーフ!!