∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ 死への快楽■
Deadly Pleasure
作: 御社宮司 あもん様
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■ Heaven ■

 

我々は この広大な世界において、

未開の地として知られる 「朱角山」へ来訪した。

独自の文化を尊重するにあたり 外界との接触を断ち、

かたくなに 「幸神(さちがみ)」を祭るだけの民として

留まり続ける種族。

開拓途上の地域には 珍しくもない話だが、

我々が この地の人間から聞けた言葉には、

いくつもの疑問が生じた。

この集落では、

その哀しい結末で 「生き神」と成った者の世話をする為、

毎年 「巫女」として、気高く そそり立つ山々へ

数人の生娘が歩みを進める。

この地に住まう者にとっては最高の栄誉であり、

少女等もまた、この役を 自ら申し出るほどで、

親は愛娘を手放すのに 躊躇しないと云うのだ。

ここで 最も不可解なのは、

山深くへ分け入るのを 許されたのが

「巫女」だけと云う点である。

何故 巫女だけが?

神事を務めて史実を語り継ぎ、

祝詞(のりと)を上げる神官ですら山を登らない。

そして 何よりも解せないのは、

巫女が山を下りる事が無いと云う、信じられない事実。

彼女等は、一体 「何を」しているのだろうか?

村の住民が 崇拝して止まない「幸神」とは?

巫女以外の者が山へ入ることは 堅く禁じられている為、

我々は密猟者に同行し、山腹の裏側へと迂回した。

険しい獣道に 鬱蒼と生い茂る樹木を くぐり抜け、

神の社と云うよりは、あばら屋に近い

寂れた建造物へと辿り着く。

そこで我々が見たものは・・・




おぞましい肉の舞踏。

 

生臭い石室、異様な鼓動音、そして少女達の喘ぎ。

恐らく、村の住民は この事実を知らない。

語り継ぐ者が居ないからだ。

そして我々は理解した。

「神に飼い慣らされた人間」と、「人間に飼い慣らされた神」。

化物は巫女の躰を蹂躙して 抗い難い快楽を与え、

巫女は化物に犯される事で 生気を搾り出す。

両者の利害は完全に一致するのだ。

我々は 静かに山を下りた。

無論、村の住民には 「真実」を伝えない。

受け入れられないだろう、あの光景を。

捨てられないだろう、今までの信心を。

そう、この世には 知らない方がいい事もある・・・。


御社宮司 あもん様のHP


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■ 死への快楽■
Deadly Pleasure

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