∴SHRINE∴
∴FANTASY LIVING THING PICTURE BOOK∴

■食する者、食される者■
文章:ごじら様
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■捕食植物■

 

ブダイ、かの地では先住民たちの訪問者への閉鎖性と自然環境の厳しさから、

危険な生態系はあまり知られていない。

その知識がなければ深林に住まう捕食植物から逃れるのは困難だ。

今回の報告者は珍しく専門的な冒険者ではなく、一人立ちして間もない刀匠の青年である。

彼は対魔効果が高いオリハルコンを用いた剣を打とうとしたが、

一振り分のそれでさえ市場価格(冒険者が商人に売り、商人が都市で売る値)では高すぎた。

刀匠ギルドでは名の知れた刀匠の彼でも、買えぬ金額ではあったがどうしても諦めがつかない。

結局悩んだ末に直接調達することにしたのだ。

名刀とは言えないまでも自身の体格と技量に合わせて打った長剣で、彼は一人聖地ブダイを目指した。




用意周到な装備と幾ばくかの幸運と臆病なほどの慎重さで刀匠は樹海を踏破した。

そして極めてまれな遭遇を果たすのである。

捕食植物の「食事」の瞬間である。



巨大な花に背を向けて、中空で若い女性と少女が弱々しい声をあげていた。

衣服はそこいらに散らばっており、全裸で両足を広げもだえている。

 

「あ……あああ……あひゃぁ、ひ、ひいいいい。だ、だめ、またイク、イクウーー!」

「お姉ちゃん、怖いよ、お、お姉ちゃん、わたし、こ、壊れるっ!壊れるう!」



長い、腰にまで届く銀髪を揺らせて若い女性が痙攣し、

まだ女性とは言い難い短い銀髪の少女が細い体をそらせた。

獣人の「銀狐」だ、数家族単位の集団で移動を繰り返す種族。

彼女らは不運にも捕食植物に出くわしたのだ。

しかも<大捕食花>に。

 

大捕食花は広範囲なテリトリーを持ち、発達した嗅覚で人や獣人の女性を嗅ぎ分け、

そしておびき寄せる芳香を放つ。

強烈な媚薬効果のある香りに誘われて、獲物である彼女らを近づける。

この段階で彼女には明確な意識はない。

間近から浴びる芳香で、気絶寸前の彼女らを枝が進化した捕食枝でとらえる。

そして衣服や靴など身につけていた物を外すと(消化できないからだろう)

、幹から進化した捕食幹で獲物の肛門を貫く。



「いた!何、痛い」

「痛い!痛い、お姉ちゃん!」



この際痛みで犠牲者が覚醒しても、もう遅い。

吸収の早い腸に直に媚薬効果のある樹液がそそぎ込まれ、

一瞬で彼女らを性的絶頂に高めてしまう。



「ひゃあ!」「きゃん!」



体の奥深くまで到達した捕食幹は内部で膨れ上がり、抜けないようにしながら獲物を空中に持ち上げる。

足が届かず力も入らない獲物に逃れる術はない、

ただ、そそぎ込まれる樹液で一方的な性的快感を与え続けられるだけだ。

彼女らは銀色の尾を振り上げ、手足を引きつらせ狂乱した。

ひたすら植物の樹液で絶頂を味わう。

なおこの樹液は芳香と同じ成分と思われるが、

濃度がまったく違うためにこのような効果があるのだと思われる。

ほどなく彼女らは水浴びでもしたように汗で全身を濡らし、悶え狂う。

自我が保てなくなるほどの甘すぎる快感。

だが、この後に来る惨劇を思えば余興にすぎない。

 

大捕食花の風呂釜のような花には、透明な消化液が満ちている。

落ちれば小鳥なら見る間に溶けきってしまうほどの。

ただし、強度から言えばさほど丈夫ではない。

そのため大捕食花は、獲物(銀狐の二匹)を徹底的に衰弱させ、

暴れられないようにしてから消化するのだ。

しかし、鮮度を保つためであろう、死体は消化しない。

衰弱し抵抗できないようになってから、なおかつ、

生きている獲物を消化液に放り込むのだ。

酷いことに犠牲者は自分が消化されていくのを知覚することになる。

 

秘裂からは愛液を垂らし、口からは涎をあふれさせて悶えている犠牲者。

むなしく手足を蠢かしている。



「いや、また、またイク、いっちゃう!」



銀狐の姉が限界まで背をそらせ、銀色の長髪を振り回す。

体液を搾り取られたような姿だが、その姿は美しい。

別に美を認めたわけでも無かろうが、大捕食花は姉の方を食べ頃と判断したようだ。

」肛門に入れてある捕食幹を上げる。

銀狐の女性の裸体が反ったまま持ち上げられた。

捕食幹は長く、絶頂の余韻にふるえる肉体を花の中央まで移動させる。

器用に獣人を逆さにし、中で膨れていた幹を細くする。



「……え、ええ!嫌あ、食べられる、食べられちゃう!」



視界に花の内部をとらえた娘が悲鳴をあげた。妹も首を動かして姉を呼ぶ。



「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」

「だ、誰か、助けてぇ、あたし溶かされちゃう!



が、弱り切った二人には声を上げるまでだった、姉の体が幹からずるずると滑り落ちる。

真っ白な肌が恐怖で紅潮する。汗が陽射しにてらつく。



「逃げておねえちゃ……、あ、あうううん!だめえ、中に出さないでぇ、また、気持ちよくなっちゃう。

こんな、お姉ちゃん、こんなのだめぇ」



さらに妹に樹液が注がれたようだ。小さな胸をふるわせて、食いしばった白い歯の隙間から唾液が流れる。

姉が殺されようと言うのに自分は絶頂しようとしているのだ、耐えられるわけがない。

大捕食花は静かに姉を消化液に落とそうとし、妹には樹液を与えつづける。

そして、とうとう姉の体が消化液に落とされた。



「ヒイイィ!」

「イクゥ!」



ドボン、と姉が消化液に落とされる瞬間を見ながら、妹は絶頂に達した。

白く長い足が花から突き出ており、左右に広がり、凄まじい痙攣を見せる。

ばしゃばしゃと水音が起こり、獣のような声が聞こえる。銀狐の上半身が消化液の池に漬けられた。

彼女の白い皮膚が銀髪が瞳が肉が骨が、一斉に消化される光景だ。

花びらから出ている両足の間から、黄色い噴水が起こった。失禁したらしい。



「イク、イクイクイク、イクー!あひー!」



それを見ながら妹が連続して絶頂していく。



「ひい、ひ、ひー、ひ、ひひ、ひー」



少女の精神も目前で姉を殺され、限界を越えたらしい。

肢体を揺すって幹を体の奥底にくわえようとし始める。

目撃者にとっては、助ける暇もない時間だった。ようやく若い刀匠は傍観から救助に動いた。

長剣片手に駆け寄り、銀狐の少女を貫いている幹を切断する。

幹は見る見るまに縮み、銀狐の内部に残っていた分が落ちる。

少女は意識を失っているが、尾は動いているので生きてはいた。

だが、姉の方は。

刀匠が人の背丈ほどある花から出ている、白い脚を掴む。まだ、動いている。

助けられるか、と引っ張ると軽かった。軽いはずだ、へその上からが無くなっていたから。

まだ痙攣している下半身を地面に横たえると、花を覗く。透明な消化液があるだけだ。

消化液の底には白骨の破片が敷き詰められていた。

過去の犠牲者の数は相当数にのぼるだろう。

 

この後、刀匠は救助した銀狐をその部族まで送り届けた。

人間に対して猜疑心の強い銀狐の集落に単独で近づくのは危険な行為だったが、

彼は事情を知った長老に感謝され探していたオリハルコンを礼として与えられている。

 

 

銀狐の妹は摂取した樹液が多量にのぼり、その後衰弱死が確認された……。





2002/04/21

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■食する者、食される者■

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