∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 10 ■
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再戦、数日後戦場に両軍が相向かいあう。 今回は前回以上の緊迫感が漂っていた。

片やもう田舎都市の軍なんぞに舐められてたまるか と。

片や出鱈目に自分達の都市を犯されてたまるものか と。

そして両軍、申し合わせたかの様に激突。 ぶつかり合う鷹対鷹。

リオアレス隊VSハガル隊

「はぁ、また貴様らか・・・」

「今度は負けん。 リオっ、手を出すなっ!!」

「アレス君っ!!!」

聖嬢一人、戦場のど真ん中の残し両若雄激突。

 

 

 

シエル隊VSヘイガル隊

「これはまた・・・貫きがいがある女だ」

「・・・(クアアアア。 ぺっ」

「・・・獣っ!!!」

瞬間、ヘイガルの多突撃にシエルはぴくりとも動かず目を細め

かすった槍先にシエルの頬から血が飛び沫く。

唇まで垂れる鮮血を舐め、指で拭えばシエルの顔はあたかも虎の如く。

「ダメージを負わせる気が無い攻撃。端より避けるまでもない」

「獣がぁっ!! 死なぬ程度に貫き命乞いさせてやる」

「ふんっ」

肩口を狙い繰り出される槍撃。しかし、それは剣爪にぶつかり火花を散らすのみ。

更に脇腹や太股など致命傷にならない処を狙い繰り出されるが間一髪に弾かれ

「くっ・・・いつまでも偶然が続くと思うなっ!!!」

「・・・・・・」

もう遊ぶ気が無くなったのか狙うのは爆乳の合間。が

「っ!!?」

「こんなもの、見切れば・・・」

シエルの交差した両剣爪の間、挟まれたヘイガルの槍はピクリとも動かず。

「こ、このぉ、獣女がぁっ!!!!」

引いた槍にシエルの姿は霞消え、

斬っ!!!

瞬後、ヘイガルの背後に。

「・・・爪型霞斬、斬式」

パラパラと槍が斬り落ちていく。それがヘイガルの手元まで達した時

「ぐ、ぐはっ!!?」

血に染まったのはヘイガル。 地に伏した男から広がる血をシエルは感慨無く見捨て

仲間の元へ・・・

 

 

 

レイハ隊VSソーン隊

「・・・貴方ですか。シエルの言っていた○○○は。」

「ぐふっ、これまたイイ女。選り取りみどりだなぁ」

「貴方の様に女性を性欲の捌口としか見てない方は皆、謹んで遠慮させて頂きます」

「遠慮してもやるっ!!!」

大戦斧を捨て諸手で飛び掛る女殺鬼を、レイハはその頭を踏台に飛び越え斬りつける。

しかし、斬った箇所からは血すら滲まず

「本当に刃が通らない皮膚とは(驚」

「ぐふふふふ、抵抗するならそれはそれでまたよしっ!!」

「全く・・・」

何故、シエルより不利なレイハがこの女殺鬼を受け持つ事になったか。それは

レイハには多くの攻撃する術があるから。

「さぁ、いまっ、直ぐっ、ここでっ」

「お断りです」

レイハ一投、黒い球は女殺鬼の顔に直撃してその姿は煙に包まれた。しかし

「女ぁ〜〜、女ぁ〜〜(ハァハァハァハァ」

効いているのか効いてないのか、さっきよりもその形相が怖い。

女殺鬼の飛び掛る抱擁をレイハは瞬間、屈んで回避。目の前には

蟹股で盛り上がった男の股間が。それが裂け、認識出来る間もなく

「あぐっ!!?」

レイハの鳩尾に脚が浮くまで撃ち込まれる棍棒、もとい男根。

洒落抜きでソレは凶器だった。

悶絶に身動き出来ないレイハの脚を摘み持ち釣り下げ、顔の位置を同じに。

「さて、オマエは最後まで保つかな?」

「誰がっ!!」

サクッと女殺鬼の片目へ吸い込まれるようにクナイが生えた。レイハの投擲に。瞬後

「ぐ、ああああああああっ!!? 目が、俺の目がああああああっ!!?」

「ぐっ、げふっ」

女殺鬼にレイハは禄に受身すら取れずに全身強打。 そして吐血。

動かない躯のその向うでは皆殺鬼と化したソーンが味方を巻き込み大暴れ・・・

這々体のレイハがようやく身体が動くようになり一時退却しようと

「おんなああああああっ!!!」

「!!?」

一蹴に吹っ飛ばされ天地がわからなくなった。その視界に入ってきたのは

片目に未だ深々とクナイを射したままのソーン。如何やら腰を捕まれていたらしい。

「殺してやる。殺してやるっ。殺してやるうううううっ」

ミシッ

「!!?」

脳天を突く腰骨の悲鳴にレイハの唇から漏れるのは血と涎と声無き悲鳴。

が、不意にその苦痛が止み天地逆転。逆さに脚を左右に引っ張られ

「おんなあぁ、血と内臓をブチマケ悲鳴で痛みをいやせえええええ」

「あぐあああああっ!!?」

牽引にレイハの脚は真横一文字。怪力に耐えられるものではなくビキビキと悲鳴を上げる。

このままでは死んでしまう・・・死ぬ・・・私は未だ死ねないっ!!

沸き立つ闘志にレイハは身体を捻り貯めた力を拳へ、ソーンの片目に刺さったままの

クナイの尻に叩き込むっ!!

「 」

効いたのか効かなかったのか、レイハが悠久に感じた間の後ビクンと痙攣に

鬼の身体から力が抜けてレイハは解放。レイハの目の前、鬼はゆっくりと倒れていき

ドンっ

と地響きと共に断末間に棍棒より射精。己で己の汚液を被る。

「最後の最後まで無様な・・・」

レイハはその場を去るためボロボロの身体に鞭打ち立とうと、しかし力及ばず

結局、地に伏したまま意識が・・・・・・

 

 

 

ルー隊VS unknown

「クソっ、何だコイツはっ」

「ルーさんは下がってココは僕達にっ」

「わんっ!!」

子供(?)三人の前に立塞がるのは黒衣の死神 の如き将。何故かルーの魔法が通用せず

ルナの大太刀により鎌と動きを止めた処でディの魔法大剣が唸り斬る。が

「なっ!!?」

「ぎゃんっ!!?」

一蹴にルナは地面を転がる。魔法の刃を食らえば気絶に至らずとも可也動けなくなるのに

「ディ,ルナっ、爆発させるぞっ!!!」

「「!!?」」

魔法が効かないならそのものではなく余波でとルーの叫びに、ルナはディの影に飛び込み

ディは魔法大剣を楯状に展開。 そして爆発。

「げほっ、くしゅんっ(泣」

「・・・いない?」

「逃げられたナ。 ・・・クソっ」

続き、カインVS unknown

「!!?」

瞬間、襲い来る鎌を斧槍で逸らす。見れば、そこには

「・・・・・・」

「・・・僕としては御迎えは死神より天使より、戦乙女の方がいいんだけどね。

ヒルデ、あれは何者だい?」

『・・・ホムンクルス、魂無き肉人形です。貴方が負ける相手ではないでしょう。』

「へぇ・・・じゃ、処分しちゃってもいいかな・・・」

鎧冑の中、誰かに見られることがないのにいつも笑みだったカインから笑みが消えた。

文字通り処分である。人相手なら悪役になるために幾らでも笑ってやるがモノ相手なら

と、揮う斧槍の真空刃と斬撃に黒衣の死神は巻き込まれ、傷ついた真っ白い肌も露に

「・・・女の子じゃないか。 しかも君に似てる(汗」

『・・・それは多分偶然です。 きます。』

「参ったな。女の子相手じゃ迂闊に処分出来ない」

動揺から冷めたカインに再び浮かぶ笑み。女の子である以上に

姿が若干若いヒルデに似ていては 如何しようにも手が・・・

「・・・ヒルデ、あれに魂がないのなら取り憑いて操れないかな?」

『・・・カイン、貴方がやれとおっしゃるなら』

「・・・頼むよ」

カインの鎧から気配が消えると共に死神娘はビクンと糸が切れるように崩れ伏した。

「・・・・・・うっ」

「・・・ヒルデ? 大丈夫かい?」

「・・・は、はい。 ・・・ただ、身体が重くて」 

「精霊が肉体を持ってしまったからね仕方がないよ」

「あっ・・・(照」

姫様抱きで抱え持たれて死神娘・・・ヒルデの顔が紅色に染まる。

如何やら肉体があると感情も回復しているようで、困惑している戦乙女に萌え。

「うん・・・このまま、この肉体も頂いちゃおうか」

「それは・・・いいかもしれませんね」

ヒルデも満更でないらしい。 まあ、御互い好きで結ばれた仲なのだが。

・・・しかし、世の中そうは巧くいかない。

「あっ・・・帰還命令が」

「抵抗出来そうかい?」

「肉体そのものに・・・呪縛が織り込まれているので・・・無理をすれば・・・」

「そうか・・・今回は諦めよう」

「・・・はい」

死神娘から表情が消えると同時に側に降つ気配。そのまま死神娘は逃げられてしまった。

しかし、

「この戦争、僕にも戦う理由が出来たよ。」

『・・・・・・』

相変わらず姿は見えないし声は返ってこなかった。それでも困惑の感情は伝わってくる。

主に仕える精霊、戦乙女。 肉体を得ればその使命を蔑ろに人の生を謳歌するのは

目に見えている。 そんな事は許されない。 それでも・・・・・・

 

 

 

戦場に出来た空白の中、

「「うおおおおおおっ!!!」」

両若雄が戦叫を上げぶつかり合う。ただ今この一瞬のためだけに

もてる技の全てを駆使して己の身体に蓄積されるダメージも意もせずに。

事実、一振り毎にアレスの身体は崩壊の悲鳴を上げ

ハガルも受け止め返す毎に耐え切れず身体が裂けていく。

リオはその戦いを見守るしか術はなく・・・他にもこの決闘を見守る者

否、好機をうかがう者がいた。

二人が白熱すればするほど隙は増え、一撃で仕留め易くなると。そして、その時は来た

「「!!?」」

上空から降り注ぐ火炎弾に鍔競合う二人は対処出来ず硬直。

周囲の兵を巻き込み辺りは火に包まれるが

轟っ!!! っと、被害が及ぶ前に疾風で上空へ吹き飛ばされる業火。

呆気に取られる両若雄+周囲の兵の中心に立つのは聖嬢騎姫リオ。

血泥で汚れていようと鎧衣を纏い円形盾と法剣を携える姿は凛々しく美しく

「今、卑怯にも魔法弾を撃った者、出て来なさいっ!! 私が相手になりますっ!!」

リオは怒っていた。戦争とクダラナイ事をしてる上に構ってもらえず、それでも

男同士の拳の語い(?)のドラマが見れただけでもましだというのに・・・

戦場の中、戦いが硬直したその一帯のど真ん中三人。不意に

「そこだっ!!!」

「おおおっ!!!」

リオの背を狙い撃たれて来た魔法矢とすれ違いにハガルは己の剣を投擲。

魔法矢自体はアレスが破壊剣を揮い打ち消し粉砕。

反撃の気配は・・・無かった。

「・・・邪魔が入ったがこの勝負、勝ちは譲る」

「待てっハガル、あのまま戦い続けても良くて相打ちのはずだ」

「・・・俺にはリオ嬢のような相方がいない。 その分だ。」

「「・・・・・・」」

「次、相見える時は対等の戦いがしたいものだな・・・。 撤収」

寂しい自嘲の笑みを残しハガル退散。

 

 

 

相軍、主隊のぶつかり合いの中心は大将の二人。

双方、馬上のライとジークフリードは相手を倒そうと

「こんな戦い、いつまで続けるつもりだぁっ!!」

「我らが戦士の誇りのため貴様らを駆逐するまでっ!!」

「だから貴様らの都合だけで人を傷つけるとっ!!」

「所詮、世は弱肉強食。駆逐されたくなくば強者であることを証明してみせよっ!!」

「証明っ?、他人の痛みを理解できない奴がっ!!!」

「相手を殺す覚悟がないものが戦場に立つのではないっ!!!」

「殺す殺すと簡単に命を奪わせるかっ!!!」

何度も突撃をかけては交差に剣を揮う。 両者一歩も退かない。退けない。

何十度目かの突撃、ライは瞬間視界に入った何かに気が逸れ剣を振るタイミングが送れ

すれ違いにライの身体スレスレを走る神剣シグルズ。再び突撃をかけようと

「!!?」

バランスが崩れた身体に体勢も立て直せず、落馬。

腕を支えに身体を起こそうとしてもあるべきものがないため立てない。

早く立たなければならないのに・・・

「・・・貴公のモノだ」

と、ジークフリードが目の前に捨てたものは棍棒の様に長く鋼色で

「うっ・・・ぐ・・・俺の、腕」

神狼牙を握り締めたままの龍腕。

確かに、その腕がなければ身体を支え起こすことは無理。

傷口は滑らかに勢い良く血が噴出し・・・力を入れて無理に止める。更に魔力で蓋。

だが、まだ戦いに戻るには及ばず。

「・・・降参しろ。その体裁では戦えまい」

「だれ・・・がっ。 誰かを・・・搾取なんて・・・俺は許さないぞ」

「許す許さないは勝者のみが選べる事。敗者に出来る事などではない。

・・・仕方あるまい。貴公の首を掲げるとしよう」

「・・・俺は」

「?」

「俺は未だ・・・」

斬られた腕を持ち立ち上がる。 それに気圧される神将。

「未だ、負けていないっ!!!」

「カアアアアっ!!!」

獣の叫びに神将の気が逸れた瞬間、振るわれる神狼牙。

神将はそれを防ごうと、しかし知っていた以上にそのリーチは長く

「斬れた腕をっ!!?」

斬っ!! と切先が鎧ごと胸肉を切り裂く。致命打を負わせるに至らずとも

今は動きを封じるのに十分な程に。

ライの左腕の龍腕、その手が斬られた右腕の二の腕を持ち、右手が握る刃が。

「ライっ!!?」

馬上のシエルに呼ばれライはその前に乗り、支えられ

「撤退っ!!!」

退く波に・・・逃げられたのか、助けられたのか。

神将も、辺りの兵も満身創痍に追えず。地面には死屍累々。

その中で腕をザックリと怪我し、以外は異様なほど全く汚れていない男が一人。

それと、躯を肩に背負う黒衣の死神。

「御怪我は大丈夫ですか、神将?」

「謀将アンスール、惨将ブリング・・・それは何だ?」

それとは勿論、黒衣の死神 惨将ブリングが抱える躯。

ドサッと床に捨てれば、それは傷つき汚れ意識無い戦忍娘で・・・

「・・・確か、レイハとか」

「果てた剛将の側に倒れてました。多分、剛将を討ったのはコレでしょう」

「何っ、剛将が・・・」

「ああ、それと猛将も斬られ討たれてました」

「・・・一度に将二人か。」

仲間を討たれようと冷静でいられるのは流石、神将。 否、それ以上に気になるのは

戦っている最中に一瞬とは言えライが硬直したのか。お陰で拮抗が崩れたようなもの。

二人とも攻撃の瞬間は集中しているがそれまでは周囲に気を配り指示して戦っていた。

だから余程のものを目にしない限り遅れをとるようなことは無いはず

しかし・・・

「アンスール、貴様ああああっ!!!」

そこへ兵を掻き分けやってきたのは憤怒に叫ぶハガル。満身創痍ではあるが・・・

「おやおや、忠将ハガル。ご無事で何より」

「貴様、よくも決闘の邪魔を」

「決闘の邪魔? そんなことはしてませんよ。 第一、将たる貴方が何をやって

いるんですか。決闘なんぞで遊ぶ暇があったら一人でも多く敵を倒せばよいものを」

「将さえ倒せば兵だって降参する。無駄な犠牲を払わずに済むだろうが」

「はんっ、甘い、甘いですね。」

「甘いだと? 分って、味方兵も巻き込む攻撃をする貴様に言われたくはないっ。

・・・その女性は何だ。どうせ、向うの将の一人だろうが」

「ソーンの屍の側に倒れていたんですけどね。捕虜にでもしようかと」

「その女、俺が預かる」

「何を勝手な」

指示に惨将ブリングが刃をハガルに向け間に立つ。正に一触即発。

ハガルなら勝てない相手ではないだろう。しかし今は傷つき相手は二人・・・

「双方、刃を収めよっ!!! この者はニーベルへ預ける、客人として」

大将が言う以上、アンスールすら聞かざるえない。

「命拾いしましたね。 ・・・そうそう、拾ったので返しておきますよ」

と謀将が投げ返すのはハガルの得物。 投擲に失ったそれ。

今更怒ることではないので残し去る二人を見送るのみ。

「・・・神将、奴は危険です。」

「それは分っている。だが将は二人も討たれた以上奴を外すわけにはいかん」

「二人・・・味方の将に討たれたのでなければいいのですが」

「・・・・・・」


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■ EPISODE 10 ■

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