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∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 02 後編 ■
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■ とある騎士団の日常 ■
〜The Chivalry,s daily〜

EPISODE 02
後編

 

「事件以降、あの男の足取りが掴めぬのはいったいどういうことだ!!」

「あれほどの存在そうそう隠しきれるはずもない。必ず、必ず痕跡が在るはず」

「其処を圧倒的な火力で一気に封殺っ!!」

「・・・あの事件はそれが逆効果を証明したのではないのか?」

「くっ!!」

「ジワジワと追い詰めていくしか仕方あるまい。生死を問わず、額を倍に・・・」

「結局、それしか無いのか・・・此方も刺客を用意しよう。」

「それで間に合うか? 騙りが多すぎる・・・」

「すべて殺せ。偽者本人関らず、周囲の者も含めて。どんな手段を使っても

それでも残ったのが本物だ。」

「「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」」

そして賢老院の灯りが落ちた。

 

およそ、賞金首の旅は人の目に怯え日陰に生きるか悪事を重ねて首が回らなくなるもの。

ここに検問所を通り過ぎたばかりの一行がいた。

パーティは総数5人。

半居眠り金髪グラサン穏兄貴とダブルポニテのミニスカお元気娘が先行し、

その真後ろにアダルティな娘。その3人から数歩さがり金髪優男,筋肉大男。

「もう少しで町だね。いい宿屋あるかな?」

「ん〜〜、あってもだめ。今夜は晴れるから野営。」

ダブルポニテ娘の質問に金髪グラサン穏兄貴が空を仰ぎ風を観て・・・応えた。

「あらぁいいじゃない。お金はタァップリあるんだからぁ」

「そうだよぉ。宿屋に泊まろうヨぉ」

「俺に媚び売って如何する、アルシア。 フェイも一緒になってやらない(笑)。

お金勿体無いだろ? ちゃんと寝床作ってやっているから野営でもいいじゃないか」

因みに、野営の「ちゃんと寝床」というのは大量に枯葉を集めた上に毛布を数枚敷いたベット。

コレがまた本物のベットに負けず劣らず快眠を約束してくれる。

虫に関してはアルシアの作った防虫薬があるので問題はないし、

料理も筋肉大男ゴリアテが作るモノは結構おいしい。

「気分の問題だよ。やっぱり屋根が在る方がよくなぁい?」

「俺は・・・星空の屋根も結構好きだけどなぁ。 なら、お前等だけ宿屋で」

「それなら私達が貴方の側にいる意味がないじゃなぁい?」

「まっ、好きにすればいいさ。・・・それにしてもこの手配書、酷い顔だな」

そう言って拾い上げた紙は

悪党面の似顔絵と賞金額,氏名:ライ=デェステイヤー,特徴:黒髪で褐眼,その他諸々

「あらぁライ、良からぬ事を企んでる時の貴方によく似ているじゃなぁい?」

アルシアの「ライ」と言う発音にたまたま近くにいた旅人がビクッと反応し、

その話相手の男をマジマジと見た。

体格は・・・記述そのもの。しかし手配書に対し髪は金髪。

その上、グラサンを下げて見返してきた瞳は碧眼。

天下の街道、しかも検問所を通り過ぎたばかりの場所に賞金首がいるはずがない。

およそ、賞金首の旅は・・・

しばらくして、もうパーティーの近くに人はいない。

「なぁアルシア 目、如何にかならないか? ショボショボしてつらい」

寝不足+褐眼を碧眼の様に見える様にする眼薬が原因。 因みに髪は脱色。

「如何にもならないわねぇ。 あんまりサングラスを外しちゃぁ駄目よぉ。」

でなけれは日光で眼奥が焼付き、失明してしまう。

「へいへい。 あ〜〜、昼間は寝てタイなぁ・・・」

「いいけど・・・そうしたら何もできないよぉ?」

「わかってるよ〜〜〜。」

極めて普通なライとフェイ。つい先日、友を家族を失ったとは思えない普通さ。

「なぁ、みんな。そろそろ今日の野営の事、考えないか?」

やはり普通。 追われ、自分が原因で友を失った人とは思えない。

「皆、何で平気な顔が出来るんじゃ? 

特にライは何考えているか分らん・・・(ヒソヒソ)」

「ゴリさん、君はライの何を見ているんだい? 

僕にはライが自責に苦しんでいる様がよく見えるよ(ヒソヒソ)」

ライは歩きながらウッツらウッツらと舟を漕いでいる。

「深夜、ライの様子を見ててごらん。よく分るから」

 

結局、日が高いうちに野営を始めたパーティーは日が暮れた頃には

夕食と翌日の弁当を作り終え、ノンビリ寝るときを待つだけとなっていた。

元々急ぐ旅ではないので、これでも全く問題ない。

そして、パーティーリーダーであるライは樹を背凭れに居眠り。

やはり何を考えているか分らない。

そして夜中ミンナが寝静まった頃起きあがる一つの影。それはライだった。

ライはミンナを起さない様気配を殺し、野営地を離れていった。

ライが姿を消すのと同時に目を開ける四人

「っ!!」

慌てて寝たふりをするフェイ。

「ゴリアテがライが何をしているか知りたいんですってぇ。」

結局ゴリアテ以外皆が、夜中ライを抜け出していた事に気づいていたらしい。

それでも、実際何をしているかまで知っているのはフェイだけ。

「駄目、言えないよ。 ライにミンナに黙ってるって約束したから・・・」

観念し、話し始めたフェイの目に涙が溢れる。

「ふっ、別に君に聞かなくてもライの後を追えばいいだけなんだけどね。

それに勘のいい者なら離れていてもばれると思うよ。」

勘がいい者⇒アルシア,カイン

「御願い、ライをそっとしてあげて・・・」

「フェイ君、君の気持ちは分らなくもないんだけどね、このままだと僕の気持も収まらないんだよ。

だから、ゴリさんにライのやっている事をみせてやってくれるかい?」

拒否,妨害した処でフェイを気絶させてでもゴリアテをライのやっていることを見せると

カインの目が語っている。 一方アルシアは如何でもいいという顔。

しかし、起きているという事は今の状態を変えなければならないと考えがある一端。

ライの身体の状況が分かっているのは調薬しているアルシアだから。

「・・・分った。」

無言で歩いて行くフェイにゴリアテも無言でついて行った

「・・・別にここでも検討は着くけどね。」

「そうねぇ。だって・・・」

伝わって来る圧倒的な存在感・・・

 

「こ、これは・・・」

今、フェイが向っている方に鈍感なゴリアテでも分る圧倒的な存在感があった。

「これからはずっと静にしてて・・・」

真面目にフェイが言うという事はこの先には可也のモノがある。

そして木々を抜けた先にいたのは、黄金色の陽炎を纏い仁王立ちで精神統一しているライ。

その腕が霞み、あの時の龍神の腕と重なり、元の人の腕に戻る、点滅を繰り返していた。

「ライね、毎晩コレをやってるの。少しでも力を制御できるようにするんだって。」

淡々と語るフェイ。 それは、ライがライ自身を責めている事を知っているから

フェイ自身が哀しみに潰されない事を自覚しているから。


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■ EPISODE 02 後編 ■

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