∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■巨大モウゼンゴケ■
作:nao様
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■巨大モウゼンゴケ■

「サイレントリーグラー(静かに蠢くもの)」

 

サイズは全長1m半程の巨大モウゼンゴケ。

深森の地面に出来た亀裂 その光も届かないほどの奥底で群生、

亀裂に落ちて来た生物(甲殻生物を含むありとあらゆる動物,そして人・・・)に絡み付き、

麻痺,催淫性の粘液で獲物を捕縛、

隙間から獲物の体内に侵入し、外側と内側の両方からジワジワと獲物を消化して全体から吸収する。

その触手に大した力はないが、恐るべきは繊細な動きと即効性の粘液、そして遅効性の消化液。

そして、地中を移動でき、一定の期間でその生息場所を移動すると思われる。

なお、粘液,消化液が肌に付着した場合はすぐに水で洗い流すこと。早期に処置できればほとんど人体に影響は無い。

現在、この報告書以前にこの植物に関する記述,伝承は一切発見されていないが、

この植物の隠密性故に犠牲者は数知れないのではないだろうか。

 

夕暮、報告者である青年とその先輩の女騎士は歩き慣れた森の獣道を急いでいた。

任務が終ったばかりで、急用の任務が有るわけでもなく、さっさと休暇に入るという理由のためだけに。

そして、今いる場所なら日が沈んで早いうちに村に到着する=野営しなくていい=ベットで眠れる。

「ほらほら、急いで。早くしないと日が暮れるわよぉ。」

「はいはい、急いでま〜す。」

動きやすいミニスカートにガントレットとロングメタルブーツ,プレートアーマーと長剣だけを装備した女騎士を、

青年は眩しそうに眺めながら後を追う。

 

残りの装備はすべて青年の背中、背嚢の中。 こればっかりは惚れた弱みで仕方がない。

だから当然、青年と女騎士の間の距離は開きこそすれ、彼女が時折立ち止まってくれなければ縮まらなかっただろう。

薄暗い中、青年と女騎士の間の距離が最大になろうとしたその時



「きゃっっ!!?」



女騎士がその容貌より随分可愛らしい悲鳴だけを残し掻き消えた。



「先輩、変な悪戯やめてくださいよ。」



青年は無視して急ぐ、そして行き成り彼女が後からワッと・・・・



「・・・あれ?」



こない。明かにいつもと様子が違う。青年は背嚢から明灯を取出し、構え、辺りの気配を探る。

青年、いつも周囲からは女騎士の腰巾着のように言われているが実は中々のツワモノ。

そこ等の相手に遅れは取らない。

しかし、周囲にはそういった気配は無かった。

そして、女騎士が消えた辺りに大きな地割れを発見。落ち葉で隠されていたものを彼女が踏み抜いてしまったのかもしれない。



「せんぱ〜〜〜い」



・・・・・・・・・



反応無し。石を落としても音が返ってこないところを見ると相当深いのだろうか。青年の心の中、様々な想像が過る。

気を失い地に倒れている彼女。傷つき苦しみ、喘ぐ彼女。そして・・・

青年は戦々恐々としながらもテキパキと手を動かし、穴に下りる準備を整えた。

そして、鎧を脱いで腰に長剣と明灯だけを帯び身体に縄を巻き付け突入。

 

時を遡り、女騎士が亀裂に落ちる少し前、彼女はいつものように先行して辺りを警戒する。

青年に全ての荷物を持たせている以上、偵察は彼女の役目・・・

といっても歩き慣れた近道なので体のいいサボ・・

青年が彼女の我侭を許してしまうので、彼女はついつい彼に甘えてしまうのだ。

足を踏み出した瞬間、



スカッ



「ぇ? きゃっっ!!?」



ソコに地面は無く、深い真暗の穴の中へまっしぐら

そして、しばらくして底に到着。しかし、地面に激突するわけでも無くフンワリと受け止められた。

受身を取れる体勢を取っていた女騎士は拍子抜け。

だが、身体がズブズブと沈み始めたので慌てて立ち上がるが



「うぁ!!? ナニこれ。」



髪や腕,身体に絡み付いたナニかに驚きの悲鳴を上げてしまった。

闇の中その悲鳴に周囲がざわめき、彼女に意識が向き、ナニかが身体に纏わり付き始める。



「なめるなっ!!」



抜き様に長剣を一閃、手応えあり。伊達に騎士をやってはいないのだ。 一瞬の間が開き



ビュッ、ピュッ、ビュルっ、ピュッ



「?・・・!!!」



四方八方、下からも青臭い粘液を吹付けられてしまった。あっという間に髪から全身,下着まで粘液塗れ。

明かにこれは自分の態勢が悪い兆候。だからと言って、構えを解くことは出来ない。

そして女騎士の予想通り、彼女の身体が痺れ始めた。その上、予想外に火照り始めた身体と疼く芯・・・

それを察してか触手が、彼女に絡み付き鎧の隙間から直接肌を

下から剥き出しの(スカートの中の)太腿から順に上へ這い登り柔肌に粘液を擦り付けながら這い上がる。

女騎士は成す術も無く長剣を支えに立つのみ。

触手は彼女の下着の中、胎内,体内にも滑り込む。



「んっ・・・んくっ・・・あん!!!・・・こんな事なら・・んふぅ・・彼に告白しとけばよかった・・・」



否応にも、ハッキリ分かる体内を弄る触手の蠢きに腰砕けになり、それに身体を委ねたくなる。

しかし、理性はそれを許さない。

普段は自分の個性が強すぎるために、彼は周囲から「金魚の糞」や「甲斐性無し」などボロクソ言われてはいるが、

実は意外に優秀なのだ。

もしかしたら、自分以上に。

だから、多分彼は自分を探しにココへ降りて来る。

そのとき自分が立っていなければ彼まで自分の二の舞になってしまう。

彼は彼女の命令に従い、このことを報告するため自分を残して上へ戻る。

そして自分は触手に身を委ね、一人寂しく闇の中で果てる・・・

彼が好きなくせに悪戯をする、素直じゃない女にはいい末路なのかもしれない と思いつつ女騎士は自嘲気味に笑った。

意外とすぐ、渾身の力を振り絞り快感に抵抗して上を仰ぐ女騎士の視界に小さな光が入った。

しかし、乙女心(?)は正直・・・

 

どれくらい下りただろうか。穴の外の星空も見えず虫の声も聞こえない闇の中、下の方でキラキラと光が反射。



「・・・来ないで・・」



青年の耳に、微かに途切れ途切れの女騎士が届いた。青年は警戒しながらも急いで下りて行く。

ソコで青年が見た物は、亀裂の底いっぱいに生えた巨大モウゼンゴケと

身体を何本もの巨大モウゼンゴケに巻き付かれ、喘ぎ、長剣を支えに辛うじて立っている様相の女騎士。



「これに・・触ったら・・痺れる。・・・引き返して・・これを・・・報告しなさい。」



弱弱しくも気丈に命令する女騎士。しかし、そんな命令に従う青年ではない。



「先輩、手を伸ばして。自分が引張り上げますっ。」



「・・・だめなの。・・・こいつら・・・私の・・身体の奥深くまで侵入して・・・・」



そう言って微笑む女騎士。

否、微笑でいるのではなく粘膜を擦られる快感を堪えているのだ。女騎士の濡れた唇から漏れる甘い吐息。

青年の中で音を立てて何かが切れた。



「惚れた女を、コンな所に見捨てられるかああああああぁぁ(怒・怒・怒)」



「・・・ふふっ、・・・私も・・君のこと好き(ポッ)」



とんでもない所でさりげなく告白する二人。

そして、女騎士は渾身の力を振り絞り、緩慢な動きながらも青年の方へ手を伸ばそうとした。

だが、行き成り触手がざわめき出し、



ビュッ、ピュッピュッピュッ、ビュルっ



「おわっ!!?」



「はぅん!!?」



触手から粘液が噴出。それを慌てて避ける青年と

びくっと身体を退け反らし、目を見開いて全身に粘液を浴びる女騎士。



「先輩っ!!」



「あっ!・・・あっ!!・・・出てるぅ・・・」



「先輩?」



「・・・たくさん・・お腹の中で出てるのぉ・・・きほちいいぃよぉ・・・」



ついに女騎士の理性が崩れた(告白して緊張が切れてしまったせいか)。

そして身体が倒れて、触手の海に飲込まれる。それでも、何かを掴むために触手の海の外へ手を伸ばしたまま。



「ちっっ!!」



青年は今にも沈みそうな痙攣する女騎士の手に縄を掛け、後は後も省みず上へ上へ登り引張り上げて行く…

 

 

後日、青年とその仲間は亀裂の底に戻り探索。だが既にそこに巨大モウゼンゴケは影も形見当たらず

発見したものは、人骨を含め様々な動物の骨,

まるで洗い立ての服や靴, 竜の鱗, 鋼甲虫等の外骨格、

そして、まるで新品のような女騎士のロングメタルブーツ…

 

話は戻るが勿論、青年は女騎士を救出。

近くの川原で彼女に纏わり付いた触手を取り除き抜き取って、全身の粘液を洗い流した後、近くの村に直行。

青年の処置が正しかったかお陰か、村では殆ど治療らしきことをする必要がなかった。

そして最近、青年と女騎士は無事結婚したとのこと。

ちなみに事件直後、彼女は盛った上に少し皮膚を解かされたせいか身体全体が性感帯になってしまい、

いろいろ(ナニとは言わないが)大変だったらしい。

 

 


2001/11/04



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