∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 10 ■
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ライは何も子供達相手だけに戦闘訓練しているわけではなく、

シエルやレイハ相手に対一で戦ったりもする。 もとい、

今日はルーを筆頭にアルシア,リオ,ディの魔導派は用事で出張ってたりしていた。

素手同士シャツズボンなライにシャツ短パンなシエルが拳を揮い蹴りで切裂き襲う。

それをライはバックステップで避け懐に入り際、吸い寄せられそうな乳パンチも

辛うじて踏みとどまって交わし一転、背負い投げでシエルを遠くへ投げ飛ばす。

空でシエルは体勢を立て直し獣の如く四肢で着地、透かさず腕を揮いライへ突貫・・・

「くぅん、シエル、楽しそう(寂」

「最近シエルはより猫化してますから実際楽しいのでしょうね」

「それにしても、あの動きは凄い・・・」

じゃれあう・・・闘う二人を前に、うらやましそうにみる毎度な格好のルナ。

レオタードなレイハに、戦々恐々でも感想を漏らすのはライ同様ラフに訓練着なアレス。

特にライが乳パンチを喰らいそうになる毎にレイハの手がビキビキなるのは

気のせいであってほしい。 そうこうしているうちに一段落。

ライを置いて汗だくのシエルのみが戻って来た。 張付くシャツに浮いた乳首が・・・

「次、レイハ」

「えっ、休憩無しでいいのですか?」

「一方的に私が弄ばれただけだからライは疲れてないそうだ」

確かにライはカウンターメインの戦法で対して動かないので然程疲れていないが

それでも・・・

「・・・しかたありませんね。では御言葉に甘えて・・・」

仕方なさそうに言いつつもレイハはポニーテールが嬉しそう揺れて行く。

「わん、レイハ、嬉しい」

「ん。嬉しいんだろうな」

「俺には何もわかりません・・・」

一方、レイハはライと対峙し シエルの獣を思わせる動的なファイティングポーズとは

対照的に、両手から力を抜いて静的に構える。コレが予備動作なく一瞬で動くため厄介。

そもそもシエルとレイハの敏捷性,素早さ自体はそう変らないが、

シエルの方が体重があるため攻撃も重く打撃型。 

対しレイハは軽いので打撃には向かない。

しかし身体が以上に柔軟さを活かすため四肢からは鞭の如く、絡み付かれるとまた厄介。

しかもレイハの髪は凶器であるため無意識に目潰しになったり紐になったり三本目の腕。

「さて・・・」

御互いの手の内を知り尽くしていると共に迂闊に手を出せない。

シエルの様に積極的なら単にカウンターメインで楽なのだが、レイハは割に消極的。

「わん、退屈」

「・・・毎度如く、何かした方がいいのでは?」

「ん。 そうだな・・・」

とシエルは足元の石二つ拾い、それを一投。

ライは飛礫を見ず片拳で弾き、レイハは隙に一瞬でライの居合いに

矢次早に迫る手刀や蹴刀を避け交わして取った手首にレイハを背負い投げ

が猫柳に着地し再びレイハの猛攻を、今度は手首足首を叩いて弾き・・・

「毎度シエルさんと団長の戦いはパワフルで凄いが・・・これもややこしくて凄い」

「ん。でも、私の性に合わない」

「くぅん(クラクラ」 目が回るぅ。

それでもライにしてみれは、レイハの胸は並であるため乳パンチに怯える必要は無い。

レイハは迫る拳を避けその腕に脚を絡みつかせ極めようとし、ライは腕に絡むレイハを

空いている手で掴み捕まえようとし、レイハはその腕すら共に極めようと絡みついたまま

体勢を変え、ライはそのレイハを振り解こうと・・・

「うをっ!!?」

「えっ!!?」

不意に躓いたライに、二人は見事なまでに球となって明後日の方向へゴロゴロと

「うぁー― ・・・って、大変だっ!!!」

「わんっ!!!」

「ん。」

焦り追い駆けて行く子供二人に対し、シエルは まぁ大丈夫なんじゃないかな と

のんびりかけていった。

・・・それはもう、見事なまでの絡まりようとしか言いようがなく。

69に、頭に瘤を作って気絶しながらもレイハの股間に顔を埋めるライの下、

目を点に固まったレイハの鼻頭にライの股。しかも、ライの脚にレイハの腕が絡まり

レイハの脚はライの顔を女股に押し付けるように組絡まって容易に解けそうもなく

ライの腕はレイハの下、レオタードの尻間の布で見事なまでに手首を捕縛され結果

股間に過度に食い込み・・・それはライだけしか見えずレイハ当人しか分らないが

「た、た、助けてください(泣」

「くぅ〜〜ん」 ど、どうやって?

「これは・・・難しいぞ(汗」

傍目では下手に動かせばレイハの四肢の骨が折れそう。

レイハ自身は割目にまでレオタードが食い込こむわ、更に股間をがっぷりカジカジと

咥えられてしまっているわ、しかもフハフハフハと生温かく息までかかり気分はもう 

ア〜レェ〜、お〜かぁ〜さぁ〜れぇ〜るぅ〜

「・・・ん、ほうっておこう。」

「ええっ!!?」

「だってこれは・・・当人達以外、私達部外者では如何しようもない。 ん。」

御邪魔しちゃ悪いとばかりに立ち去るシエルに、子供等は見比べ

結局逃げるようにシエルの後を追うしかなく

「ああっ、そんな後無体なっ。 あんっ、あっ、ダメェ はああぁあぁあああぁ・・・」

レイハが暴れれば暴れるほどグイグイと食い込みハグハグと股を食みしゃぶられ

実は起きているんじゃないかと思うくらいに顔にはモッコリが押し付けられてしまい

ニオイが、ニオイがっ、ニオイがあぁぁあぁぁぁん・・・・・・

・・・・・・合唱(チーン)

 

この都市において、その代表者である領主の顔を知らないものが殆ど。

だからラフな格好のライが女の子を連れて街中を歩いていると、

アルシアの場合

哀れそうな顔をされた。悪女と気のイイ青年のカップルもしくはダメ姉と弟か?

騙されてる とか、考え直せ とか、頑張りな(泣 とか、言われてしまった。

・・・いらん御世話だ。こっちだって負けず邪悪なんだから。

レイハの場合

レイハが哀れそうな顔をされた。バカボンボンとその秘書か?

励まされるのはもっぱらレイハであり、ライはしっかりしろ等叱られた。

・・・そんなに頼りないか?

ルーの場合

微笑ましい顔をされた。 父娘もしくは兄妹と思われたらしい。

否定したら汚物を見る目で捕らえられて自警団にツーホーされた。

ちょっとまてぃっ!!!

シエルの場合

ライの斜め後ろをシエルが飼猫の如く機嫌を伺いながら慕って歩く。

端より周囲との間に深い溝が・・・。 御主人様と奴隷?

あっ、母親が子供を隠した。 ルルルー(泣

 

何であれ、知られずに領主が民と素で話を出来る事ほど平和なことはなく

ライは己の正体を関係者以外に知らせる気も必要はなかった。それまでは。

凶報。

甲竜によって滅ぼされた村は今度は人の手によって焼き討ちされた。

生還した僅かの者達を残して。

役所は既に彼らを迎えるため野戦病院の様相だった。

「戻って来た者達の中で話をしても大丈夫な責任者はいるかっ!!!」

混乱の様相を見せる役所がその一吼で静まりかえる。それだけの存在感があった。

それは皆を引き連れやってきたライ。

皆には怪我人の治療,手伝いを指示し、ライは役人に案内されてその者の元へ。

その者は例の報告者だった。だが以前と変り身体中血の滲んだ包帯を巻き悲惨。

「・・・怪我、大丈夫か?」

「ライ殿っ!!? 痛っ」

「無理に身体を起こさなくていい。寝たままで。 何が起ったか話してくれるか?」

「はい、済みません・・・我々は」

彼の話は単純明快。軍隊らしき一団によって突然村は焼き討ちされた。ただそれだけ

「全滅させる事も出来たはずなのに態々計ったように半分、傷つけ返した。 

・・・メッセンジャー代わりか」

「はい・・・」

「もういい、今は休め。 代わりの家はすぐ用意させるから」

ライたちの属する王国ヴィガルドの広大な四季ある温暖な大地を囲むのは

西は荒海、北は山脈と荒海、南は連なる山脈、東は深森と山脈そして・・・

ライたちの都市シウォングは南に連なる山脈と東下部の山脈,東南より伸びる山脈に

囲まれ、南の国と東南の国,王国との交流の場所となっていた。

そして今やシウォングの領域は山脈に伝い広がりブーメラン状に広い。

そもそも以前、南の国とは山脈が邪魔をして山脈を越えてまで国交を結ぶ利益が

無かったため繋がりはなかったが、都市シウォングがそれを容易にした。

東南の国は最近まで隣接していた事すら知らず、今はシウォングがその窓口となり

関係は地方都市同士の付き合いながら中々の好感触。

東北の国は殆ど荒地であるため何でも有り。国として機能しているかは微妙。

因みに、ライたちが贔屓にしている鍛冶師はここに居を構えていたりする。

最大の問題は東の国。

先の大戦の相手。度々隣国に戦争を仕掛けては略奪を繰り返すという戦闘国家。

都市シウォングとは東側の山脈が邪魔しているため接する事はないが、

その山脈を辿れば、着くのはその東の国のとの国境。

以降、最近は心ある人達がそこに住んでいたが・・・・・・


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■ EPISODE 10 ■

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