∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■ EPISODE 02 前編 ■
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ライが蘇り数日が経った。 しかし、その間一度でも意識を取り戻し起き上がる事はなかった。

瞳孔反応なし,必要最小限の生命活動、つまりほとんど呼吸だけ・・・

「魂の反応もごく僅か・・・欠片と言っていい程度です。これで肉体が生きていられるのは・・・」

ライが倒したイドの怪物,混沌と破壊の魔。ライを復元し生かしている,再生と秩序の聖。

「魂の結晶,聖と魔の『神』が生かしている・・・か。 ・・・しかし何故だ? 何故、何も変化がない?

おっと、済まんなフェフ。 毎日忙しい中、わざわざ神殿から駐屯地まで。」

「いえ、貴方の気苦労に比べれば・・・」

ライの復活騒動の後、守護騎士団内に緊急厳戒令が出された。

そして休暇を出された騎士を含めが全員、休暇を撤回。ここに詰めている。

言われるまでもなく緊急事態に備えて。

一つは、蘇ったライが イドの化け物になってしまうかもしれないという可能性。

だが、意外にそのことに関してはそれほど危惧してはいなかった。 なぜなら、ライ だから。

どちらかとすれば緊急厳戒令、ライの復活直後それが口外禁止,外に対して秘密にされた事に対して。

一度漏れた事実「壊れた身体が復元し息を吹き返した。」という噂は噂を呼び、

ついには老人達が集う所,賢老院で

「な、何いいいっ、死者が一塵の灰から蘇っただとっ!!」

「流石にそれはあるまい。しかし、噂が流れる以上ソレに近いことが起こったことは間違いないだろう。」

「おのれオーディス 厳戒令を布き如何するつもりだっ!!」

「何でアレで時間を稼いだ事には違いあるまい? 神の力は何処に」

「オーディスの子飼 ライ=デステェイヤーとか言う若造の元に。」

「くっ、またしてもこの男かっ!! 何時も何時も我々の邪魔しおってからにっ!!

引っ捕えて必ずその身体の中から不老不死の力、抉り出してくれるわ!!」

「何であれ『神』の力を一介の若造に与えるのは危険すぎる。早急に我々の元へ回収せねば」

動き出した謀略。 今、一人の男を中心に運命の歯車が加速し始めた。

 

「らい〜、早く起きてよ〜♪ 早く起きてくれないと〜、私お婆ちゃんになっちゃうよ〜♪」

ベットに横たわるライの側から流れる怪しい歌。発声源はボ〜っとライの顔を眺めるフェイ。そして

「フェイちゃ〜ん、薬湯もって来たわよぉ。」

薬湯(要は栄養のスープ)を持ってきたアルシア。

目下のところ、意識を取り戻さないライの身の回りの世話が二人の日課。

食事に、身体の湯拭き、そして下の世話・・・ それは兎も角

「ね〜〜あるしあ、起きない人に食事させるのって面倒臭いね〜」

スープをスプーンですくい、少しずつ口へ運び気管に入らない様に飲ませる。

だからスープが冷める前に食事が終わるという事は、まずない。

「それなら口移しで与えてみたら・・・って、・・・・・・・・あらぁ(汗)」

既に、フェイは両手でライの顔を固定し、自分の顔を傾け口付け。

ライの咽喉がコクコクと動いている処から、口移しで口に流し込まれているものを飲み干している事が分かる。

「はふぅ、うにぃぃ、早いけど・・・これって・・・えっちぃだね(照)」

「その割には過激な事したわねぇ。」

「だって起きてないもん。 起きてたらこんな事、恥ずかしくってできないよ〜」

「・・・でもライ、意識取り戻しているみたいよぉ。困った顔をしてるわぁ。」

「うきゃあああああああああ!!!??」

あたふたあたふたあたふたあたふたあたふたあたふた

「・・・・・・冗談よぉ。起きてるわけないじゃなぁい」

「ふぇ? あうぅ〜〜(泣)」

へなへなへなへな、へたぁ

ライの状況を確認し、安堵のため床に座り込むフェイ。

「(い、いいわぁこの娘。 もっと・・・もっと・・・苛めたくなっちゃう。)

・・・次は下の世話のでもしてもらおうかしらぁ」

「し、下の世話(汗)?」

「ライのパンツからぁ〜〜ライのお○ン○ンを出してぇ〜〜

お手々で擦って気持良くして上げて、大きくして上げてから〜〜

大きくなったライのおチ○チ○を尿瓶に〜〜・・・あらぁ?」

プスプスプスプスプスプス シュゥ〜〜〜〜

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜(泣)」

アルシア、苛めすぎ。 フェイはへたり込んだままマッ白に燃え尽きてしまった。

そんな二人(三人?)に関係なく、不意に騒がしくなる建物内。

「何かあったのかしら。ねぇ、フェイちゃん?」

「・・・・・・・・・・・」

フェイは真っ白の灰まま頭に蝶々まで止まらせちまってる。しょうがないので自分で様子を見に行く事にした。

・・・・・・

「フェイちゃん、緊急事態よ。オーディス様の所まで一緒に来て。」

「・・・緊急事態? ん、団長さんの所へ」

真剣なアルシアにフェイに志が漲る。 少女でもさすが守護騎士。切り替えが早い。

アルシアとフェイが執務室に着いた時、もうそこには良く知る面々が勢ぞろい。

オーディスに始まり、キリト,エンジェ,ゴリアテ。そして、なぜかカインも。

「うむ、揃ったな。 緊急事態とは総司令部軍がここへ向けて進軍中だ。彼奴らの目的はライ。 

ライは引き渡さんっ! だから、我々守護騎士団は彼奴ら総司令部軍と徹底抗戦するっ!!」

「うおおおおおおっ、戦いじゃあああっ」

「おっさん、うるさいよぉ〜。」

「ゴリアテ、うるさいぞ。 黙って戦いへと赴けないのか」

「あ〜〜二人とも、団長の話はまだ終わってないみたいなんだけどな」

「ん、重要なのはこれからだ。ライと絆の強い諸君はこの戦闘せずに個人的にやってもらいたい事があるのだ。

これの許否は諸君に任せる。願わくば・・・」

・・・・・・・・・・・・

宵、守護騎士団駐屯地正面門に押し寄せた総司令軍。

それに立塞がるように一人立つ最強の騎士 オーディス。

「・・・謀反人ライ=デステェイヤーを引き渡していただきたい。」

「我々守護騎士は何者にも屈服しない。 それに無意味だ。騎士ライは殉職した。」

「ならば遺体を渡せっ!!」

「断るっ! 貴様ら死者の眠りを妨げるつもりか!!」

「いつまでも戯言を続けるなっ。ライ=デステェイヤーの生存は既に確認済みだ。

その気がないならわれわれは強行手段をとらせて頂くっ!!」

「フッ、初めっからこっちはその気だ。 遠慮なく掛かって来るがいい。

かつて最強と謳われた騎士の力、とくと見せてやろう。」

抜き放たれた『獅皇』の輝きと構えた体から沸き立つ闘気に、総司令部軍に緊張が走る。

まず勝てない。というかこんなのと戦いたくない。1VS 少数なら。 しかし現実は1VS 多数・・・

オーディスは実によく戦った。

全力で向かってくる戦士達に相手に誰一人殺さず無力化。

だが、まだ倒した人数の十数倍の戦士が残り、

オーディス自身致命傷がないとはいえ満身創痍疲労困憊でもう戦える状態ではなかった。

「こ・・・これまでか。 む、無念」

「オーディス、殿、貴様の最強伝説もこれで終わりだ。」

指揮官が凶刃を手に進み出る。対し、オーディスは膝を着き『獅皇』で身体を支えるのが精一杯。

居合いに入り凶刃を振り上げた瞬間

轟っ!!

その指揮官はオーディスの両脇を抜けた二人の守護騎士、

槍の女騎士と騎士剣の騎士の双撃に派手に吹っ飛ばされ後ろに控えていた戦士達を巻き込む。

そして、正面門を通さないように展開する守護騎士達。

「一つ訂正しよう。私が最強なのではない。 ・・・我々が最強なのだっ!!!」

この時、勝敗は決した。

一方、夜闇に紛れ影から侵入しようとする集団、総司令部軍の別の部隊。

しかし、闇を切り裂く無数の気弾がソレを暴いた。

「すみませんが貴方達の自由にさせるわけにはいけないんですの」

始まるフェフ率いる神官戦士団の戦い。

援護,救援を主とする神官戦士団といえど日々真面目に訓練している彼,彼女達にとって

連中は大した敵でなかった。

 

宵、王都はずれの小高い丘から見える守護騎士団駐屯地は

そこを囲むような幾つもの光が取り巻き賑やかだった。

幾つもの光。そこで戦闘が行われているという事。

総司令部軍 VS 王都守護騎士団&神官戦士団

「おー、おー、派手にやっとるのぉ。ワシもいきたいのぉ。」

「だめだよ。ゴリアテが行っちゃたらライを運ぶの大変になるもん。」

「結局、馬に乗るからあんまり関係ないんだけどね。」

「・・・何このバカ?」

突っ込むカインへ容赦ないフェイの反撃。

「それはともかくとして、カインよくついてきたわねぇ。いったい如何心境ぉ?」

「・・・まっ、いいじゃないか。気にしない気にしない。」

周囲には何を考えているか分からないカイン。この男の企みを理解できるのはライ程度だろう。

アルシアは別に他意はなく好奇心で聞いただけなのだが、そう受け取らなかったフェイはキリトを胡散臭そうに

「ねぇ、きりと,えんじぇ、このバカ置いて行こーよ」

「だ、大丈夫なんじゃないのかしら?」

「ん、それでもその男は信用できる。 女性関係に関しては知らんが」

ライがコレで、代わり実質チームNo.1とその補佐が認めている以上、フェイはこれ以上文句は言わない。

その「胡散臭いぞ」ビームの視線はやめないが。

結局キリト,エンジェ,ゴリアテ,フェイ,カイン,アルシアの全員が全員、オーディスの案に乗った。

つまりオーディスを含めた守護騎士,神官戦士が総司令部軍を守護騎士団駐屯地を防衛。 囮として

そして、彼らが総司令部軍を引き付けている間に6人がライを連れて逃亡。

この件にケリが着き、ライが狙われなくなるまで。 ずっと。

彼らは王国ヴィガルドの王都ギルテアを出発した。 いつ決着が着くか分からない逃亡の旅へ。


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■ EPISODE 02 前編 ■

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