∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 10 ■
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■とある騎士団の日常■
〜The Chivalry,s daily〜

EPISODE 10
-Tactics-

 

村,町と連絡がつかなくなった場合、考えられる原因は

盗賊等による一帯の封鎖、 危険生物,魔物,疫病により全滅 等々が考えられるが

結局は人による確認以外は事態の解決の糸口は無く、 そのために彼らはいる。

「ん〜〜、コレは随分とヤバそうだな」

「ん。 ・・・どうしても行くのか?」

「もう少し戦力が欲しいけど・・・いざとなったら戦略的撤退ということで」

「ん。 解った。」

騎馬に完全武装をマントを隠しているライとシエルの会話にしては情けなく思われるが、

連絡がつかない村の領域は円状に国境を跨ぎ、大問題になると分かりきっているものを

早期にたった二人で調査しようとしているのだから仕方がない。

動かせる駒が少ない分、早急迅速に問題を解決しなければならない。

「ふぅ、ルーも連れてくりゃよかったかな」

「今から戻るか?」

視界には既に目的地である連絡がつかなくなった村が

「ここまで来てか? 未だ昼だし、いくらなんでも何も出ないだろう?」

「ん。変な気配は・・・無い。」

変な気配どころか人っ子,家畜すら村にはいなかった。建物は健全に残り

田畑は豊かだというのに・・・丸で動物のみが瞬間にかき消された感。

「とりあえず痕跡を探して、何か見つけたら合流するか?」

「ん。」

真昼間にもかかわらず人気の無い村を、二人は探索を開始した。

この事は一人の郵便屋がその地方へ行ったきり戻ってこなかったことに始る。

逃げ足だけは速い都市の郵便屋が盗賊ごときに捕まるとは考えにくい。

昼間,道在る所を主な活動領域としているため、

猛獣,危険生物,魔物等に襲われたとも考えにくい。

次、未帰還,そこの連絡不通に緊急性を感じ、現在に至る。

余り手間をかけず迅速に調査を進め終わらせたかったため今回の付はシエルだけだが

・・・急ぐあまり誤ったか?

最初の見解通り、村には全ての家に十数日前のリアルな生活を残し猫一匹すらおらず

内、一つの家はつい最近に一夜の宿にと拝借した跡があった。

そして残された郵便屋の鞄。様子を見に来た者のものに間違いなかった。

「・・・・・・ったく、大事な鞄を放って何処行きやがった? 戻ったら減給だな」

「・・・・・・(哀」

郵便屋にとって郵便物を入れるその鞄は命より大事なもの。誇りそのもの。

だから鞄がそこにあるという事は、その主は既に・・・

「戻ってくるかもしれない。今夜はココで過すぞ」

「・・・ん。」

極めて零に近い可能性。それが解ってあえて言う。

願わくば、彼の者の魂が安らかであらん事を。

元々行動に無駄のない二人、村の探索が終わり携帯食を食べてしまえば他にする事も無く

遊んでいいような状態ではないので、一夜の宿の寝室ライは緊急に備え戦闘服を緩め着た

まま壁を背にベットに座り、その膝枕で武装解除なシエルが寝ていた。毎度の事である。

虫の歌ぐらい聞こえてもよさそうなものなのだがそれすら無く、かといって何かの気配に

怯えているわけでもない。 彼ら以外、一帯に生物の気配そのものが無いのだ。

ただジッと身体を休め時が流れ・・・不意に、二人ともソレと目があった。

木の床自体を透過し生える触手一本、その先端ついた目。

「「っ!!?」」

何故か一瞬で龍眼へ変化して身体が臨戦状態になるライ。

ソレ以上に主の急激な変化に対して驚愕し飛退くシエル。

触手は捕まえる間も無く怯えるかのように床へ引っ込んだ。

「追うぞっ!!」

「ん。 ライ、眼が・・・」

「分ってる。今回はいつも以上にヤバそうだ」

触手自体脅威な気配を放っていたわけでないにも関らず覚醒した。 否、させられた。

気配を殺す他の神級のモノを察知したため。

逃げる触手を完全武装の二人が追い駆ける。明らかにワナと分かっていても退けない。

心が猛る。 狩れ と。

村を出て山に入り疾駆する二人の前に森の木々をなぎ倒し現れたのは

霊獣玄武を思わせる巨大な甲竜。

その敵意剥き出し威嚇の咆哮に、地は割れ波打ち土塊石礫が二人に雪崩れ襲い掛かる が、

「うおおおおおおっ!!!」

ライは意もせず剣を振り被り、交わし飛び越え踏み台に甲竜へ切迫。

シエルも両手に剣爪でライを盾に後ろへ続いた。


ソレが悠久の眠りより目を覚ませば、時代は人の世。

すなわち天敵は滅び居らず、餌である動物が食い放題であった。

目覚めの場一帯の動物をあらかた食い終わった頃にやってきた存在。

神威。

かつて戦った存在の前では厄介な事にソレの神としての奇跡が無効であった。

その時は人が群れをなして来たため、結局はソレの方が根負けに撤退。

しかし神威自体はその種の強さしか持ち合わせていないことを知っていた。

今、2体しかいないなら神威を含め人は生きのイイ餌でしかない。

しかしソレは人を侮り過ぎていた。

違い、学び培ってきた戦いの技術・経験,脅威に対し立ち向かう勇気。

意に反し攻撃を恐れる事無く突貫され一気に居合いに入られライとシエルの得物が

甲の隙間を狙い振り下ろされる。

が、そこですら貫く事適わず。 目など端より小さすぎで標的には不向き。

甲竜が激しく暴れるため二人は距離を取らざる得なく、

「シエル、時間稼ぎっ」

「応っ!!!」

硬すぎて刃が通らないのなら奥義で一気に撃ち散らしてやるとライは奥義に構え

その身を螺旋型魔方陣が覆い始めた。

一方シエルはその身の軽さで挑発に飛跳ね回り、気障りに甲竜を攻撃し火花を散らす。

・・・その触手の如き尻尾は長く、物質透過により地中を潜る事が出来た。

その触手を獲物に接触させ、瞬時に吸収。故に人々は異変に気付かず全滅した。

小動物に至っては接触させずとも吸収できる。

今は神威が側にいて人達自身の格が高いため吸収出来ないが物質透過は十分に出来

「っ!!?」

不意に無様にこけたシエル。 その足を捕縛していたのは先ほどの触手。

脚を解放しようとあがくシエルに向けて甲竜は大口を開け、咽喉奥に点る炎。

業火が硬直したシエルに向けて伸び・・・それだけは絶対にやらせない。

俺の目の黒い(?)うちは、目の前で絶対に

「っおあああああっ!!!」

ライは吼え、中途半端に奥義魔法を発動。

超加速に、時が 以外の全ての動作がゆっくりと流れるの中、

炎からシエルを護るよう立ち、解除。 

しかしチリチリと焼け始めた背に、もう次の術が間に合わない。

二人は炎に包まれた。

はずだった。

「駕呀呀呀呀呀呀!!!」

響き渡る戦叫に炎が膨張し、爆発。

炎を散らし 戦龍神再臨。

しかし、その変らぬ姿も気配は以前とは異なり理性を伺わせるものはなく、野獣。

ミカタは護り慈しみテキは倒し滅ぼす。 単純明快な思考。 闘争本能の塊。

呆気にとられる数倍以上の大きさ甲竜に戦龍神は獣の如く襲い掛かり、その拳で

撃つ! 撃つ!! 撃つ!!!

だが傷つき砕けるのはその拳。

鈍足でも重厚な甲竜の体当な一撃を戦龍神はモロ喰らい吹き飛ばされ腕がもげつつも

地を蹴って体勢を立て直し再即に襲い掛かり、そして

「「ウオオオオオオッ!!!」」

戦龍神と共に内で吼える二匹の獣 ライとシエルの咆哮にその腕が復元。 

拳が爪の如く突出し より剛く、より凶暴に。 

撃ち砕くこと出来ないのなら出来るように強くなれと。

両腕を揮い、打返る反動に次の拳を砕けるも構わず撃込み更に進化した次の拳を。

だから終には抵抗を許さず戦龍神の拳が甲を砕き、肉を切り裂き、骨を打ち砕き・・・

既に灰化する甲竜の躯を踏み潰し、戦龍神が勝鬨の咆哮を上げる。


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■ EPISODE 10 ■

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