■棘皮動物 陸ヒトデ■
名称「シィーエシィン(邪悪星)」
・生物概要
よく発見されるモノは原色朱や黄の蛍光で主に直径2〜3mの☆型。
しかし、さらに巨大で多角形のモノも発見された例もある。
体は全身筋肉,無数の小骨片で形成され、力は大変強く、内側には無数の繊毛が生え、
コレにより音も無く這って進む事が可能、土と落葉の間を動き回り獲物が近づくのを待つ。
生息領域は森林部地表。獲物、主に動物。 人の女性を好む傾向があるが、
それは人が獣に比べ毛が少なく、さらに女性は男性より脂が乗っているからだという説が一つ。
獲物が来るのを待つか、もしくはこっそりと近づき、その腕で獲物を捕縛、さらに体全体で抱え込み、
獲物が小さい場合(獣)はそのまま丸ごと丸呑み、
大きい場合(人)は体中央にある口から胃を出して、時間をかけてユックリと溶かして食べる。
シィーエシィンが獲物として女性を好むもう一つの理由。ソレはその繁殖方法にあるといっていい。
元々海の生物が何らかの理由で陸に取り残されたが、コノ生物は滅びることなく環境に適応出来た
人の女性の胎内に産卵,孵化した幼生がその内臓に寄生するという手段を取ることによって。
雌雄同体であるコノ生物は直径2〜3mになると体の芯部に3〜5mmゼリー状の卵を無数に蓄える。
しかしこのままでは孵化しない。孵化させるためには適度な温度と湿度が必要。
そしてその 海に近い条件に妙齢の女性の胎内が最適であった。
シィーエシィンが獲物を捕まえた場合、スグに事に及ばず腕の先端の感覚器でイキの良さを確かめる。
その条件は、卵を胎内にされても元気でいられる事。 条件にクリアしない獲物はそのまま餌となる。
条件にクリアの場合、シィーエシィンは場合によっては麻痺毒で自由を奪った上で、
その腕の一本を女性の胎内に挿入し、その先端からゼリー状の卵を注入、それで十分に胎内を満たす。
この時点では、犠牲となった獲物は一見怪物に陵辱された様にしか見えない。
しかし、卵から一週間頃程経つと獲物のお腹はまるで妊娠したかのように膨らみ始める。
実際は孵化した幼生(プランクトン)が胎内から内臓に寄生,三日程で内臓を食い散らかし
産卵から十日程で獲物は死亡。
そして死体が腐乱した頃、ソコには小さな邪悪星が無数に蠢く・・・
注)シィーエシィンは細胞自体の生命力も大変強く、例え細切れにしても
その切れ端から集まり合い一個体に戻るか、体全体を再生するので完全に焼却処分することが望ましい。
犠牲者を助けるためには産卵された卵が孵化する前に胎内を洗浄して、卵を完全除去すること。
幼生が犠牲者の内臓に寄生した時点で犠牲者を助けることは不可能。
「い、いい加減にして。 私が何をしていようと貴女には関係ないでしょう?」
「関係ない事はないのよ。私がアナタを気に食わないんだからこれ以上の理由は無いわ。」
一人の少女を甚振る、村の有権者の娘とその取り巻き。
方や、たった二人っきりの家族 猟師の兄を健気に支える優しく器量のいい少女。
猟師の兄は腕が良く妹も村の近くで取った山菜などを御裾分けするため、兄弟共に村人達の受けもいい。
方や、それなりの美貌ながらも健気な娘が気に食わない,その兄が自分に靡かないという理由だけで
その妹に嫌がらせをする性悪娘。と、その配下達。 こちらは端にも棒にも掛からない。
ここまではよくある話。しかし
「っ!!!」
瞬間、少女は手に掴んだ砂をばら撒き、不意をついて遁走。
日々の生活があるのに こんな出鱈目な連中にいつまでも構っていられない。
「追えっ!! 逃がすなっ!!」
逆襲に逆上した性悪娘とその取り巻き達も当然 少女を追う。
付かず離れず、まるで肉食獣の群れが雌鹿を弄ぶかの様に。
少女が連中に苛められ始めてどれくらい経ったか、
気づけば一人では決して入ることが無いほど薄暗い森奥深く。
少女は茂みに隠れ息を潜める。辺りには自分を探すいくつかの人の気配。
「も、もう、いつもいつも・・・(泣)」
かといって連中に捕まれば何をされるか分からない。
・・・・・・・・・・・・
「ここにいたぞっ!!!」
「ひっ!!?」
突然上がった叫び声に、少女は茂みを飛び出し逃げ出してしまった。
考えてみれば、叫び声が上がった場所は少女のいた場所から多少距離があり、
未だ見つかっていないことに気づいたかも知れない。しかし、既にもう後の祭り。
「こっちだっ!!!」
走る少女を追ういくつもの気配。
そして少女は扱けた。 何かに両足を巻き付かれ。
「ううう・・・・・・(泣)」
ついに追いつく気配。
「へへへ、こけてバカでやんのこいつ・・・」
「ホント、まだ這って逃げようと・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
少女は、何故か追い付いた気配が硬直し息を呑むのが分かる。
その様子に少女自身も自分の足の絡みついたモノを見て
「何、これ・・・」
腐葉土の中から飛び出した蛍光黄色の肉塊、それが少女の両足首を完全に捕縛。
ばさああああぁぁぁ
「きゃあああぁぁぁ」
「「うわあああああ」」
少女の両足首を足掛りに地中から捻り出て来たそれは少女の背に圧し掛かる。
「た、すけて・・・」
蛍光黄色の巨大星の下からかろうじて助けを求める少女。
「うわっうわああああああぁぁぁ・・・・」
「ひいいいいいいいいいいぃぃぃ・・・・」
少女の助けを求めるが性悪娘の取り巻き連中の呪縛を解き、取り巻き連中逃げ出してしまった。
取り残された性悪娘。
「お願い・・人、呼んで来て・・・」
「わ、私のせいじゃない。私は悪くないっ!!!」
性悪娘もまた逃げ出した。より森深くへ。
「くっ・・・このぉっ!!!」
少女は一般的なか弱い存在ではなかった。兄妹二人っきりの生活は少女を見た目と異なり逞しく育てていた。
それに人と異なり化け物相手、自分の命の危機的状況ならば逃げるだけではなく派手に抵抗する気にもなる。
「このっ・・・このぉ、どっかいけぇっ!!」
背中に圧し掛かる怪物に肘打ち,自由になった片足で後ろ蹴りを食らわせ暴れる。
少女の身体にしがみ付き一向に効いている様子はない。 それどころか、
「あ、あれ? な?」
筋肉が麻痺し、身体から急速に力が抜けていく 感覚は全く問題ないのに。
いや、それどころか身体が麻痺したせいで感覚はより一層鋭くなってしまった。
「やっ、やあぁぁ!!」
怪物の腹、少女の背に接する面にビッシリ生えた繊毛が服を突抜け解体し、直接肌を撫で回すのが分かる。
そしてさらに尿道,膣,肛門から少女の体内奥深くへと潜り込んでいく何十本もの細長い繊毛。
「あっ、ああ、あっ、あ、あ、ああっ(ビク、ビクビク、ビク、ビク、ビクン)」
繊毛に内側の柔壁を丹念になぞられる毎に少女は自分で慰めて決して得られることのない快感に襲われ、
終わら無い絶頂にその肢体は若魚のように跳ねた 筋肉が麻痺しているにも関らず
少女の肉体にしっかりしがみ付いた怪物ごと・・・
ツプッ
「あぁ、いやぁ、助けてぇ、お兄ちゃぁん。」
怪物の腕の一本が少女に潜り込み始め、
幾度の絶頂に酸欠状態の少女は惚けた頭で甘い声の助けを求めることしか出来ない。
「お、オニイチャン、深い、深いよぉ。もう入らないよぅ。」
いくら逞しく育ていようが所詮はか弱き乙女。
現実の余りモノおぞましさに少女は正気を失い、兄の幻影を求める。
腕の先端が子宮口を捉え抉じ開け、終に未開拓の子宮へと潜り込んだ。 腕の先端,産卵口が大きく開き
ビュシュルルルルルルル・・・・・・
「あっ、あっ、私のお腹オニイチャンのでイッパイになっちゃった。オニイチャンの子供出来ちゃうよお」
ゼリー状の粒を含んだゲルを噴出。それは少女の胎内を満たし僅かに少女の下腹部を膨らませる。
ニュル、ゴポゴポゴポ・・・・
「あっ・・・」
腕が抜けた少女の秘裂からは粘液が溢れ出た。純潔の証が混じった粘液が・・・
「いやぁん、お尻はいゃぁん・・・優しくして、オニイチャン・・・・・・」
狩から戻った青年は直ぐにチンピラの異常な脅えに気づいた。
「おい、待て貴様ら」
ビクッ
「・・・・・・・・」
青年の怒気を孕んだ声に、狼に諸に睨まれた獲物が如く硬直するチンピラ達。
端っから鍛え方が違う青年に適わない上、今日は負い目もある。
「妹の姿が何処にもない・・・貴様ら、妹が何処にいるか知っているな。」
「・・・・・・・・」
「知っているな」
チンピラのズボン股間に広がるしみ。今日遭遇した化物とは別質,比べ物にならない恐ろしさに
彼らは全て吐いた。
向かった方向さえ分かれば、
森での生活を主とする青年にとって人が乱した跡を見つける事は造作もないこと。
青年は一人森の中を走った。 村人に応援を頼まないのは足手まといにしかならないから。
「・・・お、オニイチャン、好き。大好き。」
森奥深くまで疾走した青年が見たモノ。粘液まみれでヒトデの化物に組み伏せがれ喘ぎ悶える愛妹。
その唇から漏れる嬌声は、時折深夜に聞いて聞かない振りをするソレよりも遥かに艶やか。
よりによってこんな状況で愛妹の本心を聞かされるとは。
兄貴が助けに来たことも分からず、
その目前で壊れた少女はヒトデの化物に兄の幻想を重ねその肢体を貪らせ続けた・・・
・・・・・・・・・・・・
愛妹を助け出した青年はその足で人知れず、村の女医(珍しい事にこの村にはいる)の処で治療をしてもらう。
ほとんど胎内と消化器官の洗浄だけですんだが。
後日、幸いな事に少女には苛められ森へ逃げ、茂みに隠れた以降の記憶はなかった。
どうやらそのままそこで眠ってしまい、兄貴につれて帰ってもらった思っているようだ。
身体の不調はその時引いた風邪程度に考えているらしい。
ただ、大変困った事に、
ぎゅ
「お兄ちゃん、行っちゃヤダ・・・」
青年が外出しようとすると必ず止める。 非常に甘えん坊になった。
「大丈夫、直ぐ帰るから。」
「うん・・・いってらっしゃい。」
そして、青年の目にはその笑顔は事の以前よりより一層眩しく映った。
追記:性悪娘はその日の深夜遅く帰宅したらしい。
しかし、一週間程たった頃からその腹が膨らみ始め、介護の甲斐なくすぐに死亡。
村の女医の一存で遺体解剖を行った結果、その腹腔一杯に小粒のヒトデらしきものが詰まっていた。
この村では土葬が主流だが、遺体はそのまま火葬に。
これは性悪娘の死因である生物が異常なほどの生命力を有し、激危険生物と判断されたからに他ならない。
直後、村の女医と青年の指導で村人一同で一斉に山(森)狩りが行われ、
大小合わせ数十体のヒトデの化物を捕獲、処分。
少なくともこの出来事以降、この村付近ではこのヒトデの化物は発見されていない。
2002/05/03