∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 03 ■
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ライが戻ると出口の外では鍛冶師ブラミスが

「遅かったな」

「いやぁ、参った参った。地図無くして最下層までいっちゃったよ。」

「なにぃっ!!? まさか、アレに」

「アレってウッカリ娘の事か? 向うも知っていたみたいだが」

「・・・アレの主の剣を鍛えるのにワシが関った。

あそこに安置してあるのはその剣だ。」

勿体無いという気持もあるが、感傷に封印する気持もまた解る。

何故ならライもまた・・・

「感傷に浸っていても仕方がないし・・・早速鍛えてくれるんだろ?」

「うむ、鍛えるのは小僧、お前だ。」

「お〜〜、ちょっと待てぃ」

「小僧の剣をワシが鍛えても仕方あるまい。当人が鍛えてこそ当人だけのもの。

鍛冶場と道具はココを使えばいい。 如何鍛えるかはチャンと指示してやる。

先ずは獲って来たインゴットを見せろ。」

それならとライは獲って来たモノを入れてある袋を渡し、

「ほう!! オリファルコンにミスリル、ヒヒイロカネ・・・

イイ物だけを選んでいるな。 ぬっ、これは・・・これも使う気か?」

と見せたのは闇を凝縮したような黒光する金属。めったやたらと重かった。

「これを見た時、虐げられるモノの哀しみと寂しさを感じた。出来れば使いたい」

「これはメリクリウス。地獄の邪石とか獄魔鉛とか呼ばれる代物だ。

これを入れる事で屑になるかもしれんぞ。それでも使うつもりか?」

「なんか随分と物騒な名前付けられてるな。

感じるものがあったから持ってきた。だから、それでも使いたい。」

「ふむ、意外とトンデモない銘剣が出来るかもしれんな・・・」

「あと、これも入れてイイか?」

と見せるのは雷狼の牙。

「今更多少のゴミが入ったところで変らんわ。」

「ゴミ・・・・・・凄い言われようだな」

一日置き、二人は万全の体調を整え身を清めて鍛冶場へ

鍛冶師ブラミスは一礼して鍛冶場に入り、言われるも無くライも一礼して入る。

「小僧のくせに出来ているな・・・感心だ」

「やっぱり職人にとって仕事場は聖域だろ? 見ていたら頭も下がるさ」

「ふむ・・・では始めようか。」

材料が材料だけに普通の鍛え方では出来ない。

先ずはそれぞれの金属を叩いて薄く長いプレート状にし、

それが出来ると今度はそれらを重ね叩き一塊にする。

その塊を捻り叩き中央で折って叩き・・・何度も何でもそれを繰り返し。

ひたすら毎日毎日、轟炎の前で金属を鍛え続け・・・出来上がった棒状の塊。

「明日からは寝ず食わず一気に鍛え上げる。覚悟しろ小僧」

「上等。」

そして死闘の三日間が始った。

ここまでくると鍛冶師ブラミスは何も指示する事無く脇に立ち、

ライは塊に宿り始めた魂に耳を傾け会話するように打つ状態。

轟炎でサウナの様に熱い中、滝のような汗を流し

頭の中にある剣を手にイメージして鍛え続ける。

一心不乱に雑念もなく全身全霊をかけて、黄金龍眼で文字通り一打入魂・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

「・・・・・・ありゃ?」

気付けばライは客室のベットの中、鍛冶はどうなったのかと思案し

途中で昏倒したと解かった。

「まいったなぁ・・・。・・・。・・・・・・お!!」

顔を拭こうとしてその手が金属で驚かない人は先ずいないだろう。

「な、な、なんじゃこりゃっ!!!」

と頭で考えた通りに動く金属の手・・・と言うよりそっくりそのまま

両腕に入れ替わりについている攻撃的な龍の腕を思わせる腕パーツ。

触った感触そのまま感じます。

「あらあら、もう起きられたのですか?」

「う、腕・・・」

ほのぼのとしたスイに変わり果ててしまった己の腕をワキャワキャと

「外すしたいんですか? ちょっとまってくださいね」

各部カチカチと弄りズルッと引張、中から出てきたのは元の腕。

「え〜〜っと・・・(悩」

「気に入ったか、小僧。」

「これは一体ナニですカ?」

「うむ、小僧を見ていたら久々に創作意欲が湧いてきてな、造った。

格闘を目的、オリファルコンミスリルを主の合金とした完全腕護甲(ガントレット)。

銘は『龍腕』。」

「この人ったら子供みたいにはしゃいじゃって(嬉」

「へぇ、そうですか・・・」

もう何でも好きにしてくれって心境です。

「それはそうと小僧、来い。」

「???」

ブラミスに促されるまま鍛冶場まで付いて行き

其処には地面に刀身半ばまで突き刺さった一振りの剣。

「小僧、お前は鍛え上げるのと同時に気絶した。記憶にないだろう?

後はワシが仕上げをしてやったが・・・」

「・・・何?」

「完成と同時に重くなって如何にもならん。」

ライは握を手に取り・・・抜くっ!!

感じはイメージ通り、本当に切先,刃先まで神経が通っているよう。

それどころか認識したことで常に存在を感じる。例え離れていようとこれなら判る。

「別に・・・重さはこの程度じゃないのか。」

ブラミスは剣を手渡され、その感触に驚愕。

それほど重くは無く、それところかライの意思に・・・

「小僧、お前は・・・・・・とんでもないモノを鍛えたな。

どうだ、ワシの弟子になってみんか?」

「冗談、二度とこんな事は出来ないよ。根性尽きちまったぜ」

「・・・まあいい。それでこそ小僧だけの剣だ。銘は『神狼牙』とするがいい」

「『神狼牙』、何でまた・・・」

「神を滅ぼす『神狼』、その牙。 その剣にそれほど相応しい銘はあるまい」

一瞬、ライは己の正体がバレたかと思った。

まあコノ鍛冶師ならバレたとしても問題はないか。

「『神狼牙』・・・その銘、ありがたく頂く。

さてと、時間かけ過ぎたから急いで帰らないとな」

「一泊して行け、小僧。 急ぐなら体力を完全回復させた方がいいだろう」

「・・・宜しくお願いします。」

好意に甘えそのまま一泊。そして翌朝、送り迎えは鍛冶師のみ。

神狼牙を用意してもらった鞘に収め、

「本当色々世話になった、ありがとう。これ、少ないかもしれないけど礼」

「いらん。久々にイイ仕事をさせてもらったからな。

元々小僧の為に造った物だ。 これも持っていけ。」

渡された包みの中は『龍腕』。

「やっぱり礼を受け取ってくれ。もう荷物にしかならない。」

「・・・・・・そこまで言うなら貰ってやろう。

何かあったら連絡をよこせ。格安でやってやる。」

「そりゃ、ありがとう。娘さんにヨロシクな。」

「娘? あれは妻だ。」

見た目親子以上離れた夫婦。まあ、亜人は長生きで年齢解かりにくいし。

「・・・意外に驚かんな。」

「ウチにも変っているのがいるからな。じゃ改めて、奥さんにも宜しく。」

「ふん。」

何であれ時間は無い。期限の四ヶ月までもう間もないはず。

ライは旅路を急いだ。


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■ EPISODE 03 ■

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