∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 07 ■
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真昼間から幼女に手を出しているような変態、果たして手におえるのか。

「そうそう珍獣の件ですか、まだ有力な情報が集まっていなくてね。

それなりに人手を回しているんですが・・・誰かが隠している可能性もある。」

「それについては我々が有力な情報を。

何でも純黒猫の獣娘が連れて行ったそうで・・・」

と商人一派はチラリとシエルの方を見・・・

まさかシエルが抱締めている銀狼の獣少女がその正体だとは気付くまい。

「ほぅ、それは珍しい。こちらもその方で捜査の手を広げて見ましょう。」

その他怪しい世間話でお互いを探りつつ時間を潰し・・・不意に

コンコンコン

「失礼します。御茶を御持ちしました」

入ってきたのは長い黒髪の娘。

それが諸肩出し膝上フレアスカート,ニーソックスのやらしいメイド服に身を包み。

オドオドと茶などが載った御盆をもってテーブルに近づき、

カップをテーブルに置こうとして

ピシャ

「あっ・・・」

たった一滴テーブルに跳ね飛び、その何でもないことに黒髪の娘は怯え

「客人の前で何をやっているんだオマエは(怒」

「この程度、御気になさらずとも・・・」

ライは壊れた人形のようなルーを、その幼顔をアルシアの胸に埋めるかのように預け

「この・・・へッポコがああああっ」

ゲシッガスガスガス

「きゃっ、あ、も、申し訳・・・」

「言い訳をするなあああっ!!!」

ライは可憐な娘を足蹴り踏みつけ・・・もうこの娘を虐めるためには

理由はなんでもいいといった感じに

「も、もうその辺りで・・・」

流石に商人一派が止めようとするのもあえて無視。

「申し訳ない。今日はまたコレの調教をせにゃならんで帰ってもらえますか」

グリグリと踏みつけたまま言うライに

「そ、それではまた後日」

慌てて撤退。

商人一派が完全に帰り、盗聴諸々の心配がない事を確認した上で

「は〜〜い、みんな御苦労さ〜〜ん」

一転、カーテンは開けられいつもの明るい雰囲気に

「あらぁ、もうちょっと続けててもよかったのにぃ」

「ん。」

「・・・z・・・z・・・」

ルー、グッタリしていたわけではなく単に寝ていただけ。

「俺は御免だ。疲れたぁ・・・。 ルナ、連中か?」

「きゃぅん。 足噛まれ、チクで、眠くなった。後、ずっと・・・」

つまり、罠に掛り、麻酔を打たれたと

「よしよし、もういいから」

「くぅ〜ん」

して、やらしいメイド服の長黒髪の娘の正体は?

「アレスも御苦労さん。いや。この姿の時はアレ子の方がいいか?」

「勘弁してください(泣。 もう女装は嫌だ」

「アレ子の御陰でさっさと追い帰す事が出来たんだ。

折角だ、もう少しその格好でいろ。 それでリオは?」

「何処かで悶絶しているのでは。 ・・・笑い過ぎて」

時は招かざる客が来た直後まで遡る。

 

ライの指示通りアレスは女装し、リオ共々伽系のメイド姿に。

艶やかに化粧を済ませたリオはアレスに同様の化粧をしつつ、

「アレスさん、綺麗・・・」

「・・・さん?」

「あっ、ごめん。わってるんだけど・・・アレスさん本当に凄く綺麗だから」

目を潤ませ切なく溜息をもらす。

まさかリオが凛々しい御姉様に弱いとは思わなかった。

リオ相手に照れる事はないので堂々としている今のアレスは正にそれだった。

「・・・いい加減怒るぞ。」

「あん、怒るアレスさんもス・テ・キ」

女性扱いしている事でアレスの神経を逆撫でしているとは思わないリオは

先輩娘に憧れる後輩娘のような台詞を吐き捲り。

それにアレスの中で何かが外れた。

「・・・いけない娘ね。何度言っても聞かないなんて」

「へ?」

幸い(?)元ネタには豊富。

アレスの御姉言葉と妖艶な笑みにリオは事態の把握が出来ず、

そのまま細い腰をグイっと抱き寄せられてしまい

「・・・いけない娘には御仕置きしないと」

アレスの意図する事も理解出来ず、茫然と抵抗する間もなく

「ふむぅっ!!?」

頭を固定されたまま艶やかな唇でディープキスをされ

「ふむっ、むっ、んんっ、むはぁ」

舌を絡め吸出し貪る様に・・・・・・

それを呼吸出来ないように犯れされてしまえば僅かなでもイってしまい、

今妖艶にも凛々しいアレスの足元には、

壁を背にペタンと座り込み果てて目の焦点が合っていないリオ。

「・・・うふふふ、これで終わらせる気?」

アレス、頭のネジが外れたか声と話し方が女性的になっちまってる。

対し、リオはボーっとしたまま見上げ

「私のこれが元気になっちゃたの・・・」

とアレスはそのための下着をそう見えないように脱ぎ捨て、

ミニフレアスカートをたくし上げた其処には見事にそそり立つ逸物。

一見 娘に男の性器があるその光景に、事情を知っているリオですら

「えっ!!? あ・・・」

「このままじゃ人前にでれないわ。貴女の御口で慰めて」

「あ、あう(泣」

何が何だか、リオ混乱を起こしパニくってアタフタと

埒が開かないのでリオの頭を持ち唇へ

「むぐぅっ!!?」

強引に挿入。口淫の経験があるので(注:アレス相手)行き成りでも噛む事はない。

「あん、貴女の中、凄く気持イイ(ハァハァ」

見下げれば、お姉さま酷いとばかりに涙目で見上げるリオ。

「・・・時間がないの。早く私をイかせて」

仕方が無いとばかりにリオは目を瞑り、吸い、舌を絡め、頭を前後に

「んっ・・・んんっ・・・はぁ、はぁ、・・・んんっ・・・んっ・・」

早くイかせようと息を吸い、吐き、

唇の端から唾液が溢れ流れていくのも構わず一心不乱に口淫を行い

「ああっ・・・いい・・・凄く気持ちイイわ。これなら直にイけそう」

リオの苦しそうな吐息が吹きかかる感触がよりいっそう快感を呷る。

「あぅん・・・んんっ・・・あうう・・・」

「イきそうっ・・・もう、イキそうっ・・・いくっ!!」

「むぐっ!!?」

瞬間、リオはしっかり頭を固定され喉奥までモノを突き込まれ

モノ先がリオの粘膜を擦る快感に

ドクッ・・・ドクッ・・・ドクッ

「はぁぁぁ」

「ん・・・(ゴク・・・ゴク・・・ゴク」

長黒髪娘が立ったまま恍惚の表情でフルフルと身を震わせ、

長金髪娘は喉奥に流し込まれる熱い粘液をまるで腹奥で受けているかのように

目を瞑ったままじっくりと飲み込み・・・

アレスが我に返ると床の上には

イった目でスカートの上から己の股間を押えつつビクッビクッと痙攣するリオ。

その下着から内太腿は溢れ伝い流れた愛液等でビショビショに濡れ、

如何やら妄想のあまり、一人手淫を行い口で精を受けて果ててしまった様。

「・・・あああっ、何をやっているんだ俺はっ!!!」

我に返り、素で頭を掻き毟ってももう遅い。

仕方無いのでリオを寝かせたまま手筈通りに・・・

 

だから正確には悶絶させた である。

「・・・まっいいや。 さ〜〜て、連中は如何出るかな・・・」

いずれ演技はばれるだろうが、それでもルナが安全になるまで時間は稼げる。

その後で連中はゆっくり料理すればいい。

 

 

数日後、ついに待人はやって来た。ライが出迎えたのは豊かな白髪の老狼人。

「初めまして、ここの長をやっているライです。ルナの・・・御祖母さん?」

「ほっほっほっ、構いませぬ。この年になってしまえば男も女もありますまい?

御存知の通り、私はルナの祖母ハイユエ。」

「まあ、立話も何ですから中へどうぞ。先に御孫さんに会われますか?」

老人は静かに顔を横に振り

「強い力をもつ方々に恵まれたようで・・・先に貴方がたと話しを」

思うところがあるのだろう。ライは老人ハイユエを客間に通し、

ルナには何も知らせずアレスとリオに面倒を見させ、

以外総メンバーと共にこの件の事の顛末について説明を

「ルナの荷物は元々少ないので、今日一泊していただければ

直帰る準備ができますが? 何せ狙う連中がいるので・・・」

「・・・私は息子夫婦を護ってやれませなんだ。その上、

ルナの相手もロクにしてやれず命の危険まで・・・私は長というのに」

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

「幸いココには貴方様をはじめ、強い方が集っておられる。 私以上に

愛情を注いでくれる方も・・・あの子をココに置いてやってはくれませぬか?

何なら貴方様の妾としてでもかまいませぬ。」

「妾はともかくとして・・・ココは騎士団。無駄飯食いを置くわけにはいかない。

ここにいる以上、一員としてもその身を危険に曝す事になりますよ?」

「村に帰ったとしてもあの子に未来はありますまい。その点ココには・・・。

己の未来も切り開けず死んでしまうのなら、それまでの子。仕方あリますまい。

もっとも、貴方かたならルナに必要な力も備えさせて頂けそうですしの(笑」

「・・・ハイユエさんと話していると俺達を良く知っているかと思わされる。」

「ほっほっほっ、無駄に生きていると影から大凡を察してしまえるもの

貴方様は神を威し、そちらの方は精霊の乙女を従え、そのお嬢様は」

とルーを差し、目を凝らす。

「私か?」

「神・・・ではありませぬな。しかし神に等しき者と繋がり・・・

私より長く生きておられるのでは?」

「おう、私は魔女だからナ。」

魔女は何かは解っていないだろうが、それなりに納得している模様。

「・・・ハイユエ様は精霊士でいらっしゃいますね。」

レイハの一言に頷くハイユエ

精霊士は文字通り精霊や死者と心を交し会話し、力を使役する者。

「じゃあ、当然ルナもその能力が・・・」

「私より強力のようで・・・せいか獣に身を変える事まで」

強力な能力のせいかは別としてルナの変身は種のものではなく個人のものらしい

後は言わずもかな想像通り。故に村人達から長の血族にも関らず虐げられ・・・

「ふぅ・・・帰るか残るかはルナ自身に決めさせましょう。では居間に・・・」

みな連れだってルナの元へ。 ハイユエの姿を見るや否やルナは茫然と

「久しぶりじゃのう、ルナや。」

「う・・・わんわんわん、くぅ〜ん」

それが実体とわかるや否や祖母に跳び付き、

服に顔を埋め泣いているのか吠えているのか・・・

それを見てリオ&アレス、ライの元へ

「あの方は?」

「ルナのバーチャン。」

「・・・道理で似たような銀髪だ」

「ほっほっほっ、これは単なる老白髪。恐れ多くも銀ではありませぬ」

「だってさ」

ハイユエさん、高齢にも関らずその狼耳は達者のようである。

「ルナや、再会早々言うべきではない事は承知じゃ。

それでも聞いておきたい。共に帰るか、ここにいさせて頂くか」

「わぅ〜〜〜(困」

長である以上、中途半端な決断は許されない。

それが例え(精神年齢が)幼い子、よりにもよって自分の孫娘に対しであっても。

いや、それゆえに。

ルナは困ってライ達とハイユエを見比べ・・・私には決められないと訴え。

「た、例えどんなに離れても・・・私達の絆は消えない」

シエルそれだけを言い残してソッポを向き、もうルナの方を向かない。

「私は、ルナが大好きだ。毛皮がさらさらで暖かいからな」

ルー、ぬいぐるみ扱いかよ。 まあ他に言い様がないから仕方がない。

「「・・・・・・」」

レイハ,アルシアに至っては涙を堪えるかのようにソッポを向き。

カインは何も言う資格がないので苦笑いのみ。

アレスは言葉が見付らないので苦い顔。 リオは

「ルナちゃん・・・」

半泣きです。

「・・・ルナや、起こりは如何であれ愛情ある方々に恵まれたようじゃのう。

ここにはルナの家族がおる。私はもうルナを家族と別れさせる事はできん・・・」

子のためを思い、お互いがお互いの処にいさせようとする。若干一名を除き。

「ん〜〜、アホらし。 ルナっ!!!」

「わんっ!!!」

思わず条件反射で応える狼娘。

「家族に距離は関係ない。俺達もルナのバーチャン、失礼、ハイユエさんも

皆お前の家族だ。お前のために出来る事を全力でやる。だから深く考えるな」

何を言いたいかさっぱり解らないが、よく解る。

ルナは目を閉じ考え・・・決意し

「・・・バーチャン、ごめん。・・・私、ココ、いたい。

バーチャン、ここ、いる、だめ?」

「私はな、ルナの祖母である以上に村の長なんじゃ。済まんのぅ。」

「まあ、会いたくなったら顔見せに里帰りすれば済む事だしな(笑」

「・・・ライ殿のおっしゃる通り。家族に距離は関係ないしの(笑」

「わぅ〜〜〜(泣」

老狼人ハイユエは翌朝、故郷に向けて出発した。

ルナは屋敷敷地内ギリギリまで見送り、姿が見えなくなるまで手を振り続け

その姿が見えなくなると今度は

アォー――――――ン

哀別の遠吼え。 それはだた長く切なく朝靄の空へと吸い込まれていった。

・・・・・・・・・・

「あっ、ルナの名字聞いてねぇ!!!」

「はぁ・・・。狼種は群れに属するもの。だからルナが名字を名乗るとすれば、

今はライか都市か騎士団のものでなければならないはず。 ルナの場合は騎士団か?

・・・シフォルナ=ゼィシェル?」

シフォルナ・・・銀風にルビーのような月(緋月)

「・・・銀風の中、緋月は極星と共に。 それ、可也恥ずかしいな(苦笑。

・・・そういえば今更だけどシエルの名字は?」

「それは・・・子供は教えてもらえない。 私が子供の時に母は・・・」

「・・・悪い。済まん。忘れてた。(ポリポリ」

「大丈夫、気にはしていない(笑。 ・・・猫種は『親』の名字を貰うから

私もライの名字になるのか。 シエル=デステェイヤー

・・・後の事を考えなくていいな(ニヤリ」

ブービートラップ発動おっ!!!

 

何も無い空間でライは痩型の渋い青年、若武士と対峙していた。

「久しぶりだな」

「おう、久しぶり」

ライに浮ぶ表情は嬉しいような申し訳ないような・・・

「そんな顔をするな。貴様には感謝している、結果はどうであれ・・・」

「そう言ってもらえると助かるよ。 で、何の用だ?

態々そんな事を言いに出てきた訳じゃないだろう?」

「俺の用は、これだ(ニヤリ」

と男の手に現れるのはその愛刀・・・ではなく、それを受け継ぎし刀。

それにライもニヤリ笑い、その手に召還されるのは神狼牙。

二人は音もなく近づき、居合に入った瞬間

空気が切れる「斬」と弾ける「破」の音を立てつつ二人は通り過ぎ、

立ち止まったライの頭が

ボト ~~~~○

「・・・おいおいおい、ココ数年伊達に生きてきたワケじゃないぞ。

それなりに経験を積んだのに何であっさり負けるんだ(悔」

「剣術のみで貴様がそうおいそれと勝てる我 御技ではない。

私と対等に成りたけば魔導も使え。 それを含め全てが貴様の力だ。」

「なら、遠慮無く・・・」

と、ライは四肢を覆うは魔導の力,帯状の魔方陣。そして二人は死合・・・

・・・・・・・

「ん〜〜〜〜、いい加減もう少し勝率上がりそうだと思ったんだけどなぁ・・・」

「五分五分の何が不満だ? 我々が死合えばそんなものだ。」

「わかっちゃいるんだけどね。 まだ成長する身としては・・・」

「何も武力のみが力ではない。・・・時間だ。 これが本題だが、我等の後継者を頼む。」

「えっ、何っ!!?」

既に男の隣にはその伴侶である天使が翼を広げ・・・・・・

「如何かなされましたか?」

気付けば居間のソファの上で寝ていたらしい。傍らには読書するレイハ。

「え?あれ? 夢、見ていたのか・・・・・・」

「随分と機嫌が宜しいですね。どのような夢を見られたのですか?」

「ん〜〜悪いくはなかったとは思うけど、忘れた。・・・何か重要な事まで(泣

だってヤツ、別れ際に大事な事いうんだもん」

「はぁ? ・・・もう一度寝てください(呆」

 

ここの都市は貿易を主とするだけあって他国各地の情報が集まる。

例えば、作物の取高とか 起った奇妙な事件とか 魔獣の目撃情報とか・・・

と当時に王都の情報もライの元へやってくる。守護騎士団との文通で。

執務室、その久しぶりの手紙もとい書類に目を通し

「はぁ・・・・・・(驚」

「? どうかしましたか?」

「後でレイハも見ればいいけど・・・王都でクーデターがあったらしい」

「そのようですね・・・」

レイハ独自のルートでその程度の情報は持っている。

「ん〜、それで王位継承権を持つ貴族の多くと大勢の騎士が (クイッ」

と自分の首を斬る仕草。

幸い犠牲となった騎士や貴族にライの知り合いはいない。

大方、傍観を決め己の周囲と民を護る事に徹したのだろう。

「それは随分と・・・。 騒がしくなりますね。」

それゆえに、その些細な情報はライの頭に入ろうと留まる事なく速忘れられた。

早急に騎士の数を戻すために騎士学校のシステムが変り、

一定のレベルに達する生徒は騎士団へ送られ修行を積んで

そこの騎士団長自身の判断により騎士として正式採用する。

引取りを受付ける候補生徒リストによく知る名前が明記されていた事すら見落とし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

引取りの申込みが来ようと少年には行きたい騎士団があった。

何故なら其処には最愛の姉とその恋人が居、騎士団長に(一応)面識がなくとも

知っていたから。

だから早々、己の少ない荷物と相棒を携えその都市へ。

夜行乗継ぎ、連日昼夜強行軍で朝には到着。

二度目の都市(まち)は、朝であろうと王都以上の活気で賑い、少年を驚かせた。

世の中にはこんなにも人が、人種がいるものなのかと。

御昇りさんが如く眺めていても仕方がないので、目的地に行くため情報収集。

珍しく差別もない大らかな都市の気風のおかげでそれは順調だが

・・・曰く、騎士団? 何それ、自警団じゃないの?

・・・曰く、騎士団長である領主のハーレム?

・・・曰く、ラブコメ屋敷のこと?

全く訳が解らない。 訳が解らない上にあまり活躍していないとは・・・。

人々の騎士団長の評価・・・謎,変人,好色,おちゃらけ,昼行灯,バカ?,アホ?

・・・何故か妙に納得してしまった自分が凄く悲しい。

名君で愛されているのか、意外にそう悪い噂はなかったのが幸いである。

それに目的地までの道程は簡単だったので良しとしよう。

都市を出て畑と草原を抜けて森に入り上がって行く事、一刻後。

迷う事なくほぼ太めの一本道についた先には森が開け、確かに屋敷があった。

規模は見た目少年の実家とほぼ同等。しかし実用性重視の質実剛健を考えれば・・・

敷地内に入り進むと、ふと脇の庭の草の上の日向で寝る白ワンコ一匹

白ワンコ・・・他に例えようがないからしかたがない。

それが朱に黒縁取りの服を着て首に朱のリボンでオシャレしていようと

コロコロと、そう見えるから仕方がない。

服を着ている上に堂々と転がっている以上、ここ騎士団の飼い犬なのだろう。

獣といえど先輩、もしかしたら凄い犬かもしれないし。

全くそう見えないけど・・・・・・。

少年は無用心に犬に近づき、その気配に白犬はン?と顔を起こした。

「僕、ディっていうんだ。今日からココで世話になることになったんだよ。

よろしく、わんちゃん」

と、挨拶・名刺がてら匂いを嗅がせるため手を差し出した。

・・・・・・ライ達に犬扱いされる事は一向に構わない。

ライほどの存在になれば犬も狼も大差ない上に、彼女の長でもあるから。

シエルにも犬扱いされても構わない。母親のような敬愛の存在であるから。

以前にシエルは種を間違える事は失礼と知っているのでそのような愚は犯さない。

ルーに至ってはぬいぐるみ扱いだが・・・ある意味畏怖の存在なので以下省略。

レイハ,アルシアはシエルと共にライ直属の眷属、彼女に対しその権利は

十分に有する。されてもそう悪い気はしない。

カインはライと対等の存在のなので権利は有する。余りされたくないけれど。

気になるのは寧ろその守護者。時折すれ違いざまに優しく撫でるのが嬉しい。

彼女にも犬扱いされても気にならないが・・・喋ってはくれない。

リオ&アレス。弐が壱となる事が出来る存在。それはさて置き、要は彼女の兄姉分。

そういう事をされても十分に許せる。因みに二人の彼女に対する扱いは「妹」。

やって来るオッチャンオバチャンもその仕事がスゲェと思うので以下省略。

話し戻し、

明かに自分よりも格下、しかも群の新入りに「犬」扱いされるのは気に食わない。

彼女のささやかなプライドに甚く甚く触った。だから目の前の手に対し

ガプッ

「あ・・・ア゛ー――――――!!?」

 

ア゛ー――――――!!? と少年の悲鳴にライが慌てて飛出してみれば

其処には白犬如き銀狼のルナに手を噛まれ襲われている少年。

「あ゛あ゛あ゛っ、骨がっ骨がっ、ゴリゴリいってるぅっ!!!」

単なる獣ではないのでそう人を襲ったりはしたりしないはずなのに。

放っておくわけにもいかないので

「こらこらこらこら、ルナ、止めろっ!!!」

ライの制止にすんなりと口を開け少年を放すと距離を取り

「ワンッ!!!」

ルナは正義は我にアリと誇らしげ。 そして襲われていた少年は

とても悪事をしそうにない・・・というか、よく知る顔。

「ディじゃないか!!! ・・・どうしたんだ?」

ディ。 正しくはディオール=クラウス、リオ=クラウスの弟。

「うぅ・・・僕もわかりませんよう(泣。 挨拶に手を差し出したら襲われて」

ルナを見ても、私悪くないもーんとばかりにそっぽ向き。

どう見てもここでは埒が開きそうにない。


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■ EPISODE 07 ■

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