∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 10 ■
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そして、決戦前夜。

オブシディアの砦では

ハガルとニーベルが共に晩酌を。

「何故私がお前と酒を飲ばねばならんのだ(怒」

「いや、だから明日は俺といっしょに・・・」

「はぁ? そのような事を言うのはこの口かぁ?」

「に、にーへふぅ!!?」

青年、酔いどれ女傑に口隅に指を引っ掛けられウニウニと。

「第一、私はジークフリード様と・・・(泣」

「・・・・・・(汗」

また空いた瓶が床の上に転がった。彼女一人で一体何本空けたのだろう・・・

色々な事がありすぎて今や麗人は破綻しつつあった。

まぁ、これはこれで魅力的だな なんて思ってしまったのも事実だったり。

そういう相手として見られていないという説もあるが。

「・・・・・・ヒっク。 ハガル、お前・・・」

「えっ、えっ、ええっ!!?」

行き成り潤む眼のニーベルはハガルを押し倒し、ぶつかった背中の痛みなど何処へやら。

馬乗りにハガルの顔を固定し、ゆっくりと濡れた唇が近づき、触れ

いよいよこれは・・・

「・・・・・・をぇ(ゲロゲロゲロ」

「!!???」

口腔イッパイに広がる甘酸っぱく生温かいもの。

彼女とのファーストキスは○○の味、世の中そうは旨くいかなかった。

しかも翌日早朝、元気な彼女に関しての記憶は一切なかったり・・・

 

 

 

シウォングの砦。決戦前日にも関らず、中は非常に穏やかで

ある者は決戦に備え訓練し、装備を磨き、ある者は念のため辞世の句を読み

ある者は恋人に手紙をしたため、ある者は恋人同士で語らい・・・

ライは抜け殻の如くぼんやりと、壁に背を預け窓の外の風景を眺め。

「おう御主、覇気が無いゾ」

「今まで齷齪とやるべき事は済ましたしな。今日ぐらいは何もせずに過すさ」

やってきたのはラフにらしい格好の4人娘。

ゴスロリにカットシャツパンツに旗袍服(チャイナドレス)に浴衣

「ん。 では、私は膝枕で寝るとしよう」

とシエルは言葉通りにゴロンと横に。

「まてまてまてまて。4人も同時に捌ききれないぞ(汗」

「脚の間に一人、膝枕で二人、ですね」

「そこっ、冷静に分析しないっ」

「「「「・・・ジャンケン」」」」

「するなぁっ!!! 全く・・・」

結局、ルーは脚の間で後ろから抱擁され、三人が膝枕なり肩にもたれる事に落着いたとか。

やってる事はいつもとかわらず。

 

 

 

恋人なリオ&アレスは何をやっているかというと、

台所を占領して料理をこさえまくるリオをアレスは御手伝い。

「〜〜♪ 〜〜〜♪ 〜♪ 〜〜♪」

「・・・・・・(眠」

「〜〜〜♪ 〜〜♪ 〜♪ 〜・・・。 ・・・アレス君」

「何だ?」

「いよいよ明日からの戦いで終わりなんだよね?」

「・・・そうだな。」

「・・・私、怖い。 怖くて・・・誰かが死んで・・・悪いことばかり考えるの」

「・・・・・・ふぅ」

むにぃ〜〜〜〜

「ひゃっ!!? あれぇしゅきゅんやみゃてぇ〜〜(泣」

「よく伸びるホッペだ。 何故、態々先日に丸一日空いてるか分るか?」

「えっ? えっと、それは・・・」

「丸一日あれば自分が何の為に戦っていたか思い出す。

思い出したら、勝ち生き残りたくなる。

俺だって怖い。 だが・・・死ぬ気も死なせる気も更々ない。

怖いなら以上に怒れ。理不尽に俺達からささやかな幸せを奪われる事を」

「・・・くすっ。 怒っちゃダメ、アレス君。 ハンサムが台無しになっちゃう」

「ぬ・・・(困」

・・・・・・・・

お子様なディ&ルナは屋根の上でゴロゴロゴロと

「がぅ、暇。ディ、何故、ココ、いる? 私、リオの処、行く」

「ダメですよ。 姉様の邪魔しちゃ。」

「がぅ〜〜〜。 シエルの処、行く」

「それもダメです。大人には大人の事情というものがあるんです。」

「がぅ〜〜、ディ、ムカつく」

カプっアムアムアムアム

「ええ、もう好きなだけ噛んで下さい。 それで平穏が護られるなら安いものです。」

アムアムアム、アム・・・・・・

「・・・・・・z・・z・・」

「ホント、子供ですねー(呆」

子供達に杞憂などなく、今何をするか,これから如何するかだけ。

 

 

 

そして決戦当日、進軍に相向かう両軍。

「さぁこれで決着を着けようや、大将」

「やはり生きていたか・・・戦士たるもの、そうでなくてはなっ!!」

神将は烈将と忠将に、真龍騎公は疾黒戦姫,聖嬢騎姫と勇雄騎将に

周囲の小競り合いから護られ決闘の場に立つ。 誰も邪魔はさせない。 

両雄、抜き放たれるのは神剣シグルズに神狼牙。 戦叫と共に二人は激突した。

両陣営共に他隊を吸収して最も大きくなった主隊が先にぶつかり合い、

最前線以降は見物せざるえない陣形だった。しかし何処にでも暗躍する奴はいる。

謀将アンスールとそれに付き従う惨将ブリングの部隊。

シウォング陣を背後から襲い侵してやらんと主隊を大きく迂回し。

しかし、そんな連中が出てくるあろう事は予測済み。

実際の戦闘に関らずとも、その監視の為に上空から見張るのは翼人が多いルーの部隊。

そもそも、魔導兵は短期間に魔導を修めだけあってまともな戦闘訓練は出来ていない。

端より格闘能力があった者なら兎も角、戦力をして不十分は者を出すわけにはいかず、

結果、魔導兵=衛生兵,そして己の翼なり魔導で空を飛ぶ事が出来る者は偵察員として。

その一団の発見は即参謀であるルーのに届き、その規模からカイン隊と合流すべきと

判断。カイン隊は攻撃力,防御力が高い割りに移動力が低いのだ。取り逃がして

実験経験のないアルシア隊まで逃がすようなことはしたくない。

相手は戦闘国家の中でも更に輪をかけて性質が悪く都合の悪いことは見えない兵達。

移動するオブシディアの別動隊の前、立塞がるのは重装兵。更に背後から魔導兵の攻撃。

「ふん、大将を始末出来なかった上に邪魔まで入るとは・・・ブリング、彼らの足止めを」

アンスールの命令にブリングは一言も返すことなく以下の兵半数を率いて

カイン&ルー隊と激突。

「あっ、くそ、抜けられたっ!!」

「ルー悪いけど、あの死神さんを出来る限り無傷で捕獲したいんだ。何か手は無いかい?」

「ディ,ルナ、適当に連れてアルシアの応援に行けっ」

「はいっ」 「わんっ」

「ちっ、全く。 アレに魔法は通用せんのに無傷でか」

「ホルムンクスらしいけど」

「それが分れば何とかなるナ。 カイン、奴の動きを止めろ」

雑魚の兵は重装兵,魔導兵に任せ、甲装騎将は再び惨将と相間見える。

 

 

 

アンスール以下の兵はアルシア隊と対決。勢力的には規模が同様であった為、将対将に。

アルシアVSアンスール

アルシアはラメな紫の旗袍服を思わせる艶やかな鱗鎧「艶龍鱗」の細腰を

ガンベルト如く薬小瓶を幾つも携帯出来る厚幅ベルトで締上げ、腕には革の長手袋に

脚には鋼のブーツと二の腕,太股は剥き出しで、無駄に艶やかな格好にマントを纏い

茨鋼鞭「龍尾」,円形盾「霊鏡」を携える。

対し、アンスールはインテリな面に魔導士服その上に板金鎧を纏い、左右に長剣と魔杖。

「ここは・・・こんな売婦まで将をやっているのですか。なんて処(呆」

「この男・・・不細工ねぇ(呆」

つまり、二人とも戦場に立つには余りにも相応しく無い格好であり

「・・・(怒。 売婦は売婦らしく、男にでも腰をふって悶えていればいいのです」

「まっ失礼しちゃうわぁ、女王様に向かって・・・(怒。 教育してあ・げ・る☆」

・・・イロモノキワモノキャラ同士。

因みに、アンスールのインテリ面はそこいらの男よりハンサムの部類に入る。

バシュっと絡め取らんとする鞭を回避しつつ魔法弾を叩き込み、それを霊鏡で反射。

「見た目、売婦のくせに・・・」

「引き篭もりオタクっぽいくせに・・・」

「「できるっ!!」」

アルシアはベルトの小瓶数個を取り開封しつつ魔導発動。『笑雲』に巻き込まれ

敵味方兵問わず腹痛でパタパタと倒れる中、アンスールは『障壁』『解毒』で防御。

空かさず拡散型魔法弾を撃ち返し、雲鏡で防御したアルシアの周囲の兵が巻込まれ

撃ち抜かれのたうち回る。これもまた敵味方兵問わず・・・

「味方まで巻き込むだなんて、何て酷い・・・」

「貴様みたいな悪女だけには言われたくはありませんねっ」

「悪女・・・最高の賞賛だわぁ(うっとり」

自身が投擲した小瓶を砕き鞭が迫る、炎を纏って生み出した陽炎で惑わしながら。

アンスールは避けきれぬと長剣に巻き付け防いだ。が

メキョ

絞り上げる茨鋼鞭「龍尾」に長剣が粉砕。 ・・・棘々な見た目通り極悪な威力である。

「私には魔法は効かないから接近戦が出来ない貴方に勝ち目なんてないわよぉ? 

一度だけ降参するか聞いてあげる。でも私としては抵抗してくれた方が嬉しいかしらぁ」

「降参? 何をバカな。 女という生き物は如何してこうも知能が低い」

「負け惜しみねぇ」

「そうでもありませんよ。」

地を突く魔杖に、アルシアは魔法の発動を感知し、すぐさま場を飛退いた。しかし何も無い

と思ったその瞬間

「???」

地より生えた生白い触手がアルシアの脚に絡み付き、固定。

「土精具現化。 売婦は売婦らしく弄り犯してから私の奴隷にしてあげましょう。」

「やっぱり、不細工な男ねぇ」

脚を這い登っていく触手にアルシアの声が上擦りかけるが、未だ負けたつもりはない。

負場にあってその態度が気に喰わないのか

「この・・・売婦があああああっ!!!」

「!!? あくっ、ふぐあああああっ!!?」

激情に感応し、より多く地面から生えた触手が我先にと這い登り艶龍鱗の中に潜込み

首まで艶龍鱗の上から絡み付き絞め上げ始めた。

しかし地面から生える触手に比べ艶龍鱗の上から締め上げる触手の数は少なく

腰は臍部で堅くベルトで絞めてあるため、ソコから上へ艶龍鱗の中に潜り込む事はない。

それに、ヌチャネチョと何処と無く粘液質な音が艶龍鱗の中 アルシアの股から響く。

つまり・・・・・・

「をっと、私としたことが大人気ない・・・殺してしまっては元もこもありませんからね」

「ぐっ・・・はっ!! へ、下手糞ねぇ。もうちょっと・・・勉強なさい」

「そんなに汁を流して説得力がありませんよ」

「これは、ねぇ、貴方がへタッピだから、身体を、護る為に、出る、の、よぉ。

ばっ・・・・・・かねぇ」

「この女・・・(怒」

「それに、もう、御遊びは、終わりっ」

その一言が合図のように、何かが敵兵を吹っ飛ばしつつ接近してくる。 それに

「アルシアさん、大丈夫ですかっ!!」

少年の声にアンスールが空を仰ぎ見れば、天使の如き影

「絡み付いてるコレ、何とかしなさいっ!!」

「はいっ」

と、翼が羽と散り、アルシアへ矢となって降り注いだ。

否、正しくは束縛していた触手のみアルシアには傷一つ着けず。

気付けば一帯のオブシディア兵は駆逐され、シウォング兵が周囲を包囲し

アンスールを取り囲むのは三人ディ,ルナ,そしてアルシア。

「降参は・・・しないのよねぇ?」

「がぅ、これ、捕虜?」

「捕虜にはならないそうですよ。 第一、価値が無さそうですから」

もう、勝ったも当然で好き勝手いいほうだいである。

「お、己えええええっ、カスどもがあああああっ!!!」

突く魔杖に、広範囲で大量に地から生えてくる触手。 しかし

「呀っ!!」

ルナの破魔咆哮に消し飛んでいく。 

「貴方達、やっておしまいなさい」

「はいっ!!!」

「がうっ!!!」

アルシアの号令に飛び込んだ子供二人は瞬間

ルナがその大太刀で魔杖を弾き飛ばし刻み粉破、ディが魔法剣で精神力を奪う。

そして、アルシアの鞭がアンスールを束縛した。

「ま、まて、降参する。捕虜になろう。私の魔導の知識は価値がありますよ」

「だって」

「πρλεφμχρψ・・・?」

「わう?」 何て言ったの?

「なんていったのかしらねぇ」

「・・・・・・・(汗」

「はぁ・・・、コレ、何の約にも立ちません。始末しましょう」

「ま、ま、待て、何と言ったんですかっ」

「なぁ〜〜んにも、意味ある発音はしてませんよ。

そんな事したら魔法が発動してしまうでしょう?(呆」

「何ぃー――っ!!?」

「おバカな貴方に私の名を教えて ア・ゲ・ル。 麗紫毒姫アルシア=フォアスタ

ほら、貴方達も名乗って起きなさい」

「聖士魔将ディオール=クラウス と。 そして彼女は銀狼闘姫シフォルナ」

「がうっ!!!」

「・・・もっとも、覚えてもらってももう終わりなのよねぇ」

「まっ・・・」

めきょっ

「―――――――っ!!?」

引き絞られると共に身体中の骨が砕けアンスール絶叫、そして昇天。

「・・・・・・殺してしまったんですか?」

「まさかぁ(笑。 こんなの殺しても仕方が無いもの。 廃人決定でしょうけどねぇ」

謀将撃破。


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■ EPISODE 10 ■

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