「我らが神よ、願えかなえたまへ」
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「我らが神よ、願えかなえたまへ」
代償ハ?
「これらの生贄に、我らが神よ、願えかなえたまへ」
フゥ(呆。 イイデショウ。 願エ叶エルワカリニ、セメテ踊ッテクダサイ
「おおっ、神が我らの願を聞き届けて下さったっ!!!」
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騎士団は都市の外敵に対する剣であり盾。
都市の勢力圏が広がっている今、アレス&リオの存在はありがたく使いっ走り
基、使者として活躍してくれている。 ライと4人娘,カインとは別に。
「実力的に、僕も事件に携わっても支障はないと思うのですが」
「わう?」
くつろぎ茶をすするライに、ディがテーブルをダンダンと叩き抗議する。
それに、テーブル下でゴロゴロするルナは うるさいなぁとばかりに眉をひそめた。
今のディ&ルナは皆が鍛えただけあって子供にも関らず、
初めて任務をこなした時のアレス&リオ並みの戦闘能力を有している。
正し、戦闘能力に関してのみ。
「だからたまに街へやってるだろ?」
「ええっ、保護者付きでっ」
保護者→自警団の団員の方々。任務内容→自警団の支援モトイ研修生として御手伝い。
「そう、では、なく、てっ(ダンダンダンダン」
「はぁ〜〜、色気付いたガキは・・・。
そーゆー台詞は責めてアレスから一本取れるようになってからな」
「うぐっ・・・」
子供というものは如何しても己を過剰評価し、それを周囲に認めさせたがる。
ディもまた然り。 狼少女ルナは足元で転がり、論外。
思春期の子供に至っては成長が加速度的早く希望と夢に溢れている。
故に引く事を知らず・・・ それに、まだ悪意との対決には幼過ぎ。
今日もまた執務室には各地の報告,上申書が山済み。
ココの中から戯言は切り捨て、必要なものには都市から希望者を募り技師を派遣させたり
問題解決のため誰なりとを脅しに遣したり、ライの独断でしなければならないのだが
「・・・どぉ〜〜〜〜したものかねぇ」
子供達の教育の事といい、その手にある問題といい・・・
側にいる秘書レイハに聞かせるためかどうか、毎度独言とは思えない声で言う。
「如何したも何も・・・これは私達が動かなければならないモノでは?」
気付かせることなく背後に立ったレイハは肩越しに覗き込んでいた。
女性らしく柔かい表情で。 ・・・こう、頬が接しそうでドキドキ。
「問題は、誰に行かせるかなんだよなぁ。俺と・・・」
レイハの視線が私私と言っている。本当、切ないくらい。 でも
「俺と・・・ディ&ルナ。 そして、ルー」
見れば床の上に崩れ座り、ヨヨヨと泣くレイハ。
・・・仮面なのか? コレは?
都市から可也離れた山奥の田舎、一人の少女が追われていた。
幾らその少女が野仕事で鍛えられているとはいえ
大人数人相手に逃げ切れるものではなく、逃げる隙間無く囲まれてしまった。
「畜生っ くるななぁっ!!!」
と少女が抜き放ち構える得物は短刀。 武器としてではなく、道具としての。
対し、大人の手には自警用の安っぽい長剣なり槍なり。
如何やっても勝ち目はない。大人達も殺す気は無いのか。
一閃、少女の手からカキンと弾き飛ばされる短刀。
それを合図に包囲の輪は狭まり、少女に手が群がり
「畜生、畜生ぅ、畜生おおおおおおっ!!!」
「・・・何つーか、チョット見ない間に物騒になったなぁ」
と不意にかけられた男の声に、振り向いた大人達の顔にぶつかる土団子。
ダメージなくとも挑発力満点。大人達の米神に浮かぶ怒マーク。
隙に少女は包囲を抜け出し、助けを見てみれば
幼女を肩車しズタ袋と大剣を携えた傭兵風の男に、両脇には少年と白犬。
・・・何か、ダメダメだと思った。 見た瞬間
「礼は言わないよっ!!!」
と脱兎の如く少女は逃げてしまった。 そして大人達の怒りの矛先はその男たちへ。
「あんた達、やってることがまともじゃねーぞ。 ・・・それに目もな
ディ、死なない程度にヤれ」
「ふぅ、言ってないで自分ですればいいのに」
と瞬間、得物の長剣を抜き放った少年は対処させる間も無く大人達の間を駆け抜け
「この程度。」
言い捨て、長剣を収めると同時に思い出したかのようにバタバタと倒れていく大人達。
「この程度だから動くのがいやなんだよ。さて、こいつらの正体は・・・」
と倒れた大人達の懐をあされば、出てくるのは同じ紋章のペンダント。
それをライの頭抱き着き越しに覗き込み
「これは御主の嫌いな宗教関係だナ」
「分るのか、ルー」
「私が知る限り、由緒正しき老舗宗教の一派だった。 だが時がたてばなんとやら。
今は落ちぶれ見事なまでに三下、田舎カルトみたいだナ」
「老舗に由緒正しきもクソもあるのか?」
「あるゾー。 コレの本来の理念は神の骸を崇拝し鎮め世を護ることだった。
もっとも、その理念が残っとると思えんが・・・情報がある分やっかいだナ。
追い詰められると何しでかすか分からん」
「宗教に群がる輩は他力本願なやつばっかりだからな、この面子で如何にかなるかね」
と二人が見る先には周囲を警戒する少年と白犬。
・・・気配がまだ残っている。 取り合えず少女がもっていた短刀を回収し
「嬢ちゃん、とって食う気はないから出てこいよ。」
「・・・・・・・」
「ルナー、ちょい呼んでおいで」
「ワンっ」
ルナは走るわけでもなく駆け足気味でタッタッタッと行くと茂みの中に潜り込み
「ワン ワンワン」 ね、行こう?
「・・・・・・・」
少女は困った。そのまま逃げるのは心苦しいからと隠れて見てみれば、
一見情けない彼女の救い主はあっさりと大人達を片付けてしまった。
しかも彼女が隠れている事に気付き、目の前にやってきた白犬は行儀良く座り
行こう とばかりにワンワンほえる。
シッシッとやっても首をかしげ何処かに行く気配がない。
仕方ないとばかりに茂みから抜け出て三人組の前に姿を現した。
「・・・礼はいわないよ」
「確かに、嬢ちゃんが悪さしたせいで追っかけられていたかもしれないからな。
それを俺が勝手に助けたわけだし。 礼の一つぐらい言ってもらいたい気もあるけど」
「あんた、物分りがいいね・・・何者?」
「流しの傭兵。以外に何に見える?」
「それ以外なら何でも」
幼女を肩車をする表情の優しい男。格好は傭兵であってもそう見えない。
側の少年も見た目軟で気品があり、先ほどの手並みが嘘のよう。
「なんだかなぁ・・・・・・。 そう、これを返すしておかないとな」
と差し出したのは少女の短刀。
「・・・ありがとう」
「いやいや。 余り争い事に使ってやるなよ。ものはいいが、可哀想だ」
無論、短刀の事。少女も元々道具としてでしか使っていなかった。
「変なヤツだな、あんた。 物分りが良すぎる」
「これを生業としてりゃ、頑固か柔軟かのどっちかだよ。
ところでそこの村に何処か数日ほど泊まれるところはあるか」
「ないよ。出来れば、さっさと他所に行ったほうがいいと思うけど?」
「今の時間じゃつらいなぁ・・・何処か雨露凌げる処はないか?」
「・・・仕方ない。今夜は家に泊まればいいよ。
余り構えないないけど、雨露ぐらいは凌げるから」
「ありがたい。食料なり寝具なりは自前を使うからいい」
「私はフューリア。 あんた達、名前は?」
「俺はライ。乗っかっているのがルー。 それはディ。んで、銀狼のルナ。」
「よろしく。じゃ行こうか。
・・・それにしてもあんた達、変な一団だね。どんな関係?」
フューリアの質問に真っ先に答えたのはライ頭上のルー
「私はライの情婦ダ」
「んな訳あるかいっ! 妹、妹」
「・・・・・・(汗」
「ディは弟子」
「だれが弟子ですか」
「・・・・・・(汗」
「ルナは・・・(悩」
「ワウ?」
「・・・ペットじゃないのかい?」
「ペットのつもりは全く無いな。・・・一応・・・仲間か?」
本当は家族,娘位言いたいが、常人には分らない。
特にこの村には獣人がいないため、対し偏見がある。
「ふぅん。 あんた達、気持ちいいよ。 隠さないで、凄くアットホームだ」
「だとサ」
と幼女ルーは先の台詞の仕返しとばかりにライの頭を掻き乱し、
髪を手綱の如く鷲掴み引っ張る。
「やめろ。抜ける剥げる。 俺がハゲオヤジになってもいいのか?」
「・・・、それは困るナ」
と今度は髪を梳いて頭を慈しみ撫で回す。
「ホント変な連中・・・(笑」
そうこうして着いた先は一軒の山小屋。 御世辞でもボロとしかいいようがない。
「・・・ボロボロだな」
「すまん。俺もそう思った」
「流石に僕でも言葉を繕いようがありませんね」
「ワン?」 何が?
「そういうことは思っていても口に出さないのが礼儀なんじゃないのかい?(汗
ふぅ、ボロ家ですけど、どうぞ。 ただいまー―」
「お帰りなさい、フューリア。 お客様?」
中にいたのは、寝込む病弱そうな婦人と幼児。
「うん。この人達に困った事を助けてもらって・・・泊まるところがないから
今日一晩ここにとまらせたいんだ。」
「そう・・・。何もないところでお構いできませんが・・・」
「いえいえ、奥さん。 こっちは無理言って泊めて貰う身。心使いだけで十分」
「この人がライ。ライの妹さんのルー。ライの弟子さんのディ。銀狼のルナ。
母さんと、弟のアルノード。」
紹介され、婦人は病床から上品に会釈するが幼児アルノードは怯え隠れたまま。
それを何を思ったかルナ、テッテッテッと幼児に近づきお座りで
「ワン!」 こんにちは
「・・・・・・」
「ワウ?」 如何したの?
「・・・わんわん?」
「ワンワンワン」 違う。私、銀狼。
「わんわん!!(嬉」
「クゥ〜〜ン」違うのに。
子供相手に噛み付くわけにもいかず、喜ぶ幼児を首に抱きつかせたまま
助けてと困った表情をライ達に
「あきらめろ、ルナ。 その頃の子供にゃ犬も狼も変わりない」
「・・・(ガックリ」
「さて、寝床も決まった事だし・・・ルナとディは薪を集めて
ルーはその子の相手、俺は夕食の準備かな」
「私に子供の相手をしろというのかっ!!?」
「薪を集める力もないし、料理も出来ないだろ?」
「ぐっ・・・」
「じゃ、フューリア手伝ってもらえるか?」
「あ、うん」
急転事態についていけないフューリアは言われるがまま頷くしかなく。
皆、ソサクサと作業開始。
「ふむ、肉と小麦粉は自前を使うとして、実際の調理は薪が集まってからだから
・・・ハーブ也でも集めておくか」
「あんた・・・変だ」
「何が? どーせ、フューリアの家も夕食だろ? 皆一緒に食べればいいだろ」
「いや、なんで知り合ったばかりの人にそこまで・・・」
「職業がら、信用できる奴を出来ない奴を一目で見分けるクセがついてね」
「じゃあ、私を利用するつもり助けたのか!!?」
「悪い言方をすれば、そう。 まぁ俺に利用されて悪い目を見た奴はいないが。
以上に、子供の悪さにあんな大人数で得物をもって追うのはまともじゃない。
それに俺は生きイイ目をしてる奴が好きでね、連中の目は腐っていたからな」
「・・・本当に私は何も悪い事をしちゃいないんだ。
・・・元々、村が変になっていってて・・・今日 薬を買い足しにいったら行き成り」
「ふぅ〜〜ん。 まぁ、生きるために悪さをすることは仕方が無いこっちゃな」
「あー―っ!!! その口振、信じてないな!!?」
「信じてるよ〜〜、勿論」
とライは言いつつも、全く向く事無く作業し続ける。
「くっ、・・・絶対信じてない(泣」
「マジな話、母君の様態は?」
「・・・今日は調子がいい方。 いつもは・・・」
「症状は?」