東方の僻地において、富をもたらすとされ信仰されるカエルの亜人。
また別伝においては、時折人間との交婚を行う、ともある。
◇
今宵は月に一度の朔の夜(新月)、夜更けよりなお深いといわれる夜明け前の闇の中、
霧の立ちこめる山道を、五色の糸で飾り付けられた、華美な装いの輿を担いだ一団の人影が進んでいた。
一同は皆、白い布を御簾の様に垂らして顔を隠しており、輿の中には外側の派手さに反し、
清潔感や清浄感すら漂う白い服を着た一人の童女が座っている。
その様は、まるで東方の僻地において崇拝される「生き神」の様にも見えた。
だが、もし外の人間がよく観察する機会があったなら、それはまた別の印象を与えたかもしれない。
どことなく浮かぬ気な童女の表情もさることながら、正座のようで微妙に不自然に右足を崩した座り方。
よく見ればその右足首には鉄鎖に繋がれた足枷が付けられており、
顔には黒く染めた絹で目隠しをされている。
更にその服は丈が臍の下までしかなく、少女の隠し所まではかろうじて隠していたが、
大腿や肉の少ない臀部は外に晒していた。
その姿は崇拝や尊敬の対象と言うよりも、
むしろそうした存在に対して奉げられる「供物」に近かったのかもしれない。
やがて一行は山奥の大きな湖に到着すると、白覆面の者たちが童女の足枷を外し、
丁重に輿の中から外へと運び出した。
童女の足が地に触れると、白覆面たちの一人が前に立ち、身をかがめて彼女の目線に降りると、
そっと肩に手を回し、しばし固く抱きしめた。
おそらく童女の父か母、或いはそれに準ずる近親者であったのだろう。
周囲の者たちも特に制止する事も無く、ただそれを見守っていた。
やがてそれも終わると、白覆面の一団は童女を連れて湖水の中に入ってゆく。
素足が冷たい湖水に触れる感触に、童女の口から短い悲鳴が漏れた。
そのまま一行は子供のひざ裏程の深さまで歩いてゆき、そこにあった一対の、
象牙や鯨の顎骨を思わせる石柱の間に、先刻まで着ていたのと同様の鉄枷で、
今度は両の手足を繋ぎとめる。
鎖の長さにはかなりの遊びがあり、多少手足を動かす事もできなくはないが、
それでももうここからどこにも行けない事に変わりは無い。
全ての鎖を繋ぎ終えた事を確認すると、白覆面の一団は童女を置いて次々と岸に上がり、
輿を担ぎあげ、元来た道を帰って行った。
後に残るは、岩に繋がれた幼い少女と、星明かりすらない漆黒の闇夜のみ。
………いや、それだけではない
視界を塞がれた少女の耳に、自分の周りを中心に、風の立てるさざ波とは違う、
何者かが立てる水音が聞こえてくる。
ぴちゃり、ぴちゃり、ぴちゃり。
次第に増えていく、近づいてくる水音に明らかな異質さを感じ、恐怖に身をこわばらせる少女。
やがて水音が彼女の耳を濡らしそうなほど近づいた時、水かきのあるぬらりとした手が、
彼女の尻を左右から挟むように掴んだ。
◇
「ひゃっ!んぁあっ!……あ、あ、ぁぁあんっ!! 」
両の腕を鳥の羽根の様に抑え込まれながら、少女は尻を後ろに突き出す形で息を弾ませる。
左右から両腕を抱えるようにして押さえているのは、直立した巨大な蛙、としか形容の仕様の無い、
太鼓腹をした水棲の亜人であった。
そして、彼女の臀部を両手でつかみ、ぎこちなく腰を使っているのは、両脇の個体よりやや小型の個体だ。
その手は身体の割合を計算に入れてもなお小さく、足元はおぼつかなく、
少女と繋がり犯すことで何とか「立っていられる」ように見える。
見ればその尻からは、半ば退化した尻尾の様な物が、そして股間からは、人間のソレと変わらぬ形の、
小さくも固くそそり立つ陰茎が伸びていた。
彼らは地上から送られた「花嫁」があまりに幼い場合、壊してしまわないよう体が半陸棲の「成体」に
なりかけたばかりの幼い個体の手でその純潔を散らすのである。
その手足同様、体に新しく生成されたばかりの陰茎は、破瓜の血すら無く幼い割れ目に侵入し、
その役目を全うした。
「あっ!んはあっ!……や…だぁ……こ…わい……よぉ…んぃぃぃい!!」
見えない恐怖と身体に侵入する異物感に悲鳴を上げていた少女が、いつしかその声に艶を孕ませている。
お互いにとって初めての交わりに、犯す側も、そして犯される側も、いつしか快楽のみに心を占められて
一心不乱に腰をぶつけ合っていた。
「はぁ…んんっ……何か、おなかのなかから上ってっ…ひあっ!く・く・くるぅぅう――っ!!」
少女の声がひときわ高く上ずるのと、若い蛙人の陰茎が粘度の高い精液を大量に小さな仔壷に流し込むのは
殆ど同時だった。
「あっ…はぁ……おなかのなか、まだ…ひくひくしてるよう……」
まだ年端もいかぬ幼さで、その蜜壷で貪欲に一族の種を貪る少女の姿を、
大人の蛙人たちは満足そうに見つめていた。
◇
あの夜から三週間ほどたったころ。
おそらくは蛙人たちのコロニーなのだろう、薄暗い洞窟の中で何人もの蛙人と、
おそらく先ほどの少女の様な人身御供を行う集落が他にまだあるのであろう、人間やその他の亜人の女が、
その中で好き勝手に繋がり、交わっていた。
女たちの多くは、すでに快楽に屈したか、或いは元の社会への帰還をあきらめたのか、特に抵抗も見せず、
中には3人もの蛙人に一度に犯され歓んでいる者すらいる始末だった。
だか、無論全てがそうというわけではないが、それは彼女たちの苦痛を更にあおる結果にしかならなかった。
たとえ嫌がろうとも、何度も繰り返す凌辱に慣らされ、
蛙人たちのペニスに結局絶頂に導かれてしまう己の躯。
そして、逃げ出さぬように固定された手枷と足枷の隣で、別の理由で繋がれ、安置されている存在。
それは、丸々とした孕み腹に蛙共の種を宿した、妊婦たちであった。
「んんッ…!!くっ…はぁあああん……」
全身がトラの様な柔毛で覆われた亜人の娘が、喉にかかったうめき声を上げながら蛙人に犯されている。
その腹は既に胎児で丸く膨らんでおり、
にもかかわらずその肉裂は成人男性のそれ以上に膨らんだ蛙人のペニスを貪欲に飲み込んでいた。
やがて剛直による刺激で産気づいたのか、
膣と子宮が普通のセックスとは明らかに異なる蠕動を見せ始める。
亜人の少女の肉の感触から、来たるべき時が来た事を悟った蛙人が、
えぐりこむように突き込んでいた腰をわずかに浮かせながら、その注送の速度を小刻みに上げていった。
「あ、ああい、ぃいい……、う、生・ま・れるぅう……ふぁああっ!!」
声がひときわ上擦り、少女の体が絶頂に打ち震えるとともに、蛙人はその剛直を、
産道を譲るように肉の鞘から抜き放ち、盛大に精を吐きだして少女の全身にぶちまける。
それと同時に、蛙人の陰茎で蓋をされていた膣内から、大量の羊水と共に幾つかの塊が吐きだされ、
その上に母体へとかけられた大量の精液が覆いかぶさっていった。
「あ、あはぁ……スゴい臭い……また、赤ちゃん産みながら……イっちゃ…」
大量の白濁粘液を身体に浴びながら、絶頂と出産の二重の衝撃の余韻に浸る少女。
だが、蛙人はそれに目もくれる事無く、大量の精液に埋もれたその股間をまさぐり、
その中から、少女が産み落とした「もの」を拾い上げ、それが何かを確認するや、
深いため息とともにこうつぶやいたのだった。
「石女(うまずめ)となったか……この子は早かったな……」
そう嘆く蛙人の水かきのある手には、ちょうど赤子程の大きさの、
鮮やかな翠緑色をした卵状の翡翠の塊が掴まれていた。
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その異変がいつから始まったのか、それは誰も知らない。
ただ一つ確かなのは、蛙人に通常の手段による子供が生まれなくなって久しいということだった。
何かの病理か、神の悪戯か。本来生まれてくるはずの子供が、母の胎内で玉石へと変化してしまうのだ。
やがて新たな子供が生まれぬ日が一年、二年と続き、
気がついた時には決して寿命の長いとはいえない蛙人の数は危機的な水準にまで低下していた。
このまま種の滅びを待つしかないのか。
既に危機感を通り越し、そのような諦めに似た思いすら抱いていた時、
一つの偶然が新たな扉を開く事となった。
出生率の低下による慢性的な女日照りのあまり、情欲を持て余した蛙人の男が、
たまたま魚を取りに来ていた異種族の女を連れ去り、ひそかに閉じ込めて犯し続けたのである。
それは蛙人の間でも、やはり罪に問われるべき行いであり、事が発覚するに至って、男は
一族の者の前にひっ立てられ、その悪行を詰られた。
しかし、同時に見つかったその女を発見した蛙人達は、そこで驚くべき、
そしてこの数年間の間渇望していた物を見出した。
度重なる凌辱に心を壊された女のその股間に転がる、手も足も無い黒々とした生き物を。
それはまさしく、彼らの待ち望みたる御子――蝸斗のごとき蛙人の幼体に他ならなかった。
やがて忌々しい翡翠が、異種族にとって価値のある代物だという事を知ると、
彼らはそれをも用いて彼ら自らの手で、母体を提供するように仕向け始めた。
水辺に近寄ってきた女を攫い、拉致と前後してその後に翡翠を岸に置いておく。
また、漁師の船に忍び寄り、網に魚群を追いこんで「豊漁」を演出するような事もやってのけた。
それが若い女の生贄によって、富をもたらす神の伝説に「化け」るまで、大した時間はかからなかった。
◇
「んぅぅうっ……はあ、駄目だってば、赤ちゃんがびっくりしちゃうよぉ…っあんっ。」
あの輿に乗せられていた幼い少女が、蛙人の巨手に抱きかかえられるようにして、
嬌声をあげながら大量の精をその胎内に注がれていた。
既に仔を宿し、今にも生まれそうに丸く張り出した胎をいたわるように、
蛙人は自分の剛直から少女を丁寧に外すと、やがて生まれてくる、
新しい命に思いを馳せながらそっと洞窟の床に横たえた。
少女の幼い母体に宿っているのは初めての仔ではなく、
この三週間の間に彼女は既に一度出産を経験している。
初めて目隠しを外して彼らを見たときは、その異形に怯えもしたものの、
一度二度と身体を重ねるたびに、それは快楽に
溶け去って行った。
それに結局の所、彼らは見た目よりよほど紳士なのだ。
異種族の女との間に仔を成すのも無限ではない、先の亜人の少女は五度目ほどで、
仔の代わりに玉石を孕む「石女」となった。
だが、だからと言ってそれが無益というわけではもはや無く、落胆しつつも蛙人たちはそうなった女たちも
これまでと同様に愛し、交わり続ける事だろう。
そんな事に思いを馳せていた時、蛙人はたった今睦み合ったばかりの少女の呼吸が徐々に
荒くなっている事に気がついた。
見ればその股間は既に破水して濡れており、いよいよ出産の秒読みに入った事がうかがえる。
「んふうっ!あっ、あっ、う、うまれるうぅっ!!おっ、おおきいよお…」
腹部が大きく上下し、苦しげに息を突く少女を、蛙人は何をするともなく、ただ目を逸らさず見守っていた。
やがて少女の幼い女陰が一瞬倍以上にも広がり、先ほど注ぎ込まれた大量の精液を押し飛ばしながら、
黒く丸々とした卵型の幼体が、鰭の付いた長い尾と、
母体との絆の証である臍の緒を引きずって産み落とされた。
羊水と精液にまみれながら、幼体はそれらをはね散らしながら跳ねまわる。
「あ、は・ははぁ……うまれ…たぁ……」
自らの股間の前で元気に跳ねまわるわが子を、まだ子供と言ってもいい年頃にもかかわらず、
疲労と愛情のこもった、紛れもない「母性」の眼差しで見つめる少女。
そのアンバランスな光景は、神話的な美しさと瑞々しさに満ちていた。
END