アルシアは少々焦っていた。
カインは己の望む力を得た。いずれライも新しい力を携えて帰ってくるだろう。
ルーに至っては、端っから力を求める必要は無いほど強力な魔力を有する魔女。
ただし魔力が半無限でも、見た目相応の体力制限付きなのは御愛想。
アルシアだけが決め手がない。(毒,薬の能力はどうした?)
・・・早い話、カインとかライが羨ましいと。
「こう、何かイイモノってないかしらぁ?」
「・・・・来て早々何が言いたいか解らん」
「いやん、もう。ルーちゃんの い・じ・わ・る」
・・・・・・・・・・・・
「要は何か変った得物が欲しい訳だナ?」
「あらん、随分とアッサリといってくれるわねぇ。」
「では何が欲しいんだ?」
「ルーちゃん、ア・ナ・タ ・・・そんなに怯えなくても、冗談じゃなぁい」
「お、御前が言うと冗談に思えんゾ、本当(泣」
後にルーは語る。
あの時のアルシアの目は悪魔も素足で逃げ出す危ない目付だった。
本気で私を・・・。あの女は生粋の魔女 (ヤバ過ぎてあえて省略)
冗談はさて置き、
ライ,カイン程腕が立つわけではないので前衛に立つような武器は論外。
と言って、最初から魔法は補助にしか使っていないので魔杖みたいな物も却下。
因みに今アルシアが使っているの得物は鉄鞭。
対象物に絡み付かせ引くと同時に付いている無数の棘で切り裂くという
何ともアルシアらしい武器。
「私に如何しろって言うんだ。 これ以上向きのモノなんぞ考えられーん(泣」
結局、直後アルシアは帰った。散々ルーを脅して・・・
で、結論に至ると。
「・・・我ニ相談サレヨウト如何ニモ出来ン。
テキトーニ試練ヲ受ケサセテ得物ヲ与エテヤレバ?」
「それに成功すれば何も問題ないのだがナ」
成功とは勿論、アルシアを納得させる事。・・・バレそうで恐い。
こうして考え続けた結果、ルーはライ留守宅を借りて床一面に魔方陣を描き、
そこにアルシアを呼び出した。
「考えた末、今ある得物を強化してもらう事にする。
得物は御前の鉄鞭とこの円型盾で構わんかナ?」
「ええ、いいわよ。 私は何をすればいいのかしらぁ?」
「なにアルシア、御前が精霊の状態になりその辺の適当な精霊と戦って倒し
得物にその精霊を融合させればいい。 無論失敗すればタダでは済まん。
もし精霊との戦いで負ければ、多分その状態で永遠にソヤツの慰みものダ。
ハイリスクハイリターン,オールオアナッシング、それでもやるか?」
「勿論、女は度胸よ。」
「はぁ・・・対精霊戦の要は精神力、後は肉弾戦の感触に近いはずだ。」
「解ったわ。早速、始めましょ。」
補助の魔方陣にそれぞれの得物を、メインの魔方陣に衣を脱ぎ捨てたアルシアが
「一度御前が向うに行ってしまえば、私にはもう如何する事も出来ん。
ヤバくなったら恥か殴り捨ててでも逃げて帰って来い。いいナ?」
「しつこいわねぇ、もう。さっさと始めちゃって。」
「全く御前は・・・。」
諦め、ルーが魔導を実行始めると共にアルシアの入る魔方陣が起動。
其処からさらに円筒状の魔方陣が展開し、アルシアを覆い、
「無茶するなよー―」
ルーの心配を他所にアルシアはにこやかに手を振りつつ・・・分解していった。
ルーの懸念は、アルシアが選んだ精霊が余りにも上位過ぎる事。
アルシアがソレを倒してしまえばその分の穴があき、環境が崩れる。
アルシアがソレに倒されても、アルシア程の者ならソレが極端に力をつけて・・・。
「ふぅ〜〜〜〜、本当無茶しないでくれヨ」
ライの気苦労が少し分った気がするルーだった。
精霊化したアルシア、略すると人が水精(ウィンディーネ)にもつイメージそのもの。
つまり乙女の形をした液体、といった感じ?
そして周りは、物質世界が透けて
質感 木,土,石,水,気,炎の様々な生物の形をしたモノが動き回っていた。
ルーを見て見ると+虹炎を纏う感。そしてその背後に立つ純闇の・・・悪魔?
それが頑張れよといった感で手を振った。
・・・アルシアでも流石に格が違いすぎて手を出す気にはならない。
精々イイ様に玩ばれ捨てられるのが落ち。相手にすらされないかもしれない。
適当な相手と探し移動すると・・・行き先々で目を背け逃げ出す精霊達。
・・・やくざモノ扱い? 大方間違ってないけれども。
(・・・失礼ねぇ)
そんな感じでうろついていると目の前にとぐろを巻く水龍
・・・というか蛇というか、蛟と呼ばれる精霊。
太さアルシアのウエスト,長さ身長×2半は軽くいくだろうか。
強さのパラメーターとして見るのはサイズ云々よりはその絶対量。
例え巨大でも薄ければそれだけ、小さくとも濃厚ならばそれ相応の強さといった風に。
因みにこの蛟、現アルシアより軽く数倍は濃い。総合的には・・・
(そっと、其処の貴方?)
(・・・・・・・・・)
はっきり言って、無視。目を瞑ったままピクリとも動きもしない。
(私に倒されて頂けないかしらぁ?)
(ブハッ!!?)
これ以上嘗て無い程に噴出した としか表現の仕様が無い反応。
(もしかして貴方、笑っていらっしゃるぅ?)
(ハハハハハハ、小娘ガ来テ何ヲ言ウカト思エバ・・・・・・教育シテヤルっ!!)
(うくっ!!?)
避ける間も無く一瞬でアルシアは片脚から股間、胴に掛けて絡み付かれてしまった。
(人間ハ直、何デモ支配デキルト考エル。イイキニナルナァッ!!)
ギリギリギリギリ
(く・・ああああああああっ)
締め上げ、漏れる苦痛の悲鳴。
(イッソウ、コノママ潰シ消滅サセテヤロウカ?
嬲リ尽クシテ馬鹿ナ考エヲ懐ケナクシテヤロウカ?
・・・嬲リ尽クシテ内ヨリジックリ喰ラッテヤロウ)
蛟は一度アルシアを捨て、全身より細い触手を生やし再び捕縛。
そしてアルシアの目の前、
ザシュッ!!
蛟の胴から生える鋭く長い棘一本
(・・・まさか・・・お約束の展開?)
(人ノ女トイウノハ貫カレルノガ好ラシイナ)
それをアルシアの股間に沿え
(ば、ばかねぇ、そんな大きなモノ私の中に入るワケ、ないわぁ
嬲り尽くす前に、私二つに裂けちゃうじゃない。すぐ死んじゃうわよ?)
(ナラバ、コレニ貫カレテ果テルガイイ。)
(や、やめ)
づんっ!!
(くはぁっ!!)
一気に奥まで貫かれてしまった。
言うなら、極太のモノで女陰を貫かれそれが蠢き犯される様を透けて
見せ付けられているようなもの。その上、
づづん、づん、づんっ
(く、くはぁっ、ぐぅぅ)
中を掘削するかのように更に奥へ奥へ。
それでもアルシアは今精霊の様なものなので内臓や肉体(?)の破壊で死ぬ事は無く
股間が蛟の胴に接して棘の先端が胸を越えていても、それに接している部分が恰も
性器に成ったかのよう。
(ぐ、ひいいいっ!! 身体が、身体が、全部、膣になるなんてええっ!!?)
と錯覚させるような感触が其処から生まれ、さらに
ずぷ、ずぷずぷずぷ
(くっひああああああああっ!!?)
臍を初め太腿や胸を貫いて逝く触手。特に腰は新入りに
しかも其処から感じる感触はあたかも柔壁をヤスリで擦られるかの様に強烈。
(教育スルハズナノニ悦ナセテシマッテハ意味ガナイナァ?)
ギリギリギリギリ
(はぎぃ、ぎあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛)
辺り一帯に響き渡る苦痛の壮絶な悲鳴。
締め上げられる場所からも強烈な快感が襲い、外と内の責苦に
アルシアは気絶するすら出来できず、ただ悶絶し続け・・・
・・・・・・・・・・・・・
(脆イ玩具ダ。モウ壊レタカ?)
ずぐっ!!
(ぁ・・・・・・)
全身内外で拘束され、股間から挿入された尻尾が臍から抜け出るが・・・
出てくる反応は虚ろな瞳にか細い嬌声にすらならない吐息。
(・・・解センナ、何故弱イクセニ挑戦スルカ。
弱ケレバ強者ニ媚ビテオレバ済モノヲ)
ぴくッ
(アゲク負ケテイレバ世話ガナイ。セイゼイ我ガ末永ク可愛ガッテヤロウ)
ぴくぴくッ
(飽キルマデ)
(・・・・・・・・・・・)
(ン?)
アルシアの唇が何か言葉をを紡んだ 筈はない。
何故ならアルシアの精神は許容量を遥かに上回る人外の快感を叩きつけられ
耐え切れず壊れてしまっているはずだから。
(・・・気ノセイカ)
と蛟の気がアルシアから逸れた瞬間
(・・・誰が・・・弱いですってぇ? なめないでって言てるのよっ!!)
ずんっ!!!
(ガっ!!?)
蛟の顎を下から上へ貫くアルシアの細腕貫手。
(弱ければ強者に媚びるだなんて冗談じゃないわっ)
(ガアアアアアアアアっ!!!)
ビチビチビチビチ
アルシアに刺さったままの無数の触手が暴れ掻き回し抜けようとするが
アルシアの中にある部分は微動だにしない。
(私はね、私はねぇ、弱いのが嫌いなのっ!! それ以上に
貴方みたいに己の強さを笠に着る奴は大嫌いぃなのよぉっ!!!)
気合と共にアルシアの身体から零れ始めた陽炎が蛟を蝕ばんでいく。
(私の身体は高いのよぉ。楽しんだ分しっかり払ってもらうわぁっ!!)
(ゲヒュッ!!?)
それで終り。蛟のアルシアの中にある部分が砕け散り消え、
外にある部分は圧縮される様にアルシアの掌の中へ珠に。
(ふっ、大きい図体して早いのねぇ。もうちょっと頑張れないのかしらぁ?
私が貴方を永遠に可愛がって あ・げ・る♪ 光栄に思うことねぇ。)
封印され珠と化した蛟はもう何も応えられない・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
ルーの目の前、不意に発動し始める主の魔方陣。
其処から更に円筒状の魔方陣が上がり・・・・・・消えると其処にはアルシアが。
「あら、私が獲って来たモノはぁ?」
「ほれ、今生成中だ」
ルーがあごで指す方向を見ると補助の魔方陣が発動中。
空に浮く光珠の中、それぞれの得物に端から分解され再構成される様子が見える。
「ちょっと聞いていい? 私がヤっちゃったコってどうなるのかしらぁ?」
「媒介が壊れるまでずっとアレのままだ。」
「それは、可哀想な事したかしらぁ?」
「今更いうか? ・・・・・・長いナ。何を捕まえてきた?」
「えっと、龍みたいなふっとい蛇ねぇ。」
「・・・・・・!!? み、蛟ぃ? ああ、何処かで泉が枯れたな・・・」
そうこうしている内に魔方陣は終了。出来上がった得物は
「鋼茨鞭と鏡?」
「能力ばっかりは御前の意識次第だからな、
多分盾が魔力を、鋼茨鞭が物理的な力を分け持っているんだろナ。」
「具体的には?」
「使ってみればイイ。」
二人は場所を変え、村裏の林へ。
アルシアは木を標的に射程ギリギリに距離を取り
ぴしっ!!
「・・・絡みついたナ」
「絡み付いたわねぇ。」
アルシアの狙った通り普通に絡み付く。で、グイッと引張ってみると
ミシミシミシ、メキョ!!
木の幹はアルシア一抱え分あった。それが引き絞り斬られ・・・
「・・・まるで龍の尾だナ」
「うふふふふ、いいわぁコレ。銘は『龍尾』にしましょ」
「御前・・・(汗。 で、盾は如何する?」
「んー、ちょっと『魔法の矢』打っていただけるかしらぁ?」
「分った。・・・ほれっ」
空に生まれた光の矢はルーの合図と共にバシュと音を立て撃ち出され、
盾に命中しようとした瞬間
キー―ン
盾手前の空間に広がる波紋。そして次の瞬間
バシュっ!!!
「おわっ!!? お、御前、盾の効果判ってただろー」
帰ってきた矢を慌てて避けるルー。
「だって、鏡のようじゃなぁい? 魔法を反射するんじゃないかなーと思って」
「御前、私を意識したナ。 きっとそうダ。 そうに違いない!!」
「おー――ほほほほほ、如何かしらぁ?」
「・・・う、うわああああん(泣。 ライ早く帰ってこー――いっ(叫)!!」
アルシアの高笑いと見た目幼女らしいルーの叫び声が大空に虚しく響く。
期限の四ヶ月までもう少し。村にライ帰還の気配は無くとも、
魔獣達の気配はすぐ其処まで、回復しつつあった・・・。
■ Episode03 ■
〜力をその手に〜
All over...
To be continued next
"episodeW"
Presented by ...
NAO
<02.09.09〜02.11.06>