アルシアの質問に答えず龍女は素通りし、仮面男を居合に捕らえ
「し、死ねえええええっ!!!」
轟っ!!
と仮面男の魔導に龍女は炎に包まれる。が、それでは腕一振りで霧散
「ば、かな・・・」
有り得ない。
容易な魔導,灯りを点したり種火を付ける程度なら行動を結び付ける事は容易である。
しかし、今この仮面男が使った魔法は牛男が倒される前から準備し発動させたもの。
それを一振りで無効化できる存在は神か悪魔、もしくはそれと契約した魔女ぐらい。
イリアは少なくとも魔女ではない。
それは捕らえた時に確認し、そうならこの陵辱などで壊れはしないから。
という事は、イリアは神の・・・
仮面男の思考を遮るかの様に、騒ぎに気付きゾロゾロと武装した手下達が。
もう形振り構っていられない。このままでは全てが破産
「お前達っ、この女達を殺せっ!!!」
対しイリアはアルシアを背後に、恐れず
「・・・命ガ惜シクバ退ケ」
さもなくば潰すと顔半分を隠す甲手の指をゴキゴキとならし威嚇する。
成行きを知らない者達からすれば、今のイリアの姿は裸に部分鎧を纏った女にしか
見えないだろう。 だから雑魚は退く事は無く、ゲスな笑みを浮べ襲い掛ってきた。
だが所詮雑魚は雑魚でしかなく、起る阿鼻叫喚の地獄絵図。
龍女イリアによる一方的な殺戮の・・・
時は遡り、アルシアが使者に連れ出された頃
神殿の講堂では夕方からずっと待機していた守護騎士達&アレス,リオ達,フェフは
ただ、その時を待ち続けていた。
「どうぞ、御茶ですよ」
「どうも・・・」
「あっ、済みません」
落ち付き平然と茶を出すフェフに対し、アレスとリオも焦っている様子はない。
「・・・装備も付けず、心配ではないのか?」
アレスは戦闘服のズボンとシャツのみで、戦闘服の上と剣,手甲は側のイスに掛けたまま。
リオもレオタードの上に燻白銀色の戦闘用旗袍服だけと、以下装備は側のイスの上。
対し、守護騎士達は皆自分達のベストな装備で臨戦体勢。
「心配だ。 だからと言って気負っても仕方が無い。
処で、今日は蛾が多いと思わないか?」
確かに普段余り見ない種が多いと言えば多いかもしれないが、話が繋がっていない。
「アルシアさん曰く、蛾の雌はフェロモンで雄を遠い処からでも呼び寄せる。
専門的な事は解らないが、ある薬で人も同じフェロモンを出るそうだ」
「男にモテモテになる薬?」
「いや、あの人ならもう持っているかもしれないが・・・(汗」
「いいなぁ、今度頼んで頂こう・・・」
と二剣流娘・・・何処にでもずれてる奴は一人ぐらいいる。
「・・・話を戻すが、今のアルシアさんは特定の種の蛾を引き寄せる」
確かに、アルシアがいると思われる方向の壁には蛾が集まり
それがツツイ〜と移動を開始し始めた。それを見てアレス達は即、装備。
「では、俺達も行こう」
権力欲に囚われた者に対し切り札は虫。これほど滑稽なモノはないかもしれない。
「皆さん、いってらっしゃい」
とフェフに見送られ7人は出陣した・・・・・・
やはり行き先は屋敷街。蛾が飛ぶ速度が遅いため可也時間を食ってしまった。
だがもう必要ない。 それは、一つの屋敷が炎上しているから
彼等の登場に野次馬が開けた道を疾駆し、敷地を焼ける屋敷まで来てみれば
炎の前、座り込む一つの影。
「・・・アルシアさん?」
「・・・もう、パーティは終わっちゃったわよぉ」
その膝枕には布に包まれ眠る人のイリア。その黒髪は異様なほど長く伸び・・・
「・・・何があったんですか?」
「さぁ?」
「さぁ、って・・・」
「もぅいーじゃなぁい。 今は・・・神殿に帰りましょう」
アルシアのその一言で皆はこの件にはケリがついたことがわかった。
火事の事後処理は付近の騎士団にまかせればいい。いずれこの屋敷の持主も解るだろう。
何より、アルシアとイリアを休ませる事が彼達自身が選んの任務だった。
それは今、何にも勝る・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「何てことだ・・・何てことだ・・・何てことだ・・・」
何処で一体、何が狂ったのか。あっと一歩というところまで巧くいったのに。
「・・・だから言ったじゃないか。下手に彼女に触れれば
火傷するってね。 ・・・龍の逆鱗に触れるから」
夜路、仮面男の行く手を塞いだのは黄金の闇・・・の如く、金髪の優男。
この男から「失姫」が帰る以前に彼女自身の事,その護衛の事については聞いていた。
しかし
「き、聞いていないぞ、あの女の事は」
「それは僕も知らなかったからね。 意外だよ、あんな存在がいたことが」
「き、貴様、私を憚ったなっ!!?」
「・・・別に憚っちゃいないよ。本当の事しか言っていないからね。
最後にいい事を教えて上げよう。 僕は・・・・・・・・・」
「きさまああああああああっ!!!」
金髪優男の最後の一言に、仮面男は顔色が変り致死の魔法を放つ。が、
一閃
「・・・無駄だよ。僕は彼みたいに自分を殺そうとした人間を
許せるほど甘くない。 さあ、紅い華を咲かせておくれ」
更にハルバート「凰翼」の一閃で背を向け逃げようとする男は
「あひゃ・・・」
乾竹割り、真っ二つに両断。
「・・・さてと、彼女の存在もカードに加えるかな」
ハルバート「凰翼」をもつ金髪優男、カイン=クラウス。その行動は・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・
神殿に帰り、神官達の念入りな診断の結果
イリアには極度の疲労こそあれ、その肌は美しく目立った外傷は無かった。
それこそ、長く長く伸びた黒髪が産まれたての女神を思わせるくらいに。
アルシアに至っては心労と擦り傷はありこそすれ、全くの無事。
だが事が事だけにアルシアはイリアの看病を他の者にさせたらず、
独りでイリアの看病、もとい側で様子を見守り続け・・・
時は巡り翌日の夕方、いつの間に寝てしまったのか目覚めたアルシアの前に
イリアの姿は無く、部屋を飛出し最初にあった神官を捕まえ
「ちょっと、そこの貴方っ!!」
「は、はい。何でしょうか」
「イリアを見なかったっ?」
「イリア様なら随分と前に禊へ行かれましたが?」
「馬鹿っ!!! 何故止めなかったの」
怒られる理由もわからず呆気に取られる神官を残し、アルシアは行ってしまった。
何も神官の皆が事情を知ってはいない。
ましてや今のイリアを見て陵辱され壊れたなど誰が分ろうものか。
現場を見たアルシアですら未だ信じられないのに。
行けば確かに、滝に打たれる薄衣のイリアがいた。 冷水のため肌は透けるように白く
健康的な紅だった唇すら今は青白く、身体には髪を纏わり付かせて。
アルシアは濡れる事も構わず側に行き、
「イリア・・・寝てなきゃだめじゃなぁい」
「・・・・・・匂いが・・・取れない。取れないんだ」
あれだけの事があったにも関らず、身体からはそう匂いはしていなかった。
それに戻ってきてから綺麗に拭いてもいる。 その匂いがするはずがない。
「ずっと・・・攫われてからずっと・・・精液だけを飲まされいた。
・・・芯から穢されてしまって・・・身体から匂うんだ
・・・身体の中に出来た隙間に精液がこびり付いたみたいで」
「そんな事はなかったわよぉ」
言って思い出したかイリアは吐き気を催し座り込む。
だが、ずっと絶食状態で点滴を打っていた者に吐く物などあるはずがない。
それに・・・身体の中も綺麗なものだった。まるで生娘のように。
アルシアを支えようと触れ
ビクッ
「・・・触ったら駄目だ。 匂いが・・・移る」
それを言ったらもう手遅れになる。恥部を診たのはアルシア一人。
今、それを言うつもりは毛頭ないが・・・
弱々しく逃げるイリアをアルシアは捕まえ、抱締め
「うつっちゃってもいいわ。だって私のせいで辛い目にあっちゃったんだもの」
「・・・ごめん。護るって言ったのに・・・俺のせいで・・・」
泣き出したイリアをアルシアは抱締め・・・彼にしてもらった様に慰める。
肩に感じるイリアの涙の感触は冷え切っているにも関らず何故か暖かく・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
事後、アルシアはイリアと二人きりにされている様でシッカリと護衛されていた。
アレスとリオによって。 イリアが独り禊に動けばアレスが後をその追い。
そして合流し、今二人から離れて見守っていた。
「うわぁ、アルシアさんとイリアさん抱き合ってる」
「・・・・・・」
「うわぁ、うわぁ、うわぁ」
リオが喜ぶと、こう悪い事をしているようで罪悪感が。
「もう、見るな」
「うきゃぁっ!!?」
アレスに目を塞がれリオはあたふたと。
アレスは思う。 何であれイリアには直元気になってもらわなければ。
ただでさえこちらの戦力は少ないのだから・・・。
「あ〜〜ん、私もみたいー」
「・・・別に俺は見てないぞ」
「あぅ」
相棒が年頃の女の子らしくゴシップ好きで困るアレスだった。
それはそうと、アルシアに諭され二人は神殿の部屋に返り
「すっかり身体冷えちゃったわねぇ」
「ん・・・」
「私達って水も滴るいい女よねぇ」
「ん・・・」
「・・・濡れた服をきがえましょうねぇ」
「ん・・・」
イリアは大人しくアルシアにされるがまま、濡れた薄衣を脱がされ、
身体を拭いてもらい、下着に貫頭衣を着せられ・・・
今のイリアは生きる気力が尽きてしまっている。丸で犯された生娘のように
その娘を傍らにびしょ濡れのアルシアも同様に着替え、不意にイリアが
「・・・刃物、貸してもらえるか?」
「駄目よ、そんなことしちゃぁ」
「??? 別に、髪が鬱陶しいから切りたいだけだけど?」
「あっ・・・」
幾ら生きる気力がないとはいえ、流石に自殺はしない。
「なぁ、刃物」
「あん、私が切って上げるから」
自分でやらせたらザクザクと出鱈目に短髪にし兼ねないので
大人しくイスに座らせチョキチョキと整え、
「・・・全然切ってないじゃないか」
「あらぁ、綺麗な髪なんだから切っちゃ勿体無いわよぉ」
「・・・鬱陶しい」
「貴女、皇女の護衛なんだから見た目も美しくなくっちゃ、だ・め」
「・・・・・・」
アルシアに正面向いて顔を覗き込まれながら器用に首後で髪をリボンで纏められ
イリアはしかめっ面。やはり長い髪は煩わしい。
「あらぁ、貴女にしかめっ面は似合わないわぁ。」
と幾ら気が抜けていたとは言えイリアに対し、それはクリティカルヒットな奇襲だった。
ただでさえ近くにあったアルシアの顔が更に近づき
「ん!!? んー―、んっ、む〜〜〜・・・・・・・はぁはぁ。な、何お・・・」
ディープキスに口を塞がれ息が出来ない。甘い痺れに身体から力が抜け抵抗が・・・
そのまま腰掛けていたベットに押し倒されて直、イリアは何も出来ない。
「・・・私が貴女の隙間を埋めるわ」
「や、やめっ!!?」
いつのまにかスカート部に潜り込んだ手に下着の上から軽く恥部を擦られただけで
息がつまり身体が跳ねた。 その隙に、アルシアはまた服を脱がし
妖な指先が絶妙なタッチで肌を伝い。艶な唇は首筋や乳房の元など敏感な処を這い吸い。
「はぅっ・・・ぅぁ・・・あ・・・はぁんっ!!!」
蘇ったとはいえ一度知った身体はアルシアの同性ならではの愛撫に快感を覚え
イリアの肢体は甘媚な電流に意思を離れシーツを激しく乱しながら悶え痙攣し、
ついには
「本当にっ・・・も、もう、やめ・・・トぶ、とぶっ、とっとっとぉっ・・・」
目に涙を浮かべ歯を食い縛り乳房を突き上げ身体を仰け反らせ・・・・・・落ち
陵辱に悶える事無く静かに壊れていったイリアが、容易にもアルシアに啼かされた。
今イリアの身体では触れる布に感触すら・・・
意識が吹っ飛び茫然なイリアの血色良く剥き桃な肌はアルシアの食欲をそそらせる。
ほら、その質素な下着なんか一度しか触れていないにも関らず美味しそうなシミが。
他所に、アルシアは服を脱ぎ捨て艶乳と黄金の蔭を空に曝し
未だ意識がはっきりしないイリアをマングリ返すと局部を指で広げ、瑞々しい果実に舌を
「駄目っ、其処は汚ひああああああっ!!?」
抵抗する前に、アルシアは珠を剥き出し歯で擦る事で封殺成功。
もはや成す術もなく、其処を隠そうとした両手でアルシアの金髪を乱し
「はあっあっだっ駄ぁ目ぇっやめろぉっこっ腰ぃっ解けるぅっ」
イリアは丸で快感に免疫がない生娘の様に涙を流し嬌声で喘ぎ悶える。
逃げられないよう太腿を抱え込まれ恥ずかしい格好のまま、チュパチュパレロレロと
剥き身の果実を舌で丹念に弄られ吸われ飲まれ・・・その嬌声も次第に艶っぽくねっとりと
「ふぅ・・・ん・・・は・・・はぁ・・・」
アルシアの舌先、膣口が次第に口を広げヒクヒクと求めているのが解かる。
「・・・うふふふふ、そろそろイイかしら」
行為を止め解放したアルシアに、イリアは切なく潤む瞳でもう終わりと尋ねてしまい
持ち出してきた袋に疑問符。
「私ね、欲求不満対策に色々玩具を持って来ていたのよぉ。た・と・え・ば」
と、袋から出したのはディルドー付き革ベルトパンツ。
ディルドーのサイズは並より若干大だろうか。幹には蠢き女の粘膜を乱すカラクリ珠付き。
「うぁ・・・・・・(怯」
「コレを付けるのは私。 ん・・・くっ・・・はぁはぁ。
さ、流石に・・・これは・・・キツイわねぇ」
イリアの目の前で態々玩具にゆっくりと貫かれされ見せ、完全に挿入した上でシッカリ
己の腰に固定する。ちょっとやそっとで抜けないよう。その上でアルシアは袋をまた漁り、
今度出したのは並より若干小さく完全に男のモノを模したディルドー。それの根元を
革ベルトパンツのコネクタに装着すれば恰もアルシアが男根を生やしたかのよう。
今度アルシアが持ち出したのは小瓶。中には粘り気がある液体。それを針無注射器で吸い、
「これ、香油なのぉ・・・飲んでも大丈夫な」
先をぶすっとディルドーの鈴口に。そして液体を中に注射
「はぁん、たくさん私の精液、お胎の中に入ってくるぅ」
モノを握り締めつつ内股で悶え歓喜するアルシア。その行為をイリアは茫然と仰ぎ
何かが逃げろと警鐘を鳴らすが、恐怖に身体が動かない。
それでも何とか、四這いでも逃げようと
「だぁめ、に・が・さ・な・い」
スベスベとしたお尻を掴み引き寄せ、一気に
「ひっひああああっ」
イリアは後からニュルッと挿入されてしまった。
隙間がある。隙間に入りこんでくる。隙間を占領する。
無意識に逃げようとするイリアを逃すまいとアルシアが追い突き、突き上げ
「あんっ」
「ひやぁん」
二人の嬌声が艶美なハーモニーを醸し出す。耐え切れずお尻を突出し伏したイリアの背に
アルシアは抱き付き、その耳元に囁く。
「私、貴女、イリアをもっと感じたい。感じたいの。抱き合い愛し合いたいの」
「・・・・・・(コク」
イリアは何が何だか惚けた頭で頷いてしまった。
挿入したまま、座ったアルシアの上にイリアが座る対向座位。イリアの方が背が高いため、
イリアの胸部に丁度アルシアの顔が。 そして更に深く結合。
「はあああんっ、奥に、ささるぅっ」
「いい、いいわイリアっ!!! 貴方をもっと感じさせてぇっ」
ディルドーで奥を突かれる感触に思わずイリアの腰が引き、逃がすまいとアルシアが
乳に顔を埋めながらも腰に抱き付き、汗に濡れた柔肌が叩き合いピチピチと
二人の結合部からネチャネチャと粘液質な音がたつ。
そして、音は、二人の行為はよりいっそう上り詰めていき、
先に限界が近づいたのは以上にハートなディルドーの上に胎に液を溜めていたアルシア。
「ああっ、もうだめぇっ、イっちゃうっ、私いっちゃうっ」
「イイっ、俺もいくっ」
見上げたアルシアの唇を吸い込まれるようにイリアが唇寄せ、共に目を瞑り
「「ふむぅ、んっ、んっ、ふむぅぁん」」
「ん・・・ああああああっ!!!」
絶頂に、アルシア溺れる物がモノにしがみ付くが如くイリアを激しく深く抱擁。
それにディルドーのギミックが作動し、アルシアの胎の液体を吸い上げ内に溜め、
吸い上げつつも十分に充填された液体は出口へ向い、鈴口より撃ち出された。
それは女の胎の奥
ドピっ、ピュ、ドクンッ!!!
「うわぁっ、出てるぅっ、何か出てるぅ」
「う・・・ん・・・うふふふ、私の精液よぉ」
「うっ・・・うはああああああっ」
隙間に流れ込む。溶ける。隙間が充填されていく。そして隙間が・・・
イリアの脚がアルシアの腰に強く痛いくらいに絡み付き、
汗で密着した二人の身体は歓喜で打ち震えた。
二人が達してどれくらい経ったか未だ歓喜は冷め止まぬ中、座り結合し抱き合ったまま
「・・・お胎、いっぱいで変な感じ・・・だ」
「・・・私の精液、じゃないのが残念。」
とアルシアはイリアを押し倒し結合を解き、中の液体が溢れ零れる前に脚を捕まえ、
その股間へ顔を近づけ
「んくっ、何を・・・んはぁっ」
陰唇に唇でキスし、中の液体をちゅるちゅると吸い上げる。
二人の精が入り混じった粘液質の液体をアルシアはそれを口に含んだまま再び
快感に惚けたイリアに顔を近づけ、
「「ん・・・」」
乙女二人、口の中でその粘液に唾液を混ぜて貪りあった・・・・・・
・・・房中術とは技術以上に相性という。思い慈しむ心、それを分り応えようとする心。
技術が備わってなかろうと、二つが揃って効果は絶大なものとなるという・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
アレスが小用から部屋に戻ってば、リオが壁に当てたコップに耳を当て
「・・・・・・」
頬を紅を差しながら何やら考え込むような難しい顔。
夢中で、背後に立っても気付きもしない。
「・・・何をやっているんだ?」
「うおおうっ!!? あ、あ、アレス君いつから其処に?」
「・・・実に解かり易い反応で。 ・・・それで、他に言う事は?」
「あ、あはははは。えっと・・・アレス君、見回りはいいの?」
「今更一人増えたくらいで如何こうなるものじゃない。」
幸い、先の件で前以上に神官達が警戒してくれている。
落ち付き払ったアレスの前、リオはそわそわとまるで見物を見逃すと焦っているよう
「えっと・・・アレス君、水浴びしてきたら? 見張りは私一人で大丈夫だから」
「・・・今すぐ、じっくり、小一刻程、リオとは警護について話し合う必要があるな。」
「うわああん(泣」
リオが何をしていたか百も承知のアレス君、そんな事を許しはしない。
警護に慣れてきたリオは狎れる気配の三人が近くで動く事では反応しなくなった。
つまり、アルシアの部屋から誰かが抜け出しても良く寝ていると。
だが、アレスは人の出入りに過敏に反応し、目を覚ます。野生の獣の様に。
見れば、貫頭衣姿のイリアがアルシアの部屋から抜け出し・・・
「おい、リオ」
「ん・・・んん、何ぃ・・・」
「ちょっとトイレに行って来る」
「んー、分った・・・」
と再びリオはうっつらうっつらと眠り・・・これでも害意ある者の接近には敏感だから
放っておいても大丈夫だろう。 今はそれより・・・
月明かりの下、イリアは庭の岩に腰掛け風に長い黒髪を棚引かせていた。
女らしくなく唇を困った様に捲り突出し、タバコが如き管を咥え
「・・・今日は・・・風が強いなぁ。 隠れてないで出てこいよ、アレス」
「・・・昨日の今日では、風も身体に悪いぞ。 いいのか?」
「ああ、アルシアからたくさん愛をもらったからな」
「・・・・・・恥ずかしい奴」
「るさい。 んな事は、俺も言ってそう思ったよ」
言葉を探す様に間を風の歌が流れる。
「・・・それは煙草か?」
「んや、ハッカの香管。煙草は好かん」
風にスカート部が捲り上がり白い太腿が見えるが、イリアはそれを隠そうとすらしない。
これは年上の余裕などではなく、単に・・・
「育ちか? 言えた義理じゃないが、イリア
あんたは余りにも女としての警戒心が無さ過ぎる」
「??? ・・・気を使ってくれるのか? 随分と成長したなぁ」
「茶化すな。 怪しいアンタでも他の連中より信用出来る。ただそれだけだ。」
「あっそ。 ・・・ちょうどいい、遊び相手になれ、アレス」
「・・・悪いが、色っぽい遊びは出来ない。 無論、素手相手の女に剣を揮うマネも」
「なに、気にするな。気付けにちょっとモんでくれるだけでいい」
「っふぅ。 怪我をしても怒るなよ。」
素手の者が剣を持つ者と対等に闘うためには倍以上の腕が必要だという。
負けるつもりもないが、不気味に思うのもまた事実。イリアのこれは自責ではなく・・・
二人は立合い、イリアは動き易いよう貫頭衣の裾を肌の露出も気にせず絞る。
「さて・・・」
「ぐっ!!?」
一瞬で居合を積めたイリアの掌抵で、アレスは胸を打たれ息が詰った。
女のこの細腕でこの威力。 意外に・・・否、やはり侮れない。
「・・・俺は、魔法は使わない。 これで楽しめるだろ」
「・・・それは、悪いね。」
そして月下、二人の野獣が戦叫を吼える。
戦士は返り、その闘志も蘇った。 反撃は始まったばかり。
「・・・何で、俺までドレスの着付をさせられているのでしょーか?」
背中,腕は剥き出し腰まで深い切目で下着着用不可な麗艶な濃蒼のドレス姿のイリアの前、
麗嬢な若草色ドレスのリオと妖艶な紅紫ウェデイングドレスモドキのアルシアが
嬉々としてアクセサリーを選んでいた。
「何故って、それは私達がパーティーに行くからじゃなぁい?」
「それは分っている。」
「警備の私達もアルシアさんの側にいるためパーティーの準備を」
既にアレスは二人の餌食となり望まずホストとして着飾れされ、玩具にされていた。
こういった貴族のパーティーでは武器の携帯が許されず、警備も付けられない。
それで、3人もアルシアの側近としてパーティーへ行く事にしたのだが。
「それもいい。 俺が言いたいのは、何故こんなドレスなんだ?」
「だって」「ねぇ」
「「よく似合うから♪」」
「・・・結局、俺も玩具なのか(泣。 せめて、もうちょっと穏やかなのとか男装とか」
・・・二人揃ってきゃきゃっと無視しやがった。
「ちくしょう・・・(泣」
イリアが部屋から逃げ出れば、廊下には濃紺の正装で腕組み壁に背を預けるアレス。