☆モーニングコール☆
その日その青年の起床は、いつもと比べ非常に遅かった。
何しろ昨日、医師である彼はある特殊な菌類の罹患者の為、山一つ越えた先の人虎族の集落まで
往診に行って、ようやく帰って来られたのが朝の5時過ぎだったのである。
結局彼は、ベッドにたどり着く事すらせずに、書斎の椅子に座り込んだまま眠ってしまった。
もっとも、この温暖な土地では 、布団を掛けずに寝たところでそうそう風邪をひく事も無かったが。
◇
「先生、ねぇ、起きてってばぁ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「もう11時だよっ・・・・・・起きないと、
またあ〜んな事や、こ〜んな事を・・・」
「う、う〜ん・・・・・・・・・・・・」
「あはぁっ♪ やっと起きてくれたね。先〜生っ。」
こ、この声は・・・・・・・・・
ふと耳に届いた、まだ幼さを残した少女の声が、彼を夢から現実に引き戻した。
この声には聞き覚えがある、以前森で妖花に犯されていた所を救出してやって以来、
毎日のようにこの診療所にやって来ているキュケノファロス(犬頭人)の娘だ。
彼女が来て手伝ってくれる様になってから、ここでの仕事も割と楽になった。
それは単純に人手が増えたという事もあるが、何よりこの集落、いや、この世界全体の傾向でもある
「亜人からの人間に対する敵意」を打ち消してくれる事が有り難かった。
ここ数十年、王国群や教会の亜人に対する扱いは悪化の一方を辿っている。
強大な古代の遺産や、新しい魔法の解明。それらが加速して行く一方で、国や力を持たない
犬頭人の様な獣人族やエルフの様な亜人達は、さらわれて残虐な人体実験に供される事が多いのだという。
事実、彼もここに診療所を開いた当初はそれらの輩の走狗と疑われ、一度など建物に火を
付けられそうになった事すらある。大半が怪我をしても身体を触わらせてすらくれない状況は、
「医師のいない所にこそ医師を設けるべき」と敢えてこの辺境に診療所を開いた
彼にとって、とてもやりきれないものであった。
それが例の一件以来、この村はもちろん、わざわざ山の向こうからすら呼びに来てくれる様に
なったのだから、いつの世もきっかけという物は大事である。
「ああ、君か、・・・いつもすまないな。」
椅子に掛けたまま、青年が少女に労いの言葉をかけると、少女は「ハイ!コレ!」と言って、
立ち上る湯気も新しい、マグカップになみなみと注いだコーヒーを彼に差し出した。
「モーニングコーヒーにはちょっと遅いけど・・・」
「いや、丁度いいさ。」
彼はそう言ってカップを手に取り、口元でしばし匂いを楽しんでからゆっくりと口に含んだ。
「ねえ・・・昨日の急患の人って、一体何の患者さんだったの?」
傍らの机の縁に、交差した手と顔を乗せながら、少女が青年に昨日の事について聞いた。
「ああ、確か人虎族の娘が冬獣夏草に襲われてね、体内に毒性のある胞子を
植え付けられてたんだ、それでね・・・・・・」
そこまで言った辺りで、青年は少女が眉間に「にゅっ」とシワを寄せて、
頬を膨らませている事に気が付いた。
「・・・何か気に触る事でも言ったかい?」
青年の質問に対し、次に少女から帰って来た答えはとんでもないものであった。
「えっちなコト、した・・・?」
「えっ?」
「 だって、ボクの時なんかおしりの穴まで・・・あんな恥ずかしい事・・・」
「いや、だってあの時は患部を洗浄しないと・・・・・・」
以前の時の事を思い出して、一瞬青年の顔がポッと赤くなる。
「だったらその娘にも同じコトしたんじゃない!
先生の浮気者!浮気者浮気者浮気者ー────っ!!」
降って湧いたような修羅場(?)に、青年は思わず困惑の混ざった苦笑いを浮かべた。
とんでもない言いがかりである、確かにどちらも人間や亜人を犯して繁殖する植物だが、
誘拐花と冬獣夏草とでは、治療法が根本的に違うのだ。
いや、よしんば同じだったとしても、後者は12時間以内に治療しなければ
命が無いのだから、元より選択肢など無い。
少女はそんな事は全く意に介せず、青年の胸元にしがみつくような形で
半泣きでひたすらポカポカとパンチを見舞っていた。
しばらくして、いいかげんにスタミナが切れ、少女の手が止まると、青年は胸元に
しがみ付いている彼女の首筋に腕を回し、そして優しく抱き抱えた。
「ごめん、君を泣かせる気は無かった。
でもね、君が思ってるような事はしてないんだ。本当に。」
そう言って、青年があやすように少女のグレイの髪に手を添え、櫛でとかす様に
撫で回すと、胸元を掴んでいる少女の両腕がそっと外れ、そうしてゆっくりと青年の
首の後ろに回って行き、彼女の顔を青年の顔へと引き寄せてキスをした。
「えっ・・・・・・」
突然の行為に、青年は弾かれたような表情を浮かべながら「キスの時は目をつぶるもの」という
作法も忘れて、文字通り目の前にある少女の顔を見つめていた。
「・・・そんな事、最初っから分かってるモン・・・・・・
でもね、もしその娘も先生を好きになっちゃったらって、
先生もその娘を好きになっちゃったらって。そう考えるとボク、とっても辛くなっちゃうんだ。
・・・・・・だって先生は、ボクが選んだ男のヒトなんだもん。」
「!?」
そう言うと次の瞬間、少女は手を放し驚くべき行動に出た。
少女は急にしゃがみこむと、青年のズボンのファスナーを口で下ろし、
ペニスを取り出して、乳房にすがり付く子犬の様な、拙い舌使いでねぶり出した。
「ハムッ・・・ムグ・・・チュバッ・・・・・・」
「ちょ、ちょっと君!いきなり何を」
思わず椅子から立ち上がりそうになった青年を、少女はズボンの裾を掴んで制する。
「もう少し、そのままでいて・・・・・・お願い・・・」
「う、うん。」
やや荒い息遣いで奉仕を続ける、少女の哀願する瞳に、青年はつい、それを受け入れてしまった
最初中座りで奉仕していた少女は、その後尻を持ち上げて四つん這いになり
椅子に座った青年の、すっかり固くなったモノを口に含んでいる。必死に口淫を行う少女の髪を
青年はキスの時と同じように、耳と一緒に愛撫していた。
それが嬉しいのか、少女の着ている、樹皮の繊維から織った灰色の貫頭衣(ワンピースの様な服)の
スカート部分にしまってある尻尾が反り上がって左右に揺れ動き、その度に少女の服の裾が
尻尾の動きでめくれ上がって、未成熟ながら既に丸みを帯びはじめた臀部を剥き出しにしている。
「 アゥゥッ・・・アウン、クゥゥン・・・・・・」
少女は青年への奉仕の傍ら、左手を両腿の付け根に差し入れて自らを慰めていた。
自らの指で粘つくようにこねくり回された秘所は、まるで別の生き物のように妖しく蠢いて、
滴らせた愛液で床に淫らな水溜まりを作っており、
更に愛液が秘所から両大腿の内側にかけて伝い落ち、てらてらと光る這い跡を残していた。
「ムグッ・・・ハァ、ハァ・・・・・・ねえ、ボク、もう我慢出来ないよ・・・
オチンチン・・・欲しくて・・・もうアソコが・・・ボクのアソコが洪水なのぉ・・・・・・
お願い・・・先生のを・・・ボクに・・・ボクのココにちょうだいっ・・・」
震える言葉で男のモノを求める少女に、青年は苦笑を浮かべながら無言で頷ずく。
今度は青年の方から少女の両脇に手を差し入れ、身体を抱き上げて自分の体に重ね合わせた。
「このまま入れるから・・・しっかり掴まってて・・・」
それに無言で頷くと、少女は青年の首筋に腕を回し、口元を相手の左肩口に
押し付けた形で「ぎゅっ」と腕に力を入れた。
少女がしっかりと掴まったのを確認して、青年は少女の下半身を抱え上げようとする。
ほとんど抵抗すら感じない程の、少女の太ももやふくらはぎの柔かい感触を腕に感じながら、
青年は少女の膝を抱え、今やほぼ完全に露出した臀部を下腹部の上へと引き上げて自らのモノをあてがい、
・・・・・・・・・そのままゆっくりと沈めていく。
「ファァッ・・・アァァァッ!!」
膣内を擦り上げ、分け入ってくるその感触に、既に性感の高まっていた少女が激しく身悶える。
青年は完全に秘所へ自らのモノを埋没させると、少女の身体を持ち上げてそれを半ば抜き取り、
そしてまた秘所へと埋めて行く事を繰り返す。緩やかなピストン運動が繰り返される度に、
二人の結合部分から、二人の分泌物の交じり合った液が床へと滴り落ちた。
青年が自らを貫いている間、少女は彼の首筋に掴まりながら、必死で快楽に耐えていた。
気を抜けば、力が抜けてしまいそうな両腕に力を込めながら、彼女は青年の左肩口に口を半開きにして
噛み付いている。噛んでいるといっても、それは決して痛みを伴う物ではなく、
子犬が甘噛みする程度の微弱な力であった。むしろ噛まれた肩から伝わってくる、少女の唾液の湿り気や、
ストロークの度に吐き出される吐息の熱は、青年の少女に対する愛情や、男としての欲望を、
より一層強く、熱く加速させていった。
「ハァンッ、アン、アンッ!キャウゥゥゥン!!」
「うっ、く・・・で、出るよ・・・・・・」
限界の気配を察した青年が、精を膣外に放とうと、少女の身体から分身を引き抜こうとする。
だが、それと同時に少女は青年の背中に両足を回し、逆に青年のモノを自らの胎内深くに導いた。
「だめぇ・・・外に出さないでぇ・・・・・・の中に・・・ボクの中に先生の・・・
先生のをいっぱい出してェ・・・・・・・・・赤ちゃん・・・ちょうだい・・・」
「えっ!?」
次の瞬間、少女が絶頂に達すると同時に、ペニスから大量の精液が膣内に吐き出された。
「アウゥゥゥゥッ!!キュウゥゥゥゥゥゥゥンンッ!!!」
ドクン!ドク、ドクン、ドクン・・・・・・
「アハァッ・・・・・・いっぱい・・・先生のが・・・いっぱい出てる・・・・・・」
少女はまだ体に残る火照りを噛み締めながら、胎内に広がる、熱くぬめる感触を確かに感じていた・・・・・・
◇
「ねえ、ひょっとして怒ってる?」
行為が終わってしばらく経った時、不意に少女の方からこんな事を聞いて来た。
快楽とその余韻で、ぐったりとしていた少女の身体を後ろから抱きかかえていた青年は、
少女の肩越しに首を横に振って見せた。
「 怒ってない・・・って言うか、何だかむしろ驚いてるよ。あの時から、僕に懐いてくれてたのは
分かってたけど、まさか君とこんな事をする事になるとはね・・・。君の方こそ、僕で本当に良かったのかい? 」
青年からの質問に対し、少女は一瞬悪戯っぽく「フフフ〜」と笑って見せ、
そして、やや真面目な表情になると、どこか遠い所を見るような目を天井に向けながら話しはじめた。
「・・・・ボク達犬頭人はね、何十年も、何百年も前から、女のコの方から男のヒトを選んで来たんだよっ。
男のヒトはどんなに力や財産があっても、女のコに選ばれなければお嫁さんは貰えないけど、
もし選ばれたのなら、例え兄弟や別の種族とでも結婚してもいいの。」
そこまで聞いて、青年はこの村の住人の毛色や耳、尻尾の形などが、
一人として完全に一致していなかった事に思い当たっていた。そう、例えるなら雑種犬の様に・・・・・・
「だからね、犬頭人の女のコはね、男のヒトを好きになったら、他のコに取られない内に
身体でぶつかって行くの。ボクのお母さんも、おばあちゃんも、
そうやってボクやお母さんを産んだんだよっ・・・・・・♪」
「そうだったのか・・・」
中央の王国群より遠く離れたこの土地のような辺境には、余所では考えも及ばない
特殊な習慣や風俗が存在したりする。青年はそういった物の幾つかを本で読んだ事があったが、
実際に目にした(というより、文字通り「身を持って」体験した)のは、今回が始めての事であった。
「・・・じゃあさ、いつから君は、僕を選んでくれてたんだい?」
やっぱりあの時から・・・と青年が言いかけたのを、少女がその唇で塞ぎとめた。
「ホントはね・・・もっとずっと前から、ボク、先生の事を見てたんだよ・・・
村の皆が、まだ先生の事疑ってた頃から・・・・・・」
その言葉を聞き終わるか終わらぬかの所で、青年は今度は目をつぶり、
そして少女の首筋に右手をかけて引き寄せた。
◇
今日の診療所の昼休みは、まだ終わらなそうな気配である・・・
2002/01/22